8.1.2 ブローカ・イベント

ブローカ・イベントを使用すると、メッセージの受信と配信を行う無名ブローカを介して、クライアントとサーバーが透過的に通信できるようになります。このようなブローカを使用した通信は、Oracle Tuxedoシステムの基本要素であるクライアント/サーバーの通信パラダイムの1つです。

イベント・ブローカは、イベント・ポスト・メッセージを受信してフィルタし、それらのメッセージをサブスクライバに配布するOracle Tuxedoのサブシステムです。ポスト元とは、特定のイベントが発生したときにそれをイベント・ブローカに報告(ポスト)するOracle Tuxedoシステムのプロセスです。サブスクライバとは、特定のイベントがポストされたときに常に通知する必要があるOracle Tuxedoシステムのプロセスです。

Oracle Tuxedoシステムでは、サービスのリクエストタとプロバイダの数の比率が一定である必要はなく、任意の数のポスト元が任意の数のサブスクライバに対してメッセージ・バッファをポストできます。ポスト元は単にイベントをポストするだけで、情報を受信するプロセスや、情報の処理方法については関知しません。サブスクライバには指定されたイベントが通知されますが、その情報のポスト元は通知されません。このように、イベント・ブローカでは位置透過性が実現されます。

通常、イベント・ブローカ・アプリケーションは、例外イベントを処理します。アプリケーションの設計者は、アプリケーション内でどのイベントを例外イベントとして定義してモニターする必要があるのかを決定しなければなりません。たとえば、銀行業務アプリケーションでは、高額な引出しがあったときにイベントがポストされるように設定し、すべての引出しに対してイベントがポストされる必要はありません。また、すべてのユーザーがそのイベントをサブスクライブする必要はありません。支店長だけに通知すれば十分です。