インストール環境およびインスタンスの概要

この項の内容は次のとおりです。

ノート:

TimesTenリリース番号は、TimesTenユーティリティの出力、ファイル名およびディレクトリ名などの項目に反映されます。各マイナー・リリースまたはパッチ・リリースでのこれらの変更、およびドキュメントは、常に最新であるとはかぎりません。このドキュメントでは、主に、出力、ファイル名、ディレクトリ名およびその他のコードの基本的な形式を示すことを意図し、その中にはリリース番号が含まれている可能性があります。現在のリリース番号を確認するには、リリース・ノートを確認するか、ttVersionユーティリティを実行します。

ディストリビューション・メディア

TimesTen製品は、ダウンロードするディストリビューション・メディアにパッケージされます。サポートされているプラットフォームごとに、TimesTenは1つのディストリビューションにパッケージされています。ディストリビューションは単一のZIPファイルで構成されています。

ディストリビューションは、プラットフォームによって異なります。

  • Linux/UNIX 64ビットのホストでは、ディストリビューション・ファイル名はリリース番号、ディストリビューションのタイプおよびプラットフォームを示しています。たとえば、Linux 64ビット・ホスト上のリリース22.1.1.29.0の場合、Oracle Linux for Intel and AMDまたはOracle Linux for Armのどちらを使用しているかに応じて、ディストリビューション・ファイル名はtimesten2211290.server.linux8664.zipまたはtimesten2211290.server.linuxarm64.zipになります。どちらかのファイルを使用して、完全な製品またはクライアントをインストールします。

    このドキュメントの例では、Oracle Linux for Intel and AMDディストリビューション(たとえば、timesten2211290.server.linux8664.zip)を使用していますが、Oracle Linux for Armにも適用できます。

  • Linux 32ビットのホストの場合:

    • ディストリビューション・ファイル名はリリース番号、ディストリビューションのタイプおよびプラットフォームを示しています。たとえば、リリース22.1.1.29.0の場合、ディストリビューション・ファイル名はtimesten.2211290.client.linux86.zipです。

    • TimesTenクライアントを含む1つのディストリビューションがあります。Linux 32ビットのホストではTimesTenクライアントのみがサポートされています。

  • macOSホストの場合:

    • ディストリビューション・ファイル名はリリース番号、ディストリビューションのタイプおよびプラットフォームを示しています。たとえば、リリース22.1.1.29.0の場合、ディストリビューション・ファイル名はtimesten.2211290.client.macos64.zipです。

    • TimesTenクライアントを含む1つのディストリビューションがあります。macOSのホストではTimesTenクライアントのみがサポートされています。

  • Windowsホストの場合:

    • ディストリビューション・ファイル名はリリース番号とプラットフォームを示しています。たとえば、timesten2211290.win64.zipです。

    • TimesTenクライアントを含む1つのディストリビューションがあります。WindowsではTimesTenクライアントのみがサポートされています。

インスタンス管理者

Linux、UNIXまたはmacOSホストでは、インスタンス管理者は、ディストリビューションを抽出するオペレーティング・システム・ユーザーです。インスタンス管理者がディストリビューションを解凍すると、TimesTenインストール環境が作成されます。TimesTenのインストール環境の詳細は、TimesTenのインストール環境を参照してください。インスタンス管理者にはインスタンスに関連する役割もあります。詳細は、TimesTenインスタンスを参照してください。

Windowsホストでは、インスタンス管理者はディストリビューションを解凍し、インストーラを実行するオペレーティング・システム・ユーザーです。

インスタンス管理者に関しては、次の点に注意してください。

  • rootユーザーではない必要があります

  • インストール環境内のすべてのファイルを読み取り、すべての実行可能ファイルを実行するためのオペレーティング・システム権限があること

  • TimesTenユーザー・グループのメンバーである必要があります。(詳細は、TimesTenユーザー・グループの理解を参照してください。)

TimesTenのインストール環境

インストール環境はディストリビューションからホストにインストールされた一連のファイルです。インストール・ディレクトリは、インストール環境が作成されるディレクトリです。

インスタンス管理者は、インストール環境を削除できる唯一のユーザーです。

ノート:

  • インストール環境は読取り専用です。インストール環境内のファイルまたはディレクトリを追加、変更または削除しないでください。

  • TimesTenでは、インストール環境のインベントリは保持されません。

  • マルチバイト文字を含むファイル・パス名はサポートされていません。

次の各項では、追加情報について説明します。

LinuxまたはUNIXへのインストール

Linux/UNIX 64ビットのホストでのインストールの場合:

  • Linuxホストの場合、完全インストールまたはクライアント・インストールはTimesTen ScaleoutおよびTimesTen Classicでサポートされます。

  • UNIXホストの場合、完全インストールまたはクライアント・インストールは、TimesTen Classicでのみサポートされます。

  • 複数のインスタンスが1つのインストール環境を共有できます。

詳細は、Linux/UNIXでのインストール環境の作成を参照してください。

Linux 32ビットのホストにインストールする場合、クライアントのみのインストールがサポートされます。TimesTenクライアントは、TimesTen ScaleoutまたはTimesTen Classicのいずれかのデータベースに接続できます。詳細は、TimesTenクライアント・インストール環境の作成を参照してください。

macOSのインストール環境

macOSホストでは、クライアントのみのインストールがサポートされています。TimesTenクライアントは、TimesTen ScaleoutまたはTimesTen Classicのいずれかのデータベースに接続できます。

詳細は、TimesTenクライアント・インストール環境の作成を参照してください。

Windowsのインストール環境

Windowsでは、ZIPファイルの解凍後に、インスタンス管理者がWIN64サブディレクトリからsetup.exeインストーラを実行する必要があります。この処理は、単一のインストール環境と単一インスタンスを作成します。追加のインスタンスは作成できません。

TimesTenクライアントは、別のLinuxまたはUNIXサーバーで実行されているTimesTen ScaleoutまたはTimesTen Classicのデータベースに接続できます。

詳細は、Windowsでのインストール環境の作成を参照してください。

TimesTenインスタンス

インスタンスとは次のいずれかのことです。

  • 実行中のTimesTenデーモン(timestend)、その子プロセスと関連するプロセス、およびその稼働に必要な構成ファイルとその他のサポート・ファイル(完全インスタンス)

  • TimesTenクライアント(クライアントのみのインスタンス)を使用するために必要な一連の構成ファイルおよびその他のサポート・ファイル

各インスタンスにはインスタンス・ホームがあります。これは、インスタンスに関連付けられているディレクトリ構造の最上位レベルであり、このドキュメントではtimesten_homeとして表されます。詳細は、インスタンス・ホームを参照してください。完全インスタンスは、1つ以上のデータベースを管理できます。クライアント・インスタンスは、データベース自体を持つことができません。1つのインストール環境から複数のインスタンスを実行できます。TimesTenは、ホストのインスタンスのインベントリを保持せず、特定のインストール環境に関連付けられているすべてのインスタンスのインベントリを保持しません。

Windowsホストでは、インストール中に自動的に作成されるインストール環境に1つのインスタンスがあります。インスタンス名はinstanceです。

インスタンスのインスタンス管理者の役割は次のとおりです。

  • 完全インスタンスのインスタンス管理者は、データベースの作成と管理、データベースのメモリーからのロードまたはメモリーへのロード、インスタンスの変更と破棄、すべての管理アクティビティの実行、およびバックアップとリストアの操作の実行を行います。

  • クライアント・インスタンスのインスタンス管理者は、インスタンスを作成、変更および破棄します。

  • Linux、UNIXまたはmacOSホストの場合:

    • このインスタンス管理者は、(ttInstanceCreateユーティリティを実行して)インスタンスを作成できる唯一のユーザーでもあり、このインストール環境から作成されるすべてのインスタンスのインスタンス管理者です。

    • インスタンス管理者がインストール環境またはインスタンスを作成した後は、この管理者を変更できません。

    • ttInstanceCreateユーティリティは、インスタンス管理者がTimesTenのインストール・ツリー内にインスタンスを作成することを許可しません。ttInstanceCreateユーティリティの詳細は、Oracle TimesTen In-Memory DatabaseリファレンスttInstanceCreateを参照してください。

  • Windowsホストの場合:

    • インスタンス管理者はディストリビューションを解凍し、インストーラを実行するオペレーティング・システム・ユーザーです。WindowsにはttInstanceCreateユーティリティはありません。このインスタンス管理者は、インスタンスのインスタンス管理者です。

    • 1つのインストールと単一のインスタンスの所有者(インスタンス管理者)は同じである必要があります。

    • インスタンスには、インスタンスを作成したユーザーである単一のインスタンス管理者がいます。

    • インスタンス管理者がインストーラを実行した後にインスタンス管理者を変更することはできません。

インスタンス・ホーム

Linux、UNIXまたはmacOSホストでは、インスタンスホームは、インスタンス管理者がttInstanceCreateユーティリティを実行したときに作成されるディレクトリです。

Windowsホストでは、インスタンスホームは、インスタンス管理者がインストーラを実行することによって作成されるディレクトリです。

このディレクトリはインスタンス管理者によって所有されます。

インスタンス・ホームには、インスタンス専用に構成されているすべてのファイルが含まれています。TimesTenのドキュメントではtimesten_homeで示されます。

インスタンス・ホーム・ディレクトリには、2つのタイプがあります。

次のいずれかです:

  • 完全インスタンス・ホーム: サーバーおよび直接モードを含むTimesTenのすべての使用形態をサポートします。インスタンスが実行されるホストのローカル・ディレクトリである必要があります。

  • クライアントのみのインスタンス・ホーム: TimesTenクライアントの実行に必要なファイルを提供し、TimesTenがクライアントのみの使用として構成された場合に作成されます。インスタンスが実行されるホストのローカル・ディレクトリである必要があります。

Linux、UNIXまたはmacOSホストの場合: 特定のTimesTenインスタンスのユーザーは、各インスタンスで提供されているttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なります)を設定して、環境を設定する必要があります。詳細は、環境変数を参照してください。

Windowsホストの場合: インストール手順で環境変数を永続的な設定として登録するか、ttenv.batファイルを実行できます。詳細は、Windowsでのインストール環境の作成および環境変数を参照してください。

ノート:

  • 1つのインスタンス・ホームを複数のインスタンス間で共有することはできません。

  • インスタンス・ホームには、関連付けられたインストール環境へのシンボリック・リンクが含まれます。

インスタンスの構成ファイル(timesten.conf)

インスタンスの構成ファイルは、TimesTenインスタンスの属性を定義します。timesten_home/confディレクトリにあり、timesten.confという名前が付けられています。このファイルはASCIIテキスト・ファイルであり、name=valueのペアで構成され、1行に1ペアが含まれています。

次に、インスタンス全体のサンプル構成ファイルを示します。コメントは「#」で示されています。

# TimesTen Instance Configuration File
# Created by ttInstanceCreate
hostname=host1
timesten_release=22.1
instance_name=instance1
daemon_port=6624
server_port=6625
tns_admin=
admin_user=myadmin
admin_uid=12345
group_name=ttgroup
instance_guid=39734D8C-E59A-4164-A77D-FC4327FF9496
verbose=1

これらの値の一部は、TimesTenがすでに認識しているか、TimesTenによって提供されます。その他の値は、インストール時あるいはインスタンスの作成時または変更時の選択または指定によって異なります。

このファイルの詳細は、Oracle TimesTen In-Memory DatabaseリファレンスTimesTenインスタンスの構成ファイルを参照してください。