4 セッション診断機能の使用
セッション診断の概要
問題が識別された場合、セッション診断機能を使用することで、RUEIの豊富なデータ構造にドリルダウンし、WebサイトのビジターとWebサービス・クライアントに対する問題の影響を評価し、考えられる原因を直接把握することができます。
ノート:
完全なユーザー・セッションを再生するには、セッション記録を有効にする必要があります。 これについては、「リプレイ・ポリシーの制御」で説明しています。
エラー記録機能
RUEIでは、前述の情報に加えて、モニター対象のWebサイトのビジターがいつどのようなエラー・メッセージを受け取ったかを正確に追跡することもできます。 この機能を使用してアプリケーションの失敗を再現することで、Webページで不備や問題のある箇所を正確かつ早急に除去できます。
セッション・レポートの概要
ユーザー・セッションに関する情報は、セッション診断機能においてはユーザー・レコードとしてレポートされます。 情報は5分間隔でレポートされることを理解してください。 IPアドレスやユーザーIDなどのセッション関連プロパティは、実質的には5分間隔の最後に取得されたスナップショットです。 これらのプロパティの値はその5分間内では変動していた可能性がありますが、その期間の最後の値がレポートされます。
セッション診断の使用
必要な診断情報を検索する手順は、次のとおりです。
例4-1 セッション診断機能での機密情報のマスキング
前述のように、セッション診断機能での情報(ヘッダーやURL情報など)の表示または非表示は、適切なHTTPプロトコル項目のマスキング機能によって制御できます。 これについては、「コレクタのデータ保存ポリシーの定義」で説明しています。
例4-2 セッション診断のWebサービス
アプリケーションと同じセッションで重複するWebサービスを定義した場合、セッション・ページ情報の一部としてレポートされます。 例を図4-7に示します。
Webサービス・コールは、個別のページとしてではなく、ページの一部としてのみレポートできます。
例4-3 User IDs Within User Flow Diagnostics
ユーザー・フロー診断グループ内で、2つの追加のユーザーIDがレポートされます。 これらは表4-2で説明しています。
表4-2 ユーザー・フロー内のユーザーID
ユーザーID | 説明 |
---|---|
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ステップ遷移がページ・ビューで終了しなかったか(たとえば、ユーザーがアイドルになるなど)、エラーが外部または中断ページで発生しました。 |
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短期間にレポートされたエラーのバーストがありました。 |
ユーザー・セッションの再生
表示しているページの横に「リプレイ」アイコンがある場合には、それをクリックすると完全なユーザー・セッションを再生できます。 こうすることで、ビジターがセッション中に表示した各ページとレポートされたエラー・メッセージを確認できます。 例を図4-8に示します。
再生の詳細は、メイン・ウィンドウと同じサイズの新しいウィンドウに表示されます。 選択したユーザー・レコード内のページの「リプレイ」アイコンをクリックして表示されているページ履歴は、選択したページから開始します。
ページ表示の下のコントロールを使用して、ページ履歴をナビゲートできます。 「ページ情報」セクションには、現在表示されているページのロード満足度、キー・ページかどうか、およびエラーの有無が示されます。
ページ・イベントのレポート
表示されたページにHTTPフォーム要素が含まれる場合、フォーム要素とビジターの応答が「ページ・イベント」パネルにレポートされます。 名前のない要素は"NO_NAME_number"としてレポートされます(numberは名前のない要素ごと1つずつ増えます)。 非表示のフォーム要素もレポートされます。 フォーム要素に対するビジターの応答は、セッション・ページ表示履歴の次のページのリクエスト本文から導出されることに注意してください。 したがって、ビジターが、リクエスト・ページとレスポンス・ページの間で別のページにコンテキストを切り替えた場合、ユーザーの応答は抽出できずレポートされません。
図4-8の下部のステータス・バーには、セッション・ユーザーID、ページごとに記録されたタイムスタンプ、ロード時間、オブジェクト数に関する情報が表示されます。また、静的ページの場合には、レポートされたページがライブ・ソース(アプリケーション・サーバーなど)から取得されていることも示されます。
ページ・コンテンツの表示
ツールバーの「HTTPコンテンツ」コマンド・ボタンを使用すると、現在選択されているページの実際のリクエスト・コンテンツとレスポンス・コンテンツを表示できます。 例を図4-9に示します。
外部JavaScriptファイルは、ページ・コンテンツ内のリンクをクリックして表示することもできます。 このようなファイルのレポートされるコンテンツは、ライブ・ソース(たとえばアプリケーション・サーバー)から取得されます。
静的ページ・コンテンツの表示
表示される表示履歴でページの横に「リプレイ」アイコンがない場合は、ページのコンテンツがないことを意味します。 これは、データ保存制限のために情報が期限切れになったため、または表示したページが静的ページだったためです。 静的ページの場合は、静的ページのコンテンツを表示できます。表示履歴で静的ページの直前または直後のページをハイライト表示し、そのページから静的ページのコンテンツを表示します。
静的ページのオブジェクトについてレポートされるコンテンツは、ライブ・ソースから取得されることに注意してください。 このため、なんらかの理由でライブ・ソースが使用できないと、ページのコンテンツが正しくレポートされないことがあります。 また、データ・マスキングやJavaScript実行ルールは、ライブ・ソースから取得されるページ・コンテンツには適用されません。 ページ・コンテンツは現状のままで表示されます。 クライアントで静的ページがキャッシュされていた場合は、任意のセッションに関する以前の完全なページ・フェッチがプレビューに使用されます。 したがって、監視対象のWebサイトの構成によっては、ビジターが実際にページを表示した後に変更された可能性があります。 たとえば、最新の株式相場をリストするページなどです。 ライブ・ソースのデータがレポートされるときは、「リプレイ」ステータス・バーに示されます。
Replay ViewerでのJavaScriptの実行
ビジターが表示したページに、インラインJavaScriptコードが含まれることがあります。 アプリケーション定義機能を使用して、このJavaScriptコードの実行を再生機能でどのように扱うかを指定できます。 これについては、「JavaScriptリプレイ実行の制御」で詳しく説明します。 また、スイート(SiebelおよびPeopleSoftなど)では、Replay Viewerでのレポートを最適化するJavaScriptの実行ルールが事前構成されていることに注意してください。
RIAベース・アプリケーション
リッチ・インターネット・アプリケーション(RIA)・フレームワーク(Ajaxなど)を使用するアプリケーションは、再生機能が低下する場合があります。
Microsoft Excelへのセッション・ページのエクスポート
現在選択しているセッション内のページのサマリーをMicrosoft Excelにエクスポートできます。 これを行うには、次を実行します:
エクスポートされたページ表示履歴とセッション・サマリーを使用して、一連のリアルユーザー・セッションをまとめることができます。 たとえば、テストまたはパフォーマンス分析のベースとして使用できます。
例4-4 行作成および順序付けの制御
Microsoft Excelエクスポートで表示される行(および順序)は、現在選択されているセッション診断ディメンション・テンプレートに基づいていることに注意してください。 これについては、「セッション診断でのディメンション・リストの制御」で説明しています。
すべてのセッション情報のエクスポート
セッション情報の表示だけでなく、完全なセッション・コンテンツを外部ユーティリティにエクスポートして、詳しい分析や他のデータとの統合を行うことができます。 たとえば、この方法を利用すると、完全なリアルユーザー・セッションに基づいてテスト・スクリプト生成を行うことができます。 Oracle Application Testing Suite(ATS)などのテスト・プラットフォームを構成すると、アプリケーションで最もよく発生する使用シナリオに対して自動テスト・スクリプトを簡単に生成できます。
また、この機能を使用して高性能の根本原因分析をサポートすることもできます。 アプリケーションまたは運用のスペシャリストに完全なユーザー・セッション情報を提供することができ、珍しい問題や切り分けにくい問題を特定するために役立ちます。 エクスポートされたデータの機密情報は、HTTPプロトコル項目のマスキング機能で定義される動作に応じてマスキングされます。 これについては、「ユーザー情報のマスキング」で説明しています。
セッション情報をエクスポートする手順は、次のとおりです。
例4-5 重要
セッション・エクスポート・ファイルを正しく作成するためには、次の点を確認する必要があります。
-
エクスポートされたセッションは、フル・セッション・リプレイ( FSR)設定よりも古くありません(「コレクタのデータ保存ポリシーの定義」を参照)。
-
URLプレフィクスのマスキング設定が完全ロギングに指定されている(「リプレイ・ポリシーの制御」を参照)。
また、エクスポートされたコンテンツ・ファイル(次の項を参照)が存在することを確認してから、エクスポートされたRUEIセッションを外部ユーティリティにインポートすることをお薦めします。
例4-6 エクスポートされるデータの構造の理解
エクスポートされるセッションのzipファイルには次のファイルが含まれます。
-
data.tab
: コレクタのログ・ファイルから抽出された、選択したセッションの直接(RAW)ヒット情報が含まれます。 -
page.tab
: 選択したセッションの直接(RAW)ページ情報がコレクタのログ・ファイルから抽出されます。 -
content_
hitno
.tab
: 指定されたヒットの完全な(RAW)コンテンツ情報が含まれます。data.tab
ファイル内のコンテンツを含む各ヒットに対して1つのファイルがあります。 たとえば、3番目のヒットと6番目のヒットにコンテンツがある場合には、2つのファイルcontent_3.tab
とcontent_6.tab
が作成されます。 ヒット・ファイルの例を図4-12に示します。ファイルの最初の行(ここでは589 68 313 221)には4つの整数が含まれ、それぞれがリクエスト・ヘッダー、リクエスト本文、レスポンス・ヘッダー、レスポンス・本文の長さ(バイト単位)を表します。 また、このファイルでユーザーのパスワードがマスキングされている方法にも注意してください。
ヒット・ファイルで指定されたファイルの表示可能なバージョンは、
content_viewer
ディレクトリでも使用できます。 これは、チャンク化されたエンコーディングで転送されたデータをすぐに表示できることを意味します。 ファイル名には、data.tab
ファイルと同じhitno
が使用されます。 -
index.html
: 開発者およびRUEI外部のその他の関係者が、セッション診断機能内に表示されるセッション詳細を表示して分析でき、ソース、ページ、オブジェクトの詳細および要素識別にアクセスできます。
ノート:
エクスポート・セッション・ファイルを作成する基礎として使用されるログ・ファイルも、RUEIによって内部で使用されます。 これらのファイルの形式と内容は予告なしに変更される場合があります。
ノート:
Internet Explorer内で、セキュリティ設定によっては、セッション・エクスポート・ファイルを開くと、ActiveXコントロールが無効であることを示す警告を受信する場合があります。
セッション診断におけるディメンション・リストの制御
特定のページ、アクションおよびカスタム・ディメンションの値が、「セッション診断」ウィンドウの「セッション」アクティビティ・パートに表示されます。 必要な場合には、レポートされる値ごとに、関連するディメンション・レベルが表示されるマウスオーバー・テキストを使用できます。 例を図4-13に示します。
システム・テンプレートとユーザー・テンプレート
アプリケーションとスイートでレポートされる特定のディメンションとその順序は、テンプレートによって制御されます。 テンプレートには、システムとユーザーの2種類があります。 システム・テンプレートは製品インストールに含まれています。 変更できるのは、リストされるディメンションの順序のみです。 システム・テンプレートを変更できるのは管理者のみで、システム・テンプレートに対する変更はすべてのシステム・ユーザーに適用されます。 ユーザー・テンプレートは、個々のユーザーがそれぞれの要件に応じて変更できます。 ユーザーがテンプレートを変更するには、セッション診断へのアクセスを許可される必要があります。
ディメンション・テンプレートの変更
ディメンション・テンプレートを変更するには、次の手順を実行します。
例4-7 テンプレートの適用方法の理解
セッション診断で報告される各ページ・ビューには、アプリケーション・タイプが関連付けられています。 これを使用して、適切なディメンション・テンプレートが自動的にロードされます。 ユーザー・テンプレートまたはシステム・テンプレートに対する変更がある場合には、開いている「セッション診断」ウィンドウに適用されます。
外部ツールへのクリックアウトの構成
URL診断グループ(「問題分析グループ」を参照)、スイート診断グループ(「問題分析のスイートURL診断」を参照)、およびセッション診断(「セッション診断の概要」を参照)では、選択された機能URLsおよび特定のディメンションから外部診断ユーティリティへのクリック・アウトがサポートされます。 サポートされている外部ユーティリティを表4-3に示します。
表4-3 クリックアウト・オプション
ユーティリティ | 説明 |
---|---|
インストールされているOracle Enterprise Managerミドルウェアおよびアプリケーション管理パックによって異なりますが、次のオプションが使用できます。
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EBS |
ユーザーがEBSプラグイン内のサーバー概要またはユーザー検索機能を参照できるようにします。 オプション:
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Siebel |
ユーザーがSiebelプラグイン内のサーバー概要またはユーザー検索機能を参照できるようにします。 オプション:
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JD Edwards |
ユーザーにJD Edwards EnterpriseOne Server Managerコンソールを表示し、セッション・ユーザーに関連付けられたすべてのユーザー・アクティビティに関する情報を提供します。 オプション:
この機能を使用するには、RUEIでJSESSIONID CookieをプレーンCookieとして記録する必要があります。 この設定が正しいことを確認するには:
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Oracle Customer Services Webサイト(My Oracle Support)で、レポートされた特定のエラーに関する関連情報を検索します。 たとえば、ORA-12154またはSBL-UIF-00271などについて検索します。 オプション:
この機能を使用するには、My Oracle Supportに登録している必要があります。 詳細は次のサイトを参照してください。
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脚注 2
ECIDは、Oracle Application Serverアーキテクチャを介して移動するリクエストを追跡するために使用されるリクエスト・ヘッダーです。 特に診断に役立ちます。
クリックアウト機能の構成
RUEIからこれらのユーティリティへのアクセスを構成する手順は、次のとおりです。
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「構成」タブ→「一般」→「詳細設定」→「クリックアウト設定」の順に選択します。 このオプションを使用できるのは管理者のみです。 「新規アイテムの追加」または既存の外部ユーティリティ定義をクリックします。
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「クリックアウト・ツール」メニューを使用して、インタフェースを構成する外部ユーティリティを選択します。 サポートされているユーティリティは「表4-3」に表示されます。ダイアログ内で使用可能なその他のフィールドは、選択したユーティリティによって異なります。
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「ホスト」フィールドを使用して、選択した外部ユーティリティにアクセスする方法を指定します。 プロトコル・スキーム(
http://
など)は含めないでください。 例:your-em-instance.oracle.com
。 -
「ポート」フィールドを使用して、目的のポート番号を指定します。 指定できるポート番号は1つのみです。 ワイルドカード文字(*)は指定できません。
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「拡張子」入力フィールドを使用して、クリックアウトを行えるオブジェクト・ファイルの拡張子を指定します。 「追加」ボタンを使用して、追加の拡張子を指定します。 「拡張子なしも許可」チェック・ボックスを使用すると、ファイル拡張子が関連しないヒットについてクリックアウトを可能にするかどうかも指定できます。
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「拡張」タブをクリックし、「プロトコル」フィールドを使用して、選択したユーティリティとの接続にHTTPとHTTPSのどちらを使用するかを指定します。 デフォルトでは、HTTPが使用されます。
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「正規表現」フィールドと「置換」フィールドを使用して、置き換えられる外部アプリケーションに渡すURLの一部を指定します。 正規表現の使用の詳細は、My Oracle Support Webサイト内のナレッジ・ベースの記事から入手できます。 これは次の場所から入手できます。
https://support.oracle.com/CSP/ui/flash.html
次に、「保存」をクリックします。 これらの設定への変更は即座に適用されます。
アプリケーションおよびスイートの構成
目的のアプリケーションごとに、クリックアウトをサポートする機能URLを指定します。 これについては、「問題分析グループ内のレポートの制御」で説明しています。
Siebelスイートの場合、クリックアウト機能を使用するためには、エンタープライズ名をスイートの構成に含めて指定する必要があります。 これについては、「スイートの使用」で説明しています。
定義されたエンタープライズ名は、適切なスイートを選択し、「拡張」タブ、「Enterprise Manager」タブの順にクリックして特定できます。 例を図4-15に示します。
クリックアウト機能へのアクセス
データ・ブラウザ項目のクリックアウト機能は、項目のコンテキスト・メニューから選択できます。 使用できる正確なオプションは、データ・ブラウザ・グループ、選択したディメンション、および定義されたクリックアウト設定によって異なります。
ビジネス・アプリケーションの監視
Oracle Enterprise Manager内にビジネス・アプリケーション・ターゲットを作成して監視すると、アプリケーション・パフォーマンス管理(Application Performance Management: APM)機能を実現できるため、ビジネスで重要なアプリケーションのパフォーマンスと可用性を最大限に高めることができます。 これらは、アプリケーションとビジネス・トランザクションの関係の直感的な表現と、基本のITインフラストラクチャを提供する管理対象ターゲットです。 これらのビジネス・アプリケーションを構成する、RUEIで監視されるコンポーネントにより、エンタープライズ間で情報が提供され、そのアプリケーションの構造、ステータス、可用性、依存性およびパフォーマンスの集中監視が容易になります。
脚注の凡例
脚注 1:ECIDは、Oracle Fusion Middlewareアーキテクチャを通じて移動するリクエストを追跡するために使用します。 これは、特に診断に役立ちます。