パッチの互換性があるリリースへのグリッドのアップグレード
-
モデル内の各ホストにアップグレード先リリースのインストールを作成します。
-
各管理インスタンスを、その新しいインストールとともに使用するように変更し、そのインスタンスを再起動します。
-
各データ・インスタンスを、その新しいインストールとともに使用するように変更し、そのインスタンスを再起動します。
グリッド管理のその他の側面と同様に、前述のすべてのタスクは、ttGridAdmin
ユーティリティを介して実行します。グリッド・トポロジ(管理インスタンスの数、K-safetyの値、およびレプリカ・セットの数)と、アプリケーションが接続できるすべてのデータベースのうち少なくとも1つの完全なコピーの保持がそのアップグレードでサポートされているかどうかで、実行する必要があるttGridAdmin
コマンド、その順序および時期が決まります。
TimesTenでは、操作をできるだけ簡単にするために、ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドが用意されています。ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドは、グリッドを学習し、可能になると、以降はインスタンス管理者が入力しなくても、前述のタスクのいずれかの遂行に必要なすべてのコマンドを実行します。または、ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドが別の方法でバックグラウンドで実行される、個別のttGridAdmin
コマンドを指定することで、アップグレードの主要なタスクの一部およびすべてを自分のペースで実行することもできます。
次のトピックでは、リリース互換性メタデータ、グリッドをパッチ互換リリースにアップグレードするための前提条件、およびttGridAdmin gridUpgrade
コマンドを使用した場合または使用しない場合のそのようなアップグレードの実行方法について説明します。
リリース互換性メタデータ
すべてのTimesTenリリースには、TimesTenリリースを以前のリリースから、または以前のリリースにアップグレードできるかどうかに関するメタデータが含まれています。リリース互換性メタデータには、以前のTimesTenリリースに関する同様の情報が含まれています。
TimesTen Scaleoutでは、ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドは、このメタデータを使用して、現行リリースのインスタンスでアップグレード先リリースに対するアップグレードがサポートされているかどうかと、サポートされているアップグレードのタイプを判別します。
アップグレードの前提条件
パッチ互換リリースへのアップグレードには、次の前提条件があります。
-
モデルの現行バージョンが、モデルの最新バージョンと一致していること。つまり、最新の変更が適用されてからモデルに対して変更が加えられていないこと。
-
グリッドは、アップグレード先リリースを含めて2つ以下の異なるリリースの下で動作しています。1つ以上のインスタンスが、残りのインスタンスと異なるが互換性のあるリリースの下で動作していることが想定されます。たとえば、アップグレード中に、またはアップグレードが中断された後や、アップグレード中に実行された操作の1つが失敗した後であっても、グリッドがに正常に動作し続ける場合があります。そのような場合は、問題を解決した後に、2回目のアップグレード実行を試みることができます。ただし、以前に別のアップグレード先リリースを使用してアップグレードを実行し、それがまだ完了していない場合は、アップグレードを試みないでください。
ttGridAdmin gridUpgradeコマンドを使用したグリッドのアップグレード
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドを使用してグリッドをパッチ互換リリースにアップグレードするには、次のタスクを実行します。
アップグレード先リリースのインストールの作成
グリッドをパッチ互換リリースにアップグレードする前に、モデル内のすべてのホストがアップグレード先インストールにアクセスできる必要があります。ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドの-createInstallations
オプションを使用すると、ホストごとに、指定したTimesTenディストリビューション、または既存のTimesTenインストールからインストールが作成されます。
グリッド内のすべてのホストにアップグレード先リリースのインストールがあるため、これで、管理インスタンスおよびデータ・インスタンスのアップグレードに進むことができます。
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のグリッドのアップグレード(gridUpgrade)を参照してください。
管理インスタンスのアップグレード
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドの-type mgmt
オプションを使用して、管理インスタンスをターゲット・リリースにアップグレードします。
管理インスタンスがターゲット・リリースに正常にアップグレードされたので、これで、データ・インスタンスのアップグレードに進むことができます。
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のグリッドのアップグレード(gridUpgrade)を参照してください。
データ・インスタンスのアップグレード
TimesTenでは、場合によっては、パッチ互換リリース間のデータ・インスタンスのオンライン・アップグレードとオフライン・アップグレードの両方がサポートされます。グリッドが他方とパッチ互換かどうかや、一方または両方のタイプのアップグレードが可能かどうかを判別するためにTimesTenで使用されるメタデータが、すべてのTimesTenインストールに含まれています。
オンライン・アップグレードは、アプリケーションが接続できるデータベースのコピーが常に1つ以上存在する方法でのデータ・インスタンスのアップグレードが基礎となっています。つまり、TimesTenでは、k
が2
以上に設定されており、ロードされたデータベースが1つ以上あるグリッドの場合のみ、オンライン・アップグレードがサポートされています。
オフライン・アップグレードは、すべてのデータベースがメモリーからアンロードされている間のデータ・インスタンスのアップグレードで構成されています。TimesTenでは、すべてのK-safety値について、オフライン・アップグレードがサポートされています。
次のトピックでは、データ・インスタンスのオンライン・アップグレードまたはオフライン・アップグレードを実行する方法について説明します。
データ・インスタンスのオンライン・アップグレード
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドの-type data -online
オプションを使用して、ターゲット・リリースへのデータ・インスタンスのオンライン・アップグレードを実行します。
これで、グリッドがターゲット・リリースに正常にアップグレードされました。
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のグリッドのアップグレード(gridUpgrade)を参照してください。
データ・インスタンスのオフライン・アップグレード
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドの-type data -offline
オプションを使用して、ターゲット・リリースへのデータ・インスタンスのオンライン・アップグレードを実行します。
これで、グリッドがターゲット・リリースに正常にアップグレードされました。
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のグリッドのアップグレード(gridUpgrade)を参照してください。
ttGridAdmin gridUpgradeコマンドを使用しないグリッドのアップグレード
ttGridAdmin gridUpgrade
コマンドを使用せずにグリッドをパッチ互換リリースにアップグレードするには、次のタスクを実行します。
アップグレード先リリースのインストールの作成
次に示すように、ttGridAdmin installationList
コマンドを使用して、アップグレードが必要なホスト、および現行インストールの場所を判別できます。
% ttGridAdmin installationList
Host Install Location Comment
----- ------------- ---------------------------- -------
host1 installation1 /grid/tt22.1.1.27.0
host2 installation1 /grid/tt22.1.1.27.0
host3 installation1 /grid/tt22.1.1.27.0
host4 installation1 /grid/tt22.1.1.27.0
host5 installation1 /grid/tt22.1.1.27.0
host6 installation1 /grid/tt22.1.1.27.0
host7 installation1 /grid/tt22.1.1.27.0
host8 installation1 /grid/tt22.1.1.27.0
ttGridAdmin installationList
またはttGridAdmin installationCreate
コマンドの詳細は、それぞれ『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のインストールのリスト(installationList)またはインストールの作成(installationCreate)を参照してください。
ttGridAdmin modelApply
コマンドの詳細は、「モデルに加えた変更の適用」および、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のモデル操作を参照してください。
管理インスタンスのアップグレード
管理インスタンスのアップグレード方法は、グリッドに構成されている管理インスタンスが1つなのか2つなのかで異なります。ご使用の構成に適した手順に従ってください。
アクティブ・スタンバイ構成
管理インスタンスにアクティブ・スタンバイ構成を使用している場合は、アクティブ管理インスタンスが常に稼働しているようにすることで、サービスを中断せずに各管理インスタンスを個別にアップグレードできます。
ttGridAdmin mgmtStandbyStop
、ttGridAdmin mgmtStandbyStart
およびttGridAdmin mgmtStatus
コマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』の管理インスタンスの操作を参照してください。
ttGridAdmin instanceModify
コマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のインスタンスの変更(instanceModify)を参照してください。
ttGridAdmin mgmtActiveSwitch
コマンドの詳細は、このドキュメントの「管理インスタンスの起動、停止および切替え」、および『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のアクティブ管理インスタンスの切替え(mgmtActiveSwitch)を参照してください。
ttGridAdmin modelApply
コマンドの詳細は、「モデルに加えた変更の適用」および、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のモデル操作を参照してください。
単一の管理インスタンスのアップグレード
単一の管理インスタンス構成で、新しいインストールを有効にするには、次に示すようにアクティブ管理インスタンスを再起動する必要があります。
ttGridAdmin instanceModify
コマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のインスタンスの変更(instanceModify)を参照してください。
ttGridAdmin modelApply
コマンドの詳細は、「モデルに加えた変更の適用」および、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のモデル操作を参照してください。
ttGridAdmin mgmtActiveStop
およびttGridAdmin mgmtActiveStart
の詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』の管理インスタンスの操作を参照してください。
データ・インスタンスのアップグレード
データ・インスタンスを再起動して新しいインストールを有効にするには、その前にすべてのデータベースをアンロードする必要があります。
ttGridAdmin instanceExec
またはttGridAdmin instanceModify
コマンドの詳細は、それぞれ『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のグリッド・インスタンスでのコマンドまたはスクリプトの実行(instanceExec)またはインスタンスの変更(instanceModify)を参照してください。
ttGridAdmin modelApply
コマンドの詳細は、「モデルに加えた変更の適用」および、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のモデル操作を参照してください。
オプション: 旧リリースのインストールの削除
誤ったインストールを新しいインスタンスに割り当てることがないよう、グリッドから旧リリースのインストールを削除することをお薦めします。
ttGridAdmin installationDelete
コマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のインストールの削除(installationDelete)を参照してください。