Essbase Administration Services Liteの使用
オプションで、Essbase Administration Services (EAS) Liteを使用してアプリケーションを管理できます。
Essbase Webインタフェースは最新のプラットフォーム機能をすべてサポートする最先端の管理インタフェースですが、この新しいインタフェースを導入する準備が整っていない組織では、サポート・オプションが限定されたEssbase Administration ServicesのLiteバージョンでアプリケーションの管理を継続できます。このオプションは、Essbaseの独立したインストール環境であるEssbase 21cでのみ利用できます。
EAS Liteでは、11gで提供される機能のみがサポートされ、それより後のEssbaseリリースで追加された機能はサポートされません。
- EAS Liteを管理対象サーバーとして追加する選択
- EAS Liteコンソールへのアクセス
- EAS Lite Webコンソールへのアクセス
- EAS Liteを使用したアプリケーションの管理
- EAS Liteの制限
- EAS管理対象アプリケーションに対するEssbase Webインタフェースの制限
- EAS Liteでのアプリケーションおよびエージェントのログの表示
EAS Liteを管理対象サーバーとして追加する選択
Essbaseの構成でWebLogic Serverのポートを構成する際に、EASを有効にするチェック・ボックスをオプションで選択できます。これにより、EASとEssbaseの両方がWebLogic管理対象サーバーとしてデプロイされます。
構成時にEAS Liteを追加していた場合は、Essbaseサービスに向けてstatus.sh
(またはstatus.cmd
)を実行すると、AdminServer、EssbaseサーバーおよびEASサーバーが、RUNNING、SHUTDOWN、FAILEDのいずれかとして表示されます。次に、Linuxの場合の例を示します。
[/scratch/username/essbase21c/config/domains/essbase_domain/esstools/bin]$ ./status.sh
Domain status; Using domainHome: /scratch/username/essbase21c/config/domains/essbase_domain ...
Initializing WebLogic Scripting Tool (WLST) ...
Welcome to WebLogic Server Administration Scripting Shell
Type help() for help on available commands
Reading domain...
/Servers/AdminServer/ListenPort=7001
Accessing admin server using URL t3://myhost:7001
Server Name Server Status Type Essbase Status Machine
........... ............. .... ............. ...........
AdminServer RUNNING Server -- myhost.example.com
essbase_server1 RUNNING Server Active myhost.example.com
eas_server1 RUNNING Server -- myhost.example.com
EAS Liteコンソールへのアクセス
Windows用のEAS Liteは、ダウンロードしてインストールするか、またはWebコンソールを使用してアクセスできます。
また、EAS管理対象アプリケーションは、MaxL、ESSCMDおよびAPIで開発されたソフトウェアで処理することもできます。
EAS LiteをWindowsにインストールするには
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以前のバージョンのEssbase Administration Servicesコンソールがすでにインストールされている場合はアンインストールします。Essbase Webインタフェースからダウンロードした最新バージョンを使用する必要があります。以前にダウンロードしたバージョンは正しく機能しない場合があります。
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Oracle Java 8がインストールされていることを確認します。これはhttps://www.oracle.com/java/technologies/javase/javase-jdk8-downloads.htmlから入手できます。
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Essbase Webインタフェースで、「コンソール」をクリックし、「Essbase Administration」を展開して、Essbase Administration Servicesコンソールをローカル・ディレクトリにダウンロードします。
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EASConsole.zip
を抽出し、EASConsole.exe
をダブルクリックしてインストーラを抽出して実行します。 -
インストールが完了したら、スタート・メニュー→「Oracle Essbase」→Administration Servicesコンソールの開始の順に選択して、Essbase Administration Servicesコンソールを起動します。
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ログインします。
- 管理サーバーに
hostname:port
を入力します(ホスト名はEAS管理対象サーバーが実行されるマシン、ポート番号はEssbase構成ツール実行時にEAS管理対象サーバーに対して構成したポート番号)。セキュア・モードを有効にした場合は、デフォルト・ポートが9100以外になります。 - 「ユーザー名」と「パスワード」には、Essbase管理者の資格証明を入力します。
- 「OK」をクリックします。
- 管理サーバーに
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管理サーバー・ユーザー情報ページで、電子メール情報を入力し、Essbase管理者のパスワードを再入力し、「次へ」をクリックします。(管理サーバーのユーザー名を別にする必要はありません。)
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Essbaseサーバー接続ページで、Essbase管理対象サーバーの完全修飾ホスト名とポート(例:
http://myhost.example.com:9000
)を入力し、Essbase管理者の資格証明を入力します。設定をクリックし、「次へ」をクリックします。 -
確認を求められたら確認し、終了をクリックします。設定が成功すると、接続された管理サーバーと、対応する接続されたEssbaseサーバーが表示されます。
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Essbaseサーバーを展開してもアプリケーションが表示されない場合は、Essbase Webインタフェースを使用してEAS管理対象アプリケーションを設定する必要があります。この後のEAS Liteを使用したアプリケーションの管理の項を参照してください。
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Essbaseサーバーが他にもある場合は、それらの情報も入力できます:
- エンタープライズ・ビューの下にある管理サーバーを右クリックして、管理サーバーを追加します。
- Essbaseサーバーの接続情報を入力します。
追加できるEssbaseサーバーは、管理サーバーごとに1つです。一度に接続できるのは1つのみです。
- エンタープライズ・ビューの下にある管理サーバーを右クリックして、管理サーバーを追加します。
EAS Lite Webコンソールへのアクセス
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Webブラウザを開き、EAS管理対象サーバーのURLに移動します。例:
http://hostname.example.com:9100/easconsole
ポート番号はEssbase構成ツールで構成できるため、URLのポート番号はこれと異なる場合があります。セキュア・モードを有効にした場合は、デフォルト・ポートが9100以外になります。
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「起動」をクリックします。EAS Liteコンソールが起動しない場合は、.jnlpファイルを起動できるJava Web Start (javaws)プラグインでブラウザを構成する必要があります。
ヒント:
場合によっては古いブラウザを使用する必要があります。また、EssbaseデプロイメントがWindows Server 2022である場合は、「EAS Liteのトラブルシューティング」を参照してください。TLS EverywhereとEAS Liteを使用する場合
EAS Lite Webコンソールからログインする前に、Javaトラスト・ストアに証明書をインポートする必要があります。Webコンソールにアクセスするマシンで次の手順を実行します。
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Webブラウザから自己署名証明書をエクスポートします。
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ブラウザのアドレス・バーで、EAS Liteのhttps WebコンソールURLに移動します。
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URLアドレスの左側で、セキュリティ・アラート・アイコン(ブラウザによって異なります)をクリックします。
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証明書をファイルにダウンロードまたはコピーします(手順はブラウザによって異なります)。
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証明書をファイル・システムにエクスポートします。
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Javaトラスト・ストアを見つけるために、
admincon.bat
で次のオプションの値を確認します:-Djavax.net.ssl.trustStore=%JAVA_HOME%\lib\security\cacerts
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証明書をトラスト・ストアにインポートします。
たとえば、Java keytoolの場合は次のようにします:
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ローカルにインストールした、または別のボリュームにある正しいバージョンのJavaを指定するように、JAVA_HOME変数とPATH変数を設定します。次の例は、Linuxのbashシェル用であり、現在のシェルでのみ持続されます。これより長く設定を維持する場合は、bash構成ファイル
.bashrc
にexport文を追加します。export JAVA_HOME=/usr/bin/java export PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH
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証明書をトラスト・ストアにインポートします。たとえば、Windowsでは次のようにします。
keytool.exe -import -trustcacerts -keystore "C:\Program Files(x86)\Java\jre1.8.0_241\lib\security\cacerts" -alias "my01certificate" -file D:\my01elc.cer
コマンド発行後にパスワードを求められた場合は、新しいパスワードを入力します。
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証明書が追加されたかどうかを確認するには、keytoolのlistオプションを使用して別名に基づいて検索します。たとえば、Windowsでは次のようにします。
keytool.exe -list -keystore "C:\Program Files(x86)\Java\jre1.8.0_241\lib\security\cacerts" | findstr "my01"
EAS Liteを使用したアプリケーションの管理
EAS Liteでアプリケーションに接続する前に、そのアプリケーションをEAS管理対象アプリケーションとして設定する必要があります。
Essbase WebインタフェースでEAS Liteを使用してアプリケーションを管理するには、
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Essbase Webインタフェースにログインします。
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アプリケーション名の右側にある「アクション」メニューから、インスペクタを起動し、「設定」をクリックします。
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「一般」タブで、「Essbase Administration Servicesで管理」を選択します。
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「保存」、「OK」の順にクリックし、「閉じる」をクリックします。
EAS Liteを使用せずに、完全にEssbase Webインタフェースでアプリケーションを管理しようとする場合は、アプリケーションの一般設定で「Essbase Administration Servicesで管理」オプションの選択を解除してかまいません。
注意:
現在のアプリケーションに対してこのアクションを取り消すことはできません。このアクションを実行する前に、EAS管理対象アプリケーションをバックアップすることをお薦めします。- Excelのキューブ・デザイナ・リボンで、管理タスクを選択します。
- EAS管理対象アプリケーションを選択します。
- 求められた場合は、Essbaseのログイン資格証明を入力します。
- EAS管理対象アプリケーションダイアログ・ボックスで、アプリケーションを選択し、追加>>および<<削除オプションを使用して、EAS管理対象に、またはEAS管理対象から切替えます。
アプリケーションをEAS管理対象に切り替えてからEAS管理対象外に切り替えた場合、それらのアプリケーションは、EAS管理対象に戻すことができないためグレー表示になります。
注意:
EAS Liteの制限
次に示すEAS Liteの制限に注意してください:
- グローバルな(サーバー・レベルの)構成設定は無効になります。
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EAS LiteにはEASコンソール・ユーザーが存在しません。使用するセキュリティ・モデルにかかわらず、Essbaseユーザーとしてログインしてください。
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EAS Liteコンソールを起動したEssbaseサーバー・インスタンスにのみ接続でき、他のEssbaseサーバーは追加できません。
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プロバイダ・サーバーにはアクセスできません。
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EASサーバー・ノードでは、プロパティの編集とユーザーの外部化を使用できません。特定のEASサーバー・ノードでは、ユーザー・ノードとプロパティ・ノードを使用できません。
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Essbaseサーバー・ノードでは、Essbaseサーバーの追加、Essbaseサーバー・リストのリフレッシュおよびクラスタ情報の表示を使用できません。
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接続されたEssbaseサーバー・ノード:
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ログ・チャートの表示およびログの生成は使用できません。
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セキュリティ・ノードおよびその子ノードであるユーザーとグループは使用できません。
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キューブ・ノードでは、データのプレビューを使用できません。
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Shared Services内のEssbaseフィルタ割当ては使用できません。
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ファイル→ウィザードの下に、ユーザー設定と移行がありません。
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各アプリケーションのアクション・メニューとコンテキスト・メニューに、ユーザー/グループ・アクセスと登録がありません。
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各キューブのアクション・メニューとコンテキスト・メニューに、ユーザー/グループ・アクセスがありません。
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アウトライン変換ウィザード(ブロック・ストレージから集約ストレージへの変換)を使用できません。
EAS管理対象アプリケーションに対するEssbase Webインタフェースの制限
EAS管理対象アプリケーションを使用している場合、そのアプリケーションにはEAS LiteだけでなくEssbase Webインタフェースでもアクセスできますが、Essbase Webインタフェースの機能の一部は使用できません。EAS管理対象アプリケーションに対して使用できない機能の例を次に示します:
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アウトライン編集(表示専用モードで開きます)
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シナリオ管理(新しいプラットフォーム機能)
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接続とデータソース(新しいプラットフォーム機能)
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ドリル・スルーのサポート(新しいプラットフォーム機能)
ファイル・システムにエクスポートしたパーティションをインポートするときはパスワードが必要になる
リリース21.5以降では、レプリケート・パーティションまたは透過パーティションをEAS Liteからファイル・システムにXMLファイルとしてエクスポートした場合、ソース接続およびターゲット接続のパスワード値はエクスポートされません。エクスポートしたパーティションXMLファイルをEAS Liteにインポートしなおすと、EASコンソールで「パーティション」ダイアログ・ボックス内のパスワード・フィールドが空白になります。インポート中に、「パーティション」ダイアログ・ボックスで、ソース接続とターゲット接続のパスワード値を手動入力する必要があります。
EAS Liteでのアプリケーションおよびエージェントのログの表示
リリース21.2.2.0.0以降では、EAS Liteからエージェント・ログを表示できます。また、「ログ・ビューア」での読みやすさが向上するように、トリミングされたログを表示することもできます。
EAS Liteのアプリケーション・ログ
デフォルトでは、アプリケーション・マネージャ権限のあるユーザーは、アプリケーション・ログを表示できます。
トリミングされたアプリケーション・ログとエージェント・ログを表示する場合は、次に示すESSBASE_TRIM_ODL_LOGSをTRUEに設定するための手順を参照してください。
EAS Liteのエージェント・ログ
サービス管理者のみがエージェント・ログを表示できます。エージェント・ログにはシステム・パスが含まれていることがあるため、デフォルトでは「ログ・ビューア」に表示されません。エージェント・ログは、手動で明示的に「ログ・ビューア」で表示できるようにする必要があります。そのために、環境変数のENABLE_ESSBASE_LOG_VIEWをTRUEに設定します。この環境変数が設定されていない場合、EAS Liteは「権限が拒否されました」というエラーを返します。
EAS Liteでのトリミングされたログの表示
デフォルトでは、「ログ・ビューア」にはOracle Diagnostics Logging (ODL)形式でログのエントリが表示されます。次に、トリミングされていないODLログ・エントリの例を示します。
[2021-11-03T16:31:52.180-07:00] [Sample] [NOTIFICATION:16] [MBR-120] [MBR] [ecid: 1635982305564,0] [tid: 140444520277760] [REQ_ID: 61831be10000008c] [DBNAME: Basic] Loading New Outline for Database [Basic] Succeeded
次に、トリミングされたログ・エントリの例を示します。
[2021-11-03T16:31:52.180-07:00][INFO][DBNAME: Basic]Loading New Outline for Database [Basic] Succeeded
EAS Liteのログ表示オプションの設定
注意:
Essbaseプラットフォームでは、<DOMAIN HOME>/binに、環境およびEssbase機能の動作をカスタマイズできるスクリプトが含まれています。ただし、これらのドメイン環境または起動スクリプトを変更すると、起動の失敗など、意図しない影響が生じる可能性があります。最初にテスト環境で変更を加えることをお薦めします。これらのスクリプトを編集する前に、必ず次のことを実行してください:
-
<DOMAIN HOME>/esstools/bin/stop.sh
(Linuxの場合)または<Domain Home>\esstools\bin\stop.cmd
(Windowsの場合)を使用してEssbase管理対象サーバーを停止します。 -
<DOMAIN HOME>/bin
で、編集するファイルのバックアップ・コピーを作成します。例:Linuxの場合
cp setStartupEnv.sh setStartupEnv_bak.sh
Windowsの場合
copy setStartupEnv.cmd setStartupEnv_bak.cmd
-
Oracleのドキュメントに記載されている手順のみを使用するか、Oracleサポートと連携して、慎重に編集してください。
-
<DOMAIN HOME>/esstools/bin/start.sh
(Linuxの場合)または<Domain Home>\esstools\bin\start.cmd
(Windowsの場合)を使用してEssbaseを再起動します。起動が正常に完了したことを確認します。
「ログ・ビューア」でエージェント・ログを表示できるようにするには
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Essbase管理対象サーバーマシンで、次に示す起動ファイルを編集用に開きます。これらは、<DOMAIN HOME>/binにあります。
setEssbaseEnvOverrides.sh
(またはsetEssbaseEnvOverrides.cmd
)setStartupEnv.sh
(またはsetStartupEnv.cmd
)setDomainEnv.sh
(またはsetDomainEnv.cmd
)
-
環境変数を設定するコマンドを追加します。この設定によって、サービス管理者が「ログ・ビューア」でエージェント・ログを表示できるようにします。
Linuxの例
export ENABLE_ESSBASE_LOG_VIEW=TRUE
Windowsの例
set ENABLE_ESSBASE_LOG_VIEW=TRUE
-
ファイルを保存して、Essbaseを再起動します。
「ログ・ビューア」でトリミングされたログの表示を有効にするには
-
Essbase管理対象マシンで、編集用に
setDomainEnv.sh
(Windowsの場合はsetDomainEnv.cmd
)を開きます。これは、<DOMAIN HOME>/binにあります。 -
環境変数を設定するコマンドを追加します。この設定によって、「ログ・ビューア」にトリミングされたログ形式が表示されるようにします。
Linuxの例
export ESSBASE_TRIM_ODL_LOGS=TRUE
Windowsの例
set ESSBASE_TRIM_ODL_LOGS=TRUE
-
ファイルを保存して、Essbaseを再起動します。
ドメイン環境スクリプトの例
管理者は、次に示す行をsetDomainEnv.sh
の末尾に追加しました。