パーティション化の理解

パーティションは、別のデータベースと共有するデータベースのリージョンです。パーティション化された1つのEssbaseアプリケーションを複数のサーバー、プロセッサまたはコンピュータで処理できます。

参照:

パーティション・タイプ

次のパーティションのタイプが、Essbaseでサポートされています。

表10-1 パーティション・タイプ

パーティション・タイプ 説明 適用先

複製

データ・ターゲットに保管されるデータソースの一部のコピー。

複製パーティションを参照してください。

ブロック・ストレージ・キューブ

集約ストレージ・キューブ

透過

ユーザーが、データソースのデータに、データ・ターゲット内に保管されている場合と同様にアクセスできます。ただし、データは、データ・ソース(別のアプリケーションまたはEssbaseデータベース)、または別のEssbaseサーバーに保管されます。

透過パーティションを参照してください。

ブロック・ストレージ・キューブ

集約ストレージ・キューブ

フェデレーテッド

フェデレーテッド・パーティションを使用すると、Autonomous Data WarehouseEssbaseキューブを統合できます。これにより、Essbaseの分析能力とAutonomous Databaseの高速集計が一体化します。

この章では、フェデレーテッド・パーティションについては説明しません。そのかわりに、フェデレーテッド・パーティションを使用したEssbaseとAutonomous Databaseの統合に関する項を参照してください。

ブロック・ストレージ・キューブ

集約ストレージ・キューブ

次の表の情報を使用すると、使用するパーティションのタイプの選択に役立ちます。

表10-2 パーティション・タイプ別のサポートされる機能

機能 複製 透過

最新データ

 

x

ネットワーク・トラフィックの軽減

x

 

ディスク・スペースの削減

 

x

計算速度の向上

x

 

より小規模なデータベース

 

x

問合せ速度の向上

x

 

エンドユーザーに表示しない

x

x

リカバリがより簡単

x

 

属性に基づいてデータを問い合せる機能

 

x

分散型OLAP対応以外のフロントエンド・ツールを使用する機能

x

x

更新と計算を頻繁に実行することが容易

 

x

データ・ターゲットでデータを更新する機能

 

x

バッチ更新と単純な集約の実行

x

 

パーティションの各部分

パーティションには次の部分が含まれています。

図10-1 パーティションの各部分


このイメージは、パーティションの各部分(タイプ、データソース、データ・ターゲット、ログインとパスワード、共有領域、メンバーのマッピングおよび状態)を示しています。

表10-3 パーティションの各部分

部分 説明

パーティションのタイプ

パーティションが複製か透過かを示すフラグ。

データソース情報

データソースのサーバー、アプリケーションおよびデータベースの名前。

データ・ターゲット情報

データ・ターゲットのサーバー、アプリケーションおよびデータベースの名前。

ログインとパスワード

データソースとデータ・ターゲットのログインとパスワードの情報。この情報は、2つのデータベース間の内部要求で、管理操作およびエンドユーザー操作を実行するために使用されます。

共有領域

データソースとデータ・ターゲットで共有されている1つ以上の領域やリージョンの定義。データベースの連続しない複数の部分を共有するには、単一のパーティション内に複数の領域を定義します。この情報により、データソースとデータ・ターゲットのどの部分が共有されるかが決定するため、Essbaseによって、データ・ターゲットに適切なデータを入力して、共有領域のアウトラインの同期を保持できます。

メンバーのマッピング情報

データソースのメンバーをデータ・ターゲットのメンバーにマップする方法の説明。データ・ターゲットとデータソースで、なんらかのメンバーおよびディメンションに異なる名前を使用している場合に、Essbaseでこの情報を使用して、データ・ターゲットにデータを入力する方法が決定します。

パーティションの状態

パーティションが最新状態になっているかどうかと、パーティションが最後に更新された時間についての情報。

データソースとデータ・ターゲット

パーティション・データベースには、1つ以上のデータソース(データのプライマリ・サイト)と1つ以上のデータ・ターゲット(データのセカンダリ・サイト)が含まれています。1つのデータベースが、一方のパーティションのデータソースとしても、もう一方のパーティションのデータ・ターゲットとしても機能できます。パーティションを定義するときに、データソースのセルを、データ・ターゲットの対応するセルにマップします。

図10-2 データソースとデータ・ターゲット


このイメージは、データソースとデータ・ターゲットの共有パーティションを示しています。

Essbaseデータベースには、複数のパーティションと、他のEssbaseデータベースとは共有されないデータを含めることができます。パーティションは、次のデータベース間に定義できます。

  • 異なるアプリケーションの異なるデータベース(各データベースが同じ言語と同じUnicode関連モードを使用している場合)。

    アプリケーションは、同一コンピュータ上に配置することも、異なるコンピュータ上に配置することもできます。

  • 1つのブロック・ストレージ・アプリケーションの異なるデータベース。

    データベースをパーティション化する利点は、各データベースが個々のアプリケーションに存在する場合にフルに実現されるため、この方法はお薦めしません。

1つのデータベースが、複数のパーティションのデータソースとしても、データ・ターゲットとしても機能できます。多数のデータベース間でデータを共有するには、次に示すように、それぞれのパーティションのデータソースが同じで、データ・ターゲットが異なるように、複数のパーティションを作成します。

図10-3 複数のターゲットで共有されるデータ


このイメージは、1つのデータソースと複数のデータ・ターゲットを示しています。

次の表は、パーティション・タイプごとにサポートされる、データ・ターゲットおよびデータソースとしてのブロック・ストレージ・データベースと集約ストレージ・データベースの組合せをリストしています。

表10-4 パーティション・タイプ別のサポート対象のデータソースとデータ・ターゲットの組合せ

ソース ターゲット 複製 透過
ブロック・ストレージ ブロック・ストレージ はい はい
集約ストレージ ブロック・ストレージ いいえ はい
集約ストレージ 集約ストレージ いいえ はい
ブロック・ストレージ 集約ストレージ はい はい

パーティションにおける属性

ブロック・ストレージ・データベースでは、属性関数を使用して、属性値に基づくパーティション化ができますが、属性ディメンションはパーティション化できません。ディメンションのメンバーの特性に従ってメンバーにアクセスするには、属性値を使用してデータベースをパーティション化します。

たとえば、Sample.Basicデータベースでは、Pkg Type属性ディメンションはパーティション化できませんが、Pkg TypeディメンションのBottleメンバーとCanメンバーの両方またはそのいずれかに関連付けられたProductディメンションのメンバーをすべて含むパーティションを作成できます。Canに関連付けられたメンバーを含むパーティションを作成した場合、パッケージが缶のProductメンバー(100-10、100-20および300-30)のデータにのみアクセスできます。

ノート:

ブロック・ストレージ・データベースの属性メンバーのデータを取得しても、データが存在しないという結果になる場合があります。属性ディメンションと標準ディメンションの比較存在しない保管ブロックにおける、密の動的計算メンバーの項目を参照してください。

@ATTRIBUTE@WITHATTRの計算関数を使用してパーティションを定義できます。

たとえば、Caffeinated属性ディメンションに関連付けられたProductディメンションのすべてのメンバーのデータを抽出するには、@ATTRIBUTE (Caffeinated)などのパーティションを作成します。ただし、Caffeinated属性ディメンションはパーティション化できません。

前述の例に基づくと、次のパーティションは適切です。

Source                    Target
@ATTRIBUTE(Caffeinated)   @ATTRIBUTE(Caffeinated)

次のパーティションは不適切です。

Source         Target
Caffeinated    Caffeinated

バージョンとエンコードの要件

透過パーティションと複製パーティションのバージョンとエンコードの要件は、次のとおりです。

  • バージョン: パーティションの両端(ソースとターゲット)のリリース・レベルが同じである必要があります。

  • エンコード: パーティションの両端がUnicodeモードである必要があります。