期首、期末および平均の値の計算
勘定科目タグが付けられたディメンションで、タイム・バランス・タグと差異レポート・タグを使用すると、勘定科目データでのタイム・バランス計算の実行方法をEssbaseに指定できます。
Essbaseでは、通常、親の子に対する式を集計または計算することによって、時間タグが付けられたディメンションを計算します。ただし、タイム・バランス・タグや差異レポート・タグなどの勘定科目タグを使用して、別の種類の値を集計できます。たとえば、勘定科目ディメンションの親メンバーに期首のタイム・バランス・プロパティ・タグを設定した場合、Essbaseでは、メンバーの最初の子の値を集計することによってメンバーが計算されます。たとえば、Sample.BasicデータベースのMeasuresディメンション(勘定科目ディメンション)のOpening Inventoryメンバーには、期首のタイム・バランス・プロパティが設定されています。このメンバーは、期間の初めの在庫を表します。期間が第1四半期の場合、Opening Inventoryは、1月(Qtr1分岐の最初のメンバー)の初めに使用可能な在庫を表します。
勘定科目タグを使用するには、勘定科目タグが付けられたディメンションと時間タグが付けられたディメンションが必要です。勘定科目タグが付けられたディメンションのメンバーには、期首、期末および平均タグ(タイム・バランス・プロパティ)と費用タグ(差異レポート・プロパティ)のみを使用します。時間タグと勘定科目タグが付けられるディメンションは、密ディメンションでも疎ディメンションでもかまいません。
タイム・バランス勘定科目メンバーのセルでは、集計演算子の^が設定された時間ディメンション以外のディメンションのメンバーは、平均の計算から除外されます。ただし、そのメンバーは、期首と期末の計算に含まれます。
式によってタイム・バランス・プロパティは上書きされます。式を持つメンバーがタイム・バランス・プロパティを使用する場合、タイム・バランス・プロパティは無視され、式が計算に使用されます。
ノート:
高機能計算を使用している場合、データベース・アウトラインの勘定科目タグを変更しても、Essbaseによってデータベースは再構築されません。必要なデータ値を再計算するように、Essbaseで明示的に指定する必要があります。「式および勘定科目プロパティの変更: ブロック・ステータスへの影響」を参照してください。
勘定科目ディメンションおよび時間ディメンションの指定
ディメンションに勘定科目タグを付けると、勘定科目タグが付けられたメンバーがこのディメンションに存在することがEssbaseで認識されます。ディメンションに時間タグを付けると、このディメンションが勘定科目タグの期間の基準となるディメンションであることがEssbaseで認識されます。
図に示すように、Measuresディメンションには勘定科目タグが付けられ、Yearディメンションには時間タグが付けられています。
図23-1 勘定科目タグと時間タグを表示したSample.Basicアウトライン

時間ディメンションの作成と勘定科目ディメンションの作成を参照してください。
各期間の期末値のレポート
勘定科目ディメンション・メンバーの場合、各期間の期末値を次のレベルに上げるようにEssbaseを設定できます。各期間の期末値をレポートするには、メンバーのタイム・バランス・プロパティを期末に設定します。(タグはデータベース・アウトラインではTB Lastと表示されます)。
図に示すように、勘定科目メンバーEnding InventoryにはTB期末のタグが付けられています。Ending Inventoryは、各四半期の最終月の値を集計し、その月の親にその値を使用します。たとえば、Qtr1の値はMarの値と同じです。
図23-2 期末タグを表示するSample.Basicアウトライン

勘定科目メンバーに期末タグを付ける方法は、タイム・バランス・プロパティの設定を参照してください。
デフォルトでは、Essbaseは親の値を計算するときに#MISSING値またはゼロ(0)値をスキップしません。この値をスキップするように選択できます。#MISSING値をスキップする方法と理由は、#MISSING値およびゼロ値のスキップを参照してください。
各期間の期首値のレポート
勘定科目ディメンション・メンバーの場合、各期間の期首値を次のレベルに上げるようにEssbaseを設定できます。各期間の期首値をレポートするには、メンバーのタイム・バランス・プロパティを期首に設定します。(タグはデータベース・アウトラインではTB Firstと表示されます)。
図に示すように、勘定科目メンバーOpening InventoryにはTB期首のタグが付けられています。Opening Inventoryは、各四半期の最初の月の値を集計し、その月の親にその値を使用します。たとえば、Qtr1の値はJanの値と同じです。
図23-3 期首タグを表示するSample.Basicアウトライン

勘定科目メンバーに期首タグを付ける方法は、タイム・バランス・プロパティの設定を参照してください。
デフォルトでは、Essbaseは親の値を計算するときに#MISSING値またはゼロ(0)値をスキップしません。この値をスキップするように選択できます。#MISSING値およびゼロ値のスキップを参照してください。
各期間の平均値のレポート
勘定科目ディメンション・メンバーの場合、期間の値を平均して、その平均値を1つ上のレベルに集計するようにEssbaseを設定できます。たとえば、Jan、FebおよびMarの値を平均し、Qtr1の値としてその値を使用するようにEssbaseを設定できます。各期間の平均値をレポートするには、メンバーのタイム・バランス・プロパティを平均に設定します。
勘定科目メンバーに平均タグを付ける方法は、タイム・バランス・プロパティの設定を参照してください。
デフォルトでは、Essbaseで親の値が計算されるときに#MISSING値またはゼロ(0)値はスキップされません。そのため、平均を計算するときに、Essbaseでは子の値を集約して子の数で除算します。このとき、子に#MISSING値またはゼロ値があるかどうかは関係ありません。#MISSING値とゼロ値をスキップするようにEssbaseを設定できます。#MISSING値およびゼロ値のスキップを参照してください。
#MISSING値およびゼロ値のスキップ
タイム・バランス計算を実行するときに#MISSING値とゼロ(0)値を処理する方法をEssbaseで指定できます。#MISSING値は、Essbaseのマーカーの1つで、この場所にデータが存在しないこと、データに有効な値が含まれていないことまたはデータが入力されていないことを示します。
デフォルトでは、Essbaseで親の値が計算されるときに#MISSING値またはゼロ(0)値はスキップされません。
スキップ・プロパティを設定して、このデフォルトを上書きできます。スキップ・プロパティの設定を参照してください。
たとえば、勘定科目ディメンション・メンバーに期末タグおよび#Missingのスキップ・タグを付けた場合、Essbaseでは最後の欠落していない子が親に集計されます。次の例について考えます。
表23-1 #Missingのスキップの影響の例
Accounts -> Time | Jan | Feb | Mar | Qtr1 |
---|---|---|---|---|
勘定科目メンバー(期末、#Missingのスキップ) |
60 |
70 |
#MI |
70 |
勘定科目に平均タグおよび#Missingのスキップ・タグを付けると、勘定科目に平均タグおよびスキップしないタグを付けた場合とは異なる結果になります。平均タグおよびスキップしないタグを付けて実行される計算では、データがスキップされないため正しい結果を得ることができます。ただし、子を持つ親の親は、平均を合計することによって集計されるため、平均タグおよび#Missingのスキップ・タグが付いた勘定科目の計算では、動的計算タグまたは2パス・タグを使用しないかぎり正しい結果を得ることはできません。
期首、期末および平均タグの影響の検討
次の例は、勘定科目ディメンション・メンバーのタイム・バランス(TB)の期首、期末および平均タグに基づいてEssbaseで時間ディメンションを集計する方法を示しています。
表23-2 (TB)期首、期末および平均の影響の例
Accounts -> Time | Jan | Feb | Mar | Qtr1 | 集計 |
---|---|---|---|---|---|
勘定科目メンバー1 |
11 |
12 |
13 |
36 |
Jan + Feb + Marの値 |
勘定科目メンバー2 (TB First) |
20 |
25 |
21 |
20 |
Janの値 |
勘定科目メンバー3 (TB Last) |
25 |
21 |
30 |
30 |
Marの値 |
勘定科目メンバー4 (TB Average) |
20 |
30 |
28 |
26 |
Jan、Feb、Marの平均 |