ディメンション・タイプ
Essbaseディメンションを特定のデフォルト以外のタイプとしてタグ付けすると、このディメンションはそのタイプ用に設計された組込みの機能にアクセスできます。ディメンションの大部分は「なし」タイプであり、データの標準的な分類に適しています。ディメンションを勘定科目、時間または属性として設定することもできます。
デフォルトでは、標準(非属性)ディメンションは「なし」タイプとしてタグ付けされます。
勘定科目ディメンションは、分析する必要がある財務メジャーに最適です。ディメンションを勘定科目として定義すると、このディメンションのメンバーに追加の勘定科目関連機能を指定できます。勘定科目ディメンションは1つのみ指定できます。
時間ディメンションは、分析で表現する必要があるレポート期間を詳細に示す際に適しています。時間ディメンションの例は、1つ以上の標準カレンダ年または会計カレンダ年で、月またはそれより小さい単位に分割されています。時間ディメンションは1つのみ指定できます。
Essbaseは、データベース内の他のディメンションの前に時間と勘定科目のディメンションを計算します。
標準ディメンションのメンバーに、データ分析に含める品質または特性がある場合は、これらの特性を属性ディメンションに定義できます。たとえば、Productディメンションを標準ディメンションとし、関連属性ディメンションで様々な製品特性を詳細に記述できます。
時間ディメンション・タイプ
Essbaseディメンションにデータを収集および更新する頻度を記述するメンバーが含まれている場合は、このディメンションを時間としてタグ付けします。たとえば、Sample.Basicデータベースでは、Yearディメンションは時間ディメンションです。また、時間ディメンションによって、勘定科目ディメンション・メンバーで最初と最後のタイム・バランスなどの複数の機能が有効になります。
時間ディメンションに関する次のガイドラインに注意してください。
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アウトラインの1つのディメンションのみを時間としてタグ付けすることができます。
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時間ディメンションのすべてのメンバーが時間プロパティを継承します。
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時間としてタグ付けされていないディメンションに時間メンバーを追加できます。
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時間ディメンションのないアウトラインを作成できます。
Essbase Webインタフェースを使用してディメンションを時間としてタグ付けするには、編集するアウトラインを開き、最上位ディメンション・メンバーを選択して、その一般プロパティを編集します。「ディメンション・タイプ」を「時間」に変更します。詳細は、一般的なプロパティの設定を参照してください。
アプリケーション・ワークブックまたはキューブ・デザイナを使用してキューブを設計する場合は、Essbase.Cubeワークシートで「ディメンション・タイプ」を「時間」に設定します(Essbase.Cubeワークシートの理解を参照)。
REST APIを使用してアウトラインを変更する場合は、バッチ・アウトライン編集の実行のエンドポイントで説明されているように、追加または更新アクションの実行時にディメンションのcategoryプロパティをTIMEに更新します。
勘定科目ディメンション・タイプ
Essbaseディメンションに利益や在庫など、分析する財務メトリックが含まれている場合は、このディメンションを勘定科目としてタグ付けします。
勘定科目ディメンションに関する次のガイドラインに注意してください。
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アウトラインの1つのディメンションのみを勘定科目としてタグ付けすることができます。
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勘定科目ディメンションのすべてのメンバーが勘定科目プロパティを継承します。
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必要に応じて、勘定科目ディメンションのメンバーがアウトラインの2回目のパスで計算されるよう指定できます。「2パス計算プロパティ」を参照してください。
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勘定科目ディメンションのないアウトラインを作成できます。
Essbase Webインタフェースを使用してディメンションを勘定科目としてタグ付けするには、編集するアウトラインを開き、最上位ディメンション・メンバーを選択して、その一般プロパティを編集します。「ディメンション・タイプ」を「勘定科目」に変更します。詳細は、一般的なプロパティの設定を参照してください。
アプリケーション・ワークブックまたはキューブ・デザイナを使用してキューブを設計する場合は、Essbase.Cubeワークシートで「ディメンション・タイプ」を「勘定科目」に設定します(Essbase.Cubeワークシートの理解を参照)。
REST APIを使用してアウトラインを変更する場合は、バッチ・アウトライン編集の実行のエンドポイントで説明されているように、追加または更新アクションの実行時にディメンションのcategoryプロパティをACCOUNTに更新します。
次の項では、勘定科目ディメンションで使用可能な組込みの機能について説明します。
タイム・バランス・プロパティ
必要に応じて、Essbase勘定科目ディメンションのメンバーにタイム・バランス・プロパティを実装して、それらの勘定科目の計算方法を期間に基づいて変更できます。使用可能なタイム・バランス・プロパティは、「なし」、「期首」、「期末」および「平均」です。
勘定科目ディメンション・メンバーでタイム・バランス・プロパティが使用される場合、Essbaseでの時間ディメンションのそのメンバーの親の計算方法が影響を受けます。デフォルトでは、時間ディメンション内の親はその子の集計および式に基づいて計算されます。たとえば、Sample.Basicデータベースでは、Qtr1メンバーはその子(Jan、FebおよびMar)の合計です。ただし、タイム・バランス・プロパティを設定すると、親(たとえば、Qtr1)は異なる方法でロールアップされます。
Essbase Webインタフェースを使用してタイム・バランス・プロパティを設定するには、編集するアウトラインを開き、勘定科目ディメンション・メンバーを選択して、その一般プロパティを編集します。「タイム・バランス」プロパティとして「期首」、「期末」、「平均」または「なし」を選択できます。詳細は、一般的なプロパティの設定を参照してください。
アプリケーション・ワークブックまたはキューブ・デザイナを使用している場合は、勘定科目ディメンションのディメンション・ワークシートの適切なメンバーの横に、平均の場合はTIMEBALANCEプロパティをA、期首の場合はF、期末の場合はLに設定できます(ディメンション・ワークシートの理解を参照)。
REST APIを使用してアウトラインを編集する場合は、バッチ・アウトライン編集の実行のエンドポイントで説明されているように、メンバーの追加または更新アクションの実行時に、mbrInfoのtimeBalanceプロパティをFIRST、LAST、AVGまたはNONEに更新します。
例5-1 「なし」のタイム・バランスの例
「なし」はデフォルト値です。タイム・バランス・プロパティを「なし」に設定すると、Essbaseでは時間ディメンションが通常の方法でロールアップされます。つまり、親の値は、その子の式および集計のプロパティに基づきます。
例5-2 「期首」のタイム・バランスの例
親値が分岐の期首のメンバーの値(通常、期間の始め)を表すようにする場合は、タイム・バランスを「期首」に設定します。
たとえば、OpeningInventoryという名前のメンバーが期間の始めの在庫を表すとします。期間がQtr1である場合、OpeningInventoryは1月の始めの在庫を表します。つまり、Qtr1のOpeningInventoryはJanのOpeningInventoryと同じになります。たとえば、Janの始めに50ケースのColaがあった場合、Qtr1の始めにも50ケースのColaがありました。
次の集計の例に示すように、OpeningInventoryを最初としてタグ付けします。
OpeningInventory (TB First), Cola, East, Actual, Jan(+), 50
OpeningInventory (TB First), Cola, East, Actual, Feb(+), 60
OpeningInventory (TB First), Cola, East, Actual, Mar(+), 70
OpeningInventory (TB First), Cola, East, Actual, Qtr1(+), 50
例5-3 「期末」のタイム・バランスの例
親値が分岐の期末のメンバーの値(通常、期間の終わり)を表すようにする場合は、タイム・バランスを「期末」に設定します。
たとえば、EndingInventoryという名前のメンバーが期間の終わりの在庫を表すとします。期間がQtr1である場合、EndingInventoryはMarの終わりの在庫を表します。つまり、Qtr1のEndingInventoryはMarのEndingInventoryと同じになります。たとえば、Marの終わりに70ケースのColaがあった場合、Qtr1の終わりにも70ケースのColaがありました。
次の集計の例に示すように、EndingInventoryを最後としてタグ付けします。
EndingInventory (TB Last), Cola, East, Actual, Jan(+), 50
EndingInventory (TB Last), Cola, East, Actual, Feb(+), 60
EndingInventory (TB Last), Cola, East, Actual, Mar(+), 70
EndingInventory (TB Last), Cola, East, Actual, Qtr1(+), 70
例5-4 「平均」のタイム・バランスの例
親値がその子の平均値を表すようにする場合は、タイム・バランスを「平均」に設定します。
たとえば、AverageInventoryという名前のメンバーが期間の在庫の平均を表すとします。期間がQtr1である場合、AverageInventoryは、Jan、FebおよびMarの在庫の平均を表します。
次の集計の例に示すように、AverageInventoryを平均としてタグ付けします。
AverageInventory (TB Average), Cola, East, Actual, Jan(+), 60
AverageInventory (TB Average), Cola, East, Actual, Feb(+), 62
AverageInventory (TB Average), Cola, East, Actual, Mar(+), 67
AverageInventory (TB Average), Cola, East, Actual, Qtr1(+), 63
タイム・バランスのスキップ・プロパティ
勘定科目ディメンションでタイム・バランス・プロパティを期首、期末または平均として設定する場合は、スキップ・プロパティも設定して、#Missing値または0の値を検出したときの処理をEssbaseに指示する必要があります。
表5-1 スキップ・プロパティ
設定 | Essbaseのアクション |
---|---|
なし |
親値を計算するときにデータをスキップしません。 |
欠落 |
親値を計算するときに#MISSINGデータをスキップします。 |
ゼロ |
親値を計算するときにゼロに等しいデータをスキップします。 |
欠落とゼロ |
親値を計算するときに#MISSINGデータとゼロに等しいデータをスキップします。 |
メンバーをタイム・バランスの期末としてマークし、欠落または欠落とゼロのスキップ・プロパティを設定すると、期間の親が、欠落していない期末の子と一致します。次の例では、Marに値がないため、EndingInventoryはFebの値に基づきます。
Cola, East, Actual, Jan, EndingInventory (Last), 60
Cola, East, Actual, Feb, EndingInventory (Last), 70
Cola, East, Actual, Mar, EndingInventory (Last), #MI
Cola, East, Actual, Qtr1, EndingInventory (Last),70
Essbase Webインタフェースを使用してタイム・バランスのスキップ・プロパティを設定するには、編集するアウトラインを開き、勘定科目ディメンション・メンバーを選択して、その一般プロパティを編集します。「タイム・バランス」プロパティが「なし」でない場合は、「スキップ・オプション」プロパティを「なし」、「欠落」、「ゼロ」または「欠落とゼロ」に設定します。詳細は、一般的なプロパティの設定を参照してください。
REST APIを使用してアウトラインを編集する場合は、バッチ・アウトライン編集の実行のエンドポイントで説明されているように、メンバーの追加または更新アクションの実行時に、mbrInfoのskipプロパティをNONE、MISSING、ZEROまたはBOTHに更新します。
差異レポート・プロパティ
差異レポート・プロパティによって、メンバー式に@VARまたは@VARPER関数が含まれるメンバーの実績および予算データの差異のEssbaseでの計算方法が決定されます。会社に対する費用を表すメンバーには、費用プロパティが必要です。デフォルトでは、メンバーは費用ではありません。
ある期間の費用の予算策定を行うとき、実績費用が予算を下回る必要があります。実績費用が予算費用を上回ると、差異は負数になります。@VAR関数では、予算-実績が計算されます。たとえば、予算費用が$100で、支出が$110である場合、差異は-10です。
費用外のアイテム(たとえば売上など)の予算策定を行う場合は、実績売上が予算を上回る必要があります。売上の実績が予算を下回ると、差異は負数になります。@VAR関数では、実績-予算が計算されます。たとえば、売上の予算が$100で、売上が$110である場合、差異は10です。
Essbase Webインタフェースを使用して差異レポート・プロパティを設定するには、編集するアウトラインを開き、勘定科目ディメンション・メンバーを選択して、その一般プロパティを編集します。「費用」プロパティを「TRUE」または「FALSE」に設定します。詳細は、一般的なプロパティの設定を参照してください。
アプリケーション・ワークブックまたはキューブ・デザイナを使用している場合は、VARIANCEREPORTプロパティを経費の場合はE、経費でない場合は空白に設定できます。勘定科目ディメンションのディメンション・ワークシート内の適切なメンバーの横にコードを適用します(ディメンション・ワークシートの理解を参照)。
REST APIを使用してアウトラインを編集する場合は、バッチ・アウトライン編集の実行のエンドポイントで説明されているように、メンバーの追加または更新アクションの実行時に、mbrInfoのexpenseプロパティをtrueまたはfalseに更新します。
属性ディメンション・タイプ
標準ディメンションの特性に基づいてデータをレポートおよび集約するには、Essbaseの属性ディメンションを使用します。たとえば、Sample Basicデータベースでは、ProductディメンションがOunces属性ディメンションに関連付けられています。Ounces属性ディメンションのメンバーは、オンス単位に基づいて製品を分類します。
属性ディメンションの使用ルールは、「属性ディメンションの概要」を参照してください。
Essbase Webインタフェースを使用してディメンションを属性としてタグ付けするには、編集するアウトラインを開き、メンバーを選択して、その一般プロパティを編集します。「ディメンション・タイプ」をクリックし、「属性」を選択します。
アプリケーション・ワークブックまたはキューブ・デザイナを使用して属性ディメンションをタグ付けする場合は、適切なディメンション名の横にあるEssbase.Cubeワークシートの「ディメンション・タイプ」プロパティを更新します。値には、属性-ブール、属性-数値、属性-テキストまたは属性-日付を入力できます。Essbase.Cubeワークシートの理解を参照してください。
REST APIを使用してアウトラインを編集する場合は、ディメンションの追加または更新アクションの実行時に、ディメンションpropertiesのattDataTypeプロパティを適切な属性データ型(BOOL、STRING、DATETIMEまたはDOUBLE)に更新します。バッチ・アウトライン編集の実行エンドポイントのドキュメントを参照してください。