15.4 アプリケーション・プロセスの理解

アプリケーションの複数ページの特定のポイントでPL/SQLロジックのブロックを実行するには、アプリケーション・プロセスを作成します。

デフォルトでは、アプリケーション・プロセスはアプリケーション内のすべてのページについて同じポイントで実行されます。ただし、特定のページに対する条件を適用して、プロセスが実行されるタイミングを制御できます。

ヒント:

検証エラーが発生した場合の実行動作の詳細は、「検証が失敗した場合の処理」を参照してください

15.4.1 オンデマンド・アプリケーション・プロセス

オンデマンド・プロセスは、複数のページにわたって様々な実行ポイントから実行するPL/SQLロジックがある場合に有効です。

オンデマンド・プロセスは、プロセス・ポイントがオンデマンドの特殊なタイプのアプリケーション・プロセスで、PL/SQLタイプのプロセスであり、ページ・レベルのオンデマンド・プロセスからコールされた場合またはブラウザからのAjaxコールによって実行されます。

オンデマンド・プロセスは、通常、アプリケーションレベルではなく、ページに作成される必要があります。アプリケーション・レベルで作成されるオンデマンド・プロセスは、認証されていないセッションでユーザーからプロセスが起動されないように、「パブリック・ユーザーは不可」という初期認可スキームで作成されます。

15.4.2 新しいインスタンス開始時に実行されるアプリケーション・プロセスについて

プロセス・ポイントが「新規インスタンス開始時」のプロセスを使用すると、ユーザーのセッション内で情報を1回取得できます。

通常、アプリケーション・プロセスは、アプリケーション内の複数のページにわたって同じポイントで実行されます。プロセス・ポイントが「新しいインスタンス開始時」であるプロセスは例外です。これらのタイプのプロセスは、ユーザーのセッション内で情報を1回のみ取得する必要がある場合に便利です。たとえば、アプリケーション・アイテムがログインしているユーザーに依存していない場合は、プロセス・ポイント「新しいインスタンス開始時」を使用してそれらのアイテムを初期化できます。また、ユーザーに依存する情報を検索するために、「認証後」を使用することもできます。

認証スキーム(「新規インスタンス開始時」および「ログイン後」)で同じCookie名を設定することによって、同じセッションを共有するようにアプリケーションを構成すると、アプリケーション・プロセスは、Oracle APEXがアプリケーションのリクエストを最初に処理するとき(つまり、「新規インスタンス開始時」)、またはアプリケーションに対して認証されたユーザーのリクエストを処理するとき(つまり、「認証後」)、常に実行されます。

15.4.3 ページ・リクエストからのオンデマンド・プロセスの実行について

ページ・リクエストからオンデマンド・プロセスを実行します。

次の構文を使用すると、ページ・リクエストでオンデマンド・プロセスを実行できます。

f?p=application_id:page_id:session:APPLICATION_PROCESS=process_id

内容は次のとおりです。

  • application_id は、アプリケーションIDまたは英数字の別名です。
  • page_idは、ページ番号または英数字の別名です。
  • session は、セッションIDです。
  • APPLICATION_PROCESS=process_idは、キーワードAPPLICATION_PROCESS=の後に、オンデマンドのプロセス・ポイントを持つアプリケーション・レベル・プロセスのプロセスIDまたは英数字の名前が続いたものです。

この構文を使用すると、APEXエンジンでリクエストが認識され、次のルールを使用して処理されます。

  • URL内のページ番号は、現在のページ番号または別名にできます。このタイプのリクエストでは特定のページにアクセスすることはないため、ページ番号または別名は構文プレースホルダとしてのみ必要です。
  • プロセス認可スキーム、アプリケーションの認可スキームおよびプロセス条件がサポートされます。
  • URLでセッション・ステート(アイテムの名前および値)を設定することはできますが、「キャッシュのクリア」オプションは無視されます。
  • 認証、認可、またはプロセス条件が失敗してもエラー・メッセージや失敗に対するその他のインジケータは表示されず、多くの場合、空白ページが表示されます。アプリケーション・ビルダーに開発者としてログインした場合、エラー・メッセージが表示されます。
  • プロセスを名前で指定すると、指定した(大/小文字が区別される)名前を持つ最初のプロセスが検出されます。

15.4.4 例: アプリケーション・プロセス

アプリケーション・プロセスの例を考察します。

アプリケーション・プロセスを使用する場合の例として、ショッピング・カート・アプリケーションがあげられます。たとえば、各ページ・ビューでユーザーのショッピング・カートのコンテンツを表示するには、アプリケーションのページ0(ゼロ)に、アプリケーション・レベル・アイテムTOTAL_CART_ITEMSおよびTOTAL_PURCHASE_PRICEの値を表示するリージョンを作成します。

各ページでTOTAL_CART_ITEMSおよびTOTAL_PURCHASE_PRICEの値を設定するプロセスを記述するかわりに、「ロード時: ヘッダーの前」というタイプのアプリケーション・プロセスを記述して、これらの値を計算できます。これによって、APEXエンジンは、アプリケーションをレンダリングするよう各ページでプロセスを実行します。この結果、各ページでTOTAL_CART_ITEMSおよびTOTAL_PURCHASE_PRICEの最新の値が表示されます。

15.4.5 アプリケーション・プロセスの作成

「共有コンポーネント」からアプリケーション・プロセスを作成します。

アプリケーション・プロセスを作成するには:

  1. 共有コンポーネント・ページにナビゲートします。
    1. ワークスペースのホームページで、「アプリケーション・ビルダー」をクリックします。
    2. アプリケーションを選択します。
    3. アプリケーションのホームページで、「共有コンポーネント」をクリックします。

      共有コンポーネント・ページが表示されます。

  2. 「アプリケーション・ロジック」で、「アプリケーション・プロセス」を選択します。

    アプリケーション・プロセス・ページが表示されます。

  3. 「作成」をクリックします。
  4. 「指定」で、次のステップを実行します。
    1. 名前: アプリケーション・プロセスの名前を入力します。
    2. 順序: このプロセスの順序番号を指定します。この順序番号によって、同じポイントで実行される他のプロセスに対する、プロセスの相対的な評価順序が決まります。
    3. ポイント: アプリケーションの各ページの処理において、このプロセスが実行されるポイントを指定します。「オンデマンド」オプションは、ページ・プロセスによりリクエストされた場合にのみ実行されることに注意してください。
    4. 「次」をクリックします。
  5. 「ソース」で、次のステップを実行します。
    1. 言語: 入力したプログラミング・コードの評価に使用する言語を選択します。
    2. コード: アプリケーション・プロセスのコードを入力します。
    3. コードを検証しない(実行時にのみコードを解析)。: 必要に応じて選択します。
    4. 「次」をクリックします。
  6. 「条件付け」で、次のステップを実行します。
    1. 条件タイプ: このプロセスを実行するために満たされる必要がある条件タイプを選択します。UIは選択した条件タイプに応じて若干変わることに注意してください。
    2. 式1: この属性を使用して、コンポーネントをレンダリングするか処理するかを条件付きで制御します。選択した条件タイプに基づいて、この属性に値を入力します。指定した条件が満たされた場合、コンポーネントがレンダリングまたは処理されます。
    3. 「プロセスの作成」をクリックします。

15.4.6 アプリケーション・プロセス属性の編集

「共有コンポーネント」からアプリケーション・プロセス属性を編集します。

既存のページ・プロセスを編集するには:

  1. 共有コンポーネント・ページにナビゲートします。
    1. ワークスペースのホームページで、「アプリケーション・ビルダー」をクリックします。
    2. アプリケーションを選択します。
    3. アプリケーションのホームページで、「共有コンポーネント」をクリックします。

      共有コンポーネント・ページが表示されます。

  2. 「アプリケーション・ロジック」で、「アプリケーション・プロセス」を選択します。

    アプリケーション・プロセス・ページが表示されます。

  3. プロセス名をクリックします。
  4. 対象となる属性を編集します。詳細は、フィールドレベル・ヘルプを参照してください。
  5. 「変更の適用」をクリックします。

15.4.7 アプリケーション・プロセスのエラー・メッセージの作成

アプリケーション・プロセスのエラー・メッセージを定義する方法について学習します。

プロセスでエラーが発生した場合にユーザーに表示するエラー・メッセージを定義できます。エラー・メッセージの表示方法は、プロセス・ポイントによって異なります。「送信時 - 計算および検証の前」または「送信時 - 計算および検証の後」プロセス・ポイントを持つプロセスでは、カレント・ページにインラインでエラー・メッセージを表示するか(デフォルト)、別のページに表示するかを指定できます。他のすべてのアプリケーション・プロセスでは、エラー・メッセージは別のエラー・ページに表示されます。

アプリケーション・プロセスのエラー・メッセージを作成するには:

  1. 共有コンポーネント・ページにナビゲートします。
    1. ワークスペースのホームページで、「アプリケーション・ビルダー」をクリックします。
    2. アプリケーションを選択します。
    3. アプリケーションのホームページで、「共有コンポーネント」をクリックします。

      共有コンポーネント・ページが表示されます。

  2. 「アプリケーション・ロジック」で、「アプリケーション・プロセス」を選択します。

    アプリケーション・プロセス・ページが表示されます。

  3. プロセス名をクリックします。
  4. 次の属性を編集します。
    1. ソースプロセス・エラー・メッセージ - 未処理例外が発生した場合に表示されるメッセージを入力します。
    2. エラー・メッセージ表示位置: 「送信時: ページ送信の後 - 計算および検証の前」または「送信時: ページ送信の後 - 計算および検証の後」のプロセス・ポイントを持つプロセスに適用され、エラー・メッセージの表示位置を指定できます。

      次のいずれかを選択します。

      • 通知でインライン表示: エラーは、通知領域(ページ・テンプレートの一部として定義される)内のページにインラインで表示されます。

      • エラー・ページ: エラーは別のエラー・ページに表示されます。

        アプリケーションに、(SQL文のAPEX_ITEMコールを使用して)手動で作成された表形式フォームが含まれている場合は、「エラー・ページ」を選択してください。そうしない場合、ユーザーが行った変更はページが再レンダリングされるときに破棄されます。エラーが別のエラー・ページに表示される場合、ユーザーはブラウザの「戻る」ボタンを使用して、入力された値を保持できます。

  5. 「変更の適用」をクリックします。

15.4.8 「アプリケーション・プロセス履歴」レポートの表示

「アプリケーション・プロセス履歴」レポートを表示するには:

「アプリケーション・プロセス履歴」レポートには、アプリケーション・プロセスに行われた最近の変更が表示されます。

表示するには

  1. 共有コンポーネント・ページにナビゲートします。
    1. ワークスペースのホームページで、「アプリケーション・ビルダー」をクリックします。
    2. アプリケーションを選択します。
    3. アプリケーションのホームページで、「共有コンポーネント」をクリックします。

      共有コンポーネント・ページが表示されます。

  2. 「アプリケーション・ロジック」で、「アプリケーション・プロセス」を選択します。

    アプリケーション・プロセス・ページが表示されます。

  3. ページ上部の 「履歴」 タブを選択します。
  4. ページ上部の検索バーを使用してページの概観をカスタマイズできます。使用可能なコントロールは次のとおりです。
    • 検索列の選択: 虫めがねに似ています。このアイコンをクリックして、検索を絞り込みます。すべての列を検索するには、「すべての列」を選択します。

    • テキスト領域: 名前でプロセスを検索するための大/小文字を区別しない検索基準(ワイルドカード文字を含む)を入力し、「実行」をクリックします。

    • 「実行」ボタン: 検索を実行したり、フィルタを適用します。

    • アクション・メニュー: このアクション・メニューを使用して、レポート・ビューをカスタマイズします。