1 Enterprise Manager Cloud Control 13cへのアップグレードの概要

Enterprise Manager Cloud Control 13cは、Enterprise Manager Cloud Controlの最新リリースです。この新しいリリースでは、以前のリリースと比較して、様々な新機能、機能強化、パフォーマンス向上およびバグ修正を提供しています。Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース2、またはEnterprise Manager Cloud Control 13cリリース3を使用している場合は、すべての新機能を活用できるように、Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードすることをお薦めします。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードを開始する前に、アップグレード・プロセス、アップグレード・ユーティリティおよびアップグレード・ユーティリティに関連するその他の重要な側面(サポートされている環境、サポートされているアップグレード・パス、ポートの再利用方法、自動的に引き継がれる以前のリリースの機能、アップグレード後に再実行する必要があるカスタマイズなど)を理解する必要があります。そうすることで、アップグレードの要件および影響を理解し、以前のリリースから円滑に移行するための準備ができます。

この章では、アップグレード・プロセスを示し、アップグレード・プロセスを開始する前に知っておく必要がある重要な側面について説明します。この章の具体的な内容は次のとおりです。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードでサポートされているOMS環境

次のOracle Management Service (OMS)環境のいずれかをアップグレードできます。

  • 単一OMS環境: 単一OMS環境は、複数の管理エージェントで編成される1つのOMSを使用した環境です。通常、小さいデプロイメントです。

  • 複数OMS環境: 複数OMS環境は、複数の管理エージェントで編成されるサーバー・ロード・バランサ(SLB)でモデレートされた2つ以上のOMSインスタンスを使用した環境です。通常、大きいデプロイメントです。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードでサポートされているアップグレード・パスおよびサポートされているアップグレード方式

表1-1に、各アップグレード・パスでサポートされるアップグレード・パスを示します。

表1-1 Enterprise Managerシステムのアップグレードでサポートされる直接アップグレード・パス

アップグレード元 アップグレード先 サポートされているアップグレード方式

13c リリース3

13cリリース4

1システム・アップグレード

13c リリース2

13cリリース4

1システム・アップグレード

表1-2 Enterprise Managerシステムをアップグレードするためにサポートされているアップグレード方式

アップグレード元 アップグレード先 サポートされているアップグレード方式

13c リリース1

13cリリース1がある場合、13cリリース4に直接アップグレードすることはできません。まず13cリリース2または13cリリース3にアップグレードしてから、13cリリース4にアップグレードする必要があります。

1システム・アップグレード

12c リリース5 (12.1.0.5)

12cリリース5 (12.1.0.5)がある場合、13cリリース4に直接アップグレードすることはできません。まず13cリリース2または13cリリース3にアップグレードしてから、13cリリース4にアップグレードする必要があります。

1システム・アップグレード

12c リリース4 (12.1.0.4)

12cリリース4 (12.1.0.4)がある場合、13cリリース4に直接アップグレードすることはできません。まず13cリリース2にアップグレードしてから、13cリリース4にアップグレードする必要があります。

1システム・アップグレード

  • 12cリリース3プラグイン・アップグレード1 (12.1.0.3)

    (2013年10月にリリースされたプラグインが含まれる12cリリース3 (12.1.0.3)ソフトウェア)

  • 12c リリース3 (12.1.0.3)

12cリリース3 (12.1.0.3)がある場合、13cリリース4に直接アップグレードすることはできません。まず13cリリース2にアップグレードしてから、13cリリース4にアップグレードする必要があります。

1システム・アップグレード

  • 12cリリース2プラグイン・アップデート1 (12.1.0.2)

    (2013年2月にリリースされたプラグインが含まれる12cリリース2 (12.1.0.2)ソフトウェア)

  • 12c リリース2 (12.1.0.2) (基本リリース)

12cリリース2 (12.1.0.2)がある場合は、まず12cリリース5 (12.1.0.5)にアップグレードしてから、13cリリース2または13cリリース3にアップグレードし、それを13cリリース4にアップグレードする必要があります。

1システム・アップグレード

  • バンドル・パッチ1を適用済の12cリリース1 (12.1.0.1)

  • バンドル・パッチ1を含む(デフォルトで含まれる)12cリリース1 (12.1.0.1)

  • 12cリリース1 (12.1.0.1) (基本リリース)

12cリリース1 (12.1.0.1) [バンドル・パッチ1を適用済または未適用]がある場合、最初にこれを12cリリース3 (12.1.0.3)または12cリリース4 (12.1.0.4)にアップグレードし、それを12cリリース5 (12.1.0.5)または13cリリース1にアップグレードしてから、13cリリース2または13cリリース3にアップグレードする必要があります。その後、13cリリース4にアップグレードできます。

1システム・アップグレード

  • 11g リリース1 (11.1.0.1)

  • 10g リリース5 (10.2.0.5)

まず、異なるホストでの2システム・アップグレードまたは1システム・アップグレードの方法を使用して12cリリース5 (12.1.0.5)にアップグレードしてから、13cリリース3にアップグレードし、それを13cリリース4にアップグレードします。

 

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードでサポートされているプラットフォーム

サポートされているプラットフォームのリストを表示するには、My Oracle Supportで入手できるEnterprise Manager動作保証マトリックスにアクセスします。手順については、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』Enterprise Manager動作保証マトリックスへのアクセスを参照してください。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードで提示されるアップグレード範囲

Enterprise Manager Cloud Control 13cへのアップグレードに関する情報をいくつか次に示します。

  • 13cリリース3 (13.3.0.0)または13cリリース2 (13.2.0.0)のみ、13cリリース4 (13.4.0.0)にアップグレードできます。

  • 既存のデータベースが13cリリース4に対して動作保証されているデータベースである場合のみ、アップグレードできます。既存のデータベースが13cリリース4でサポートされているリリースではない場合は、サポートされているリリースにアップグレードしてから、OMSと管理リポジトリのアップグレードを開始してください。動作保証されたデータベースのリストは、My Oracle Supportで入手できるEnterprise Manager動作保証マトリックスで確認できます。Enterprise Managerの動作保証マトリックスにアクセスするには、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』Enterprise Manager動作保証マトリックスへのアクセスに関する項を参照してください。

    たとえば、13cリリース2 (13.2.0.0)からアップグレードする場合、データベースのリリースが古く、13cリリース4でサポートされていない可能性があります。この場合は、まずデータベースを13cリリース4でサポートされている最低限のデータベース・リリースにアップグレードしてから、Enterprise Managerシステムを13cリリース4にアップグレードします。

  • アップグレード操作は常に、OMSおよび管理エージェントの新しいOracleホームが表示されるアウトオブプレース・アップグレードです。古いホームと新しいホームを定期的にバックアップすることをお薦めします。

  • これらのアップグレード方式では、管理リポジトリが構成される既存のデータベースはアップグレードされません。

    このようなデータベースをアップグレードするには、データベース・アップグレード・ツールを使用します。アップグレード・ツールの詳細は、次の場所にあるOracle Databaseドキュメント・ライブラリの『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

    http://docs.oracle.com/en/database/

  • 表1-3に、13cリリースおよび12cリリースでのOMSと管理エージェント間の互換性について示します。OMSは、この表に示されている管理エージェントのリリースとのみ通信できます。

    表1-3 13cリリースおよび12cリリースでのOMSと管理エージェント間の互換性

    NA Oracle Management Agent 12cリリース5 (12.1.0.5) Oracle Management Agent 13cリリース1 Oracle Management Agent 13cリリース2 Oracle Management Agent 13cリリース3 Oracle Management Agent 13cリリース4

    Oracle Management Service 13cリリース4

    いいえ

    いいえ

    はい

    はい

    はい

    旧リリースの管理エージェントがある場合は、OMSを13cリリース4にアップグレードする前に、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールにあるエージェント・アップグレード・コンソールを使用して管理エージェントを13cリリース2または13cリリース3に必ずアップグレードしてください。

  • 管理エージェントは、どのプラットフォーム上にあっても、そのプラットフォームに対応したOMS 13cソフトウェアを入手できるかぎり、アップグレード可能です。

  • Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードにより、Java Development Kit (JDK) Javaバージョン1.8.0_231およびOracle WebLogic Server 12cリリース2 (12.2.1.3.0)がデフォルトでインストールされます。事前にインストールされたJDKまたはOracle WebLogic Serverは、13cリリース1以降ではサポートされません

  • Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードによってインストールされるOracle WebLogic Server 12cリリース2 (12.2.1.3.0)が必ずEnterprise Manager Cloud Control専用となるようにする必要があります。ミドルウェア・ホームにその他のOracle Fusion Middleware製品をインストールしてはいけません。

    ORACLE_COMMONプロパティはEnterprise Manager Cloud ControlとOracle Fusion Middleware製品の両方で使用されるため、これらを同じミドルウェア・ホームに共存させることはできません。

  • ファイアウォールでSQL ALGを必ず無効にしてください。そうしないと、Enterprise Managerのアップグレード・プロセスが終了したり、同じ操作で長時間ハングすることがあります。

  • 最大メモリー使用量の制限に対してイベントが設定されている場合は、それを無効にしてからアップグレードする必要があります。

    たとえば、alter system set event='10261 trace name context forever, level 3145728','10262 trace name context forever, level 3145728' scope=spfile;のようにします

  • 外部カスタム・オブジェクトがないことを確認する必要があります。たとえば、EMリポジトリ・オブジェクトに依存しているビューまたはMVなどです。

  • 現在、AOMのアップグレードはサポートされていません。新しいバージョンのAOMをインストールする前に以前のバージョンがアンインストールされていることを確認する必要があります。アンインストール前にバックアップするファイルおよびバックアップ手順の詳細は、Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイドAlways-On Monitoringのアンインストールを参照してください。

  • JVM Diagnostics as a Service: Enterprise Manager Cloud Controlリリース13cリリース4以降では、JVMD as a Serviceはサポートされなくなりました。

    Enterprise Manager Cloud Controlの新規インストールでは、JVMD as a serviceはサポートされません。

    以前のリリースからEnterprise Managerリリース13cリリース4にアップグレードする場合は、最新のエージェント・バージョン(13.4以上)のJVMDエージェントを再インストールする必要があります。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードの一環としてアップグレードまたはインストールされるコンポーネント

13cリリース4へのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードであるため、Enterprise Manager Cloud Control 13cインストール・ウィザードを起動すると、次のことが実行されます。

  • Oracle WebLogic Server 12cリリース2 (12.2.1.3.0)をインストールします。

  • Java Development Kit (JDK) 1.8 (Javaバージョン1.8.0_231)をインストールします。

  • Oracle Management Service 13cリリース4をインストールします。

  • Oracle JRF 12cリリース2 (12.2.1.3.0)をインストールします。

  • Oracle Web Tier 12cリリース2 (12.2.1.3.0)をインストールします。

  • Oracle BI Publisher 12cリリース2 (12.2.1.3.0)をインストールします。

  • プラグインをアップグレードするか、すでにデプロイされているプラグインを引き継ぐか、またはプラグインをデプロイします。

    • Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4ソフトウェアに新しいバージョンがある場合は、デプロイされているプラグインをアップグレードします。

      13cリリース1以降、Oracle Fusion Middlewareプラグインのデプロイメントまたはアップグレードの一環として、デフォルトでOMSにJava仮想マシン診断(JVMD)エンジンが1つインストールされるようになりました。デプロイする追加OMSごとに、そのOMSとともにデフォルトで1つのJVMDエンジンが提供されます。

      JVMDを使用すると、管理者は本番環境でJavaアプリケーションのパフォーマンスの問題を診断できます。問題を再現する必要性がなくなることにより、こうした問題解決に必要な時間が短縮されるため、アプリケーションの可用性とパフォーマンスが向上されます。

      JVMDエンジンはデフォルトではOMSホストにインストールされますが、JVMDエージェントはターゲットのJVMに手動でデプロイする必要があります。手順は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』JVM診断エージェントのインストールに関する項を参照してください。

      以前のリリースのEnterprise Manager Cloud ControlにJVMDエンジンが含まれていた場合、それらはすべて自動的に使用停止になります。ただし、古いJVMDエンジンは使用停止になったため、アップグレード後、以前のJVMDエージェントによってモニターされていたターゲットはモニターされません。それらのターゲットのモニタリングを続けるには、ターゲットのJVMにそれらのJVMDエージェントを再デプロイし、新たにインストールされたJVMDエンジンと通信できるようにする必要があります。

    • 次の場合は、デプロイされているプラグインをアップグレードせずに移行または引き継ぎます。

      • Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4ソフトウェアに新しいバージョンがない場合。

      • デプロイされているプラグインがすでにEnterprise Manager Cloud Control 13cリリース4ソフトウェアのプラグインのバージョン以上である場合。

    • アップグレード対象のプラグインに新しい依存関係が存在する場合またはリリースで導入された新しいデフォルト・プラグインがある場合は、新しいプラグインをデプロイします。

    • 選択した追加のプラグインをデプロイします。

  • GCDomainと呼ばれるOracle WebLogicドメインを作成します。

  • nodemanagerと呼ばれるノード・マネージャのユーザー・アカウントを作成します。

  • Oracle Management Service 13cに関連するすべての構成の詳細を格納する、Oracle Management Serviceインスタンス・ベース・ディレクトリ(gc_inst)を構成します。

  • 既存の認証されたOracleデータベースのOracle Management Repositoryをアップグレードします。

ノート:

中央エージェント(OMSとともにインストールされる管理エージェント)は、デフォルトではアップグレードされません。OMSをアップグレードした後にEnterprise Manager Cloud Controlコンソールで使用可能なエージェント・アップグレード・コンソールを使用してアップグレードする必要があります。

アップグレード後のEnterprise Manager Cloud Control 13cで使用されるポート

OMSまたは管理エージェントをアップグレードすると、旧リリースの管理エージェントで使用されていたポートは、アップグレード後の管理エージェントに引き継がれます。そのため、ファイアウォール設定には何も影響しません。

OMSをアップグレードすると、旧リリースのコア・コンポーネントすべてで使用されていたポートは引き継がれます。

ノート:

コア・コンポーネント、ポートが選択される範囲、および割り当てられる空ポートの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイド』「基本の理解」の章を参照してください。

ファイアウォールをOMS用に構成した場合に、ファイアウォールを通して利用可能にする必要のあるURLの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイド』Enterprise Managerのファイアウォールの構成に関する項を参照してください。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードと並行したOracle BI Publisherのアップグレード

13c リリース1以降、Oracle BI Publisherは、OMSのアップグレード中に旧リリースから最新のリリースに自動的にアップグレードされます。他のステップは必要ありません。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードと並行したプラグインのアップグレード

ここでは、以下の項目について説明します。

13cリリース4へのOracle Management Agentのアップグレードと並行したプラグインのアップグレード

エージェント・アップグレード・コンソールを使用してOracle Management Agentを13cリリース4にアップグレードすると同時に、旧リリースのプラグインはすべてデフォルトでアップグレードされます。手動による操作は必要ありません。

13cリリース4へのOracle Management Serviceのアップグレードと並行したプラグインのアップグレード

Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードを使用してOracle Management Serviceを13cリリース4にアップグレードすると同時に、プラグインは次の状況に基づいて自動的にアップグレード、移行またはデプロイされます。

  • 新しいバージョンが存在する場合、プラグインはアップグレードされます。

  • 新しいバージョンが存在しない場合、プラグインは移行されます。

  • アップグレード対象のプラグインに新しい依存関係が存在する場合またはリリースで導入された新しいデフォルト・プラグインがある場合、プラグインがデプロイされます。

  • Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードの「プラグインの選択」画面で選択する追加のプラグイン。

「プラグインの選択」画面にリストされていないプラグインをインストールする場合は、次のステップに従います。

  1. 必要なプラグインを手動でダウンロードします。
  2. 次のオプションを指定してインストーラを起動し、追加のプラグインがダウンロードされている場所を渡します。

    UNIXプラットフォームの場合:

    ./em13400_<platform>.bin PLUGIN_LOCATION=<absolute_path_to_plugin_software_location>

    Microsoft Windowsプラットフォームの場合:

    setup_em13400_win64.exe PLUGIN_LOCATION=<absolute_path_to_plugin_software_location>

    ここには、ソフトウェア・キット(DVD、ダウンロードしたソフトウェア)で使用可能なプラグインや、このカスタムの場所で使用可能なプラグインの一覧が表示されます。インストールするものを選択できます。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードと並行したリリース更新の適用

13 cリリース4へのアップグレード中に、アップグレード・プロセスの一環としてリリース更新(バンドル・パッチ)を適用できます。

ソフトウェアのみ方式を使用したプラグインを伴った13cリリース4へのOMSおよび管理リポジトリのアップグレード(グラフィック・モード)」の手順に従ってください。この手順には、「ビットのみモードでのリリース更新の適用」のOMSビットのみモードを使用してリリース更新を適用するステップが含まれています。

ノート:

13cリリース4へのアップグレード中にリリース更新を適用すると、アップグレード・プロセスの完了後に適用する場合に比べて、停止時間が短縮されます。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードする前にスタンバイ・データベース(管理リポジトリ)でOracle Data Guardを構成する場合の強制ロギングの有効化

Oracle Management Repositoryを格納しているスタンバイ・データベースでOracle Data Guardを構成する場合、次のコマンドを使用してデータベースでの強制ロギングを有効にします。

ALTER DATABASE force logging;

データベースへの強制ロギングを有効化しない場合、Enterprise Managerシステムをアップグレードする際にNOLOGGINGコマンドを使用すると、スタンバイ・データベースを破損する可能性があります。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードした後のOracle Software Libraryの状態

Oracle Software Libraryは、Enterprise Managerがアップグレードされるとすぐに機能します。使用できるようにするために、手作業で操作する必要はありません。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードした後のコネクタの状態

Enterprise Managerシステム全体のアップグレード後、従来のEnterprise Managerシステムで構成されたコネクタはEnterprise Manager Cloud Controlでも引き続き動作します。ただし、構成されていなかったものは機能しません。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードしたときのカスタム証明書のステータス

13cリリース4にアップグレードする場合、OMSのアップグレード後にアップグレードおよび再構成する前に、OMSのアップロードおよびコンソール・ポート用に構成されたすべてのカスタム証明書をまずWebLogicサーバーから削除する必要があります。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードしたときのWebgateの状態

Oracle Enterprise Manager 13cリリース2またはOracle Enterprise Manager 13cリリース3にWebgateが構成されている場合、Oracle Enterprise Manager 13cリリース4にアップグレードしてもWebgateは自動的に構成されません。アップグレード処理の完了後に再構成する手順については、Oracle HTTP Server Webgateの再構成を参照してください。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードした後のデータベースのXML DB機能

管理リポジトリの構成を予定しているOracle Database上のXML DBなどの機能を有効または無効にしても、Enterprise Managerには影響されません。そのため、Enterprise Managerはそれらの機能に依存していないため、データベースの機能はすべて有効または無効にできます。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードした後のOMSおよび管理エージェントの手動による再起動

OMSと管理リポジトリを格納するOracle Databaseとを同じホストにインストールした場合、ホストを再起動するときに、それとともにインストールされたOMSおよび管理エージェントは自動的に起動しません。これらは手動で起動する必要があります。

OMSを手動で起動するには、OMSホストのOracleホームから次のコマンドを実行します。

ノート:

OMSを起動する前に、ホスト上でデータベースおよびリスナーが起動されていることを確認してください。

$<ORACLE_HOME>/bin/emctl start oms

次に例を示します。

/u01/software/em13c/oraclehome/bin/emctl start oms

管理エージェントを手動で起動するには、エージェント・ホームから次のコマンドを実行します。

$<AGENT_HOME>/bin/emctl start agent

次に例を示します。

/u01/software/em13c/agentbasedir/agent_13.4.0.0.0/bin/emctl start agent

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4へのアップグレードに使用するウィザードまたはコンソール

この項では、Enterprise Manager Cloud Control 13cへのアップグレードに使用するウィザードまたはコンソールについて説明します。特に、次の内容について説明します。

Enterprise Manager Cloud Control 13cインストール・ウィザードの概要

Enterprise Manager Cloud Control 13cインストール・ウィザードは、OMSおよび管理リポジトリのアップグレードを可能にする主要なユーザー・インタフェースです。アップグレードは旧リリースのOMSが存在する同じホストで発生するため、ある程度の停止時間が含まれます。


インストール

ノート:

インストーラでは、既存のOracle Management Agent (管理エージェント)をアップグレードしません。OMSをアップグレードした後、エージェント・アップグレード・コンソールを使用して管理エージェントを個別にアップグレードする必要があります。エージェント・アップグレード・コンソールは、OMSをアップグレードした後にEnterprise Manager Cloud Controlコンソールに表示されるGUIコンソールです。詳細は、Enterprise Manager Cloud Control 13c リリース4のエージェント・アップグレード・コンソールの概要を参照してください。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4のエージェント・アップグレード・コンソールの概要

エージェント・アップグレード・コンソールは、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールに組み込まれているグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。このコンソールは、既存の中央エージェントを一括アップグレードする単一ウィンドウ・ソリューションとして機能します。中央エージェントとは、各OMSとともにデフォルトでインストールされる管理エージェントです。

ノート:

エージェント・アップグレード・コンソールを使用すると、スタンドアロン管理エージェントであってもアップグレードできますが、スタンドアロン管理エージェントをアップグレードするにはエージェント・ゴールド・イメージをかわりに使用することをお薦めします。ゴールド・エージェント・イメージ・コンソールを使用すると、ゴールド・イメージの作成および管理と、既存のスタンドアロン管理エージェントの更新が可能です。Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4のエージェント・アップグレード・コンソールの概要を参照してください。

エージェント・アップグレード・コンソールにアクセスするには、「設定」メニューから「Cloud Controlの管理」をクリックし、「エージェントのアップグレード」を選択します。


アップグレード

ノート:

エージェント・アップグレード・コンソールを使用して中央管理エージェントをアップグレードするには、複数OMS環境でOMSインスタンスをすべてアップグレードする必要があります。

エージェント・アップグレード・コンソールは、「エージェントのアップグレード・タスク」タブと「エージェントのアップグレード後のタスク」タブで構成されます。

  • 「エージェントのアップグレード・タスク」タブは、中央エージェントのアップグレード、アップグレードできない中央エージェントの表示および中央エージェントのアップグレード・ジョブの概要の表示に使用できます。

  • 「エージェントのアップグレード後のタスク」タブは、アップグレードした中央エージェントの古いディレクトリのクリーンアップおよび中央エージェントのクリーンアップ・ジョブの概要の表示に使用できます。エージェント・アップグレード・コンソールにアクセスするには、「設定」メニューから、「Cloud Controlの管理」を選択し、次に「エージェントのアップグレード」を選択します。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4のゴールド・エージェント・イメージ・コンソールの概要

ゴールド・エージェント・イメージ・コンソールは、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールに組み込まれているグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。このコンソールは、既存のスタンドアロン管理エージェントを一括アップグレードする単一ウィンドウ・ソリューションとして機能します。スタンドアロン管理エージェントとは、管理対象外ホストにインストールされた管理エージェントで、管理対象外ホストを管理対象ホストに変換したり、そこで稼働しているターゲットをモニターします。

ゴールド・エージェント・イメージ・コンソールにアクセスするには、「設定」メニューで「Cloud Controlの管理」「ゴールド・エージェント・イメージ」の順に選択します。


ゴールド・エージェント・イメージ・コンソール

ゴールド・エージェント・イメージ・コンソールを使用して、次のタスクを実行できます。

  • 新しい管理エージェントのプロビジョニング。

  • 既存の管理エージェントの更新。

    • 管理エージェントのアップグレード(管理エージェント・ソフトウェアのアップグレード)。

    • 管理エージェントへの新しいプラグインのデプロイ。

    • 管理エージェントにデプロイされている既存のプラグインのアップグレード。

    • 管理エージェントへのパッチのデプロイ。

    • 管理エージェントにデプロイされているプラグインへのパッチのデプロイ。

  • エージェント・ゴールド・イメージのコンプライアンス・レベルをチェックして、エージェント・ゴールド・イメージにすでに関連付けられている環境内の管理エージェントの割合と、それ以外の割合の特定。

  • エージェント・ゴールド・イメージのアクティビティの追跡管理(発行されたゴールド・イメージ・ジョブ、ステータス、アクティビティの開始時間および終了時間など)。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードした後のOPSSスキーマに対する変更

Enterprise Managerシステムがアップグレードされると、SYSMANUPGR_OPSSのかわりにSYSMAN122130_OPSSがOracle Platform Security Service (OPSS)スキーマに使用されます。

Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードする前に、OMCデータ・コレクタおよびCloudエージェントを手動で停止する

Oracle Management Cloud (OMC)エージェントを使用している場合は、Enterprise Manager Cloud Control 13cへのアップグレード処理を開始する前に、リポジトリ・データベースに接続しているデータ・コレクタおよびCloudエージェントを停止する必要があります。

OMCデータ・コレクタはOracle Enterprise Managerスキーマからデータを取得する統合製品であるため、OMCを使用している場合はEnterprise Manager 13cにアップグレードする前にリポジトリ・データベースに構成されているデータ・コレクタおよびCloudエージェントを停止する必要があります。停止しない場合、Enterprise Manager Cloud Control 13cへのアップグレード中にロックの問題が発生することがあります。