このリリースでの『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』の変更内容

この章の内容は次のとおりです。

Oracle Databaseリリース23c, バージョン23.1における変更点

Oracle Databaseリリース23c, バージョン23.1におけるOracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンスの変更内容は次のとおりです。

新機能

この項では、Oracle Databaseリリース23cの『PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』における主な新機能を示します。

このリリースの新機能は次のとおりです。

  • DBMS_AUTOIMには、自動インメモリー機能の実行を管理するファンクションが用意されています。
  • DBMS_SPMパッケージは、様々なSQL文に対して保持される、計画履歴およびSQL計画のベースラインに対する制御された操作を実行するためのインタフェースを、DBAおよびその他のユーザーに提供することによって、SQL計画管理機能をサポートします。
  • DBMS_INMEMORY_ADVISEを使用すると、ワークロードに対してOracleのデータベース・インメモリー機能の効果があるかどうかを判別できます。
  • DBMS_HCHECKは、読取り専用の軽量PL/SQLパッケージ・プロシージャで、データベース・ディクショナリの不整合を識別するのに役立ちます。

    DBMS_DICTIONARY_CHECK

  • UTL_HTTPパッケージは、ダイジェストSHA-256をサポートしています。

    UTL_HTTP

  • DBMS_KAFKAパッケージは、Kafkaクラスタ内のトピックへのOracle SQLアクセスを有効にするためのPL/SQLインタフェースを提供します。
  • DBMS_SEARCHパッケージでは、ユビキタス検索索引を作成、メンテナンスおよび問合せできます。

    DBMS_SEARCH

  • DBMS_SQL_FIREWALLパッケージを使用すると、ユーザーはSQL Firewallを管理できます。

    DBMS_SQL_FIREWALL

  • DBMS_CRYPTOパッケージには、次に示す新機能があります。

    DBMS_CRYPTO

    • 楕円曲線Diffie–Hellman (ECDH)操作用の新しいAPI
      • ECDH_GENKEYPAIR: このファンクションは、EC公開/秘密キーのペアを生成します
      • ECDHDERIVE_SHAREDSECRET: このファンクションは、ローカル・アプリケーションの秘密キーとリモート・アプリケーションの公開キーを使用して、共有シークレットを導出します。
    • 新しいPKENCRYPT/PKDECRYPTアルゴリズム: PKENCRYPT_RSA_PKCS1_OAEP_SHA2
    • 新しいチェーン・モードGCM CCM
    • 新しいDBMS_CRYPTOブロック暗号スイート、AES_CCM_NONEおよびAES_GCM_NONE
    • 新しい署名および検証アルゴリズム:
      • SIGN_SHA224_ECDSA
      • SIGN_SHA256_ECDSA
      • SIGN_SHA384_ECDSA
      • SIGN_SHA512_ECDSA
      • SIGN_ECDSA
  • DBMS_SCHEDULERパッケージには、指定されたプロセス状態オブジェクト・アドレスのスケジューラ・インメモリー・トレース・バッファをリクエスタ・プロセスの現在のトレース・ファイルにダンプする新しいDUMP_IN_MEMORY_TRACEプロシージャがあります。

    DBMS_SCHEDULER

  • DBMS_SQLおよびDBMS_TFパッケージは、ISO SQL標準準拠のBOOLEANデータ型をサポートするように更新されました。

    DBMS_SQL

    DBMS_TF

  • DBMS_COMPRESSIONパッケージは、IOTの拡張低索引圧縮をサポートするように更新されました。

    DBMS_COMPRESSION

  • DBMS_SHARDING_DIRECTORYパッケージが追加され、Oracle Globally Distributed Databaseのディレクトリベースのデータ分散方法がサポートされました。

    DBMS_SHARDING_DIRECTORY

  • DBMS_AUTO_CLUSTERINGパッケージが追加され、自動クラスタ化およびゾーン・マッピングがサポートされるようになりました。

    DBMS_AUTO_CLUSTERING

  • DBMS_AUTO_INDEXパッケージに、DBMS_AUTO_INDEX.CONFIGUREプロシージャの新しいパラメータAUTO_INDEX_INCLUDE_DML_COSTがあります。

    DBMS_AUTO_INDEX

  • DBMS_BLOCKCHAIN_TABLEパッケージに、ブロックチェーン表のユーザー・チェーン、ブロックチェーン表の委任署名者およびブロックチェーン表の副署に関連する拡張機能があります。

    DBMS_BLOCKCHAIN_TABLE

  • DBMS_DATA_MININGパッケージは、次の設定をサポートするように拡張されています:

    一般化線形モデルの設定:

    XGBoostの設定:

    • xgboost_interaction_constraints
    • xgboost_decrease_constraints
    • xgboost_increase_constraints
    • objective: survival:aft
    • xgboost_aft_loss_distribution
    • xgboost_aft_loss_distribution_scale
    • xgboost_aft_right_bound_column_name

      「DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: XGBoost」を参照してください。

    明示的セマンティック分析の設定:

    期待値の最大化の設定:

    指数平滑法の設定:

    k-Meansの設定:

    グローバル設定:

  • DBMS_USERDIAGパッケージは、トレース操作の設定など、PDBに対して限定された一連の診断操作を実行できる新しいパッケージです。CDBで使用可能な通常の診断メカニズムのほとんどは、セキュリティ上の懸念から制限されています。

    「DBMS_USERDIAG」を参照してください。

  • DBMS_PIPEパッケージは、クラウド・オブジェクト・ストアを使用した永続メッセージだけでなく、シングルトン・パイプもサポートするように拡張されました。

    DBMS_PIPE

  • DBMS_MLEパッケージは、JavaScriptモジュールの使用をサポートするように更新されました。

    DBMS_MLE

  • DBMS_AQMIGTOOLパッケージは、オーケストレーションの自動化、ソースとターゲットの互換性の診断と修正、統一されたユーザー・エクスペリエンスによって、Oracle Databaseアドバンスト・キューイング(AQ)からトランザクション・イベント・キュー(TxEventQ)への移行を簡素化します。

    DBMS_AQMIGTOOL

  • DBMS_XMLSCHEMA_UTILパッケージは、XMLスキーマを検証するためのインタフェースを提供します。

    DBMS_XMLSCHEMA_UTIL

非推奨となった機能

この項では、Oracle Databaseリリース23c (23.3)の『PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』で非推奨になった機能を示します。

新しいアプリケーションでは、非推奨となった機能と値を使用しないことをお薦めします。推奨されない機能は、下位互換性を維持する目的のみでサポートされています。

mkstoreウォレット管理コマンドライン・ツールの非推奨

mkstoreウォレット管理コマンドライン・ツールは、Oracle Database 23cでは非推奨であり、将来のリリースで削除される可能性があります。

ウォレットを管理するために、Oracleでは、orapkiコマンドライン・ツールを使用することをお薦めします。

DBMS_RESULT_CACHEファンクション名の非推奨

Oracleは、Oracle Database 23cで複数のDBMS_RESULT_CACHEファンクション名を変更しています。

次のファンクションおよびプロシージャは非推奨になりました。

  • BLACK_LISTファンクション。BLOCK_LISTファンクションを使用します。
  • BLACK_LIST_ADDプロシージャ。BLOCK_LIST_ADDプロシージャを使用します。
  • BLACK_LIST_CLEARプロシージャ。BLOCK_LIST_CLEARプロシージャを使用します
  • BLACK_LIST_REMOVEプロシージャ。BLOCK_LIST_REMOVEプロシージャを使用します
  • OBJECT_BLACK_LISTファンクション。OBJECT_BLOCK_LISTファンクションを使用します
  • OBJECT_BLACK_LIST_ADDプロシージャ。OBJECT_BLOCK_LIST_ADDプロシージャを使用します。
  • OBJECT_BLACK_LIST_CLEARプロシージャ。OBJECT BLOCK LIST_CLEARプロシージャを使用します。
  • OBJECT_BLACK_LIST_REMOVEプロシージャ。OBJECT_BLOCK_LIST_REMOVEプロシージャを使用します。

DBMS_XMLSTOREの非推奨

PL/SQLパッケージDBMS_XMLSTOREは、Oracle Database 23cで非推奨になりました。

DBMS_XMLSTOREは、Oracle DatabaseでXMLデータを格納および操作できる非標準のOracle独自のパッケージです。このパッケージは非推奨で、今後のリリースでサポートされなくなる可能性があります。Oracleでは、通常のSQL DMLを使用し、標準のXQueryおよびSQL/XMLを使用してXMLデータを格納および管理することをお薦めします。標準機能を使用すると、XMLデータを格納および操作するための将来的にも有効な方法が提供されます。

DBMS_XMLGEN PL/SQLパッケージの非推奨

PL/SQLパッケージDBMS_XMLGENは、Oracle Database 23cで非推奨になりました。

DBMS_XMLGENは、SQL問合せまたはPL/SQLを使用してXMLドキュメントを生成および変換するために提供される非標準のOracle独自のパッケージです。このパッケージは非推奨で、今後のリリースでサポートされなくなる可能性があります。Oracleでは、SQL/XML演算子を使用して、かわりにリレーショナル列からXMLを生成することをお薦めします。XMLドキュメントの生成および変更にANSI SQL/XML演算子を使用すると、XMLドキュメントを操作するための標準化された将来的な方法が提供されます。

XML DBリポジトリの非推奨

Oracle XML DBリポジトリは、Oracle Database 23cでは非推奨です。

Oracleでは、XML DBリポジトリで使用される機能を代替テクノロジに置き換えることをお薦めします。

DBMS_HANG_MANAGERパッケージの非推奨

DBMS_HANG_MANAGERパッケージは、Oracle Database 23cでは非推奨です。かわりにDBMS_BLOCKER_RESOLVERを使用します。

DBMS_HANG_MANAGERパッケージは、セッションの問題に対処するために一部の構成パラメータおよび制約を変更する方法を提供します。このパッケージはDBMS_BLOCKER_RESOLVERに置き換えられます。DBMS_HANG_MANAGERは、将来のリリースで削除される可能性があります。

従来の監査パッケージとファンクションの非推奨

従来の監査パッケージおよびファンクションは、Oracle Database 23cでは非推奨です。

従来の監査のサポート終了により、従来の監査に関連付けられたPL/SQLパッケージおよびファンクションは非推奨になります。この非推奨には、パッケージおよびファンクションINIT_CLEANUPDEINIT_CLEANUPおよびIS_CLEANUP_INITIALIZEDが含まれます。これらのパッケージまたはファンクションは引き続きOracle Database 23cで動作しますが、従来の監査構成に対する追加または変更はできません。

サポート対象外機能

この項では、Oracle Databaseリリース23cバージョン23.1の『PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』でサポートされなくなった機能を示します。

このリリースでサポートされなくなった機能は次のとおりです。

Oracle Enterprise Manager Database Expressのサポート終了

Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)は、Oracle Databaseリリース23cでサポートが終了しました。

EM Expressは、Oracle Database内に構築されるWebベースのデータベース管理ツールです。これは、キー・パフォーマンス管理および基本的なデータベース管理機能をサポートしています。EM ExpressはOracle Database 21cで非推奨になりました。EM Expressの機能の多くは、Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Database Managementサービス、Oracle Enterprise Manager Cloud ControlまたはOracle SQL Developerで使用できるようになりました。

サービス属性値SESSION_STATE_CONSISTENCY = STATICのパラメータのサポート終了

SESSION_STATE_CONSISTENCY = STATICが指定されたセッション属性値FAILOVER_TYPE = TRANSACTIONは、サポートされているサービス属性の組合せではなくなりました。

以前のリリースでは、サービス・パラメータsession_stateを使用して、session_stateDYNAMICまたはSTATICに設定することにより、透過的アプリケーション・コンティニュイティを使用してセッション状態を自動的に管理できました。しかし、Oracle Database 23c以降、STATICオプションを使用できなくなりました。かわりに、次のいずれかのフェイルオーバー・オプションを使用します。

  • FAILOVER_TYPE = AUTOSESSION_STATE_CONSISTENCY = AUTOまたはHYBRID
  • FAILOVER_TYPE = TRANSACTIONおよびSESSION_STATE_CONSISTENCY = DYNAMIC

これらの構成により、Oracle Databaseでのセッション状態トラッキングが強制され、セッション移行およびセッションのフェイルオーバー時にセッション状態が維持されます。

Oracle Wallet Manager (OWM)のサポート終了

Oracle Database 23c以降、Oracle Wallet Manager (OWM)はサポートされなくなりました。

orapkiコマンドライン・ツールを使用してOWMを置き換えることをお薦めします。

Oracle OLAPのサポート終了

分析ワークスペース、OLAP DMLプログラミング言語およびOLAP Java APIは、Oracle Database 23cではサポートされなくなりました。

高度な分析機能が必要な新しいアプリケーションの場合、予測およびwhat-if分析のために分析ビュー(Oracle Databaseの機能)またはOracle Essbaseを検討することをお薦めします。Oracle分析ビューは、あらゆるOracle Databaseエディションの機能です。アプリケーションでディメンション問合せおよびレポート・アプリケーションにOLAPを使用する場合は、Oracle分析ビューをOLAPの代替として検討することをお薦めします。分析ビューは、既存のデータベース表およびビューに格納されているデータの分析問合せを迅速に効率的に作成する方法を提供します。Oracle分析ビューを使用すると、"キューブ・ビルド/更新"プロセスを必要とせずに、ディメンション問合せモデルおよびサポート・メタデータを取得できます。キューブ・ビルド/更新プロセスを省くことで、スケーラビリティ制約(モデルの複雑さとデータ量)が緩和され、データ準備パイプラインが簡素化され、データ待機時間が短縮または省かれます。

次のOLAPパッケージはサポート対象外になりました:

  • DBMS_AW_STATS
  • DBMS_CUBE
  • DBMS_CUBE_ADVISE
  • DBMS_CUBE_LOG