5 Oracle Database Freeのインストール

RPMパッケージを使用してOracle Database Freeをインストールできます。

RPMベースのインストールでは、インストール前チェックが実行され、データベース・ソフトウェアが展開され、展開されたソフトウェアの所有権が事前構成済ユーザーおよびグループに再割当てされ、Oracleインベントリがメンテナンスされ、単一インスタンスのOracleデータベースの作成と構成のためのOracle Databaseソフトウェアの構成に必要なすべてのroot操作が実行されます。

RPMベースのインストール・プロセスでは、インストールの最小要件が満たされていない場合にこれを検出し、これらのインストールの最小前提条件を完了するように求めます。

この項の内容は次のとおりです。

RPMパッケージを使用したOracle Database Freeのインストール

RPMパッケージを使用してOracle Database Freeをインストールおよび構成するには、次のステップを実行します。

Oracle Database 23c Freeをインストールする前に、既存のOracle Database XEまたはOracle Database Free、あるいはSIDがXEまたはFREEのデータベースをターゲット・システムからアンインストールします。Oracle Database Freeのアンインストールを参照してください。

Oracle Database Freeのインストールでは、/optで約9 GBのディスク領域が使用されます。このディスク・パーティションに必要なディスク領域がない場合、スペースを追加するか、代替パーティションを/opt/oracleとしてマウントする必要があります。このディスク・パーティションは、ソフトウェアおよびデータベースが存在するOracleベースとして定義されます。

ノート:

Oracle Database Freeインストールでは、そのディスクのシンボリック・リンク(symlink)はサポートされていません。

Oracle Database Free RPMのインストール

  1. sudoを使用して、rootとしてログインします。

    sudo -s
  2. Oracle Linux 8 Developerチャネルを有効にします。

    Oracle Linux 8 MinimalまたはServer Installの場合:

    dnf install -y oraclelinux-developer-release-el8

    Oracle Linux 8 Oracle Cloudベース・インスタンスの場合:

    dnf config-manager --set-enabled ol8_developer 

    Oracle Linux 8 Cloud Developerイメージの場合:

    それ以外のステップは必要ありません。

    Oracle Linux 8コンテナ・イメージの場合:

    ホストに応じて、前述のシナリオから適切なコマンドを入力します。

  3. Oracle Database Preinstallation RPMをインストールします。

    Oracle Linux 8

    dnf -y install oracle-database-preinstall-23c

    Red Hat Enterprise Linux 8

    1. Oracle yumサイトにアクセスします:

      https://yum.oracle.com/repo/OracleLinux/OL8/developer/x86_64/

    2. 最新の23cのOracle Database Preinstallation RPMをダウンロードします。たとえば、oracle-database-preinstall-23c-1.0-1.el8.x86_64.rpmです

    3. 最新のPreinstallation RPMをインストールします。例:

      dnf -y localinstall  oracle-database-preinstall-23c-1.0-1.el8.x86_64.rpm

    ノート:

    • Oracle Database Preinstallation RPMでは、Oracleインストール所有者およびグループが自動的に作成されます。また、Oracle Databaseのインストールに必要なその他のカーネル構成設定も設定されます。役割区分を使用する予定がある場合は、要件に応じてデータベース・ユーザーおよびグループの拡張セットを作成します。
    • dnfでパッケージ確認プロンプトがスキップされるようにする場合は、-yオプションを使用します。
    • dnfコマンドの詳細は、DNFについてを参照してください。
  4. Oracle Database Freeソフトウェアのダウンロード・ページにアクセスします。

    https://www.oracle.com/database/technologies/free-downloads.html

  5. RPMベースのインストールの実行に必要なRPMファイルoracle-database-free-23c-1.0-1.el8.x86_64.RPMを、選択したディレクトリにダウンロードします。

  6. データベース・ソフトウェアをインストールします。

    dnf -y localinstall oracle-database-free-23c-1.0-1.el8.x86_64.rpm

ノート:

RPMログ・ファイルを確認して、システム構成の変更を特定します。たとえば、/var/log/oracle-database-preinstall-23c/results/orakernel.logを確認します。

Oracle Databaseソフトウェアのインストールが完了しました。

Oracle Databaseの作成および構成

構成スクリプトは、1つのプラガブル・データベース(FREEPDB1)を含むコンテナ・データベース(FREE)を作成し、デフォルト・ポート(1521)でリスナーを構成します。

構成パラメータは、/etc/sysconfig/oracle-free–23c.confファイルを編集して変更できます。

このファイルに設定されているパラメータの詳細は、サイレント・モードのインストール手順: サイレント・インストールの実行を参照してください。

デフォルト設定でデータベースを作成するには:

  1. sudoを使用してrootとしてログインします。

    sudo -s
  2. サービス構成スクリプトを実行します。

    /etc/init.d/oracle-free-23c configure

    コマンド・プロンプトで、SYSSYSTEMおよびPDBADMIN管理ユーザー・アカウントのパスワードを指定します。パスワードは8文字以上の長さで、少なくとも1つの大文字、1つの小文字および1つの数字[0-9]を含めることをお薦めします。

    関連項目:

    これらのアカウントに同じパスワードが使用されます。パスワードはOracle推奨標準に準拠する必要があります。パスワードの保護に関するガイドラインの詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください

    構成が完了すると、データベースおよびリスナーが起動されます。

表5-1構成、データベース・ファイルおよびログの場所

ファイル名と位置 用途

/opt/oracle

Oracleベース。これは、Oracle Database Freeディレクトリ・ツリーのルートです。

/opt/oracle/product/23c/dbhomeFree

Oracleホーム。このホームは、Oracle Database Freeがインストールされている場所です。これには、Oracle Database Free実行可能ファイルおよびネットワーク・ファイルのディレクトリが含まれます。

/opt/oracle/oradata/FREE

データベース・ファイル。

/opt/oracle/diagサブディレクトリ

診断ログ。データベース・アラート・ログは/opt/oracle/diag/rdbms/free/FREE/trace/alert_FREE.logです

/opt/oracle/cfgtoollogs/dbca/FREE

データベース作成ログ。FREE.logファイルには、データベース作成スクリプトの実行の結果が含まれています。

/etc/sysconfig/oracle-free-23c.conf

構成デフォルト・パラメータ。

/etc/init.d/oracle-free-23c

構成およびサービス・スクリプト。

ノート:

ホストにループ・バック・アドレス以外のIPアドレスが割り当てられていない場合(通常はdockerまたは別のコンテナ環境で)、Oracle Net Configuration Assistant (Oracle NETCA)は、インストール中にエラーNo valid IP Address returned for the host hostname in netca trace logが表示されて失敗することがあります。IPアドレスを割り当て、インストールを再試行してください。

サイレント・インストールの実行

サイレント・モードを使用してOracle Database Freeをインストールできます。このモードを使用して、アプリケーションまたは無人操作でOracle Database Freeの埋込みインストールを実行できます。

サイレント・インストールを実行するには、管理アカウントのパスワードをスクリプトのパラメータとして入力するか、構成ファイルに指定する必要があります。

  1. サイレント・インストールを実行するためのラッパー・シェル・スクリプトを作成します。スクリプトには、次のようなコマンドが含まれている必要があります。

    Oracle Linux 8の場合

    #!/bin/bash
     
    yum -y localinstall /downloads/oracle-database-free-23c-1.0-1.el8.x86_64.rpm > /free_logs/FREEsilentinstall.log 2>&1
    
    /etc/init.d/oracle-free-23c configure >> /free_logs/FREEsilentinstall.log 2>&1
    

    または、次のようなパスワードをスクリプトに入力できます。

    (echo "password"; echo "password";) | /etc/init.d/oracle-free-23c configure >> /free_logs/FREEsilentinstall.log 2>&1

    passwordをセキュアなパスワードに置き換えます。入力したパスワードは8文字以上の長さで、少なくとも1つの大文字、1つの小文字および1つの数字[0-9]が含まれている必要があります。

  2. ラッパー・スクリプトを実行可能にします。

    chmod +x myscript.sh
  3. sudoを使用して、rootとしてスクリプトを実行します。
    sudo ./myscript.sh

    Oracle Database FreeのOracleホームは/opt/oracle/product/23c/dbhomeFREEです

    インストールの詳細は、/free_logs/FREEsilentinstall.logファイルを確認してください。

データベースはデフォルト設定で構成されます。特定の要件がないかぎり、これらのパラメータを変更する必要はありません。構成ファイル/etc/sysconfig/oracle-free-23c.confを変更する前に、そのコピーを作成します。RPMのインストール後、データベースを構成する前に変更します。

/etc/sysconfig/oracle-free-23c.conf構成ファイルは、次のように設定します。

  • LISTENER_PORT: データベース・リスナーの有効なリスナー数値ポート値。自動ポート割当ての値は指定しないでください。

  • CHARSET: データベースの文字セット。これはAL32UTF8に設定されます。

  • DBFILE_DESTデータベース・ファイル・ディレクトリ。デフォルトでは、データベース・ファイルはOracleベース/opt/oracle/oradataサブディレクトリに格納されます。独自のデータベース・ファイル・ディレクトリを作成することもできます。ただし、このファイル・パスの権限はoracleユーザーが所有している必要があります。

  • SKIP_VALIDATIONS: メモリーおよびディスク領域の検証をスキップします。デフォルトはfalseです。

注意:

プレーン・テキスト・パスワードを含むファイルを変更して保存する場合は、Oracleソフトウェアのインストール所有者(oracle)ユーザーのみにファイルの所有権を指定します。ファイルの権限を600に変更します。プレーン・テキスト・パスワードを含むファイルを使用していない場合は、データベース管理者またはその他の管理者がそのファイルを削除または保護することをお薦めします。

ノート:

パスワードはOracle推奨標準に準拠する必要があります。パスワードの保護に関するガイドラインの詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください

データベース作成ログは、Oracleベースの/opt/oracle/cfgtoollogs/dbca/サブディレクトリにあります。

Oracle Database Free環境変数の設定

Oracle Database Freeをインストールして構成した後、Oracle Database Freeを使用する前に環境を設定します。

oraenvおよびcoraenvスクリプトを使用して、環境変数を設定します。

たとえば、スクリプトによってプロンプトが表示されることなくBourneシェル、BashシェルまたはKornシェルで環境変数を設定するには、次のようにします。

export ORACLE_SID=FREE 
export ORAENV_ASK=NO 
. /opt/oracle/product/23c/dbhomeFree/bin/oraenv
ORACLE_HOME = [] ? /opt/oracle/product/23c/dbhomeFree
The Oracle base has been set to /opt/oracle
Cシェルの場合:
setenv ORACLE_SID FREE
setenv ORACLEENV_ASK NO
source /opt/oracle/product/23c/dbhomeFree/bin/coraenv