10 管理グループの使用
管理グループは、設定またはコンプライアンス標準のモニタリングなどの管理設定アプリケーションの自動化により、Enterprise Managerで管理するターゲットの設定プロセスを非常にシンプルにします。通常、この設定は、個々のターゲットに手動で、またはカスタム・スクリプトを使用して半自動で適用します。しかし、管理グループを定義することにより、Enterprise Managerで特定のターゲット・プロパティを使用してターゲットが適切な管理グループに振り分けられ、必要とされるモニタリングおよび管理設定が自動的に適用されます。モニタリング設定に対する変更は、管理グループ内の適切なターゲットに自動的に適用されます。このレベルの自動化により、ターゲットの設定プロセスがシンプルになり、新規ターゲットがEnterprise Managerの管理下に追加されたときのデータセンターの拡張も簡単になります。
この章の構成は、次のとおりです。
管理グループとは
管理グループは、グループへの加入時に、ターゲットに対するモニタリングおよびその他の管理設定の適用を完全に自動化するために使用される特別なタイプのグループです。ターゲットがグループに追加される際、Enterprise Managerにより、モニタリング・テンプレート、コンプライアンス標準およびクラウド・ポリシーで構成されるテンプレート・コレクションを使用してその設定が適用されます。これにより、管理者の仲介は完全に必要なくなります。次の図に標準的な管理グループのワークフローを示します。

最初のステップとして、ターゲットが最初にモニタリング対象としてEnterprise Managerに追加されるときの、ターゲットの「ライフサイクル・ステータス」プロパティの設定があります。その時点で、ターゲットが属する優先度階層を決定します。最高のレベルは「基幹」で、最低のレベルは「開発」です。ターゲットのライフサイクル・ステータスの優先度には、次のようなレベルがあります。
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基幹(最高の優先度)
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本番
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ステージング
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テスト
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開発(最低の優先度)
図のステップ2に示すように、ライフサイクル・ステータスが設定されると、Enterprise Mangerはそれを使用してターゲットがどの管理グループに属するかを判断します。
同じターゲットに異なるモニタリング設定が適用されないように、管理グループは、グループのメンバーシップに関して他の管理グループと相互排他的に設計されています。管理グループを使用して組織のターゲットを階層的に分類し、ターゲットは1つの管理グループに属することになります。このことは、Enterprise Managerデプロイメントにおいて管理グループの階層は1つのみであることも意味します。
たとえば、前述の図では、ProductionターゲットおよびTestターゲットの2つのサブグループから構成される管理グループの階層があり、各サブグループにはそれぞれの所有するテンプレート・コレクションがあります。この例では、Productionグループはモニタリング・テンプレートAのモニタリング設定を継承し、Testグループのターゲットはモニタリング・テンプレートBのモニタリング設定を継承しています。
管理グループの開発
管理グループを作成するには、「完全な任意のターゲット」および「権限伝播グループの作成」の両方のターゲット権限が必要です。
管理グループの開発は次の2段階で実行されます。
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計画
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ターゲットのモニター方法を反映するような方法でグループ階層を作成することにより、管理グループ階層を計画します。
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階層内の管理グループに関連する管理設定を計画します。
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管理設定: モニタリング設定、コンプライアンス標準設定、クラウド・ポリシー設定
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モニタリング設定の場合、追加メトリック設定を使用したり、階層内の下位のメトリック設定を上書きできます。
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コンプライアンス標準またはクラウド・ポリシーの場合、階層内の下位の追加ルール/ポリシーは追加方式です。
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実装
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Enterprise Managerにグループ階層定義および管理設定を入力します。
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管理グループ階層を作成します。
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モニタリング・テンプレート、コンプライアンス標準、クラウド・ポリシーを選択し、これらをテンプレート・コレクションに追加します。
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テンプレート・コレクションを管理グループに関連付けます。
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ターゲット・プロパティに適切な値を割り当てて管理グループにターゲットを追加することにより、ターゲットが適切な管理グループに自動的に追加されるようにします。
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管理グループの計画
管理におけるすべての決定と同じく、効果的な実装のためには計画と準備が重要です。管理グループについても同様です。
Enterprise Managerのデプロイメントで保持できる管理グループ階層は1つのみで、これにより、管理グループのメンバー・ターゲットがただ1つの管理グループに直接属することが保証されます。これにより、1つのターゲットが異なるモニタリング設定に関連付けられている複数の管理グループに属することで発生する、モニタリングの競合を回避できます。
階層を定義するには、まず、Enterprise Managerに追加するすべてのターゲットからなる最高レベル(ルート)について考える必要があります。次に、モニター方法に従ってターゲットを分割する方法について考えます。1つの方法でモニターされるターゲットは1つのグループに存在し、別の方法でモニターされるターゲットは別のグループに属します。たとえば、本番ターゲットがモニターされた方法とは別の方法でテスト・ターゲットがモニターされる場合があります。モニタリング方法に詳細な違いがある場合は、個々のグループをさらに分類できます。たとえば本番ターゲットは、ライン・オブ・ビジネスをモニターするために追加のメトリックがある場合があるため、サポートしているライン・オブ・ビジネスに基づいて詳細に分類される場合があります。最終的には、rootノード下のグループの階層を使用します。

各レベルのグループ化の定義に使用する属性および管理グループのメンバーシップ基準は、グローバル・ターゲット・プロパティおよびユーザー定義ターゲット・プロパティに基づきます。これらのターゲット・プロパティは、すべてのターゲットの属性となり、組織内での運用情報を指定します。たとえば、場所、それが属するライン・オブ・ビジネス、ライフサイクル・ステータスなどです。管理グループの定義に使用できるグローバル・ターゲット・プロパティは次のとおりです。
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ライフサイクル・ステータス
ノート:
ターゲットの運用ステータスを表すため、「ライフサイクル・ステータス」ターゲット・プロパティが特に重要です。ライフサイクル・ステータスは、「基幹」、「本番」、「ステージング」、「テスト」および「開発」のいずれかです。
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場所
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ライン・オブ・ビジネス
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部門
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コストセンター
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連絡先
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プラットフォーム
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オペレーティング・システム
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ターゲット・バージョン
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カスタマ・サポートID
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高可用性ロール
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ターゲット・タイプ(許可されているがグローバル・ターゲット・プロパティではない)
EM CLI動詞のadd_target_propertyおよびset_target_property_valueを使用して、カスタムのユーザー定義ターゲット・プロパティを作成できます。詳細は、『Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース』ガイドの動詞のリファレンスに関する項を参照してください。
Enterprise Manager (EM) 13.5リリース更新13以降では、ユーザー定義の高可用性ロール・ターゲット・プロパティがサポートされます。このプロパティを使用して、データベースのロール(プライマリ・データベースであるかスタンバイ・データベースであるか)を区別できます。データベース・ロールの変更が発生すると、Enterprise Managerは、このユーザー定義のターゲット・プロパティ値(定義されている場合)を新しいデータベース・ロール(プライマリまたはスタンバイ)で自動的に更新します。このプロパティは、動的グループまたは管理グループに適用できます。
たとえば、プライマリ・データベース専用の管理グループと、スタンバイ・データベース専用の個別の管理グループがある場合があります。これは、これらのグループごとの個別の通知をそれぞれのデータベース管理者に送信できるようにするためです。データベース・ロールの変更が発生すると、高可用性ロール・ターゲット・プロパティが管理グループ階層定義に含まれている場合、EMによってこのプロパティの値が新しいデータベース・ロールに自動的に更新されます。したがって、各データベースは自動的に、新しい基準に一致するそれぞれの管理グループの新しいメンバーとなります。これにより、各管理グループの管理者に、対応する新しいアラートが通知されます。
高可用性ロール・ターゲット・プロパティの使用方法:
1. ユーザー定義ターゲット・プロパティを作成し、高可用性ロールとラベル付けします。
2. OMSプロパティ'oracle.sysman.db.utilizeHARoleTargetProperty'を'true'に設定して、機能を有効にします。
3. このプロパティのマスター値リストを更新して、'Primary'および'Standby'の値を明示的に含めます。
4. ターゲット・プロパティ値'Primary'または'Standby'を目的のデータベース・ターゲットに割り当てます。
5. 管理グループ階層定義を作成または更新して、高可用性ロールを含めます。
例:
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ユーザー定義ターゲット・プロパティ高可用性ロールが作成されました。
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ターゲット・プロパティ値'Primary'および'Standby'が含まれます。
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現在のロールに対応するターゲット・プロパティ値が割り当てられているDB1 (プライマリ・データベース)とDB2 (スタンバイ・データベース)の2つのデータベースがあります。
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DB1 (プライマリ) ==> '高可用性ロール = Primary'
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DB2 (スタンバイ) ==> '高可用性ロール = Standby'
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データベース・ロールの変更が発生します(自動)。
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データベースのターゲット・プロパティ値がPrimaryまたはStandbyになった場合は、EMによってこれらの値が更新されます
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DB1 (以前はプライマリ、現在はスタンバイ) ==> 高可用性ロール・プロパティが'Primary'から'Standby'に変更されます
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DB2 (以前はスタンバイ、現在はプライマリ) ==> 高可用性ロール・プロパティが'Standby'から'Primary'に変更されます
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-
-
EMによって、新規プライマリ・データベースおよび新規スタンバイ・データベースが適切なグループに自動的に配置されます。
ターゲットは手動では管理グループに追加できません。そのかわりに、(グループのメンバーとする予定の)ターゲットのターゲット・プロパティを、管理グループで定義するメンバーシップ基準と一致するように設定します。ターゲット・プロパティが設定されていれば、Enterprise Managerにより、そのターゲットは自動的に適切な管理グループに追加されます。
ターゲット・プロパティのマスター・リスト
ターゲット・プロパティを管理グループ(および動的グループ)で使用するには、管理対象の環境内のすべてのユーザーが、一貫性のある共通の方法で指定する必要があります。また、特定のターゲット・プロパティ値に対して、定義可能なターゲット・プロパティ値のリストを制限することが必要になることがあります。Enterprise Managerでターゲット・プロパティのマスター・リストを定義することで、このことを実現できます。特定のターゲット・タイプのためのマスター・リストを定義すると、ターゲットのターゲット・プロパティ・ページで、テキスト・エントリ・フィールドのかわりに、事前定義済プロパティ値を含むドロップダウン・メニューが表示されます。マスター・プロパティ・リストは、次のEM CLI動詞を使用して管理します。
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use_master_list: 指定されたターゲット・プロパティに対して使用されるマスター・リストを有効または無効にします。
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add_to_property_master_list: 指定されたプロパティのマスター・リストにターゲット・プロパティ値を追加します。
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delete_from_property_master_list: 指定されたプロパティのマスター・リストから値を削除します。
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list_property_values: プロパティのマスター・リストの値をリストします
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list_targets_having_property_value: この指定されたプロパティ名の指定されたプロパティ値を持つすべてのターゲットをリストします。
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rename_targets_property_value: すべてのターゲットのプロパティの値を変更します。
マスター・リストの動詞の詳細は、『Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース』ガイドの動詞のリファレンスに関する項を参照してください。
ノート:
ターゲット・プロパティのマスター・リストを定義および管理するには、スーパー管理者権限が必要です。Enterprise Manager管理者とターゲット・プロパティ
Enterprise Manager管理者の作成時に、「連絡先」、「場所」、「説明」などのプロパティを関連付けることができます。ただし、そのプロファイルに関連付けることのできる追加のリソース割当てプロパティがあります。これらのプロパティは、次のとおりです。
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部門
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コストセンター
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ライン・オブ・ビジネス
これらのプロパティは永続的であることに注意してください。つまり、管理者に関連付けられると、そのプロパティ(前述のターゲット・プロパティの一部をミラーリング)は、管理者により検出されるか作成されるターゲットに、自動的に渡されます。
例
次の管理グループ階層には、Root Administration Groupノードの下に、ProductionとTestという2つの管理グループが作成されています。本番ターゲットのモニタリング設定はテスト・ターゲットのモニタリング設定とは異なるためです。

この例では、グループのメンバーシップ基準は「ライフサイクル・ステータス」ターゲット・プロパティに基づいています。「ライフサイクル・ステータス」が'Production'のターゲットはProductionグループに所属し、「ライフサイクル・ステータス」が'Test'のターゲットはTestグループに所属します。このためライフサイクル・ステータスは、管理グループ階層の第1レベルを決めるターゲット・プロパティです。「ライフサイクル・ステータス」プロパティの値は、第1レベルの管理グループのメンバーシップ基準を決めます。本番グループには"Lifecycle Status = Production"、テスト・グループには"Lifecycle Status = Test'のメンバーシップ基準があります。
管理グループ階層のその他のレベルは、他のターゲット・プロパティに基づいて追加できます。通常、その他のレベルが追加されるのは、適用する必要があるその他のモニタリング(または管理)設定がある場合です。これらは、管理グループのターゲットの様々なサブセットで異なる可能性があります。たとえば、Productionグループでは、Finance部門のターゲットとSales部門のターゲットのその他のモニタリング設定が異なる可能性があります。その場合は、「ライン・オブ・ビジネス」ターゲット・プロパティ・レベルに基づくもう1つのレベルが追加されます。
次の表に、階層計画の練習問題の最終的な結果をまとめています。
ルート・レベル(1行目) | レベル1 ターゲット・プロパティ(2行目): ライフサイクル・ステータス | レベル2 ターゲット・プロパティ(3行目): ライン・オブ・ビジネス |
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ルート管理グループ | Production(本番)またはMission Critical(基幹) | Finance (会計) |
_ |
_ |
Sales (販売) |
_ |
Staging(ステージング)、Test(テスト)またはDevelopment(開発) | Finance (会計) |
_ |
_ |
Sales (販売) |
表の各セルがグループを表しています。各セルの値は、そのグループのメンバーシップ基準を定義するターゲット・プロパティの値を表しています。
グループのメンバーシップ基準は、1つ以上のターゲット・プロパティの値を基にすることが可能です。その場合は、ターゲット・プロパティがいずれかの値と一致するターゲットがグループに追加されます。たとえば、Productionグループの場合、ターゲットの「ライフサイクル・ステータス」が「本番」または「基幹」のいずれかであれば、そのターゲットはProductionグループに追加されます。
また、グループのメンバーシップ基準が累積的であることを覚えておいてください。たとえば、ProductionまたはMission Criticalグループの下にあるFinanceグループでは、グループに加える前に、ターゲットの「ライフサイクル・ステータス」に「本番」または「基幹」が設定され、かつ、「ライン・オブ・ビジネス」に「Finance」が設定されている必要があります。ターゲットの本番に設定されたライフサイクル・ステータス設定があっても、FinanceまたはSalesにライン・オブ・ビジネス設定がない場合、管理グループに追加されません。
この計画例では、できあがる管理グループ階層は次の図のようになります。

ターゲットは、そのプロパティ値が両方のレベルで基準と一致するとき、そしてそのときにのみ、階層の一部となるという点に注意することが重要です。ターゲットが「ライフサイクル・ステータス」と一致する値を持っていても、それのみでは、第1レベルの管理グループのメンバーとなることはありません。また、管理グループ階層のすべてのターゲットは最も低いレベルのグループに属しています。
ステップ2: ターゲット・プロパティの割当て
必要な管理グループ階層を設定したら、ターゲットが正しい管理グループに所属するように、各ターゲットのプロパティが正しく設定されていることを確認する必要があります。Enterprise Managerは、ターゲット・プロパティを使用して、適切な管理グループにターゲットを自動的に配置します。ユーザーが操作する必要はありません。Enterprise Managerにすでに追加されたターゲットに対し、コンソール経由またはEM CLI動詞set_target_property_valueを使用して、ターゲット・プロパティを設定することもできます。詳細は、Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。set_target_property_valueの実行時に、ターゲット・プロパティの以前の値は上書きされることに注意してください。階層を作成する前にターゲット・プロパティを設定した場合は、階層が作成された後でグループに追加されます。EM CLIを使用して設定されたプロパティを持つターゲットは、適切な管理グループに自動的に追加されます。ただしターゲット・プロパティは、管理グループ階層が作成された後で設定されます。
ターゲット数が少ない場合、Enterprise Managerコンソールで直接ターゲット・プロパティを変更できます。
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Enterprise Managerのターゲット・オプションのメニューから、「ターゲット設定」、「プロパティ」の順に選択します。
-
ターゲット・プロパティ・ページで、「編集」をクリックしてプロパティ値を変更します。
管理グループ条件として使用される適切なターゲット・プロパティ値を指定するときには、ページ上部の指示に注意してください。
-
ターゲット・プロパティを設定したら、「OK」をクリックします。
ターゲットの数が多い場合は、Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース(EM CLI)のset_target_property_value
動詞を使用して一括更新を実行することをお薦めします。EM CLI動詞の詳細は、『Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイド』を参照してください。
管理グループは権限伝播です。管理グループでユーザー(またはロール)に付与した権限は、管理グループのすべてのメンバーに対して自動的に適用されます。たとえば本番管理グループのOperator権限をユーザーまたはロールに付与すると、そのユーザーまたはロールは、その管理グループのすべてのターゲットで自動的にOperator権限を持つことになります。管理グループは常に権限伝播であるため、管理グループに追加される集約ターゲットにも権限伝播されるはずです。
ノート:
集約ターゲットは、他のメンバー・ターゲットを含むターゲットです。たとえばクラスタ・データベース(RAC)は、RACインスタンスを持つ集約ターゲットです。
権限伝播グループは集約ターゲットのよい例です。詳細は、「グループの管理」を参照してください。
いつでも、「すべてのターゲット」ページを使用して、すべてのターゲットのプロパティを表示できます。ターゲット・プロパティを表示するには:
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「ターゲット」メニューから「すべてのターゲット」を選択し、すべてのターゲット・ページを表示します。
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「ビュー」メニューから、「列」、「すべて表示」の順に選択します。
-
また、特定のターゲット・プロパティを表示する場合は、「列」を選択してから「他の列も表示」を選択します。
ステップ3: テンプレート・コレクションの作成準備
テンプレート・コレクションには、ターゲットを管理グループに追加する際に適用するモニタリング設定およびその他の管理設定が含まれています。ターゲットのモニタリング設定はモニタリング・テンプレートに定義されています。モニタリング・テンプレートはターゲット・タイプごとに定義されるため、管理グループ内の異なるターゲット・タイプのそれぞれに対してモニタリング・テンプレートを作成する必要があります。おそらく、複数のモニタリング・テンプレートを作成し、管理グループに適したモニタリング設定を定義することになります。たとえば、本番データベース用のメトリック設定を定義するデータベースのモニタリング・テンプレートを作成し、それとは別に、本番ではないデータベース用の設定を定義するモニタリング・テンプレートを作成します。テンプレート・コレクションに追加されるその他の管理設定には、コンプライアンス標準およびクラウド・ポリシーがあります。テンプレート・コレクションに追加するエンティティのすべてがEnterprise Managerで正しく定義されていることを確認してから、テンプレート・コレクションに追加します。
次の図に示す階層のように、2つ以上のレベルで定義されている管理グループ階層の場合は、管理設定がどのように管理グループのターゲットに適用されるのかを理解することが重要です。

管理グループ階層内の各グループは、テンプレート・コレクション(モニタリング・テンプレート、コンプライアンス標準およびクラウド・ポリシーから構成される)と関連付けることができます。モニタリング設定を含むテンプレート・コレクションをProductionグループと関連付けている場合、そのモニタリング設定はProductionの下にあるFinanceおよびSalesサブグループに適用されます。Productionの下のFinanceグループに追加のモニタリング設定がある場合は、その追加のモニタリング設定のみを定義したモニタリング・テンプレートを作成できます。(後で、このモニタリング・テンプレートは別のテンプレート・コレクションに追加し、Financeグループに関連付けます)。Finance Template Collectionからのモニタリング設定は、Production Template Collectionからのモニタリング設定と論理的に結合されます。2つのテンプレート・コレクションに重複するメトリック設定が存在する場合は、Finance Template Collectionからのメトリック設定が優先され、Financeグループ内のターゲットに適用されます。この優先度のルールは、メトリック設定の場合にのみ適用されます。コンプライアンス標準ルールおよびクラウド・ポリシーの場合には、2つのテンプレート・コレクションに重複するコンプライアンス標準ルールおよびクラウド・ポリシーが存在したとしても、そのすべてがFinanceグループ内のターゲットに適用されます。
計画と準備のステップがすべて完了したら、管理グループの作成を開始できます。
管理グループおよびテンプレート・コレクションの実装
準備作業が終了したら、管理グループ階層とテンプレート・コレクションを作成するための4つのステップからなるプロセスを開始できます。管理グループのユーザー・インタフェースは、各タブに各ステップの実行に必要な操作が含まれており、作成プロセスを進められるように構成されています。
このプロセスには次の手順があります。
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管理グループ階層の作成
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モニタリング・テンプレートを作成します。
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テンプレート・コレクションの作成
-
テンプレート・コレクションの管理グループへの関連付け
-
選択した項目とのターゲットの同期化
次の図では、完成した管理グループ階層にテンプレート・コレクションが関連付けられています。Enterprise Managerは、これを使用してターゲット・モニタリング設定の適用を自動化します。

管理グループ階層の作成
次に示す4つの主要なタスクは、管理グループの作成プロセスをまとめたものです。タスクは、わかりやすいように、タブのページの順番に並べています。
ノート:
管理グループ階層を作成するには、「完全な任意のターゲット」および「権限伝播グループの作成」の両方のターゲット権限が必要です。
タスク1: 管理グループおよびテンプレート・コレクション・ページにアクセスします。
タスク2: 階層を定義します。
「階層」タブから、自身のターゲットを管理する方法に適した管理グループ階層を定義します。「階層の定義」を参照してください。
タスク3: テンプレート・コレクションを定義します。
「テンプレート・コレクション」タブから、ターゲットに適用するモニタリングおよび管理の設定を定義します。「テンプレート・コレクションの定義」を参照してください。
タスク4: テンプレート・コレクションを管理グループと関連付けます。
「アソシエーション」タブから、モニタリングおよび管理設定を適切な管理グループに結び付けます。「テンプレート・コレクションと管理グループの関連付け」を参照してください。
管理グループのホームページへのアクセス
管理グループのすべての操作は管理グループのホームページで実行します。

はじめにページで、関連情報を確認します。このページに記載されている情報は、この章で概説するステップを要約したものです。参考として、ターゲット・プロパティが表示できるEnterprise Managerのすべてのターゲット・ページをはじめ、適切な管理グループ機能へのリンクが記載されています。
階層の定義
このページで、それまでに計画しておいた組織の階層を反映する管理グループ階層を定義し、どのターゲット・プロパティをどの階層レベルに関連付けるかを定義します。
このページの左側には、「階層レベル」および「階層ノード」の2つの表があります。間接メンバーを含める/除外するドロップダウン・メニューもあります。

「階層レベル」表では、管理グループの階層を定義するターゲット・プロパティを追加できます。「階層ノード」表では、「階層レベル」表にあるターゲット・プロパティに関連付ける値を定義できます。ターゲット・プロパティを選択すると、「階層ノード」表の関連プロパティの値が使用可能になり、追加/削除/マージ/分割できます。「階層ノード」表のそれぞれの行は、1つの管理グループに対応しています。「Short値」列には自動生成のグループ名に使用される省略値名が表示されます。
「階層レベル」表では、管理グループ階層の各レベルを定義するターゲット・プロパティを追加できます。「階層ノード」表では、「階層レベル」表にあるターゲット・プロパティに関連付ける値を定義できます。階層ノード表の各行は、そのレベルの管理グループ階層のノードまたはグループに対応します。階層レベル表のターゲット・プロパティを選択すると、「階層ノード」表の関連プロパティの値が使用可能になり、追加/削除/マージ/分割できます。どちらかの値が、対応する管理グループのメンバーシップ基準として使用する必要がある場合は、2つ以上の値をマージする必要があります。「Short値」列には自動生成のグループ名に使用される省略値名が表示されます。
「間接メンバー」ドロップダウン・メニューには、間接メンバー・ターゲットを管理グループ階層の一部として含めるか除外するオプションがあります。間接メンバーの詳細は、「グループ・メンバー・タイプと同期化」(間接メンバー)を参照してください。
階層レベルの追加
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「管理グループ」ページの「階層」タブをクリックします。
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「階層レベル」表から、「追加」をクリックして使用可能なターゲット・プロパティのいずれかを選択します。プロパティ/レベルは、すべてのプロパティを同時に追加するのではなく、1つずつ追加する必要があります。
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「階層レベル」表で選択したターゲット・プロパティを使用して、「階層ノード」表に表示される値リストを確認します。階層ノード表のターゲット・プロパティの値です。
Enterprise Managerにより、ターゲット・プロパティのすべての既存の値が、すべてのターゲットから検索されて「階層ノード」表に表示されます。「ライフサイクル・ステータス」など、ターゲット・プロパティによっては事前定義済のプロパティ値が存在し、それが自動的に「階層ノード」表に表示されます。管理グループのメンバーシップ基準として使用されないターゲット・プロパティの値を選択して削除できます。ただし、まだ利用可能ではないが、管理グループのメンバーシップ基準として使用されるプロパティ値は、追加する必要があります。
次のステップは、プロパティ値の追加方法を示します。
-
「階層ノード」表から、「追加」をクリックします。様々なターゲットから検索した既存の値を含む、関連プロパティの値の追加ダイアログが表示されます。必要な値を選択します。複数の値は、カンマ区切りリストを使用して指定できます。たとえば、San FranciscoとZurichのように複数の場所を追加するには、「場所」ターゲット・プロパティを「階層レベル」表に追加します。「場所」を選択し、「階層ノード」表で「追加」をクリックします。「階層ノードの値」ダイアログが表示されます。次の図に示すように、「San Francisco,Zurich」と入力します。
管理グループ階層の上限の拡張
管理グループ基準としてターゲット・プロパティをサポートできる値の数にはデフォルトの上限があります。この上限値に達したことを示す警告メッセージが表示された場合、OMSプロパティのadmin_groups_width_limitを使用して上限値を増やすことができます。ターゲット・プロパティをサポートする必要がある値の最大数を指定します。たとえば、管理グループ条件で使用されるターゲット・プロパティに30個までの値をサポートするには、(OMS
emctl
ユーティリティを使用して) admin_groups_width_limitを次のように設定します:emctl set property -name admin_groups_width_limit -value 30 -module emoms
また、管理グループ階層のルート・ノードの下にレベルを4つまで追加できます。さらにレベルを追加する必要がある場合、まずOMSのadmin_groups_height_limitプロパティを最大高さ制限まで変更する必要があります。たとえば、ルート・ノードの下にレベルが5つある管理グループ階層を作成する場合、(OMS emctlユーティリティを使用して) admin_groups_height_limitプロパティを次のように設定します:
emctl set property -name admin_groups_height_limit -value 5 -module emoms
これはグローバル・プロパティであり、任意のOMSのemctlユーティリティを使用して1回だけ設定する必要があります。これはまた動的プロパティであり、有効にするためにOMSを停止/再起動する必要がありません。
「作成」をクリックします。次の図に示すように、「プレビュー」ペインに、2つの場所「San Francisco」および「Zurich」がノードとして表示されます。状況によっては、複数のプロパティ値を1つとして扱うと便利な場合があります。ターゲットは異なるターゲット・プロパティ値を持つ場合がありますが、同じモニタリング・プロファイルおよび設定を持つために、同じ管理グループに属する必要があります。たとえば、次のようなライフサイクル・ステータスのプロパティには、値の組合せが必要です。
- 本番グループ: 基準がライフサイクル・ステータス=基幹または本番に基づいている場合
- 非本番グループ: 基準がライフサイクル・ステータス=開発、テスト、ステージングに基づいている場合
この状況では、2つのライフサイクル・ステータスのプロパティをマージ(1つのノードに結合)する必要があります。
プロパティ値をマージするには:
-
「階層レベル」表から選択したプロパティのリストから、ターゲット・プロパティを選択します。関連するプロパティ値が表示されます。
-
[Shift]キーを押しながら必要な値をクリックして複数のプロパティ値を選択します。
-
「マージ」をクリックします。
- 「間接メンバー」ドロップダウン・メニューから、間接メンバー・ターゲットを管理グループの一部として含めるか除外するかを選択します。間接グループ・メンバーの詳細は、「グループ・メンバー・タイプと同期化」(間接メンバー)を参照してください。
-
グループ階層が完成するまで階層レベルの追加を繰り返します。管理グループ階層に対して行う変更は、「プレビュー」ペインに動的に表示されます。
-
グループのタイムゾーンを設定します。
-
グループ名をクリックします。「管理グループの詳細」ダイアログが表示され、適切なタイムゾーンを選択できます。
管理グループのタイムゾーンは、グループ・チャートの表示や、グループのスケジュール操作にも使用されます。これはこのグループ下に作成できるすべてのサブグループのデフォルトのタイムゾーンでもあるため、サブグループを作成する前に、管理グループ階層の最上位レベルでタイムゾーンを指定する必要があります。子のサブグループを作成すると、親グループのタイムゾーンが使用されますが、ユーザーはいつでも子のサブグループを選択してタイムゾーンを変更することができます。
自動生成の名前も変更できます。
-
-
「作成」をクリックして階層を定義します。
ノート:
「作成」をクリックする前に、すべての階層を定義して確認します。
管理グループ階層を作成した後でも、今後組織のニーズが変更された場合に更新できます。たとえば、グループのメンバーシップ基準のプロパティ値を追加/削除して、特定レベルの追加管理グループを作成/削除します。前述の例を使用し、San FranciscoおよびZurichに加え、別の場所、たとえばNew YorkおよびBangaloreを追加するには、「階層ノード」表で「追加」をクリックし、次の図に示すように場所を追加します。管理グループ階層の変更の詳細は、「管理グループ階層の変更」を参照してください。「更新」をクリックして変更を保存します。
テンプレート・コレクションの定義
テンプレート・コレクションは、管理グループ内のターゲットに適用するために集められたモニタリング/管理設定です。複数のモニタリング・テンプレートを、またそれも管理グループに関連付けられているテンプレート・コレクションに追加できます。しかし、テンプレート・コレクション内の特定のターゲット・タイプのために保持できるモニタリング・テンプレートは1つのみです。モニタリング・テンプレートには、管理グループ内のターゲット用のメトリック設定の完全なセットを定義します。管理グループ内のそれぞれのターゲット・タイプごとに1つのモニタリング・テンプレートを作成します。たとえば、データベース用の1つのテンプレートとリスナー用の1つのテンプレートが含まれるテンプレート・コレクションは作成できますが、データベース用の2つのテンプレートが含まれるテンプレート・コレクションは作成できません。直接メンバー・ターゲットが管理グループに追加されると、テンプレートのモニタリングおよび管理設定が自動的に適用されます。テンプレートは、ターゲットのすべてのメトリック設定を完全に置き換えます。このことは、テンプレートを適用するとターゲットのメトリック設定(しきい値、修正処理、収集スケジュール)が上書きされ、ターゲットに存在し、テンプレートには含まれないメトリックのしきい値は削除されることを意味します。しきい値を削除すると、このようなメトリックのアラート機能が使用できなくなります。メトリック・データは引続き収集されます。
テンプレート・コレクションは、3つのタイプのモニタリング/管理設定カテゴリで構成される場合があります。
-
モニタリング・テンプレート(モニタリング設定)
-
コンプライアンス標準(コンプライアンス・ポリシー・ルール)
-
クラウド・ポリシー(仮想マシンまたはスケール・アウト・クラスタを起動するタイミングの決定などのクラウド・ポリシー)
ノート:
これらのモニタリング/管理設定は、間接メンバーには適用されません。直接メンバーと間接メンバーの詳細は、「グループ・メンバーのタイプと同期化」を参照してください。テンプレート・コレクションを作成する場合、Enterprise Managerに用意されているデフォルトのモニタリング・テンプレート、コンプライアンス標準またはクラウド・テンプレートを使用することも、独自に作成することもできます。詳細は、「モニタリング・テンプレートの使用」を参照してください。
テンプレート・コレクションを作成するには:
ノート:
既存のテンプレート・コレクションを編集する場合、「取消」をクリックすることにより、編集セッションで行った変更を元に戻すことができます。これにより、テンプレート・コレクションが最後に保存された状態に戻されます。
必要な権限
テンプレート・コレクションを作成するには、「テンプレート・コレクションの作成」リソース権限が必要です。モニタリング・テンプレートをテンプレート・コレクションに追加するには、少なくとも特定のモニタリング・テンプレートの「表示」権限か、または任意のモニタリング・テンプレートを表示し、それをテンプレート・コレクションに追加できる「モニタリング・テンプレートの表示」権限が必要です。次の表に、テンプレート・コレクションの作成に関連するすべてのEnterprise Manager操作に必要な権限を要約しています。
Enterprise Managerの操作 | 最小の権限要件 |
---|---|
管理グループ階層を作成します。 |
完全な任意のターゲット 権限伝播グループの作成 |
モニタリング・テンプレートを作成します。 |
モニタリング・テンプレートの作成 |
テンプレート・コレクションを作成します。 |
テンプレート・コレクションを作成します(リソース権限)。 テンプレート・コレクションに追加するモニタリング・テンプレートの表示 または 任意のモニタリング・テンプレートを表示します(リソース権限)。 |
コンプライアンス標準の作成 |
コンプライアンス・エンティティの作成 コンプライアンス標準の表示には権限不要 |
クラウド・ポリシーの作成 |
任意のポリシーの作成 クラウド・ポリシーの表示 |
テンプレート・コレクションを管理グループに関連付けます。 |
特定のテンプレート・コレクションを表示します。 グループでターゲット・メトリックを管理します。 |
オンデマンド同期化の実行 |
グループのOPERATORまたはターゲット・メトリックの管理。 |
グローバル同期スケジュールの定義 |
Enterprise Managerのスーパー管理者権限 |
ターゲットのターゲット・プロパティの値の設定(ターゲットの管理グループへの「参加」を許可する)。 |
特定のターゲットのターゲットの構成 |
管理グループ階層を削除します。 |
完全な任意のターゲット |
修正処理の資格証明
修正処理は、メトリック・アラートに応答して実行される自動化タスクです。修正処理がモニタリング・テンプレートまたはテンプレート・コレクションの一部である場合、修正処理を実行するために必要な資格証明は、テンプレートの適用方法に応じて異なります。
次の2つの状況は、異なる資格証明要件を示します。
-
修正処理が、ターゲットに手動で適用されるモニタリング・テンプレートの一部である場合。
修正処理では、実行時に次のいずれかを使用できます。
-
テンプレートを適用するユーザーの優先資格証明
または
-
ユーザー指定の名前付き資格証明
ユーザーは、テンプレートの適用操作中に目的の資格証明オプションを選択します。
-
-
修正処理が、管理グループに関連付けられたテンプレート・コレクション内のモニタリング・テンプレートの一部である場合。
修正処理が実行されると、テンプレート・コレクションを管理グループに関連付けているユーザーの優先資格証明が使用されます。
テンプレート・コレクションと管理グループの関連付け
1つ以上のテンプレート・コレクションを定義した後、階層内の管理グループにこれらを関連付ける必要があります。1つのテンプレート・コレクションを1つ以上の管理グループに関連付けることができます。原則として、テンプレート・コレクションは、そのテンプレート・コレクションがすべてのサブグループにあるターゲットにも適用されるように、階層の最高レベルにある適用可能な管理グループに関連付けます。
「アソシエーション」ページに、現在の管理グループの階層ダイアグラムが表示されます。階層内の各管理グループは1つのテンプレート・コレクションにのみ関連付けることができます。
管理グループへのテンプレート・コレクションの関連付け
ノート:
すべての管理グループでの「表示」権限を持たないユーザーは、グループ・ページ(「ターゲット」メニューから「グループ」を選択)から関連付けおよび関連付けの解除を実行することもできます。
ノート:
テンプレートがグループに適用される際、関連付けを行う管理者のターゲット権限が使用されます。管理者は、少なくともグループの「ターゲット・メトリックの管理」権限が必要です。
ノート:
階層内の下位レベルで適用されるモニタリング・テンプレートからの設定により、上位レベルから継承された設定が上書きされます。これは、コンプライアンス標準またはクラウド・ポリシーには適用されません。
コンプライアンス標準ルール
コンプライアンス標準ルールが管理グループ階層の異なる場所にある異なるテンプレート・コレクションで定義されている場合、階層のすべてのレベルにわたるすべてのテンプレート・コレクションのコンプライアンス標準ルールの結合が使用されます。
管理グループの検索
管理グループのUIはナビゲートが容易ですが、管理グループ階層が非常に大きいために、個別のグループを見つけるのが難しい場合もあります。アソシエーション・ページの右上隅に、大きな階層で非常に簡単にグループを見つけることができる検索機能があります。
図10-1 管理グループの「検索」ダイアログ

特定の管理グループを検索するには、次の手順に従います。
図に示すとおり、検索条件に一致する管理グループのリストが検索結果に表示されます。リストのエントリをダブルクリックして管理グループを選択できます。次に、管理グループ階層の、ルート・ノードから選択したグループまでを垂直に切り取ったもの(サブセット)が表示されます。
図10-2 管理グループの検索: グラフ表示

管理グループ階層全体を復元するには、「クリア」をクリックします。
グループ名および検索
特定の管理グループの検索を効率的に実行するために、Enterprise Managerでの管理グループ名の作成方法を知っておくと役に立ちます。Enterprise Mangerでは管理グループ条件を使用して名前を生成します。たとえば、次の条件の管理グループがあるとします。
-
ライフサイクル・ステータス: 「開発」または「基幹」
-
部門: DEV
-
ライン・オブ・ビジネス: 会計またはHR
-
場所: バンガロール
Enterprise Managerは切り捨てられた略称に基づいてグループ名を組み立てます。この例では、生成されたグループ名はDC-DEV-FH-Bang-Grpです。
階層を構築すると、各値に関連する略称(階層ノード表のプロパティ値の横にあるShort値列)を変更できます。したがってShort値を指定でき、Enterprise Managerは、作成されたサブグループに新しい名前を付ける際にその値を使用します。
管理グループの設計フェーズでは、カスタム名を指定するオプションがあります。しかし、多数のグループがある場合、Enterprise Managerで一意の名前を生成する方が容易です。
グローバル同期スケジュールの設定
テンプレート・コレクション/管理グループの対応付けを適用するため、グローバル同期スケジュールを設定する必要があります。このスケジュールは、管理グループ内のターゲットにテンプレートを適用するような、同期化操作の実行に使用されます。同期スケジュールが設定されていない場合、管理グループにターゲットを追加すると、Enterprise Managerが関連するテンプレートを自動的に適用します。ただし後でテンプレートを変更すると、Enterprise Managerでは同期スケジュールに基づいてこれらを適用するのみで、そうでない場合は、これらの処理が保留されます。保留の同期操作がある場合、これらは同期スケジュールに基づいて、次に使用可能な日時にスケジュールされます。
ノート:
デフォルトの設定がないため、同期スケジュールを設定する必要があります。週末など、ピーク以外の時間を指定できます。
同期スケジュールを設定するには:
テンプレート・コレクションが同期化されるタイミング
次の表は、管理グループ内のターゲットで、いつテンプレート・コレクションの同期化操作(適用操作など)が発生するのかをまとめています。
アクション | 同期化のタイミング |
---|---|
ターゲットが管理グループに追加される(ターゲット・プロパティの設定による) |
管理グループへの加入により即時に発生します。 |
テンプレート・コレクションが管理グループに関連付けられる |
管理グループ内のターゲットは、グローバル同期スケジュールでスケジュールされている次の日付に同期化されます。 |
テンプレート・コレクション内のいずれかのテンプレートに変更がある。 |
管理グループ内のターゲットは、グローバル同期スケジュールでスケジュールされている次の日付に同期化されます。 |
ターゲットが管理グループから削除される(ターゲット・プロパティの変更による)。 |
ターゲットのモニタリング設定は変更されません。 コンプライアンス標準およびクラウド・ポリシーとターゲットの関連付けは解除されます。 即時に同期化操作が発生します。 |
テンプレート・コレクションと管理グループの関連付けが解除される。 |
管理グループのすべてのターゲットに対するターゲットのモニタリング設定は変更されません。コンプライアンス標準およびクラウド・ポリシーとターゲットの関連付けは解除されます。 管理グループ内のターゲットは、グローバル同期スケジュールでスケジュールされている次の日付に同期化されます。 |
管理グループのホームページで、「同期ステータス」リージョンの「同期化の開始」ボタンをクリックして、ユーザーがオンデマンド同期化を実行する。 |
即時に同期化操作が発生します。 |
グループ・メンバーのタイプと同期化
管理グループのメンバー・ターゲットには、2つのタイプがあります。
-
直接メンバー: 管理グループの条件に一致するターゲット・プロパティを持つグループ・メンバー。関連付けられたテンプレート・コレクションからのモニタリング設定、コンプライアンス標準、クラウド・ポリシーが直接メンバーに適用されます。
直接メンバーのみが「同期ステータス」リージョンのターゲット数に表示されます。
-
間接メンバー: 管理グループ基準と一致しないターゲット・プロパティを持つターゲット。ただし、親ターゲットが管理グループの直接メンバーであるため、すでに管理グループに追加されています。集約ターゲット(つまり、メンバー・ターゲットを持つターゲット)が管理(または動的)グループに追加されるたびに、集約ターゲットのすべてのメンバーもデフォルトでグループに追加されます。集約ターゲットの例は、Oracle WebLogic Serverです。そのターゲットがグループに追加されると、そのプロパティがグループ基準を満たさない場合でも、そこにあるすべてのアプリケーション・デプロイメントのターゲットもグループに追加されます。間接グループのメンバーは、テンプレートの適用/同期操作に含まれません。
管理グループ階層を定義する場合は、「間接メンバー」ドロップダウン・メニューを使用して間接メンバー・ターゲットを含めるか除外するかを選択できます。この機能は、Oracle Enterprise Manager 13cリリース5更新10 (13.5.0.10)以降で使用可能です。
直接メンバーのみが「同期ステータス」リージョンのターゲット数に表示されます。
-
階層ダイアグラムから、グループ名をクリックして、そのグループのホームページにアクセスします。この情報には、すべてのターゲットグループ・ページからアクセスできます。
-
「グループ」メニューから、「メンバー」、表示メニュー・オプションの1つを順に選択します。
システム・ターゲットおよび管理グループ
システム・ターゲットが管理グループ条件に一致するために管理グループに追加された場合、システム・ターゲットとその構成メンバーも追加されます。しかし、テンプレートが目的を適用する際は、管理グループ条件に一致する直接メンバーのみを操作します。テンプレート適用操作は、ターゲット・プロパティが管理グループの条件に一致しないメンバー・ターゲットでは実行されません。ジョブやブラックアウトなどの他のグループ操作はすべて、直接および間接のすべてのメンバーに適用されます。
テンプレート・コレクションとグループの関連付けの解除
管理グループからテンプレート・コレクションの関連付けを解除するには、次の手順に従います。
- 「設定」メニューから、「ターゲットの追加」、「管理グループ」の順に選択します。管理グループのホームページが表示されます。
- 「アソシエーション」タブをクリックして、管理グループの階層ダイアグラムを表示します。
- 階層ダイアグラムから、削除するテンプレート・コレクションのある管理グループを選択します。必要に応じて「検索」オプションを使用して、管理グループを検索します。
- テンプレート・コレクションの関連付けの解除をクリックします。この操作により影響を受けるターゲット数が表示されます。「続行」または「取消」をクリックします。
テンプレート・コレクションが即時削除されます。詳細は、「階層の定義」の「テンプレート・コレクションが同期化されるタイミング」を参照してください。
集約(グループ管理)設定の表示
任意の管理グループについて、個別グループ・メンバーに関連付けられているテンプレート・コレクション・コンポーネント(モニタリング・テンプレート、コンプライアンス標準またはクラウド・ポリシーの同期(あるいはその両方))を簡単に表示できます。
ノート:
モニタリング・テンプレートでは、ターゲットの設定は、異なるテンプレート・コレクションからの2つ以上のモニタリング・テンプレートの統合となります。
管理グループ・ホームページの表示
通常グループと同じように、各管理グループには、同期ステータス、階層ビューアで選択されたグループ用の関連付けられたテンプレート・コレクション、ジョブ・アクティビティまたはクリティカル・パッチ・アドバイザなどのグループ・メンバー・ステータスまたはアクティビティ(あるいはその両方)の包括的概要を示すグループ・ホームページが関連付けられています。管理グループのホームページを表示するには、次の手順に従います。
- 階層ダイアグラムから、管理グループを選択します。
- 「グループ・ホームページに移動」をクリックします。その特定の管理グループのホームページが表示されます。
または、Enterprise Mangerの「ターゲット」メニューから「グループ」を選択します。その表から、グループの階層を開くことができます。
管理グループ階層の変更
組織が静的であることはまれで、新しい取扱商品が追加されたり、組織の拡張によってグループが再編成されたりする場合があります。これらの変更に対応するために、既存の管理グループ階層を変更する必要があることがあります。
Enterprise Manager 12c リリース12.1.0.3から、階層全体を再構築しなくても管理グループ階層を変更できるようになりました。各階層レベルへのグループの追加、2つ以上のグループのマージ、または階層全体のレベルの追加/削除など、管理グループの変更を容易に実行できます。これらの操作はすべて、階層ページから実行できます。

ノート:
管理グループ階層に変更を加えた後、「更新」をクリックして変更を保存してください。
新しい階層レベルの追加
新しい階層レベルの追加は、新しいターゲット・プロパティを管理グループ条件に追加することと同じです。このため、ターゲットが管理グループ階層の一部であり続けるためには、すべてのターゲットに対してこのターゲット・プロパティの値を設定する必要があります。新しく追加されたターゲット・プロパティまたは追加された階層レベルは、常に階層の最下位レベルとして追加されます。レベルとレベルの間に新しいレベルを挿入することはできません。
階層レベルを挿入するには、階層レベルを削除してから必要なレベルを追加します。レベルを削除するとその階層レベルに対応するグループも削除されるため、階層レベルを削除する前に慎重に検討してください。
新しいレベルを追加するステップの説明は、「階層の定義」の「階層レベルの追加」を参照してください。
階層レベルの削除
階層レベルの削除は、ターゲット・プロパティの削除と同じことであり、そのレベルのグループが削除されます。このため、階層レベルを削除したときに削除されるグループについて、特にこれらのグループがEnterprise Managerの他の機能領域で使用されているかどうか、慎重に検討してください。
階層レベルを削除するには:
- 「管理グループ」ページの「階層」タブをクリックします。
- 「階層レベル」表から、階層レベルを選択して「削除」をクリックします。
- 「更新」をクリックして変更を保存します。
それらのグループのいずれかに関連付けられたテンプレート・コレクションがある場合、削除されたグループのサブグループは関連付けられたテンプレート・コレクションからモニタリング設定を取得していたため、サブグループのモニタリング設定が影響を受けます。残りのテンプレート・コレクションを確認し、テンプレート・コレクションを適切な管理グループと再び関連付ける必要があります。
管理グループのマージ
2つ以上の管理グループをマージする場合、管理グループ階層定義で対応するターゲット・プロパティ条件をマージします。グループ・マージ操作は、マージするグループの1つを保持し、他のグループから保持するグループにターゲットを移動することで構成されます。ターゲットを移動すると、他のグループは削除されます。
対応するターゲット・プロパティ値を選択することによって、保持するグループを選択します。選択したターゲット・プロパティ値を条件の一部として含むグループは、保持されます。保持されるターゲット・プロパティ条件が複数のグループ(つまりサブグループを含むグループ)に対応する場合、ターゲットは最下位レベルの管理グループにのみ存在するため、ターゲットの移動は実際には最下位レベルの管理グループで発生します。上位レベルの管理グループの条件は、マージされた他のグループの条件を含むように更新されます。
グループをマージするには、次のようにします。
例
管理グループは次で構成されます:
階層レベル
-
ライフサイクル・ステータス
-
ライン・オブ・ビジネス
階層ノード
-
ライフサイクル・ステータス
-
開発
-
Mission Critical(基幹)またはProduction(本番)
-
Staging (ステージング)またはTest (テスト)
-
-
ライン・オブ・ビジネス
-
Online Store (オンライン・ストア)
-
Sales (販売)
-
Finance (会計)
-
次の図に管理グループ階層を示します。

モニタリング設定が同じであるため、Mission Critical(基幹)またはProduction(本番)グループをStaging(ステージング)またはTest(テスト)グループにマージするかどうかを判断します。
「階層レベル」表から「ライフサイクル・ステータス」を選択します。
「階層ノード」表からMission Critical(基幹)またはProduction(本番)とStaging(ステージング)またはTest(テスト)の両方を選択します。
「階層ノード」メニューから「マージ」を選択します。
「マージ値」ダイアログが表示されます。ここでは、保持されるグループの元の名前(Mission Critical(基幹)またはProduction(本番))を保持します。

マージを完了するために「OK」をクリックすると、結果の管理グループ階層が表示されます。Test-Salesグループのすべてのターゲットが、Prod-Salesグループに移動しました。Test-Salesグループは削除されました。Test-Financeグループのすべてのターゲットは、Prod-Financeグループに移動しました。Test-Financeグループは削除されました。

「更新」をクリックして変更を適用します。
管理グループの削除
管理グループ階層の全体を、または階層から個々の管理グループを削除できます。管理グループを削除すると、対応付けは削除されますが、ターゲットやテンプレート・コレクションは削除されません。保存されているすべてのメンバーシップ基準は削除されます。管理グループを削除すると、保存されているメンバーシップ基準もすべて削除されます。
管理グループ階層全体を削除するには、次の手順に従います。
-
「設定」メニューから、「ターゲットの追加」、「管理グループ」の順に選択します。
-
「階層」タブをクリックします。
-
「削除」をクリックします。
階層から個別の管理グループを削除するには、次の手順に従います。
- 「設定」メニューから、「ターゲットの追加」、「管理グループ」の順に選択します。
- 「階層」タブをクリックします。
- 「階層レベル」表から、削除する管理グループのある階層レベルに対応するターゲット・プロパティを選択します。
- 「階層ノード」表から、削除する管理グループ(メンバーシップ基準のプロパティ値)を選択します。
- ドロップダウン・メニューから「削除」を選択します。
- 「更新」をクリックします。