集約ストレージ・キューブの再構築

Essbase ASOキューブの再構築は、階層の変更など、一部のアウトラインの変更によって強制される場合があります。階層のタイプについて学習します。

階層は、最上位のメンバーとその子孫です。

  • 動的階層には、保管レベルが1つのみ含まれます。ASOsamp.Basicでは、Accountsディメンションは動的階層です。

  • 属性ディメンションは1つの階層です。世代1のメンバーは、階層の最上位メンバーです。

  • 標準ディメンションに複合階層有効のタグが付いていない場合は、1つの階層です。世代1のメンバーは、階層の最上位メンバーです。

  • 標準ディメンションに複数階層使用可能とタグ付けされている場合、その標準ディメンションには複数の階層が含まれ、世代2のメンバーが階層の最上位メンバーになります。たとえば、ASOsamp.BasicのProductsディメンションには2つの階層が含まれます。最上位メンバーは世代2のメンバーであるAll MerchandiseとHigh End Merchandiseです。


    このイメージは、イメージの前のテキストで説明されている、Productsディメンションの階層を示しています。

影響を及ぼすアウトライン変更は、次のとおりです。

  • 再構築の前にデータをクリアする必要があるかどうか

  • 再構築に必要な時間およびストレージ

集約ストレージ・キューブの再構築のレベル

集約ストレージ・アウトラインを編集する場合は、再構築コストを予測します。Essbase ASOキューブの完全な再構築は、特定のアウトラインの変更後に開始されます。その他の変更では、簡易再構築のみが行われます。全体の再構築では、データまたはビューのクリアが必要になり、簡易再構築よりも影響が大きくなる可能性があります。

再構築に必要な時間とストレージを最小限に抑えるために、アウトラインが頻繁に変更される場合は、アウトラインとアウトライン変更のタイプを分析します。

ディメンションの追加、削除および移動には、再構築コストが最も高くなります。入力データの再ロード、集約ビューの選択、集約の実行の必要があります。

次の表に、集約ストレージ・キューブの再構築のレベルを、(時間、ストレージおよびデータに関して)最も費用がかかるものから最もかからないものの順にリストします:

表40-1 集約ストレージの再構築レベル

ユーザーアウトラインの変更 Essbase再構築レベル パフォーマンスの影響

標準ディメンションの追加、削除または移動

データと集約ビューのクリアおよびアウトライン全体の再構築の実行

非常に大きい

ユーザーは入力(レベル0)データを再ロードし、集約ビューを選択して、集約を再実行する必要があります。

  • 階層を追加、削除または移動します。

  • 階層内に保管されるレベルの数を変更します。

    参照:

  • 保管階層の最上位のメンバーを、ラベルのみから保管済、または保管済からラベルのみに変更します。

  • 動的階層を保管階層に、または保管階層を動的階層に変更します。

  • プライマリ階層または代替階層に一致するように、または一致しなくなるように、プライマリ階層または代替階層を変更します。

    プライマリ階層のすべてのレベル0メンバーは、すべての代替階層内で直接または間接的に表される必要があります(たとえば、子の合計である親はその子を表すことがあります)。プライマリ階層の最上位レベルは、各代替階層の最上位レベルと同等である必要があります。例: 代替階層での変更を参照してください。

集約ビューのクリアおよびアウトライン全体の再構築の実行

非常に大きい

ストレージ要件は、データベース・ファイル(.datファイル)の最大3倍のサイズです。

ユーザーは、集約ビューを選択し、集約を再実行する必要があります。

他のカテゴリに含まれていない変更の実行(メンバーの削除や移動、兄弟の中で最後ではないメンバーの追加など)

アウトライン全体の再構築の実行

大きい

ストレージ要件は、データベース・ファイル(.datファイル)の最大3倍のサイズです。

代替階層または属性ディメンションに対する簡易再構築の変更の実行(下記参照)

属性ディメンションや代替階層をベースとするすべての集約ビューの再構築

小さい

ストレージ要件は、影響を受けるビューの最大3倍のサイズです。このような集約ビューは、通常、使用状況に基づいてビューを選択するために問合せトラッキングを使用した場合にのみ存在します。「使用状況に基づいたビューの選択」を参照してください。

保管されたレベル0メンバーがない(すべてのレベル0メンバーが共有されていたり、式を持っているなど)非属性ディメンションで、階層内のレベル数を変更せず、2の累乗の境界を交差しない子または子分岐を追加します。

アウトラインの簡易再構築の実行

ノート:

階層内のレベル数を変更すると、Essbaseですべての集約ビューがクリアされ、アウトライン全体の再構築が実行されます。パフォーマンスの影響は非常に大きくなります。

階層内のレベル数が変更されず、子または子分岐を追加すると2の累乗の境界を交差する場合、Essbaseでアウトライン全体の再構築が実行されます。パフォーマンスの影響は大きくなります。

非常に小さい

保管されたレベル0メンバーがある非属性ディメンション:

  • 2の累乗(1、2、4、8、16など)の境界を交差しない親の最後の子として子を追加します。たとえば、親メンバーに3つの子がある場合、その親の最後の子として4番目の子を追加できます。

  • 2の累乗の境界を交差せず、階層内のレベル数を変更しない、既存の親の最後の子分岐として子分岐を追加します。

例:

  • メンバー名の変更

  • 式の変更

  • 別名の変更

  • 動的階層の集計演算子の変更(+から-に変更するなど)

アウトラインの簡易再構築を実行します。

非常に小さい

保管されたレベル0メンバーがある非属性ディメンション:

  • 2の累乗の境界を交差する子を親の最後の子として追加します。たとえば、親メンバーに3つの子があり、4番目と5番目の子を追加する場合、5番目の子は2の累乗の境界を交差します。例: 子メンバーの追加を参照してください。

  • 2の累乗の境界を交差する既存の親の最後の子分岐として子分岐を追加するか、階層内のレベル数を変更してアウトライン全体の再構築をトリガーするシナリオについては、例: 子分岐の追加を参照してください。

集約ビューのクリアおよびアウトライン全体の再構築の実行

非常に大きい

アウトライン変更の例

例では、様々な種類のEssbase集約ストレージ(ASO)アウトラインの変更(格納されたレベルの数を変更または変更しないメンバーの追加、代替階層の変更、子メンバーの追加、子ブランチの追加)の再構築コストを示します。

この項では、「集約ストレージ・キューブの再構築のレベル」で説明したアウトライン変更の例を示します。

例: 階層内に保管されるレベルの数を変更しない

ASOsamp.Basicで、Measuresディメンションは勘定科目としてタグ付けされています。そのため、動的階層として、Measuresには保管レベルが1つのみ含まれています。


このイメージは、保管レベル(Ratios)が1つあるMeasuresディメンションのアウトラインを示しています。

子メンバーのAllをRatiosに追加しても、Measuresディメンションに保管されるレベル数は変更されません。アウトラインを保存すると、簡易再構築がトリガーされます。


このイメージは、イメージの前のテキストで説明されている、Ratiosに子としてAllを追加する影響を示しています。

ASOsamp.Basicでは、Income Levelは保管階層ディメンションです。


このイメージは、2つのレベルがあるIncome Level保管階層ディメンションのアウトラインを示しています。

子メンバーを追加しても、階層内のレベル数(2)は変更されません。7番目または8番目の子メンバーを最後に追加できますが、9番目の子メンバーを追加すると2の累乗の境界を交差するため(「例: 子メンバーの追加」を参照)、全体の再構築が必要になります。


このイメージは、Income Levelに追加された子メンバーを示しています。子メンバーを追加する影響については、イメージの前のテキストで説明しています。

例: 階層内に保管されるレベルの数を変更する

ASOsamp.BasicのProductディメンションで、名前をPhoto PrintersからPrintersに変更して子メンバーを追加すると、All Merchandise階層のレベル数が4つから5つに増加します。アウトラインを保存すると、Essbaseですべての集約ビューがクリアされ、全体の再構築が実行されます。


このイメージは、All Merchandise階層のアウトラインを示しています。子メンバーを追加する影響(保管レベル数が増える)については、イメージの前のテキストで説明しています。

例: 代替階層での変更

Drinks by Categoryの下の共有メンバーであるOrangeを削除して、Drinksの下のプロトタイプ・メンバーを削除しない場合、代替階層のDrinks by CategoryはDrinks階層のレプリカではなくなります。アウトラインを保存すると、Essbaseですべての集約ビューがクリアされ、全体の再構築が実行されます。

共有およびプロトタイプ・メンバーのOrangeを削除すると、代替階層のDrinks by CategoryはDrinks階層のレプリカのままになります。アウトラインを保存すると、Essbaseで全体の再構築が実行されますが、集約ビューはクリアされません。


このイメージは、Drinks階層とDrinks by Category代替階層のアウトラインを示しています。階層変更の影響については、イメージの前のテキストで説明しています。

例: 子メンバーの追加

ASOsamp.Basicで、All Merchandise階層のSystemsの下に子メンバーを追加すると、Systemsの下の子の数が3つに増加し、2の累乗の境界を交差します。アウトラインを保存すると、Essbaseで全体の再構築が実行されます。


このイメージは、All Merchandise階層のアウトラインを示しています。子メンバーを追加する影響については、イメージの前のテキストで説明しています。

ただし、Computers and Peripheralsの下に子メンバーを追加すると、Computers and Peripheralsの下の子の数が3つから4つに増加します。4番目の子は既存メンバーの後に追加する必要がありますが、この子を追加しても2または4の境界を交差しません。この子は、既存メンバーの後に追加する必要があります。アウトラインを保存すると、Essbaseで簡易再構築が実行されます。


このイメージは、All Merchandise階層にあるComputers and Peripheralsのアウトラインを示しています。子メンバーを追加する影響については、イメージの前のテキストで説明しています。

例: 子分岐の追加

ASOsamp.Basicで、All Merchandise階層のComputers and Peripheralsの下に子分岐を追加すると、子の数が4つに増加します。この子は既存メンバーの後に追加する必要がありますが、追加しても2の境界を交差しません。Other Peripheralsという新規メンバーには、2つの子があります。Systems (Other Peripheralsの兄弟)には、2つの子があります。子分岐を追加しても、同じレベルの兄弟メンバーの子については2の累乗の境界内のままです。アウトラインを保存すると、Essbaseで簡易再構築が実行されます。


このイメージは、子分岐が追加されたComputers and Peripheralsのアウトラインを示しています。子分岐およびメンバーを追加する影響については、イメージの前のテキストで説明しています。

3つの子メンバーを持つ子分岐を追加すると、2の累乗の境界を交差し、Essbaseで全体の再構築が必要になる場合があります。ただし、Systemsにすでに3つのメンバーがある場合、2の累乗の境界は4になり、全体の再構築をトリガーせずに最大4つの子をOther Peripheralsに追加できます。