4 ASMCAによるOracle ACFSおよびOracle ADVMの管理
Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)では、Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)およびOracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)の管理用ユーティリティを提供します。
Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)は、Oracle ASMインスタンス、Oracle ASMディスク・グループ、Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(ADVM)ボリュームおよびOracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)ファイル・システムのインストールと構成を支援します。さらに、ASMCAコマンドライン・インタフェースを使用できます。
この章では、以下のトピックについて説明します。
関連項目:
-
ASMCAを使用したOracle ASMインスタンスとディスク・グループの管理の詳細は、Oracle Automatic Storage Management管理者ガイドを参照してください
注意:
ASMCA機能およびメニュー・オプションによっては、Oracle RAC構成などの特定の環境でしか使用できないものがあります。特定のASMCAページの詳細は、「ヘルプ」ボタンで表示されるオンライン・ヘルプを参照してください。
Oracle ACFSおよびOracle ADVMを管理するためのASMCA GUIツール
この項では、次の項目について説明します。
ASMCAによるOracle ADVMボリュームの管理
注意:
データベース・ファイルの格納を目的としたOracle ACFSファイルシステムのOracle ADVMボリュームを作成する場合は、ASMCAツールではなくASMCMD volcreate
コマンドまたはSQL ALTER
DISKGROUP
ADD
VOLUME
SQL文を使用して、列のストライプ化が1に設定されていることを確認します。
Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントを使用すると、Oracle ADVMボリュームを作成または構成できます。
Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントの画面で選択したボリュームを右クリックして、構成オプション・メニューを表示します。
メニューには、次を実行するためのオプションがあります。
-
無効なボリュームの有効化および有効なボリュームの無効化
-
ステータス詳細の表示
-
Oracle ACFSファイルシステムにマウントされていないボリュームのサイズの変更
-
ボリュームの削除
ボリュームの作成、すべてのボリュームの有効化および無効化のオプションがあります。
ボリュームを作成するダイアログを表示するには、「作成」をクリックします。ディスク・グループのリストから選択する既存のOracle ASMディスク・グループに、一意のボリューム名を指定する必要があります。また、ボリュームのサイズを指定する必要があります。必要に応じて、冗長性レベルおよびストライプ化の特性を指定できる、ボリュームを作成するための拡張オプションの表示を選択できます。
Oracle ADVMボリュームを含むディスク・グループの互換性パラメータCOMPATIBLE.ASM
およびCOMPATIBLE.ADVM
は、11.2
以上に設定する必要があります。Oracle ACFSの暗号化、レプリケーション、セキュリティおよびタグ付けを使用するには、ファイルシステムに作成したボリューム上のディスク・グループのASM
およびADVM
の互換性属性が11.2.0.2
以上に設定されていることが必要です。
AIX上にOracle ADVMボリュームを作成する前に、必要なユーザー認証が作成されていることを確認します。
関連項目:
-
ボリューム作成時の拡張オプションの詳細は、「volcreate」
-
Oracle ACFS機能およびディスク・グループの互換性属性設定の詳細は、互換性属性設定により使用可能になるOracle ACFS機能を参照してください
-
AIXオペレーティング・システムでのOracle ADVMボリュームの作成の詳細は、「AIX環境用のOracle ACFSコマンドライン・ツール」
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ASMCMD
volcreate
コマンドを使用したボリューム作成の詳細は、「ASMCMDによるOracle ADVMの管理」 -
Oracle ACFSの概要は、「Oracle ACFSおよびOracle ADVMの概要」
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ボリュームを管理するための
ALTER
DISKGROUP
ADD
VOLUME
SQL文の詳細は、Oracle Automatic Storage Management管理者ガイドを参照してください
ASMCAによるOracle ACFSファイルシステムの管理
Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントを使用すると、Oracle ACFSファイルシステムを作成または構成できます。
既存のファイルシステムを構成するには、Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントの画面で選択したファイルシステムを右クリックし、構成オプション・メニューを表示します。
メニューには、次を実行するためのオプションがあります。
-
ステータス詳細の表示
-
ファイルシステムのマウントおよびディスマウント
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ファイルシステムのサイズ変更
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ファイルシステムの削除
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セキュリティ・コマンドの表示または実行
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スナップショットの作成または削除
ファイルシステムのマウントなど、一部のコマンドにはroot権限が必要です。ASMCAでは、root
として、手動で実行するコマンドが生成されます。
「作成」、「すべてをマウント」、「すべてをディスマウント」および「セキュリティと暗号化」コマンドのボタンがあります。
Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントを使用すると、Oracle ACFSファイルシステムを作成できます。
「作成」を選択し、作成するOracle ACFSファイルシステムのタイプと既存のOracle ADVMボリュームをリストから選択します。「マウント・ポイント」フィールドを指定します。マウント・ポイントには既存のディレクトリを指定する必要があります。ファイルシステムは、使用可能にするためにマウントする必要があります。「自動マウント」オプションを有効化することを選択できます。「説明」フィールドに、ファイルシステムの説明を指定することもできます。
mountコマンドは、オペレーティング・システム・プロンプトでrootとして手動で実行する必要があります。
Oracle Database用にOracle ACFSファイルシステムを作成することを選択できます。
関連項目:
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LinuxでのOracle ACFSファイルシステムのマウントの詳細は、mount
-
データベース・ホーム用のファイルシステム作成の詳細は、「データベース用のOracle ACFSファイルシステムの作成」
-
Oracle ACFSの詳細は、「Oracle ACFSおよびOracle ADVMの概要」
-
Oracle ACFSファイルシステムを作成する基本ステップの概要は、「Oracle ACFSシステムを管理するための基本ステップ」
ASMCAによるOracle ACFSのセキュリティおよび暗号化の管理
Oracle ASM Configuration Assistantにより、Oracle ACFSファイルシステムのセキュリティと暗号化を構成できます。
Oracle ACFSファイルシステムのセキュリティの構成の最初のステップとして、セキュリティ・システムを初期化する必要があります。Oracle ACFSファイルシステムの暗号化の最初のステップとして、暗号化システムを初期化する必要があります。同じファイルシステムでOracle ACFSのセキュリティと暗号化の両方を使用する必要はありません。セキュリティと暗号化の両方を使用する場合は、暗号化を初期化して設定してから、セキュリティ・レルムで暗号化を有効にする必要があります。
表示されるダイアログで、セキュリティ管理者およびセキュリティ管理者のオペレーティング・システム・グループを指定するための情報を入力します。パスワードで保護されたウォレットを作成することを選択できます。ダイアログの入力フィールドへの入力が完了したら、「コマンドの表示」をクリックして、オペレーティング・システム・プロンプトでrootまたはAdministratorユーザーとして実行する必要のあるコマンドを表示します。次に例を示します。
# /sbin/acfsutil sec init -u grid -g asmadmin # /sbin/acfsutil encr init
セキュリティが初期化されると、メニュー・オプションを使用してOracle ACFSファイルシステムのセキュリティおよび暗号化を管理できます。
メニューには、次を実行するためのオプションがあります。
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暗号化の設定
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暗号化の有効化および無効化
-
セキュリティの準備および有効化
-
セキュリティの有効化および無効化
関連項目:
-
acfsutil
encr
init
コマンドの詳細は、「acfsutil encr init」 -
Oracle ACFS暗号化の詳細は、「Oracle ACFS暗号化」
-
Oracle ACFSファイルシステムで暗号化を設定する基本ステップの概要は、「Oracle ACFSファイルシステムの暗号化」
-
acfsutil
encr
コマンドの詳細は、「Oracle ACFSコマンドライン・ユーティリティ」
データベース用のOracle ACFSファイルシステムの作成
データベース使用のOracle ACFSファイルシステムを作成するには、ディスク・グループ構成オプション・メニューから「データベース使用のACFSの作成」を選択し、ダイアログ入力ボックスを表示できます。
注意:
データベース・ファイルの格納を目的としたOracle ACFSファイルシステムのOracle ADVMボリュームを作成する場合は、ASMCAツールではなくASMCMD volcreate
コマンドまたはSQL ALTER
DISKGROUP
ADD
VOLUME
SQL文を使用して、列のストライプ化が1に設定されていることを確認します。
このダイアログでは、次の情報を入力する必要があります。
-
ボリューム名
作成するOracle ADVMボリュームの名前です。
-
マウント・ポイント
データベース・ホームのインストール先となるファイルシステムのマウント・ポイントです。データベース・ホームを含めるファイルシステムは、Oracle Grid Infrastructureのベース・ディレクトリ(グリッド用の
ORACLE_BASE
)の下に配置しないでください。 -
サイズ(GB)
デフォルトは7GBで、最小の推奨サイズです。
-
所有者名
データベースをインストールし、データベース・ホームのソフトウェアを所有するユーザーのオペレーティング・システム名です。
-
所有者グループ
データベース・ホームの所有者のオペレーティング・システム・グループです。
マウント・ポイントには既存のディレクトリを指定する必要があります。ファイルシステムは、使用可能にするためにマウントする必要があります。
「構成コマンドの自動実行」を選択してASMCA構成コマンドを自動的に実行します。このオプションを使用するには、ASMCAの「設定」ページでroot
資格証明を指定する必要があります。
また、mountコマンドは、オペレーティング・システム・プロンプトでroot
として手動で実行する必要がある場合があります。
関連項目:
-
volcreate
コマンドの詳細は、「volcreate」 -
Oracle ADVMボリュームの詳細は、「Oracle ASM動的ボリューム・マネージャの概要」
-
マウント・ポイントとデータベース・ホームの詳細は、「Oracle ACFSとOracle Databaseホームについて」
-
LinuxでのOracle ACFSファイルシステムのマウントの詳細は、mount
-
マウント・レジストリの詳細は、「Oracle ACFSマウント・レジストリについて」
-
ボリュームを管理するための
ALTER
DISKGROUP
ADD
VOLUME
SQL文の詳細は、Oracle Automatic Storage Management管理者ガイドを参照してください
Oracle ACFSおよびOracle ADVMを管理するためのASMCAコマンドライン・インタフェース
ASMCAコマンドライン・インタフェースは、Oracle ASMディスク・グループ、ボリュームおよびOracle ACFSを構成するための非GUIサポートを提供します。
関連項目:
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ASMCAコマンドライン・インタフェースの実行に関する一般的な情報と、複数のコマンドに共通するオプションの詳細は、Oracle Automatic Storage Management管理者ガイドを参照してください
Oracle ACFSおよびOracle ADVM用のASMCAコマンド
この項では、Oracle ACFSオブジェクトを管理するためにASMCAコマンドラインで実行できるコマンドについて説明します。
Oracle ACFSスナップショットの作成
—createACFSSnapshot
は、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)のスナップショットを作成します。
構文
asmca -silent -createACFSSnapshot (-acfsMountPoint mount_path ) (-snapshotName snapshot_name ) [-snapshotMode { r|w } ] [-parentSnapshotName parent_snapshot_name ]
表4-1に、—createACFSSnapshot
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表4-1 -createACFSSnapshotコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
マウント・ポイントとして使用する既存のパスを指定します。これは、Oracle RAC環境で必須です。 |
|
Oracle ACFSスナップショットの名前を指定します。 |
|
Oracle ACFSスナップショットのモード、読取り専用( |
|
Oracle ACFSの親スナップショットの名前を指定します。 |
Oracle ACFSスナップショットの削除
—deleteACFSSnapshot
は、既存のOracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)のスナップショットを削除します。
構文
asmca -silent -deleteACFSSnapshot (-acfsMountPoint mount_path ) (-snapshotName snapshot_name )
表4-2に、—deleteACFSSnapshot
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表4-2 -deleteACFSSnapshotコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
マウント・ポイントとして使用する既存のパスを指定します。これは、Oracle RAC環境で必須です。 |
|
Oracle ACFSスナップショットの名前を指定します。 |
ボリュームの作成
-createVolume
は、Oracle ADVMボリュームを作成します。
構文
asmca -silent -createVolume { -volumeName volume_name -volumeDiskGroup diskgroup -volumeSizeGB size_GB [ -volumeRedundancy { INHERIT | HIGH | NORMAL | EXTERNAL } ] ... } [-sysAsmPassword sysasm_password ]
表4-3に、-createVolume
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表4-3 -createVolumeコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
作成するボリュームの名前を指定します。 |
|
ボリュームを作成するディスク・グループの名前を指定します。 |
|
ボリュームのサイズをGBで指定します。 |
|
ボリュームの冗長性設定を指定します。 |
例
Oracle ADVMボリュームを作成するには、次のようにします。
例4-1 asmca -silent -createVolumeの使用方法
$ asmca -silent -createVolume -volumeName volume1 -volumeDiskGroup mynewdg -volumeSizeGB 1 Volume volume1 created successfully.
Oracle ACFSファイルシステムの作成
-createACFS
は、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)を作成します。
このコマンドは、Oracle ACFSファイルシステムをマウントしません。Oracle ACFSファイルシステムのマウントの詳細は、Linux環境の場合は「mount」を参照してください。
構文
asmca -silent -createACFS { -acfsVolumeDevice volume_device } { -acfsMountPoint mount_path } [-acfsUserName acfs_username ] [-acfsUserGroup acfs_usergroup ] [-sysAsmPassword sysasm_password ]
表4-4に、-createACFS
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表4-4 -createACFSコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
Oracle ADVMボリューム・デバイスの名前を指定します。 |
|
マウント・ポイントとして使用する既存のパスを指定します。これは、Oracle RAC環境で必須です。 |
|
Oracle ACFSユーザー名を指定します。 |
|
Oracle ACFSグループ名を指定します。 |
例
Oracle ACFSファイルシステムを作成するには、次のようにします。
例4-2 asmca -silent -createACFSの使用方法
$ asmca -silent -createACFS -acfsVolumeDevice /dev/asm/volume1-457 -acfsMountPoint /acfsmounts/acfs1