プライマリ・ノード(ホスト1)でのEssbaseフェイルオーバー構成のための手動による手順

ヒント: リリース21.5.2以上では、これらの手順をスキップし、かわりに「フェイルオーバー設定スクリプトを使用したEssbaseフェイルオーバー環境の設定」の手順を使用します。

プライマリEssbaseノードをフェイルオーバー用に構成します。Fusion Middleware構成ウィザードを実行し、スクリプト・ファイルを編集し、Essbase構成プロパティを追加し、WebLogicコンソールでサーバーを構成し、TLSツール・ユーティリティを実行し、ドメイン構成をパッケージ化し、それを2番目のノードにコピーします。

開始する前に、EssbaseのフェイルオーバーのためのTLSの構成を確認して、TLSプロパティ・ファイルの構成方法を学習します。

ホスト1はプライマリEssbaseノードであり、そのすべてのサービスはクラスタ化されていません(AdminServerや、オプションでEAS Liteなど)。

  1. ホスト1にSSH接続し、次のコマンドを実行してEssbaseインスタンスを停止させます。

    Linuxの場合:

    <Domain Home>/esstools/bin/stop.sh

    Windowsの場合:

    <Domain Home>\esstools\bin\stop.cmd
  2. 次のように、Fusion Middleware (FMW)構成ウィザードを起動し、ホスト1の構成を更新します。

    Linuxの場合:

    <Oracle Home>/oracle_common/common/bin/config.sh

    Windowsの場合:

    <Oracle Home>\oracle_common\common\bin\config.cmd
    1. 「ドメインの作成」画面で、「既存のドメインの更新」を選択します。「ドメインの場所」フィールドに適切なドメインの場所が指定されていることを確認し、「次へ」をクリックします。

    2. 「テンプレート」画面で、デフォルト値を受け入れて「次へ」をクリックします。

    3. 「データベース構成タイプ」画面で、「RCUデータ」から「手動構成」に選択を変更し、「次へ」をクリックします。

    4. 「コンポーネント・データソース」画面で、デフォルト値を受け入れて「次へ」をクリックします。


      FMW構成ウィザードの「コンポーネント・データソース」ペインのイメージ。

    5. 「JDBCテスト」画面で、デフォルト値を受け入れて「次へ」をクリックします。


      FMW構成ウィザードの「JDBCテスト」ペインのイメージ。

    6. 「拡張構成」画面で、「トポロジ」を選択し、「次へ」をクリックします。

    7. 「管理対象サーバー」画面で、「追加」をクリックし、ホスト2の詳細を入力します。


      FMW構成ウィザードの「管理対象サーバー」ペインのイメージ。

      • essbase_server2に管理対象サーバーのポートを入力します。

      • SSLリスニング・ポートを更新する必要がある場合は、「SSLの有効化」チェック・ボックスを選択します。

      • SSLリスニング・ポートを更新するには、「リスニング・ポート」入力ボックスをクリックします。サーバー・グループにESSBASE-MAN-SVRを選択し、「次へ」をクリックします。

    8. 次の各画面でデフォルト値を受け入れて「次へ」をクリックします。
      • クラスタ
      • サーバー・テンプレート
      • 動的サーバー
      • サーバーのクラスタへの割当
        FMW構成ウィザードの「サーバーのクラスタへの割当」ペインのイメージ。

      • HTTPプロキシ・アプリケーション
      • Coherenceクラスタ
    9. 「マシン」画面で、「追加」をクリックし、新規マシンm2を追加します。ホスト2のホスト名とノード・マネージャのポートの値を入力します。ノード・マネージャのポートには9556を選択できます。「次」をクリックします。


      FMW構成ウィザードの「サーバーのマシンへの割当」ペインのイメージ。

    10. 「サーバーのマシンへの割当」画面で、右側のパネルでm2を選択します。左側のパネルで新しく作成したサーバーessbase_server2を選択し、m2に追加します。追加すると、essbase_server2m2の下に表示されます。「次」をクリックします。


      FMW構成ウィザードの、選択を行った後の「サーバーのマシンへの割当」ペインのイメージ。

    11. 次の各画面でデフォルト値を受け入れて「次へ」をクリックします。

      • 仮想ターゲット
      • パーティション
    12. 「構成のサマリー」画面で、「更新」をクリックします。

    13. 更新が完了したら「次へ」をクリックし、最後の画面で「終了」をクリックして構成変更を完了します。

  3. ホスト1で、ファイル<Domain Home>/bin/setDomainEnv.sh (Linuxの場合)または<Domain Home>\bin\setDomainEnv.cmd (Windowsの場合)を編集します。

    注意:

    Essbaseプラットフォームでは、<DOMAIN HOME>/binに、環境およびEssbase機能の動作をカスタマイズできるスクリプトが含まれています。ただし、これらのドメイン環境または起動スクリプトを変更すると、起動の失敗など、意図しない影響が生じる可能性があります。最初にテスト環境で変更を加えることをお薦めします。これらのスクリプトを編集する前に、必ず次のことを実行してください:

    1. <DOMAIN HOME>/esstools/bin/stop.sh (Linuxの場合)または<Domain Home>\esstools\bin\stop.cmd (Windowsの場合)を使用してEssbase管理対象サーバーを停止します。

    2. <DOMAIN HOME>/binで、編集するファイルのバックアップ・コピーを作成します。例:

      Linuxの場合

      cp setStartupEnv.sh setStartupEnv_bak.sh

      Windowsの場合

      copy setStartupEnv.cmd setStartupEnv_bak.cmd
    3. Oracleのドキュメントに記載されている手順のみを使用するか、Oracleサポートと連携して、慎重に編集してください。

    4. <DOMAIN HOME>/esstools/bin/start.sh (Linuxの場合)または<Domain Home>\esstools\bin\start.cmd (Windowsの場合)を使用してEssbaseを再起動します。起動が正常に完了したことを確認します。

    1. EXTRA_JAVA_PROPERTIESという文字列を検索します。

      重要: JAVA_PROPERTIESではなく、EXTRA_JAVA_PROPERTIESを検索します。

    2. 既存のエクスポートのEXTRA_JAVA_PROPERTIES行の後ろに次の-D定義を追加します。

      Linuxの場合:

      EXTRA_JAVA_PROPERTIES="${EXTRA_JAVA_PROPERTIES}-Dweblogic.security.SSL.ignoreHostnameVerification=true" export EXTRA_JAVA_PROPERTIES

      Windowsの場合:

      set EXTRA_JAVA_PROPERTIES=-Dweblogic.security.SSL.ignoreHostnameVerification=true %EXTRA_JAVA_PROPERTIES%

      ノート:

      すべてのTLS証明書が適切にインポートされている場合、このステップは必要ありません。自己署名証明書の場合や、後で管理対象サーバーがSSLのエラーで起動できなくなる場合は、このステップが必要です。
  4. <Domain Home>/config/fmwconfig/essconfig/essbase/essbase.cfgファイルを編集して次の行を追加します。

    FAILOVERMODE true

    #Optional

    AGENTLEASERENEWALTIME 10

    #Optional

    AGENTLEASEEXPIRATIONTIME 20

  5. Essbase Administration Services (EAS Lite)も有効になっている場合は、ファイル<Domain Home>/bin/setStartupEnv.sh (Linuxの場合)または<Domain Home>\bin\setStartupEnv.cmd (Windowsの場合)を編集します:

    1. ESSBASE-EAS-SVRスタートアップ・グループ(ESSBASE-MAN-SVRではない)で「DISCOVERY_URL」を検索します。

    2. DISCOVERY_URLがOracle HTTP Server URLを指すように変更します。

      -DDISCOVERY_URL=http(s)://OHS_HOST:OHS_PORT/essbase/agent
  6. ホスト1でAdminServerを開始します。

    Linuxの場合:

    <Domain Home>/esstools/bin/start.sh -i AdminServer

    Windowsの場合:

    <Domain Home>\esstools\bin\start.cmd -i AdminServer
  7. ホスト1とホスト2の両マシンのパブリックIPを見つけます。たとえば、他のホストからpingコマンドを使用するなどして見つけます。どちらのマシンもファイアウォールの内側にある場合は、ホスト1とホスト2が相互に通信するために使用できるIPを把握しておくようにします。

  8. WebLogicのコンソールを使用してAdminServerと管理対象サーバーを構成します。

    1. WebLogic管理者資格証明を使用してWebLogic AdminServerコンソールにログインします。デフォルトのAdminServerポートは7001です。

      例: http(s)://host:7001/console

    2. 左パネルで「ロックして編集」をクリックします。「<ドメイン名>」->「環境」->「サーバー」->「AdminServer」の順に移動します。「構成」タブで、「全般」をクリックし、「詳細」セクションを展開します。「外部リスニング・アドレス」プロパティにホスト1のパブリックIPアドレスを入力します。

      重要: ホスト2から見た場合のホスト1のIPを入力します。

    3. 「保存」をクリックします。

    4. 直前のステップa、bおよびcを繰り返し、essbase_server1外部リスニング・アドレスをホスト1のパブリックIPで更新します。

    5. essbase_clusterをデフォルトのCoherenceクラスタ・メンバーシップから削除します。

      1. 「<ドメイン名>」->「環境」->「Coherenceクラスタ」の順に移動します。

      2. 「defaultCoherenceCluster」をクリックします。「メンバー」タブをクリックします。「essbase_cluster」の選択を解除します。

      3. 「保存」をクリックします。

    6. 「<ドメイン名>」->「セキュリティ」タブ->「組込みLDAP」タブの順に移動します。「マスター優先」オプションを選択し、「保存」をクリックします。

    7. 「<ドメイン名>」->「環境」->「サーバー」の順に移動します。新しく追加したサーバーessbase_server2をクリックします。

    8. 「構成」タブで、「全般」タブに移動し、「詳細」セクションを展開して、「外部リスニング・アドレス」フィールドにホスト2のパブリックIPアドレスを入力します。このパブリックIPは、ホスト1からホスト2にpingを行うことで取得するようにします。「保存」をクリックします。

    9. 「構成」タブで、「全般」タブに移動し、「リスニング・アドレス」フィールドから値を削除して、「保存」をクリックします。

    10. 「<ドメイン名>」->「環境」->「サーバー」の順に移動します。「essbase_server1」をクリックします。「構成」タブで、「全般」タブに移動し、「リスニング・アドレス」フィールドの値を削除します。「保存」をクリックします。

    11. 左側のパネルで、「変更のアクティブ化」をクリックします。

    12. stop.sh (Linuxの場合)またはstop.cmd (Windowsの場合)を使用してホスト1でWebLogicを停止します。

      Linuxの場合:

      <Domain Home>/esstools/bin/stop.sh

      Windowsの場合:

      <Domain Home>\esstools\bin\stop.cmd
  9. tlsTools.jarを実行して証明書を更新します(EssbaseのフェイルオーバーのためのTLSの構成を参照)。

  10. ホスト1で、次のコマンドを実行して完全なドメイン構成をパッケージ化し、jarファイルとしてエクスポートします。これには数分かかることがあります。

    Linuxの場合:

    <Oracle home>/oracle_common/common/bin/pack.sh -domain=<DOMAIN_HOME> -template=<user specified path>/essbase_ha.jar -template_name=essbase_domain -managed=true

    Linuxの例:

    ./Oracle/Middleware/Oracle_Home/oracle_common/common/bin/pack.sh -domain=./Oracle/Middleware/Oracle_Home/user_projects/domains/essbase_domain -template=./essbase_ha.jar -template_name=essbase_domain -managed=true

    Windowsの場合:

    <Oracle home>\oracle_common\common\bin\pack.cmd -domain=<DOMAIN_HOME> -template=<user specified path>/essbase_ha.jar -template_name=essbase_domain -managed=true

    Windowsの例:

    c:\>\Oracle_Home\oracle_common\common\bin\pack.cmd -domain=C:\Oracle_Home\user_projects\domains\essbase_domain -template=essbase_ha.jar -template_name=essbase_domain -managed=true
  11. 生成されたjarである<ユーザーが指定したパス>/essbase_ha.jarをセカンダリ・ノード上のフォルダに転送します。
    • Linuxの場合は、ネットワーク・コピーまたはftpを使用します:
      cp /network path of Host 1/<Host 1 Essbase Installation>/essbase_ha.jar <Host 2>/<some dir>/essbase_ha.jar
    • Windowsの場合は、2つのノード間でフォルダを共有することで、2番目のノードにessbase_ha.jarをコピーします。