6 Exadata Warehouse

Exadata Warehouseは、Exadata Database MachineやZero Data Loss Recovery ApplianceなどのオンプレミスおよびクラウドベースのOracle Engineered Systemsから収集された詳細なパフォーマンス・メトリック・データのリポジトリとして機能するように、Enterprise Manager Cloud Controlを使用して設定します。

パフォーマンスおよび容量の分析と計画のために、履歴および予測データを長期保存するプラットフォームを提供します。

次の図は、構成の完了後にデータがどのようにExadata Warehouseに送られるか示しています。


Exadata Warehouseの概要図

ストレージ・サーバーやコンピュート・サーバーなどのExadataコンポーネントからのファイングレイン・データは、Autonomous Databaseにアップロードされます。Exadata Warehouseでは、履歴データに基づいて定期的な予測が生成されます。これは、問合せおよびエクスポートに使用できます。比較しやすいように、古い予測データ・ポイントが残されています。

Exadata Warehouseは指定されたAutonomous Database内に存在するため、Exadataシステムに対するデータ・アップロードが一時停止または終了された後でも、Exadata Warehouseにアップロードされたデータにはアクセスできます。

Exadata Warehouseの設定およびパフォーマンス・データの分析

Enterprise Manager Cloud Controlを使用してExadata Warehouseを設定する手順については、Exadata Warehouseを使用したOracle Enterprise Manager Engineered Systemsのパフォーマンス・データのエクスポートおよび分析(チュートリアル)を参照してください。

容量計画と予測の簡略化

Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Operations Insightsでは、Exadata Database MachineやZero Data Loss Recovery Appliance (ZDLRA)などのOracleエンジニアド・システムのモニタリングのためにExadata Warehouseがサポートされています。

Operations InsightsのExadata Warehouseの機能:

  • オンプレミスExadataプラットフォームで実行されているデータベースのリソース使用率を企業全体にわたり分析する

  • 履歴のトレンドに基づいてリソースの将来の需要を予測する

Exadata Warehouseの導入により、Exadataシステムのリソース使用率を分析して、新しいワークロードの予備容量を特定できます。この機能は、Enterprise Manager Cloud Control (EM) 13cリリース5更新7 (13.5.0.7)以上によって管理されているExadataシステムで使用できます。Exadata Warehouseの機能を使用するには、OCI Operations Insightsサービス・ライセンス・サブスクリプションが必要です

詳細は、Operations Insights: Exadataリソースの分析を参照してください。

ファイングレイン・メトリック収集と予測の主要機能:

  • 顧客のテナンシ内の顧客所有のAutonomous Databaseにメトリックを収集します

  • 分単位の粒度でファイングレイン・メトリック・データを格納します。メトリック当たり最大1,440のデータ・ポイントを提供します(使用可能な場合)。

  • Enterprise Managerを使用したExadataのモニタリングが中断されている期間に対応するために、メトリック・データをバックフィルします

  • 予測とロールアップが自動化され、定期的に更新されます

  • 季節モデルで機械学習を使用してデータを予測します

  • データの可用性に応じて、履歴データ9か月分を分析することで、今後最大3か月まで予測を生成できます

容量計画:

Exadata Warehouseでは、ASMクラスタ、Exadata Storage ServerおよびExadataコンピュート・ノードからメトリックが収集され、次の領域が対象範囲となります。

  • CPU/vCPUおよびメモリー使用率

  • 記憶域の使用状況

  • IOの容量、使用率およびパフォーマンス

  • ネットワーク・パフォーマンス

Exadata Warehouseによって収集されるデフォルトのメトリック:
ASMクラスタ Exadata Storage Server Exadataコンピュート・ノード Zero Data Loss Recovery Appliance。
  • ディスク・グループ物理領域(MB)
  • ディスク・グループ空き領域(MB)
  • ディスク・グループ使用率%
  • 安全に使用可能な領域の使用率%
  • 物理サイズ(MB)
  • サイズ(MB)
  • ディスク・グループ使用可能空き領域(MB)
  • 使用可能なディスク・グループ(MB)
  • 長い読取り/書込みのスループット
  • 短い読取り/書込みのスループット
  • 長い書込みのスループット
  • 短い書込みのスループット
  • I/O負荷
  • 大きい読取りリクエスト
  • 小さい読取りリクエスト
  • 大きい書込みリクエスト
  • 小さい書込みリクエスト
  • 長い読取りの平均レスポンス時間
  • 短い読取りの平均レスポンス時間
  • 長い書込みの平均レスポンス時間
  • 短い書込みの平均レスポンス時間
  • I/O使用率
  • フラッシュ・キャッシュ・サイズ
  • 使用されたフラッシュ・キャッシュ
  • スキャンの読取りスループット
  • スキャンのディスク・リダイレクト読取りスループット
  • ディスク・リダイレクト読取りスループット
  • ランダムI/Oの読取りIOPS
  • CPU使用率
  • メモリー使用率
  • ネットワーク読込み率
  • ネットワーク書込み率
  • 記憶域の場所の未使用領域(GB)
  • 記憶域の場所のサイズ(GB)
  • 記憶域の場所のリカバリ・ウィンドウ領域(GB)
  • 保護されたデータベースの数

Exadata Warehouseのアプリケーション:

  • Exadata Warehouseのメトリック・データを利用してOracle Analytics Cloudを介してレポートを作成し、履歴および予測の容量使用率とリソース使用率を可視化できます。

Exadata Warehouseのサンプル問合せ

問合せ1: 選択した期間における平均CPU使用率に基づく上位10個のExadataターゲット

この問合せを使用して、平均CPU使用率に基づいて上位10個のOracle Exadata Database Machineのリストを取得します。問合せは、パラメータとしてEM_IDおよび履歴期間(日数)を取得し、選択した履歴期間におけるCPU使用率を基準にして降順でソートされた最大10個のOracle Exadata Database Machineのリストを返します。

入力パラメータ:

  • EM_ID
  • 日数での履歴期間(6か月の場合は180など)
WITH cpu_usage_historical AS (
  SELECT
    em_id,
    target_name,
    target_type,
    mean_value v
  FROM
    XAWH_DAILY_METRIC_DATA
  WHERE
      em_id = :1
    AND target_type = 'host'
    AND metric_column = 'DS_CPUT'
    AND metric_name = 'xa_analytics'
    AND metric_time > SYSDATE - :2
    AND metric_time < SYSDATE
), targets_with_exadata_name AS (
  SELECT DISTINCT
    em_id,
    target_name,
    target_type,
    CONNECT_BY_ROOT target_name AS exadata_name
  FROM
    XAWH_TARGETS
  WHERE
    target_type = 'host'
  CONNECT BY PRIOR target_guid = parent_guid
             AND em_id = :1 START WITH ( parent_guid IS NULL )
)
SELECT
  t.exadata_name "Target",
  TRUNC(AVG(cpu_usage_historical.v),2) "Average CPU Usage"
FROM
  cpu_usage_historical,
  targets_with_exadata_name t
WHERE
    cpu_usage_historical.em_id = t.em_id
  AND cpu_usage_historical.target_name = t.target_name
  AND cpu_usage_historical.target_type = t.target_type
GROUP BY
  t.exadata_name
ORDER BY
  AVG(cpu_usage_historical.v) DESC
FETCH FIRST 10 ROWS ONLY;

サンプル出力:

指定された入力パラメータ:

  • EM_ID: 19102682514EE3FAAE6DC8AFB460EAC8
  • 日数での履歴期間: 365

出力:

ターゲット 平均CPU使用率
DBマシンsample1.example.com 29.08
DBマシンsample2.example.com 24.48
DBマシンsample3.example.com 14.52
DBマシンsample4.example.com 7.57
DBマシンsample5.example.com 3.68

問合せ2: IOPSが十分に利用されていないExadataターゲット

この問合せを使用して、次のメトリックに対して計算されたIOPS使用率に基づいて、十分に利用されていないOracle Exadata Database Machineの上位10個のリストを取得します:

1. Number of requests to read small blocks per second from a cell disk (CD_IO_RQ_R_SM_SEC)
2. Number of requests to read large blocks per second from a cell disk (CD_IO_RQ_R_LG_SEC)
3. Number of requests to write small blocks per second to a cell disk (CD_IO_RQ_W_SM_SEC)
4. Number of requests to write large blocks per second to a cell disk (CD_IO_RQ_W_LG_SEC)

問合せは、パラメータとしてEM_IDおよび履歴期間(日数)を取得し、選択した履歴期間におけるIOPS使用量が最も低いものを基準にして昇順でソートされた最大10個のOracle Exadata Database Machineのリストを返します。

入力パラメータ:

  • EM_ID
  • 日数での履歴期間(1年の場合は365など)
WITH iops_usage_historical AS (
  SELECT
    em_id,
    target_name,
    target_type,
    mean_value v,
    CASE
      WHEN KEY_PART_1 LIKE 'CD%' THEN
        'CD'
      ELSE
        'FD'
    END        disk_type
  FROM
    XAWH_DAILY_METRIC_DATA
  WHERE
      em_id = :1
    AND target_type = 'oracle_exadata'
    AND metric_column IN ( 'CD_IO_RQ_R_SM_SEC', 'CD_IO_RQ_R_LG_SEC', 'CD_IO_RQ_W_SM_SEC', 'CD_IO_RQ_W_LG_SEC' )
    AND metric_name = 'xa_analytics'
    AND metric_time > SYSDATE - :2
    AND metric_time < SYSDATE
), targets_with_exadata_name AS (
  SELECT DISTINCT
    em_id,
    target_name,
    target_type,
    CONNECT_BY_ROOT target_name AS exadata_name
  FROM
    XAWH_TARGETS
  WHERE
    target_type = 'oracle_exadata'
  CONNECT BY PRIOR target_guid = parent_guid
             AND em_id = :1 START WITH ( parent_guid IS NULL )
)
SELECT
  t.exadata_name "Target",
  t.target_name "Oracle Storage Server",
  disk_type "Disk Type",
  SUM(v) "Total IOPS"
FROM
  iops_usage_historical,
  targets_with_exadata_name t
WHERE
    iops_usage_historical.em_id = t.em_id
  AND iops_usage_historical.target_name = t.target_name
  AND iops_usage_historical.target_type = t.target_type
GROUP BY
  t.exadata_name,
  t.target_name,
  disk_type
ORDER BY
  AVG(iops_usage_historical.v) ASC
FETCH FIRST 10 ROWS ONLY;

サンプル出力:

指定された入力パラメータ:

  • EM_ID: 19102682514EE3FAAE6DC8AFB460EAC8
  • 日数での履歴期間: 365

出力:

ターゲット Oracle Storage Server ディスク・タイプ 合計IOPS
DBマシンsample4.example.com sample4adm09.example.com FD 14368.85
DBマシンsample4.example.com sample4adm11.example.com FD 14605.37
DBマシンsample4.example.com sample4adm10.example.com FD 15722.89
DBマシンsample3.example.com sample3adm02.example.com CD 8364.61
DBマシンsample3.example.com sample3adm01.example.com CD 9614.26
DBマシンsample1.example.com sample1adm03.example.com CD 26910.9
DBマシンsample3.example.com sample3adm02.example.com FD 27305.82
DBマシンsample2.example.com sample2adm06.example.com FD 222255.41
DBマシンsample2.example.com sample2adm04.example.com FD 222294.83
DBマシンsample2.example.com sample2adm05.example.com FD 222339.38

古いメトリック・データのパージ設定の構成

Exadata Warehouseに格納されたファイングレイン・データおよびロールアップ統計の量は、時間の経過とともに増加します。Exadata Warehouseから古いデータを定期的に削除するように設定を構成できます。

データ保存設定:

データ・タイプ デフォルト値(日数) 最小値(日数)

ファイングレイン・メトリック・データ

395 (13か月)

30 (1か月)

毎時ロールアップ・メトリック・データ

1460 (4年)

395 (13か月)

日次ロールアップ・メトリック・データ

2555 (7年)

395 (13か月)

診断データ

395 (13か月)

60 (2か月)

Exadata Warehouseのデータ保存設定のカスタマイズ

デフォルトの保存期間をオーバーライドするには、およびExadata Warehouse表の最新の保存設定を表示するには、EMジョブ・タイプExadata Warehouseの自動パージ設定を使用します。このジョブでは、ファイングレイン・データ、毎時ロールアップ・データ、日次ロールアップ・データおよび診断データの保存期間の値を指定できます。このタイプの新規ジョブを作成するには:

  1. Enterprise Manager Cloud Controlで、「エンタープライズ」「ジョブ」「アクティビティ」の順にクリックします。

  2. 「ジョブ・アクティビティ」ページで、「ジョブの作成」メニューからジョブ・タイプExadata Warehouseの自動パージ設定を選択し、「実行」をクリックします。

  3. 「一般」タブで、ジョブの名前を指定し、個別のターゲットまたは1つの複合ターゲット(グループなど)を追加します。

  4. 「パラメータ」タブで、ファイングレイン・データ、毎時ロールアップ・データ、日次ロールアップ・データおよび診断データの保存期間の値を指定します。これらはすべて日数で指定します。

  5. 「資格証明」タブで、資格証明について適切なオプションを選択します。

  6. 「スケジュール」タブで、ジョブをスケジュールします。

  7. 「アクセス」タブで、他のユーザーに付与する、このジョブへのアクセス権を定義または変更します。

  8. 「送信」をクリックします。

自動パージ・ジョブの詳細

自動パージ・ジョブを作成してデフォルトのパージ設定をオーバーライドした後には、そのジョブの表示や、その自動パージ設定の変更ができます。


新しいEMジョブ・タイプおよびパラメータが表示されています

それらのパラメータを変更せずにこのジョブを実行すると、現在の保存設定がこのジョブの出力に表示されます。