テキスト・メジャーの操作

テキスト・メジャーによって、Essbaseが、数値データを超えてテキストベースのコンテンツまで分析できるように拡張されます。テキストのコンテンツの格納と分析は、セルがテキスト値の確定リストの1つを持つ必要がある場合に便利です。色はテキスト・メジャーであり、その値はそれらの5つの色のいずれかである必要があります。確定リストにない色は、Essbaseでは範囲外とみなされます。

テキスト・メジャーはデータベース・レベルで作成します。テキスト・メジャーは、テキスト文字列のセットの、対応する数値IDへのマッピングによって使用可能になります。これらのマッピングは、作成するデータベースレベルのテキスト・リスト・オブジェクトに含まれます。

テキスト・メジャーのワークフロー

次に示すワークフローのいずれかを使用して、キューブのテキスト・メジャーを実装します。テキスト・メジャーは、アウトラインではデフォルトで有効になっています。ただし、テキスト・メジャーを使用するには、Essbase Webインタフェースまたはキューブの構築に使用するアプリケーション・ワークブックのどちらかで、実装ステップを実行する必要があります。

Essbase Webインタフェースでのテキスト・メジャーのワークフロー

次のワークフローでは、Essbase Webインタフェースを使用します。

  1. Accountsディメンションにメジャーを作成します。このメジャーがテキスト・メジャーになります。メンバー・プロパティで、集計演算子を^ (集計なし)に設定します。

    たとえば、次に示すテキスト・メジャーAnswerは、Facility Ratingキューブで使用します。このキューブは、「すべてのファイル」→「ギャラリ」→「アプリケーション」→「Facility Rating」にある「ファイル」カタログからダウンロードできます。


    アウトライン・ビューアに表示されたMeasuresディメンション。1つの非集計メンバー(Answerという名前のテキスト・メジャー)が含まれています。

  2. アウトライン・プロパティから、編集モードに移行して、テキスト・メジャーに使用可能なテキスト値を格納するためのテキスト・リスト・オブジェクトを追加します。各テキスト値を数値にマップして、Essbaseでテキスト値を操作できるようにします。また、「欠落」と「範囲外」にも数値をマップします。

    1. Essbase Webインタフェースで、キューブ・アウトラインを開きます。

    2. 「編集」をクリックしてから、「アウトラインのプロパティ」をクリックします。

    3. 「テキスト・メジャー」タブをクリックします。

    4. テキスト・リスト・オブジェクトの名前を入力して、「追加」をクリックします。

      たとえば、Facility RatingキューブではResponseValuesという名前のテキスト・リスト・オブジェクトを使用します。


      「テキスト・メジャー」タブで、キューブ・アウトラインに関連付けられたResponseValueという名前のテキスト・リスト・オブジェクト。

      Essbaseは、欠落した値と範囲外の値を処理するために自動的にIDを追加します。


      ID #Missingに「Missing Name」という名前が含まれていて、ID #OutOfRangeに「Out-of-range Name」という名前が含まれている、ResponseValueという名前のテキスト・リスト・オブジェクト。

    5. 欠落および範囲外のIDと名前のマッピングを必要に応じて編集します。その他の数値を追加して、テキスト値にマップします。各数値には、テキスト値を1つのみマップできます。

      たとえば、ResponseValueというテキスト・リスト・オブジェクトには、テキスト値にマップされた数値が含まれています。この値は、Facility Ratingキューブでアンケート調査の回答用に使用されます。


      ResponseValuesという名前のテキスト・リスト・オブジェクト。ID #Missingは「Blank」にマップされ、ID #OutOfRangeは「N/A」にマップされています。ID 1は「Perfect」に、ID 2は「Very Nice」に、ID 3は「Nice」に、ID 4は「Good some of the times」に、ID 5は「No Opinion」にマップされています。このように、合計で10個のIDが肯定的な回答から順にマップされています。

      オプションで、IDを自動生成できます。その場合は、次の例に示すように増分を選択します。IDは特定の順序にする必要はありません。各IDには必ず名前を割り当ててください。


      ID #Missingが「Missing Name」に、ID #OutOfRangeが「Out-of-range Name」にマップされていて、自動生成されたID 1、6および11が含まれているテキスト・リスト・オブジェクト。自動生成の増分は、5に設定されています。自動生成されたIDには、まだ名前がマップされていません。

    6. 「適用して閉じる」をクリックして、アウトラインとともにテキスト・リスト・オブジェクトを保存します。

  3. アウトライン編集モードのまま、Accountsディメンションのテキスト・メジャー(この例では、Answerというメンバー)に戻って、「検査」をクリックします。メンバー・プロパティで、メジャーのタイプをテキストとして定義し、前の手順で作成したテキスト・リスト・オブジェクトの名前に関連付けます。


    Answerというテキスト・メジャー・メンバーのメンバー・プロパティ「一般」タブで、「タイプ」に「Text: ResponseValues」が選択されています。

  4. 「適用して閉じる」をクリックして、テキスト・メジャーのタイプ設定を保存します。
  5. アウトラインを保存します。

アプリケーション・ワークブックを使用したテキスト・メジャーのワークフロー

Essbase Webインタフェースを使用するかわりに、テキスト・メジャーを実装するキューブは、アプリケーション・ワークブックから構築することもできます。

そのためには、キューブの構築に使用するワークブックに、Cube.TypedMeasuresワークシートを含めます。Cube.TypedMeasuresワークシートで、テキスト・リスト名に使用する名前(この例では、ResponseValues)を入力し、関連付けるテキスト・メジャー・メンバー名(この例では、Answer)を指定して、テキスト・リスト・オブジェクトを定義します(IDをテキスト値にマップするセクション)。


キューブの構築に使用するアプリケーション・ワークブック内のCube.TypedMeasuresワークシート。「Text List Properties」セクションには、List Name: ResponseValuesと、Associated Members: Answerが含まれています。列名のIDとTextに、マッピングが続きます。各行のマッピングでは、ID #Missingが「Blank」に、ID #OutOfRangeが「N/A」に、ID 1が「Perfect」に、ID 2が「Very Nice」、ID 3が「Nice」に、ID 4が「Good some of the times」に、ID 5が「No Opinion」に、ID 6が「Manageable」に、ID 7が「Needs Improvement」に、ID 8が「Bad」に、ID 9が「Very Bad」に、ID 10が「Not Usable」にマップされています。

アプリケーション・ワークブックからテキスト・メジャーを実装するための簡単な方法として、次の作業を実行します。

  1. Facility Ratingギャラリ・テンプレート・ワークブックをダウンロードします。これは、「すべてのファイル」→「ギャラリ」→「アプリケーション」→「Facility Rating」にある「ファイル」カタログから入手できます。

  2. テンプレートから自分用のアプリケーション・ワークブックにCube.TypedMeasuresワークシートをコピーします。

  3. List Nameの値、Associated Membersの値、IDとそれに関連付けるテキスト値を必要に応じて変更します。

  4. ワークブックからキューブを構築します(このワークブックをインポートするか、キューブ・デザイナを使用します)。

関連項目: テキスト・メジャーおよび日付メジャーに対するデータベース操作の実行

テキスト・リスト・オブジェクトとテキスト・リスト・メンバー

テキスト・メジャーに対応するセルは、最大1024個の有効なテキスト値を含む確定リストの1つを持つことができます。Essbaseで、内部的にテキスト値を数値として保管する必要があります。したがって、テキスト値の数値へのマッピングが必要になります。テキスト値と数値の間のマッピングは、テキスト・リスト・オブジェクトを作成することで定義します。テキスト・リスト・オブジェクトは、テキスト値と、それぞれのテキスト値に対応する数値のリストで構成されます。

たとえば、次に示す内容のCustomer Satisfaction Levelというテキスト・リスト・オブジェクトを作成できます。名前列はテキスト・メジャーとして使用可能なテキスト値を示し、ID列はEssbaseによって使用される内部数値を表します。

表8-1 テキスト・リスト・オブジェクトの例

名前 ID
欠落 #MISSING
該当なし #OUTOFRANGE
大きい 1
Medium 2
小さい 3

各テキスト値は、一意の数値にマップしている必要があります。テキスト・リスト・オブジェクト内の整数にマップしていないテキスト値は、Essbaseでは無効とみなされます。

最初の2つのID (#MISSINGと#OUTOFRANGE)は、テキスト・データが無効または空であるケースを処理するためのものです。たとえば、ユーザーがAverageなどのマップされていない値をテキスト・メジャーにロードしようとすると、セル値は更新されず、後続の問合せで#MISSINGとして表示されます。マップされていない数値のセル値をユーザーがロードすると、後続の問合せで「該当なし」が戻されます。

#MISSINGと#OUTOFRANGE以外のすべてのIDは整数である必要があります。

「#OutOfRange」のIDの内部数値は、定数-0.000000000000011です。