1. インストレーション、移行およびアップグレード・ガイド
  2. LinuxまたはUNIXでのTimesTen Classicのインストール
  3. Linux/UNIXでのインストール環境の作成

Linux/UNIXでのインストール環境の作成

インストール環境の作成の最初のステップは、TimesTen Classicをインストールするオペレーティング・システム・ユーザーを決定することです。このユーザーは、ディストリビューションを解凍してTimesTen Classicをインストールします。詳細は、ディストリビューション・メディアを参照してください。このユーザーはインスタンス管理者と呼ばれます。詳細は、インスタンス管理者を参照してください。

ノート:

ディストリビューションを解凍する(およびTimesTen Classicをインストールする)オペレーティング・システム・ユーザーの名前は、インスタンス管理者です。インスタンス管理者は、インスタンスを作成できる唯一のユーザーです。詳細は、TimesTenインスタンスおよびLinux/UNIXでのインスタンスの作成: 基本を参照してください。

1つのディストリビューション・ファイルがあります。

  • Linux 64ビットでは、別個のクライアントのみのインストール・ファイルはありません。たとえば、Oracle Linux for Intel and AMDリリース22.1.1.29.0の場合、ディストリビューション・ファイル名はtimesten2211290.server.linux8664.zip.ですこのファイルを解凍して、完全な製品またはクライアントをインストールします。インスタンスを作成するときに、クライアントのみのインスタンスを作成するために指定する修飾子があります。詳細は、Linux/UNIXでのインスタンスの作成: 基本を参照してください。

  • Linux 32ビットでは、クライアント・インストール・ファイルのみがあります。

この章の例では、Oracle Linux for Intel and AMDを使用していますが、Oracle Linux for Armを含むすべてのLinuxプラットフォームに当てはまります。

インスタンス管理者は、インスタンス管理者のプライマリ・グループ、インスタンス管理者のセカンダリ・グループ、またはインスタンス管理者のみからアクセス可能なインストール環境を作成できます。また、インスタンス管理者はインストールが成功したことを検証する必要があります。各項の内容は次のとおりです。

インスタンス管理者のプライマリ・グループからアクセス可能なインストール環境の作成

インスタンス管理者のプライマリ・グループからアクセス可能なインストール環境を作成するには、次のようにします。

  1. 適切なディストリビューション・ファイルを、適切なアクセス可能な場所に配置します。
  2. インストールのための目的のディレクトリを作成します。
  3. インストールのための目的のディレクトリにディレクトリを変更します。
  4. そのディレクトリにディストリビューションを解凍します。

Linuxでの次の例では、プライマリ・グループがtimestenであるttuser1が、/swdir/TimesTen/ttinstallersにあるディストリビューション・ファイルから完全インストールをfullinstallディレクトリ(現在のディレクトリのサブディレクトリ)に作成します。このインストール環境には、timestenのメンバーがアクセスできます。 

% mkdir fullinstall
% cd fullinstall
% unzip /swdir/TimesTen/ttinstallers/timesten2211290.server.linux8664.zip
[...UNZIP OUTPUT...]

インストールされたファイルの最上位レベルのディレクトリは、tt22.1.1.29.0のような書式になっています。

たとえば、このディレクトリはfullinstallの下に作成されます。 

dr-xr-x--- 19 ttuser1 timesten 4096 Mar  2 22:07 tt22.1.1.29.0

tt22.1.1.29.0ディレクトリには次のようなファイルが含まれています: 

dr-xr-x---  3 ttuser1 timesten    4096 Jun 15 22:07 3rdparty
dr-xr-x---  2 ttuser1 timesten    4096 Jun 15 22:07 bin
dr-xr-x---  3 ttuser1 timesten    4096 Jun 15 22:07 include
dr-xr-x---  2 ttuser1 timesten    4096 Jun 15 22:07 info
dr-xr-x---  2 ttuser1 timesten    4096 Jun 15 23:33 kubernetes
dr-xr-x---  3 ttuser1 timesten    4096 Jun 15 22:07 lib
dr-xr-x---  7 ttuser1 timesten    4096 Jun 15 22:07 plsql
dr-xr-x---  3 ttuser1 timesten    4096 Jun 15 22:07 ttoracle_home

timestenのメンバーはインスタンスにアクセスできます。timestenのメンバーではないユーザーは、このインスタンスまたはインストール環境から作成されたインスタンスにアクセスできません。

インスタンス管理者のセカンダリ・グループからアクセス可能なインストール環境の作成

インスタンス管理者のセカンダリ・グループからアクセス可能なインストール環境を作成するには、次のようにします。

  1. 適切なディストリビューション・ファイルを、適切なアクセス可能な場所に配置します。
  2. インストールのための目的のディレクトリを作成します。
  3. インストールのための目的のディレクトリにディレクトリを変更します。
  4. そのディレクトリにディストリビューションを解凍します。
  5. Linuxコマンドのchgrpを使用して、インストール環境の所有権を目的のグループに変更します。

次の例では、プライマリ・グループusersとセカンダリ・グループtimestenを持つttuser2が、/swdir/TimesTen/ttinstallersにあるディストリビューション・ファイルからfullinstall_secgrpディレクトリに完全インストール環境を作成します。ttuser2がchgrpコマンドを実行すると、このインストール環境にtimestenのメンバーがアクセスできるようになります。 

% mkdir fullinstall_secgrp
% cd fullinstall_secgrp
% unzip /swdir/TimesTen/ttinstallers/timesten2211290.server.linux8664.zip
[...UNZIP OUTPUT...]

インストールされたファイルの最上位レベルのディレクトリは、tt22.1.1.29.0のような書式になっています。

たとえば、chgrpコマンドの実行前、インストール・ディレクトリは次のようになっています。 

dr-xr-x--- 19 ttuser2 users    4096 Mar  2 22:07 tt22.1.1.29.0

chgrpコマンドの前に示されているtt22.1.1.29.0ディレクトリには、次のようなファイルが含まれています: 

dr-xr-x---  3 ttuser2 users    4096 Jun 15 22:07 3rdparty
dr-xr-x---  2 ttuser2 users    4096 Jun 15 22:07 bin
dr-xr-x---  3 ttuser2 users    4096 Jun 15 22:07 include
dr-xr-x---  2 ttuser2 users    4096 Jun 15 22:07 info
dr-xr-x---  2 ttuser2 users    4096 Jun 15 23:33 kubernetes
dr-xr-x---  3 ttuser2 users    4096 Jun 15 22:07 lib
dr-xr-x---  7 ttuser2 users    4096 Jun 15 22:07 plsql
dr-xr-x---  3 ttuser2 users    4096 Jun 15 22:07 ttoracle_home

ユーザーttuser2は、 fullinstall_secgrpインストール・ディレクトリからchgrpを実行します。 

% chgrp -R timesten .

chgrpコマンドの実行後、インストール・ディレクトリの下は次のようになります。 

dr-xr-x--- 19 ttuser2 timesten 4096 Mar  2 22:07 tt22.1.1.29.0

chgrpコマンドの後に示されているtt22.1.1.29.0ディレクトリには、次のようなファイルが含まれています: 

dr-xr-x---  3 ttuser2 timesten    4096 Jun 15 22:07 3rdparty
dr-xr-x---  2 ttuser2 timesten    4096 Jun 15 22:07 bin
dr-xr-x---  3 ttuser2 timesten    4096 Jun 15 22:07 include
dr-xr-x---  2 ttuser2 timesten    4096 Jun 15 22:07 info
dr-xr-x---  2 ttuser2 timesten    4096 Jun 15 23:33 kubernetes
dr-xr-x---  3 ttuser2 timesten    4096 Jun 15 22:07 lib
dr-xr-x---  7 ttuser2 timesten    4096 Jun 15 22:07 plsql
dr-xr-x---  3 ttuser2 timesten    4096 Jun 15 22:07 ttoracle_home

chgrpコマンドの実行後、timestenのメンバーはインスタンスにアクセスできます。timestenのメンバーではないユーザーは、このインスタンスまたはインストール環境から作成されたインスタンスにアクセスできません。

インスタンス管理者のみがアクセスできるインストール環境の作成

インスタンス管理者のみがアクセスできるインストール環境を作成できますが、これは一般的ではありません。これを実現するには:

  1. 適切なディストリビューション・ファイルを目的のディレクトリに配置します。
  2. インストールのための目的のディレクトリを作成します。
  3. インストールのための目的のディレクトリにディレクトリを変更します。
  4. そのディレクトリにディストリビューションを解凍します。
  5. インストール・ディレクトリ・ツリーの権限を変更します。

次の例では、ttuser1は/swdir/TimesTen/ttinstallersにあるディストリビューション・ファイルからfullinstall_installeronlyディレクトリに完全インストール環境を作成します。このインストール環境にはttuser1のみがアクセスできます。 

% mkdir fullinstall_installeronly
% cd fullinstall_installeronly
% unzip /swdir/TimesTen/ttinstallers/timesten2211290.server.linux8664.zip
[...UNZIP OUTPUT...]
% chmod -R go-rwx tt22.1.1.29.0

インストールされたファイルの最上位レベルのディレクトリは、tt22.1.1.29.0のような書式になっています。

たとえば、インストール・ディレクトリの下は次のようになります。

dr-x------ 19 ttuser1 timesten 4096 Jun  2 22:07 tt22.1.1.29.0

tt22.1.1.29.0には、次のようなファイルが含まれています: 

dr-x------  5 ttuser1 timesten    4096 Jun  2 22:07 3rdparty
dr-x------  2 ttuser1 timesten    4096 Jun  2 22:07 bin
dr-x------  3 ttuser1 timesten    4096 Jun  2 22:07 include
dr-x------  2 ttuser1 timesten    4096 Jun  2 22:07 info
dr-x------  2 ttuser1 timesten    4096 Jun  2 23:33 kubernetes
dr-x------  2 ttuser1 timesten    4096 Mar  2 22:07 lib
dr-x------  8 ttuser1 timesten    4096 Mar  2 22:07 plsql
dr-x------  3 ttuser1 timesten    4096 Mar  2 22:07 ttoracle_home

ttuser1のみがこのインスタンスにアクセスできます。

Linux/UNIXでのインストール環境の検証

インストールを検証するには、ttInstallationCheckユーティリティを実行します。また、インストール・ディレクトリおよびサブディレクトリを確認できます。

ttInstallationCheckユーティリティ

ttInstallationCheckユーティリティはinstallation_dir/tt22.1.1.29.0/binディレクトリにあり、インストールが成功したか失敗したかを検証します。このユーティリティでは、インストールのチェックサム値が元のチェックサム値と異なっている場合にエラーを生成します。インストール・ディレクトリまたはファイルに次のいずれかの変更があった場合に、チェックサム値が異なります。

  • ファイルの内容

  • ファイルの名前

  • ディレクトリへのファイルの追加

  • ディレクトリからのファイルの削除

  • ファイルまたはディレクトリの権限の変更

この例では、インストールが検証されます。

% installation_dir/tt22.1.1.29.0/bin/ttInstallationCheck
This installation has been verified.

この例では、ファイルの権限が変更されているため、ttInstallationCheckによってエラーが生成されます。 

% installation_dir/tt22.1.1.29.0/bin/ttInstallationCheck
Cannot validate the installation in /installation_dir/tt22.1.1.29.0.

ttInstallationCheckユーティリティの詳細は、Oracle TimesTen In-Memory DatabaseリファレンスのttInstallationCheckを参照してください。

インストール・ディレクトリおよびサブディレクトリ

TimesTenの完全インストールでは、最上位レベルのinstallation_dir/tt22.1.1.29.0ディレクトリの下に次のサブディレクトリが含まれています(このリストには含まれていないサブディレクトリもあります)。

  • 3rdparty: 次のリソースが含まれています。

    • TimesTen Scaleout用のApache ZooKeeper (TimesTen Classicでは使用されません)

    • Java Message Service (JMS)

  • bin: TimesTenユーティリティおよび実行可能ファイル

  • grid: TimesTen Scaleoutのファイルおよびリソース(TimesTen Classicでは使用されません)

  • include: TimesTen includeファイル。timesten.h (TimesTen ODBC機能用)およびtt_errCode.h (TimesTenエラー・コードの詳細)

  • kubernetes: TimesTen Kubernetesオペレータに必要なoperator.zipファイルを含むディレクトリ。TimesTen Kubernetesオペレータの詳細は、Oracle TimesTen In-Memory Database Kubernetesオペレータ・ユーザーズ・ガイドを参照してください。

  • lib: TimesTenライブラリ

  • plsql: TimesTen PL/SQLのファイルおよびリソース

  • ttoracle_home: Oracle Database Instant Clientのファイルおよびリソース(OCI、Pro*C/C++およびODP.NET用)