グリッドの計画
TimesTen Scaleoutでグリッドおよびデータベースを構成する前に、グリッドに関する特定のキー・パラメータを決定する必要があります。
ホストおよびメンバーシップ・サーバー数の決定
次の考慮事項に基づいて、使用するホストおよびメンバーシップ・サーバーの数を決定する必要があります。
-
メンバーシップ・サーバー: 本番環境では、1つ以上のメンバーシップ・サーバーに障害が発生した場合に過半数の定数を確保するために、3つ以上の奇数個のメンバーシップ・サーバーが必要です。次のことを確認する必要があります。
-
各メンバーシップ・サーバーは相互に独立した物理リソース(電力、ネットワーク・ノード、記憶域など)を使用します。
-
メンバーシップ・サーバーはデータ・インスタンスを含むホストと同じシステム上で実行されていません。
-
-
管理インスタンス: グリッドの構成機能と管理機能に対する可用性の方法を複数確保するために、2つの管理インスタンスが必要です。管理インスタンスを含むホストで相互に独立した物理リソース(電力、ネットワーク・ノード、記憶域など)が使用されることを確認します。
-
データ・インスタンス: K-safetyのレベルとレプリカ・セットの数に基づいて、データ・インスタンスに必要なホストの数を決定します。たとえば、
k
を3
に設定し、2つのレプリカ・セットを使用する場合、6つのデータ・インスタンスが必要になります。また、K-safetyのレベルによって、ホストに必要なデータ領域グループまたは独立した物理的な場所の数が決まります。データ領域グループ
1
に割り当てられたデータ・インスタンスを含むホストでは、データ領域グループ2
に割り当てられたデータ・インスタンスを含むホストの影響を受けない物理リソースが使用されること、などを確認します。
図1-11に、3つのメンバーシップ・サーバー、1つのリポジトリ、2つの管理インスタンスおよび6つのデータ・インスタンスの設定の例を示します。この例では、合計11個のホストに対するリポジトリを含むメンバーシップ・サーバーが同じ場所に配置されます。
図1-12に、この例のデータ・インスタンスを含むホストが、k
を3
に設定してあるグリッドの3つのデータ領域グループにどのように編成されるかを示します。各データ領域グループのホストはラックを共有します。
データ・インスタンスを含むホストを、共有する物理リソースに基づいてデータ領域グループに割り当てる方法の例は、表1-1を参照してください。
表1-1 システムおよびそのロール
ホスト名 | メンバーシップ・サーバー | リポジトリ | 管理インスタンス | データ・インスタンス | データ領域グループ | 物理リソース |
---|---|---|---|---|---|---|
ms_host1 |
あり |
あり |
- |
- |
- |
ラック1 |
ms_host2 |
あり |
- |
- |
- |
- |
ラック2 |
ms_host3 |
あり |
- |
- |
- |
- |
ラック3 |
host1 |
- |
- |
あり |
- |
- |
ラック1 |
host2 |
- |
- |
あり |
- |
- |
ラック2 |
host3 |
- |
- |
- |
あり |
1 |
ラック1 |
host4 |
- |
- |
- |
あり |
2 |
ラック2 |
host5 |
- |
- |
- |
あり |
3 |
ラック3 |
host6 |
- |
- |
- |
あり |
1 |
ラック1 |
host7 |
- |
- |
- |
あり |
2 |
ラック2 |
host8 |
- |
- |
- |
あり |
3 |
ラック3 |
各ホストおよびメンバーシップ・サーバーのネットワーク・パラメータの定義
各ホストおよびメンバーシップ・サーバーが使用すると予想されるネットワーク・アドレスおよびTCP/IPポートを確認します。「ネットワーク要件」を参照してください。
表1-1で説明したトポロジの内部および外部アドレスの例は、表1-2を参照してください。
表1-2 内部および外部アドレス
ホスト名 | 内部アドレス | 外部アドレス |
---|---|---|
ms_host1 |
|
- |
ms_host2 |
|
- |
ms_host3 |
|
- |
host1 |
|
- |
host2 |
|
- |
host3 |
|
|
host4 |
|
|
host5 |
|
|
host6 |
|
|
host7 |
|
|
host8 |
|
|
ノート:
すべてのシステムを同じ内部ネットワークに含める必要があります。内部ネットワークの外部のアプリケーションでデータベースに接続する場合には外部ネットワークを作成することをお薦めします。
特に、設定がファイアウォールの内側にある場合は、各インスタンスが使用するTCP/IPポートを考慮する必要があります。次のTCP/IPポートを定義する必要があります。
-
メンバーシップ・サーバー: 各メンバーシップサーバーに対して3つのポート番号(クライアント、ピア、リーダー)を定義する必要があります。表3-1を参照してください。
-
管理インスタンス: 各管理インスタンスに3つのポート番号(デーモン、サーバーおよび管理)があります。指定しない場合、デーモン、サーバーおよび管理ポートのデフォルト値はTimesTen Scaleoutによって設定されます。
-
データ・インスタンス: 各データ・インスタンスに2つのポート番号(デーモンおよびサーバー)があります。指定しない場合、デーモンおよびサーバー・ポートのデフォルト値はTimesTen Scaleoutによって設定されます。
ファイアウォールで保護されている場合は、各インスタンスに割り当てられたサーバー・ポートを除き、前述のすべてのポートとローカル・エフェメラル・ポートを内部ネットワークに対してオープンする必要があります。各インスタンスに割り当てられたサーバー・ポートは、外部ネットワークに対してオープンする必要があります。
各メンバーシップ・サーバーまたはインスタンスに割り当てられたTCP/IPポートの例は、表1-3を参照してください。この例では、各ポートのデフォルト値を使用します。
表1-3 TCP/IPポート
ホスト名 | メンバーシップ・サーバー(クライアント/ピア/リーダー) | 管理インスタンス(デーモン/サーバー/管理) | データ・インスタンス(デーモン/サーバー) |
---|---|---|---|
ms_host1 |
2181 / 2888 / 3888 |
- |
- |
ms_host2 |
2181 / 2888 / 3888 |
- |
- |
ms_host3 |
2181 / 2888 / 3888 |
- |
- |
host1 |
- |
6624 / 6625 / 3574 |
- |
host2 |
- |
6624 / 6625 / 3574 |
- |
host3 |
- |
- |
6624 / 6625 |
host4 |
- |
- |
6624 / 6625 |
host5 |
- |
- |
6624 / 6625 |
host6 |
- |
- |
6624 / 6625 |
host7 |
- |
- |
6624 / 6625 |
host8 |
- |
- |
6624 / 6625 |
各インスタンスのインストール・ディレクトリおよびインスタンス・ホームの場所の定義
グリッドが使用すると予想されるインストール・ディレクトリおよびインスタンス・ホームの場所を定義する必要があります。これらのグリッド・オブジェクトの場所を定義する場合、TimesTen Scaleoutがこれらの識別に使用する名前を定義する必要があります。これらの場所を定義するときは、次の点を考慮してください。
-
インスタンス・ホームの場合、TimesTen Scaleoutは定義された場所にインスタンス名を追加します。たとえば、
instance1
という名前のインスタンスの場所として/grid
を定義した場合、そのインスタンスのインスタンス・ホームのフル・パスは/grid/instance1
になります。 -
同様の動作がインストール・オブジェクトに適用されます。インストール名を追加するかわりに、TimesTen Scaleoutは定義された場所にリリース・バージョンを追加します。たとえば、インストールの場所として
/grid
を定義した場合、インストールのフル・パスは/grid/tt22.1.1.27.0
になります。
インストール・ディレクトリとインスタンス・ホームに対して定義した場所がまだ存在しない場合は、TimesTen Scaleoutによって作成されます。
メンバーシップ・サーバー・インストール場所の例は、表1-4を参照してください。メンバーシップ・サーバーをインストールする前に、それぞれのシステム上に次の場所を作成する必要があります。
表1-4 メンバーシップ・サーバーのインストール場所
ホスト名 | インストール場所 |
---|---|
ms_host1 |
|
ms_host2 |
|
ms_host3 |
|
管理インスタンスのインストール・ディレクトリおよびインスタンス・ホームの場所の例は、表1-5を参照してください。
表1-5 管理インスタンスのインストール・ディレクトリおよびインスタンス・ホーム
ホスト名 | インストール名 | インストール・ディレクトリ | インスタンス名 | インスタンス・ホーム |
---|---|---|---|---|
host1 |
installation1 |
|
instance1 |
|
host2 |
installation1 |
|
instance1 |
|
データ・インスタンスのインストール・ディレクトリおよびインスタンス・ホームの場所の例は、表1-6を参照してください。
表1-6 データ・インスタンスのインストール・ディレクトリおよびインスタンス・ホーム
ホスト名 | インストール名 | インストール・ディレクトリ | インスタンス名 | インスタンス・ホーム |
---|---|---|---|---|
host3 |
installation1 |
|
instance1 |
|
host4 |
installation1 |
|
instance1 |
|
host5 |
installation1 |
|
instance1 |
|
host6 |
installation1 |
|
instance1 |
|
host7 |
installation1 |
|
instance1 |
|
host8 |
installation1 |
|
instance1 |
|
リポジトリの場所の例は、表1-7を参照してください。
表1-7 リポジトリ
ホスト名 | リポジトリの場所 |
---|---|
ms_host1 |
|
グリッドのデプロイに必要なすべての情報が揃っていることの確認
グリッドのデプロイを開始する前に、必要なすべての情報が揃っていることを確認するには、表1-8に示されている質問に答えます。
表1-8 質問リスト
質問 | 情報のソース |
---|---|
K-safetyの設定はどうなりますか。 |
|
使用するメンバーシップ・サーバー数はいくつですか。 |
|
使用する管理インスタンス数はいくつですか。 |
|
使用するレプリカ・セット数はいくつですか。 |
|
データベースのバックアップはどこに格納しますか。 |
|
グリッドに使用するホストの数はいくつですか。 |
|
どのホストが管理インスタンスを実行しますか。 |
|
どのホストがデータ・インスタンスを実行しますか。 |
|
データ・インスタンスを含む各ホストのデータ領域グループの割当てはどうなりますか。 |
|
独立した物理リソース間でホストとメンバーシップ・サーバーをどのように編成しますか。 |
|
グリッドに単一ネットワークまたは個別の内部ネットワークと外部ネットワークのどちらを使用しますか。 |
|
各ホストおよびメンバーシップ・サーバーのDNS名またはIPアドレスは何ですか。 |
|
各インスタンスにどのTCP/IPポートを使用しますか。 |
|
各メンバーシップ・サーバーのインストール・ファイルの場所はどこですか。 |
|
各インスタンスのインストール・ディレクトリおよびインスタンス・ホームの場所はどこですか。 |