1 Communications Resource Managerの理解

この項の内容は、次のとおりです。

ノート:

アプリケーション・トランザクション・モニター・インタフェース(ATMI)ファイル、機能およびドキュメントに関する記述はすべて、Tuxedoファイル、機能およびドキュメントに適用されます。

1.1 Communications Resource Managerについて

Communications Resource Manager (CRM)は、通信リソースを管理するOracle Tuxedo Mainframe Adapter (TMA) for SNAのコンポーネントです。CRMは、ATMIプラットフォーム上で動作しているアプリケーションとメインフレーム上で動作しているアプリケーション間のデータ・フローを調整します。メインフレーム・アプリケーションは次のプロトコルを使用する可能性があります。

  • Customer Information Control System/Enterprise System Architecture (CICS/ESA)
    • 分散トランザクション処理(DTP)
    • 分散プログラム・リンク(DPL)
  • Information Management System (IMS)

CRMは、個別のネイティブ・プロセスとして動作し、CICS/ESAおよびIMSプロトコルのATMI環境内の通過を可能にするエミュレーションを提供します。

CRMは、SNAとTCPの両方の通信プロトコルを使用します。TCPプロトコルは常にOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA GatewayとCRMの間を流れます。SNAプロトコルは常にCRMからメインフレームへ流れ、構成オプションに従い、メインフレーム上のSNAスタックまたはVTAMのいずれかからCRMに流れます。

CRMは、メインフレームで実行されていない場合は、SNAスタックと同じプラットフォームで実行する必要がありますが、ATMIシステムおよびOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA Gatewayとは別のプラットフォームで実行できます。サポートされているオペレーティング・システムの完全なリストは、Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAリリース・ノートを参照してください。

Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA GatewayはCRM用の構成を提供します。CRMは常に、Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA Gatewayが起動される前に起動され、そのGateway構成で指定されたアドレスをモニタリングしている必要があります。

1.2 システム構成

OracleTuxedo Mainframe Adapter for SNAシステムは、ローカル構成か、UNIX、Windowsまたはメインフレーム・オペレーティング・システムのうち、2つのオペレーティング・システムの組合せで実行される分散構成のいずれかとして構成できます。オペレーティング・システムの詳細は、Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAリリース・ノートを参照してください。CRMは、メインフレーム上で動作していない場合、SNAスタックと同じプラットフォームで動作している必要があります。

1.2.1 メインフレームの前提知識

メインフレームでのCRMの構成を開始する前に、次の項目を考慮に入れることが重要です。

  • 割り当てられたデータセット、JCLの送信およびその他のz/OS操作などの、メインフレームに関する基礎知識。
  • VTAMメジャー・ノード、ロジック・ユニットなどの基本的なVTAM概念の知識。
  • 接続、セッション、トランザクション、プログラムなどのCICSリソースの定義を含む、CICSに関する知識。
  • IMS PSB、ACB、APPC/IMSなどのIMSで使用されるリソースの定義を含む、IMSに関する知識(IMSシステムにアクセスする必要がある場合)。

1.2.2 ローカル構成

ローカル構成では、Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA GatewayとCRMを同じUNIXマシン上でスタック(PU2.1サーバー)と組み合せ、CRMをスタンドアロン・プロセスではなくTuxedoサーバーとして実行するように構成します。スタック経由のメインフレームとのトランザクションにはIBM開発のSNAプロトコルを使用します。

図1-1 Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAのローカル構成


Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAのローカル構成の図

1.2.3 分散構成

分散構成の1つのタイプでは、CRMをメインフレーム上にインストールします。CRMがメインフレーム上にインストールされている場合、サードパーティのSNAスタックをインストールする必要はありません。ただし、Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA Gateway構成ファイル内でVirtual Telecommunications Access Method (VTAM)を指定する必要があります。次の図は、分散構成アーキテクチャを示しています。

図1-2 Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAの分散構成


Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAの分散構成の図

別のタイプの分散構成では、CRMとOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA Gatewayを異なるUNIXまたはWindowsマシン上に分散します。Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA GatewayとCRMの間の接続には、Transmission Control Protocol/Internet Protocol(TCP/IP)、メインフレーム環境への接続にはSNAが使用されます。この構成では、SNAスタックが動作しているもの以外のプラットフォーム上にTuxedoサーバーをインストールする必要がある場合に、CRMとは別のTuxedoサーバーのデプロイが可能になるという柔軟性が与えられます。この構成では、ローカルのOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA GatewayとリモートのCRMの間の関係が1対1の関係である必要があります。

図1-3 非メインフレームのOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAの分散構成


非メインフレームのOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAの分散構成の図

1.3 CRM要件用のメインフレーム構成の準備

CRMは、個別のネイティブ・プロセスとして動作し、CICS/ESAおよびIMSプロトコルのATMI環境内の通過を可能にするエミュレーションを提供します。Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA製品のインストール後、CRMがCICSまたはIMSシステムにアクセスできるようにメインフレーム構成を設定する必要があります。

CRMがメインフレーム上で動作する場合、ネイティブのSNAネットワーク製品のVirtual Telecommunications Access Method (VTAM)を使用して、CICSまたはIMSアプリケーション環境へのSNA接続を確立します。VTAMは、メインフレーム環境用のSystems Network Architecture (SNA)を実装するIBMサブシステムです。VTAMは、通信アプリケーション用のアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)を提供し、アダプタやコントローラなどの通信機器を制御します。現代の用語で言うと、VTAMは通信スタックおよびデバイス・ドライバを提供します。VTAMはネットワーク内でいくつかのタスクを実行します。たとえば、VTAMは次のことを行います:

  • リソースのアクティブ化および接続のモニターと制御
  • 接続の確立とセッションのフローおよびペーシングの管理
  • ユーザー作成のアプリケーション・プログラムおよびIBM提供のサブシステムによるネットワークへのアクセスを可能にするAPIの提供(たとえば、LU 6.2用のAPPC APIプログラミング)
  • 多重仮想記憶(MVS)を使用したタイム・シェアリング・オプション(TSO)の対話型端末サポートの提供
  • ローカルおよびリモートの両方で接続されているリソースのサポートの提供

CRMがUNIXプラットフォーム上で動作している場合、サードパーティのSNAスタックもこのプラットフォーム上にインストールし、CRMとターゲット・メインフレーム間のSNA接続を確立する必要があります。

次の項のトピックでは、CRM用のメインフレーム構成の要件について説明します。

1.3.1 VTAM構成の確立要件

VTAM構成の確立に関して、次の要件を考慮する必要があります。

  • CRMをメインフレーム上で実行する場合、CRMと通信するローカルのVTAM構成がメインフレームに装備されている必要があります。
  • サードパーティのSNAスタックを使用している場合、そのSNAスタックと通信するようにVTAMを構成する必要があります。

CICS/ESAリモート・ドメイン管理者に連絡し、このSNAスタック構成内、およびOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAローカル・ドメイン内の他の構成ファイルに含まれる必要があるVTAM定義のキー・パラメータを入手します。

1.3.2 サードパーティ・スタック用CRMの構成

メインフレーム構成要件の基本を理解することにより、CRMの機能および構成要件の概念を理解できます。次の項では、構成に関する様々な考慮事項と、これらの構成の例について説明します。

ノート:

ご使用のシステムに特定の情報については、現場のメインフレーム・システムの管理者に問い合せてください。次の項の例はシステム構成の基本例を示すもので、すべての可能性を示すものではありません。
1.3.2.1 サードパーティ・スタック構成

サードパーティ・スタック構成は、スタック特定の構成ユーティリティを使用するか、または任意のテキスト・エディタを使用して構成ファイルを手動で作成して設定できます。次のリストに、SNAノード構成ファイルの例を示します。この構成ファイルは、構成の様々なコンポーネント別のセクションに分かれています。各セクションでは、パラメータ(またはキーワード)および値を使用してコンポーネントが定義されています。これらのキーワードおよび値の一部は、ご使用のOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA構成の定義方法に影響します。

リスト SNAノード構成ファイル

[define_node_config_file]
major_version = 5
minor_version = 1
update_release = 1
revision_level = 193
 
[define_node]
cp_alias = sna_node_1
description = ""
fqcp_name = SIEBEL.SNODE1
node_type = NETWORK_NODE
mode_to_cos_map_supp = YES
mds_supported = YES
node_id = <07100024>
max_locates = 1500
dir_cache_size = 255
max_dir_entries = 0
locate_timeout = 60
reg_with_nn = YES
reg_with_cds = YES
mds_send_alert_q_size = 100
cos_cache_size = 24
tree_cache_size = 40
tree_cache_use_limit = 40
max_tdm_nodes = 0
max_tdm_tgs = 0
max_isr_sessions = 1000
isr_sessions_upper_threshold = 900
isr_sessions_lower_threshold = 800
isr_max_ru_size = 16384
isr_rcv_pac_window = 8
store_endpt_rscvs = NO
store_isr_rscvs = NO
store_dlur_rscvs = NO
cos_table_version = VERSION_0_COS_TABLES
send_term_self = NO
disable_branch_awareness = NO
cplu_syncpt_support = NO
cplu_attributes = NONE
dlur_support = YES
pu_conc_support = YES
nn_rar = 128
max_ls_exception_events = 0
max_compress_level = LZ10
clear_initial_topology = NO
ptf_flags = NONE
 
[define_ip_dlc]
dlc_name = IP0
description = ""
initially_active = NO
udp_port_llc = 12000
udp_port_network = 12001
udp_port_high = 12002
udp_port_medium = 12003
udp_port_low = 12004
ip_precedence_llc = 6
ip_precedence_network = 6
ip_precedence_high = 4
ip_precedence_medium = 2
ip_precedence_low = 1
no_dns_lookup = NO
 
[define_ethernet_dlc]
dlc_name = ETHER0
description = ""
neg_ls_supp = YES
initially_active = NO
adapter_number = 0
lan_type = 802_3_DIX
device_name = ""
 
[define_ip_port]
port_name = IPP0
description = ""
ip_version = IPV4
lsap_address = 0x04
dlc_name = IP0
initially_active = NO
max_rcv_btu_size = 1500
tot_link_act_lim = 4096
inb_link_act_lim = 0
out_link_act_lim = 0
implicit_ls_limit = 0
act_xid_exchange_limit = 9
nonact_xid_exchange_limit = 5
max_ifrm_rcvd = 7
target_pacing_count = 7
max_send_btu_size = 1500
implicit_cp_cp_sess_support = YES
implicit_limited_resource = NO
implicit_deact_timer = 30
implicit_uplink_to_en = NO
effect_cap = 157286400
connect_cost = 0
byte_cost = 0
security = SEC_NONSECURE
prop_delay = PROP_DELAY_LAN
user_def_parm_1 = 128
user_def_parm_2 = 128
user_def_parm_3 = 128
local_ip_interface = ""
react_timer = 30
react_timer_retry = 65535
ack_timeout = 10000
max_retry = 10
liveness_timeout = 10000
short_hold_mode = NO
 
[define_ip_ls]
ls_name = IPL0
description = ""
port_name = IPP0
adj_cp_name = SIEBEL.IBMCP1
adj_cp_type = LEARN_NODE
max_send_btu_size = 1500
ls_attributes = SNA
cp_cp_sess_support = YES
default_nn_server = NO
ip_version = IPV4
lsap_address = 0x04
auto_act_supp = NO
tg_number = 0
limited_resource = NO
disable_remote_act = NO
link_deact_timer = 30
use_default_tg_chars = YES
effect_cap = 157286400
connect_cost = 0
byte_cost = 0
security = SEC_NONSECURE
prop_delay = PROP_DELAY_LAN
user_def_parm_1 = 128
user_def_parm_2 = 128
user_def_parm_3 = 128
target_pacing_count = 7
max_ifrm_rcvd = 0
conventional_lu_compression = NO
branch_link_type = NONE
adj_brnn_cp_support = ALLOWED
initially_active = NO
restart_on_normal_deact = NO
react_timer = 30
react_timer_retry = 65535
remote_ip_host = 111.111.111.111
ack_timeout = 10000
max_retry = 10
liveness_timeout = 10000
short_hold_mode = NO
 
[define_partner_lu]
plu_alias = CICSI
description = ""
fqplu_name = SIEBEL.CICSI
plu_un_name = CICSI
parallel_sess_supp = YES
max_mc_ll_send_size = 0
conv_security_ver = NO
 
[define_local_lu]
lu_alias = XCRM03
list_name = ""
description = ""
lu_name = XCRM03
lu_session_limit = 0
pu_name = <0000000000000000>
nau_address = 0
default_pool = NO
syncpt_support = YES
lu_attributes = NONE
sscp_id = 0
disable = NO
sys_name = ""
timeout = 60
 
[define_mode]
mode_name = SMSNA100
description = (SNA defined mode)
max_neg_sess_lim = 8
plu_mode_session_limit = 8
min_conwin_src = 4
min_conloser_src = 4
auto_act = 4
receive_pacing_win = 7
max_receive_pacing_win = 0
default_ru_size = YES
max_ru_size_upp = 0
max_ru_size_low = 0
cos_name = #INTER
compression = PROHIBITED
max_compress_level = NONE
max_decompress_level = NONE
 
[define_directory_entry]
resource_name = SIEBEL.IBMCP1
resource_type = ENCP_RESOURCE
description = ""
parent_name = SIEBEL.SNODE1
parent_type = NNCP_RESOURCE
 
[define_directory_entry]
resource_name = SIEBEL.IBMCP1
resource_type = LU_RESOURCE
description = (Auto defined - default LU)
parent_name = SIEBEL.IBMCP1
parent_type = ENCP_RESOURCE
1.3.2.2 VTAMクロス・プラットフォーム定義

次の項で説明するクロス・プラットフォーム定義の例では、SNAプロトコルを使用してスタックとVTAMネットワーク間の通信を行います。

1.3.2.2.1 XCAメジャー・ノードによるSYS1用のLANアダプタの定義

外部通信アダプタ(XCA)のメジャー・ノードでは、VTAMによる次の共有アクセス転送機能(SATF)への接続を定義します。

  • ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)
  • 次を使用してアクセスされる、非同期転送モード(ATM)ネットワーク:
    • LANエミュレーション
    • ネイティブATM
  • Enterprise Extender (EE)ネットワーク

この定義では、APPNネットワーク・ノード間の接続に、エミュレートされたIBM 3172相互接続コントローラを使用できるようにします。この定義はイーサネットLAN用であり、指定されるSAPADDRはローカル・リンク・ステーション用に指定されるLSapと同一である必要があります。

リスト XCAメジャー・ノード

XETH2LP1 VBUILD TYPE=XCA ** EXTERNAL COMMUNICATION ADAPT** 
PORTE2   PORT  ADAPNO=1,       ** 3172 RELATIVE ADAPTER NUMBER** 
               CUADDR=E22,     ** CHANNEL UNIT ADDRESS        **
               MEDIUM=CSMACD,  ** LAN TYPE=ETHERNET           ** 
               SAPADDR=8,      ** SERVICE ACCESS POINT ADDRESS** 
               TIMER=120       ** CHANNEL ACTIVATE RESP TIME  ** 
* 
G1ETH2   GROUP DIAL=YES,       ** YES required for putype 2   ** 
               DYNPU=YES, 
               CALL=INOUT, 
               ANSWER=ON, 
               ISTATUS=ACTIVE 
LETH20   LINE 
PETH20   PU 
LETHE3   LINE 
PETHE3   PU 
LETHF3   LINE 
PETHF3   PU
1.3.2.2.2 スイッチド・ネットワーク(SWNET)定義

VTAMスイッチド・メジャー・ノード(SWNET)定義は、物理的ユニット(PU)と論理ユニット(LU)を定義して関連付けます。ネットワークに接続されている各ワークステーションは、ネットワーク上ではPUとして表現される必要があり、各PUには1つ以上のLUを関連付けることができます。VTAM SWNET定義は、PUおよびLUとサーバー間の通信方法を定義します。

この項のスイッチドネットワーク定義の例(次のリスト)では、ホスト・マシンに接続されるローカル・リンク・ステーションを表すVTAM PUが指定されています。IDBLKおよびIDNUM定義は3270トラフィックをサポートするように指定されています。これらは一意であり、ローカル・リンク定義で指定される値と一致している必要があります。

リスト SWNETメジャー・ノード

SWNETH2   VBUILD   TYPE=SWNET,MAXNO=3,MAXGRP=3 
P390ETH2  PU  ADDR=04, 
              IDBLK=019, 
              IDNUM=10092, 
              PUTYPE=2, 
              NETID=BEALAN, 
              CPNAME=SUN2, 
              MAXPATH=3, 
              DWACT=YES, 
              CONNTYPE=APPN, 
              CPCP=YES, 
              DYNLU=YES 
* ------------------------------------------------- 
* SNA SAP & SUN2 MAC ADDRESS BIT REVERSED FOR TRFMT 
* ------------------------------------------------- 
PATH01     PATH DIALNO=00081000043EE20A, 
               GRPNM=G1ETH2 
LUSUN2A LU LOCADDR=0 
LUSUN2B LU LOCADDR=0 
LUSUN2C LU LOCADDR=0

1.3.3 z/OSプラットフォーム用のCRMの構成

SNAプロトコルを使用してCRMとCICSまたはIMS間の通信が可能になるようにVTAMを構成する必要があります。

次のリストに示すAPPLID定義は、z/OSでCRMを実行するためのVTAMスタック構成の例です。

リスト APPLID定義(z/OS)

BEASNA VBUILD TYPE=APPL 
BEAAPPL1 APPL ACBNAME=BEAAPPL1, 
              AUTH=(ACQ,PASS), 
              APPC=YES, 
              SYNCLVL=SYNCPT,
              PARSESS=YES

この例の引数およびオプションは次のように定義されています。

ACBNAME
このアプリケーション・プログラムに割り当てられるマイナー・ノード名を指定します。この名前は、アプリケーション・プログラムが存在するドメイン内で一意である必要があります。
SYNCLVL
アプリケーション・プログラムの同期サポート・レベルを指定します。
SYNCPT
SYNCPT、CONFIRM、NONEの同期レベルがサポートされるように指定します。この論理ユニットは、会話で指定された確認と同期ポイント処理の両方をサポートします。
PARSESS
このアプリケーション・プログラムが、同じセッション・パートナ間に複数のLU-LUセッションを確立できるようにします。
1.3.3.1 CRMのAPPLIDのアクティブ化

次のMVSコマンドを使用して、CRMのAPPLIDを動的にアクティブ化します。

V NET,ID=BEASNA,ACT,SCOPE=ALL
1.3.3.2 CICS/ESA LUの構成

CRMをリモート・スタックに接続する前に、CICS/ESA LU(論理ユニット)構成を確立する必要があります。構成を確立するには、接続定義およびセッション定義を作成し、リソース定義をインストールします。

1.3.3.2.1 リモート・ホストでの接続の作成

リモート接続定義ファイルが未作成の場合は、メインフレームのサポート担当者に連絡して作成してください。この定義は、リモート・ホストに配置することにより、ローカル・ドメインとの接続を可能にします。次に、Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA接続定義ファイルの例を示します:

DEFINE CONNECTION(BEA)       GROUP(BEACONN)
       DE(EAM EXAMPLE RDO CONNECTION)
       ACCESSMETHOD(VTAM)    PROTOCOL(APPC)
       NETNAME(**VTAM NETWORK NAME OF REMOTE SYSTEM**)
       ATTACHSEC(LOCAL)      AUTOCONNECT(NO)

この例では、次のメソッドで引数とオプションを定義しています:

AUTOCONNECT
ACCESSMETHOD(VTAM)を使用するシステムでは、AUTOCONNECT(YES)または(ALL)を使用して、セッションが確立される(つまり、BINDが実行される)ことを指定します。そのようなセッションはCICS初期化中に設定されるか、CEMTまたはEXEC CICS SET VTAM OPENコマンドを使用してVTAMとの通信を開始するときに設定されます。リモート・システムが使用できないときに接続が確立できない場合は、リモート・システムがその間に使用可能になり、通信を開始しないかぎり、CEMTまたはEXEC CICS SET CONNECTION(sysid) INSERVICE ACQUIREDコマンドを使用して、後でリンクを取得する必要があります。
SINGLESESS(NO)を指定したAPPC接続の場合、CICSはシステム起動時に、モード・グループSNASVCMGのLUサービス・マネージャ・セッションのバインドを試みます。

AUTOCONNECT(NO) CICSは、接続が確立されるときにセッションをバインドしません。

ACCESSMETHOD(VTAM)
この接続定義で定義されたローカルCICSリージョンとシステムの間のVTAM通信は、VTAMを介して行われます。異なるMVSイメージまたは同じMVSイメージ内の異なるアドレス空間にあるシステムに対して、VTAMシステム間通信(ISC)を使用できます。
NETNAME
リモート・システムを識別するネットワーク名を指定します。名前は、8文字以下です。名前はアセンブラ言語ルールに従います。英字で始まる必要があります。ここでは、NETNAMEはCRMのAPPLIDです。
1.3.3.2.2 リモート・ホストでのセッションの定義

セッション定義ファイルが未作成の場合は、メインフレームのサポート担当者に連絡して作成してください。セッション定義は、リモート・ホストに配置することにより、ローカル・ドメインとリモート・ホストとの通信用の論理リンクを定義します。次に、Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAセッション定義の例を示します:

DEFINE SESSION(BEATEST)       GROUP(BEACONN)
       CONNECTION(BEA)
       DE(EAM EXAMPLE RDO SESSION)
       PROTOCOL(APPC)         AUTOCONNECT(YES)
       MODENAME(**MODE**)     MAXIMUM(**SESSNBR**,**WINNER**)

この例の引数およびオプションは次のように定義されています。

AUTOCONNECT
セッションのアクティブ化のネゴシエート方法を指定します。
YES
会話が割り当てられるとCICS/ESAホストによる勝者セッションのネゴシエーションが可能になるようにします。
MODENAME
SMSNA100などのCICS/ESA提供のモード名、またはユーザー定義のモード名のいずれかを指定します。BEA接続に別のセッション定義セットが存在する場合は、このモード名は接続に定義されているすべてのセット間で一意である必要があります。このモード名はVTAM LOGMODE名に対応します。モード名は、ペーシング・レベルやサービス・クラスなどの特性を定義します。トランザクション・プログラムが会話をリクエストする際、通常は会話に使用するセッションを指定しませんが、セッションのモード名を指定することはできます。各モード名は、セッション・パラメータが記述されているログオン・モード表で定義されます。
MAXIMUM
セット内のセッションの合計数、および勝者セッションの合計数を定義します。勝者セッションの合計数には、ホストおよびリモート・スタックの勝者セッションの合計数が含まれる必要があります。WINNER数とリモート・セッションの数を足したものがSESSNBRと等しくなければなりません。
1.3.3.2.3 リソース定義のインストール

リソース定義をインストールするには、リソース定義を別のグループのホスト上に置きます。CEDA INSTALLコマンドを使用します。

例:

CEDA INSTALL GROUP(BEACONN)
1.3.3.2.4 接続およびセッションのステータスの表示
リソース定義のインストール後、次のCICS/ESAシステム・コマンドを使用して接続およびセッションのステータスを表示できます。
CEMT I CONN(BEA)                  **view the status of the connection
CEMT I NET(**NETNAME**)           **View the status of the sessions
CEMT I MODENAME(**MODE**)         **View the status of the mode

1.4 まとめ

次の項の各トピックで、クロスプラットフォーム定義の例を示します。これらの例は参照目的のみで、すべての構成の可能性を示すものではありません。ご使用のシステムに特定の情報については、システム管理者に問い合せてください。

1.4.1 WindowsまたはUNIXクロスプラットフォームの定義

Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAソフトウェアをインストールする前に、次の表でWindowsまたはUNIXクロスプラットフォーム定義の例を確認してください。VTAMシステム管理者に連絡し、名前列内の値を取得し、必要な場所列内で対応するエントリを指定します。

次のリストは、対応するOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA Gateway構成ファイルを示しています。Gateway構成の設定の詳細は、『Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAユーザー・ガイド』を参照してください。

表1-1 DCL定義のサマリー

名前 作成元 必要な場所
SNAネットワークID(たとえば、SNANET1)およびVTAMホストID(たとえば、VTAMHOST) VTAM構成 DCLベースのスタック構成:

例:

fqcp_name=SNANET1.SPARC1
adj_cp_name=SNANET1.VTAMHOST
fqplu_name=SNANET1.CICSSYN
モード名 (たとえば、SNA62) VTAM-MODEENT定義 CICSセッション定義:

例: MODENAME(SNA62)

DCLベースのスタック構成:

例: mode_name=SNA62

GWSNAX構成:

例:

DM_SNALINKS

MODENAME="SNA62"

制御ポイント名 CPNAME (たとえばSPARC1) VTAM-PU定義 DCLベースのスタック構成:
例:
fqcp_name=SNANET1.SPARC
cp_alias=SPARC1                
ローカルLU名 (たとえば、L0F0024A) VTAM-LU定義 CICS CONNECTION定義:

例: NETNAME( L0F0024A )

DCLベースのスタック構成:

例:
lu_name=L0F0024A  
lu_alias=L0F0024A
GWSNAX構成: 例:
DM_SNASTACKS 
LOCALLU="L0F0024A"
CICS LU名(たとえば、CICSSYN) VTAM-LU定義 DCLベースのスタック構成: 例:
fqplu_name=SNANET1.CICSSYN
plu_alias=CICSSYN          
GWSNAX構成:
例:
DM_SNALINKS 
RLUNAME="CICSSYN" 
端末識別子 (たとえば、05DF0024) VTAM (IDNUM+IDBLK) DCLベースのスタック構成:

例:

node_id=<05000002>

SYNCLVL スタック DCLベースのスタック構成:
例:
[define local_lu] syncpt_support=CONFIRM
GWSNAX構成: 例:
DM_SNALINKS
MAXSYNCLVL=1
Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA Gatewayへのすべての着信会話のマップ(TPに、CNOSやサービス会話などの、使用可能なすべての権限があることを確認してください)。 スタック DCLベースのスタック構成: 例:
Sna_tps
<404040...hex representation of 64 
EBCDIC spaces...404040>
TYPE=QUEUED 
TIMEOUT=-1 
USERID=authorized_user_here
GROUP=authorized_group_here 
LUALIAS=LOF0024A
GWSNAX構成: 例:
DM_LOCAL_SERVICES
RNAME=”DPL1SVR” 
CICS DPLプログラム名(たとえば、TOUPPER) CICS/ESA GWSNAX構成: 例:
DM_REMOTE_SERVICES
RNAME=TOUPPER

リスト 対応するDMCONFIGファイル

#================================================================

*DM_LOCAL_DOMAINS
simpsnad      GWGRP=GROUP2
              TYPE=SNAX 
              DOMAINID="simpsnad"
              BLOB_SHM_SIZE=1000000
              DMTLOGDEV=/home/qctest/dmlog

*DM_REMOTE_DOMAINS

SIMPSNAG      TYPE=SNAX 
              DOMAINID="SIMPSNAG" 
*DM_SNACRM

simpcrm       SNACRMADDR="//myhost:6000
              NWDEVICE="/dev/tcp"
              LDOM="simpsnad"
*DM_SNASTACKS

simpstk       SNACRM="simpcrm"
              STACKTYPE="IBM60"
              LOCALLU="L0F0024A"
              LTPNAME="*"
              STACKPARMS="myhost"
*DM_SNALINKS

simplk1       STACKREF="simpstk"    
              RDOM="SIMPSNAG"
              LSYSID="BEA"
              RSYSID="TEST"
              RLUNAME="CICSSYN"
              MODENAME="SNA62"
              SECURITY="LOCAL"
              STARTTYPE="COLD"
              MAXSESS=10
              MINWIN=5
              MAXSYNCLVL=2
*DM_LOCAL_SERVICES

DPL1SVR       LDOM="simpsnad"
              CONV=N
              RNAME="DPL1SVR"
              INBUFTYPE="STRING"    
              OUTBUFTYPE="STRING"
*DM_REMOTE_SERVICES

TOUPPER       AUTOTRAN=N 
              LDOM="simpsnad"
              RDOM=SIMPSNAG 
              CONV=N
              RNAME="TOUPPER"
              INBUFTYPE="STRING"
              OUTBUFTYPE="STRING"
              FUNCTION="DPL"

*DM_ROUTING

1.4.2 z/OS定義の例

Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAソフトウェアをインストールする前に、次の表で、CRMがz/OSプラットフォーム上で動作する場合のSNA定義の例を確認してください。システム管理者に連絡し、名前列内の値を取得し、必要な場所列内で対応するエントリを指定します。

次のリストは、対応するOracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNA構成ファイルを示しています。Gateway構成の設定の詳細は、『Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAユーザー・ガイド』を参照してください。

表1-2 z/OS SNA定義のサマリー

名前 作成元 必要な場所
ローカルLU名 (たとえば、BEAAPPL1) VTAM-LU定義 CICS CONNECTION定義: 例: NETNAME(BEAAPPL1)

VTAM構成:

例:
BEASNA VBUILD TYPE=APPL 
BEAAPPL1 APPL ACB=BEAAPPL1,
              APPC=YES,
              PARSESS=YES
GWSNAX構成:
例:
DM_SNASTACKS 
LOCALLU="BEAAPPL1" 
モード名 (たとえば、SNA62) VTAM-MODEENT定義 CICSセッション定義:

例:

MODENAME(SNA62)

GWSNAX構成:

例:
DM_SNALINKS 
MODENAME="SNA62"
VTAM構成(必須ではない):

例:

MODEENT=SNA62
CICS LU名(たとえば、CICSSYN) VTAM-LU定義 GWSNAX構成:
例:
DM_SNALINKS
RLUNAME="CICSSYN"
SYNCLVL VTAM-LU定義 VTAM構成:
例:
SYNCLVL=CONFIRM
GWSNAX構成:
例:
DM_SNALINKS 
MAXSYNCLVL=1
CICS DPLプログラム名(たとえばTOUPPER) CICS/ESA GWSNAX構成:
例:
DM_REMOTE_SERVICES
RNAME=TOUPPER

リスト 対応するDMCONFIGファイル

#================================================================

*DM_LOCAL_DOMAINS
simpsnad      GWGRP=GROUP2
              TYPE=SNAX 
              DOMAINID="simpsnad"
              BLOB_SHM_SIZE=1000000
              DMTLOGDEV=/home/qctest/dmlog

*DM_REMOTE_DOMAINS

SIMPSNAG       TYPE=SNAX 
               DOMAINID="SIMPSNAG" 

*DM_SNACRM
simpcrm        SNACRMADDR="//mymainframe:6000
               NWDEVICE="/dev/tcp"
               LDOM="simpsnad"

*DM_SNASTACKS
simpstk        SNACRM="simpcrm"
               STACKTYPE="VTM28"
               LOCALLU="BEAAPPL1"
               LTPNAME="*"
               STACKPARMS="mymainframe"

*DM_SNALINKS
simplk1        STACKREF="simpstk"
               RDOM="SIMPSNAG"
               LSYSID="BEA"
               RSYSID="TEST"
               RLUNAME="CICSSYN"
               MODENAME="SMSNA100"
               SECURITY="LOCAL"
               STARTTYPE="COLD"
               MAXSESS=10
               MINWIN=5
               MAXSYNCLVL=2

*DM_LOCAL_SERVICES
DPL1SVR       LDOM="simpsnad"
              CONV=N
              RNAME="DPL1SVR"
              INBUFTYPE="STRING"
              OUTBUFTYPE="STRING"

*DM_REMOTE_SERVICES
TOUPPER       AUTOTRAN=N   
              LDOM="simpsnad"
              RDOM=SIMPSNAG 
              CONV=N
              RNAME="TOUPPER"
              INBUFTYPE="STRING"
              OUTBUFTYPE="STRING"
              FUNCTION="DPL"

*DM_ROUTING

1.4.3 APPCカップリング機能構造サイズのパラメータ

z/OSマシンをアップグレードすると、カップリング機能制御コード(CFCC)レベルが変更される場合があります。カップリング機能論理パーティション(CF LPAR)は、Sysplexクラスタを管理します。CFCCのAPPC_LOG構造は、INITSIZE定義に基づいて有効化されます。

たとえば、IBM z15からIBM z16へのz/OSのアップグレード中に、CFCCレベルがレベル25に変更され、物理マシンに関連付けられます。

tmboot中、TMA SNAゲートウェイはz/OS上のCRMとの接続を確立します。内部的には、z/OS上のCRMはAPPCとの接続リンクの確立を試行します。IMS APPCログに十分なサイズがない場合、接続リンクはAppcReturnCode:AllocationErrorで失敗します。

次の表に、IBMが提案するCFレベル25のCFSizer構造サイズの詳細を示します。IMS APPCログでは、正常な接続リンクを確立するために、次に示す最小値が必要です。

表1-3 CFSizer構造サイズ

FUNCTION INITSIZE SIZE
APPCログ・ストリーム 25M 31M

関連項目:

CFSizerの詳細は、CFSizer structure size resultsを参照してください。