3.1.3 コンプライアンス・チェックのオンデマンド実行

通常、コンプライアンス・チェックはスケジュールされた間隔で実行されます。ただし、Oracleでは、必要に応じてコンプライアンス・チェックをオンデマンドで実行することをお薦めします。

コンプライアンス・チェックをオンデマンドで実行する必要がある場合の例は、次のとおりです。

  • アップグレード前またはアップグレード後
  • サブネット間でのマシンの再配置
  • ハードウェアの障害または修復
  • 問題のトラブルシューティング
  • 稼働テストに追加して
オンデマンドでコンプライアンス・チェックの実行を開始するには、適切なユーザーとしてシステムにログインし、適切なツールを実行します。必要な実行のタイプを指示するオプションを指定します。
$ orachk
$ exachk

ノート:

ネットワークに接続されたワークステーションまたはラップトップで端末セッションからツールを実行する際の問題を回避するために、VNCを使用してツールを実行することを検討してください。ネットワークが中断されても、このツールはプロセスを続行して完了します。ツールの実行に失敗した場合は、ツールを再実行します。ツールは、失敗した時点から再開しません。

出力は、使用する環境およびオプションによって異なります。

  • ツールは、最初に使用環境を検出します
  • パスワードなしのSSH等価を構成した場合、パスワードの入力は求められません
  • 特定のコンポーネントについて必要なアクセス・レベルでパスワードなしのSSHを構成していない場合、パスワードの入力を求められます
  • デーモンが実行されている場合、コマンドは、データベースの選択やパスワードの指定などのすべてのプロンプトに応答するデーモン・プロセスに送信されます
  • デーモンが実行されていない場合、実行するデータベースや必要なパスワードなどの必要な情報の入力を求められます
  • ツールは、検出したコンポーネントのステータスを調査します

    ノート:

    パスワードの入力を求められた場合は、使用可能になったときにExpectユーティリティが実行されます。このように、パスワードは最初に収集され、rootパスワードのプロンプトで必要になったらExpectユーティリティによってパスワードが提供されます。Expectユーティリティによってパスワードが提供されることにより、ツールは追加入力を必要とすることなく続行できます。Expectユーティリティを使用しない場合は、実行を注意深く監視して、入力を求められたらパスワードを入力します。

    Expectユーティリティがインストールされていない場合、環境の規模によってはパスワードを何度も入力する必要があります。そのため、Expectユーティリティを使用することをお薦めします。

    アップグレード前チェックまたはアップグレード後チェックの実行時に、Oracle OrachkおよびOracle Exachkによって、Oracle Clusterwareに登録されているデータベースが自動的に検出され、チェック対象のデータベースのリストが表示されます。

    アップグレード計画フェーズでアップグレード前チェックを実行します。Oracle OrachkおよびOracle Exachkによって、アップグレードを計画しているバージョンの入力を求められます:
    $ orachk –u –o pre
    $ exachk –u –o pre
    アップグレードした後、アップグレード後チェックを実行します。
    $ orachk –u –o post
    $ exachk –u –o post
    1. ツールは、リモート・ノードを含むすべての関連コンポーネントの情報の収集を開始します。
    2. ツールは、収集されたデータに対するコンプライアンス・チェックを実行し、結果を表示します。
    3. コンプライアンス・チェックの実行が完了すると、ツールは、詳細なHTMLレポートおよび追加の出力が含まれる.zipファイルの場所を示します。

3.1.3.1 デーモンありまたはなしでのオンデマンド実行

オンデマンドでの実行時、デーモンが実行中であれば、デーモンは可能なかぎりパスワードを含むすべてのプロンプトに応答します。

デーモンありまたはなしでヘルス・チェックをオンデマンドで実行するには:

  1. デーモンが実行中の場合にオンデマンドでヘルス・チェックを実行するには、次のようにします。
    $ orachk
    $ exachk
  2. デーモン・プロセスへの接続を回避するには(つまり、必要に応じて対話的にプロンプトが表示されるようにするには)、–nodaemonオプションを使用します。
    $ orachk –nodaemon
    $ exachk –nodaemon

ノート:

デーモン・モードはLinuxおよびSolarisオペレーティング・システムでのみサポートされます。

ノート:

データベースのアップグレード前チェック(-u –o pre)の実行中に、デーモンが実行中の場合は、–nodaemonオプションを使用する必要があります。

3.1.3.2 結果の電子メール送信

オプションで、–sendemailオプションを使用してHTMLレポートを1人以上の受信者に送信します。

ヘルス・チェックの実行結果を電子メールで送信するには:

  1. NOTIFICATION_EMAIL環境変数で受信者を指定します。
    $ orachk –sendemail "NOTIFICATION_EMAIL=email_recipients"
    $ exachk –sendemail "NOTIFICATION_EMAIL=email_recipients"

    ここで、email_recipientsは電子メール・アドレスのカンマ区切りリストです。

  2. –testemailオプションを使用して、電子メール構成設定を確認します。

関連トピック

3.1.3.3 Oracle Exachkの実行時間

Oracle Exachkの実行の経過時間は、クラスタ・サイズ、実行中のOracleデータベースの数、ハードウェア・タイプおよび構成、システム全体の負荷などによって異なります。

ここで示されている経過時間は、各構成のエクスペリエンスが一意であるため、単なる例です。

表3-3 Oracle Autonomous Health Frameworkの実行時間

ハードウェア構成 Oracle Databaseの構成 実行時間(分)

X2-2 1/4ラック

Oracleデータベースなし

16

X2-2 1/4ラック

3つのOracleデータベース

24m7.884s

X4-2 1/4ラック

3つのOracleデータベース

22m51.497s

X4-2 1/4ラック

8つのOracleデータベース

35

X4-8フル・ラック

1つのOracleデータベース

17

X5-2 1/4ラックdom0

適用なし

22m41.228s

X5-2 1/4ラックdomU

サーバーごとに1つのPDBを持つ1つのCDB

9

X6-2 1/4ラックdom0

適用なし

22m20.827s

X6-2 1/4ラックdomU

サーバーごとに50のPDBを持つ1つのCDB

56

X7-2 1/4ラック

サーバーごとに1つのPDBを持つ1つのCDB

17

X7-8フル・ラック

サーバーごとに1つのPDBを持つ1つのCDB

17