ショップ型製造でのリード・タイムの計算方法の例
このトピックでは、プライマリ作業定義にショップ型製造としての作業方法がある品目のリード・タイムを計算する方法について詳細に説明します。
この例では、単純な品目階層の製造リード・タイム、累積合計リード・タイムおよび累積製造リード・タイムの計算ロジックを取り上げます。
製造で使用されるリード・タイムの様々なタイプの簡単な説明は、「製造で使用されるリード・タイムに関連するコンセプト: 説明」のトピックを参照してください。
この例では、製造カレンダごとの合計日数が5日で、各稼働日のシフトは8時間です。 また、すべての品目のロット・サイズはそれぞれ1であると仮定します。
この例では、計算目的でレベルが2つの単純な品目階層を使用します。 階層の最上位レベルは品目Aで、これは製造品目です。 Aは、購買品目であるBと製造品目であるCで構成されます。 Cは、購買品目である品目Dで構成されます。
次の表は、この例で使用する2つの購買品目BおよびDの、様々なユーザー定義リード・タイムのサンプル値を示しています。
品目 |
ロット・サイズ |
プロセス・リード・タイム |
前処理リード・タイム |
後処理リード・タイム |
---|---|---|---|---|
品目B |
1 |
2 |
1 |
1 |
品目D |
1 |
0 |
1 |
3 |
次の表は、この例で使用する2つの製造品目AおよびCの、様々なユーザー定義リード・タイムのサンプル値を示しています。
品目 |
ロット・サイズ |
前処理リード・タイム |
後処理リード・タイム |
---|---|---|---|
品目A |
1 |
2 |
2 |
品目C |
1 |
1 |
2 |
製造リード・タイムの計算
この品目階層には、製造リード・タイムを計算する必要がある2つの製造品目AとCがあります。-
まず、品目Aの作業定義を確認し、リード・タイムを決定します。
工程連番
リソース連番
リソース
基準
使用
スケジュール済
割当済品目
リード・タイム率
10
10
RES1
固定
8時間
はい
品目B
0
20
10
RES2
変動
8時間
はい
品目C
50
-
リード・タイムは、「スケジュール済」フラグが「はい」であるリソースの使用量を考慮して計算されます。
-
Aの固定リード・タイム: 固定リソースの使用量を合計シフト期間で除した値。 この例では、8/8 = 1日として計算できます。 固定リード・タイムはロット・サイズとは無関係です。
-
Aの変動リード・タイム: (変動リソースの使用量を合計シフト期間で除した値)/ロット・サイズ。 この例では、(8/8)/1 = 1日/ユニットとして計算できます。
-
Aのプロセス・リード・タイム: 固定リード・タイム(1) + {変動リード・タイム(1)*ロット・サイズ(1)} = 2日。
-
リード・タイム率は、作業定義の全工程の合計製造リード・タイムに対する、特定の工程の開始のオフセット・パーセント値として計算されます。 計算された値を表に示します。
-
次に、品目Cの作業定義を確認して、プロセス・リード・タイムを決定します。
工程連番
リソース連番
リソース
基準
使用
スケジュール済
割当済品目
リード・タイム率
10
10
RES1
固定
8時間
はい
なし
0
20
10
RES2
変動
16時間
はい
品目D
33.33
-
Cの固定リード・タイム: 固定リソースの使用量を合計シフト期間で除した値。 この例では、8/8 = 1日として計算できます。 固定リード・タイムはロット・サイズとは無関係です。
-
Cの変動リード・タイム: (変動リソースの使用量を合計シフト期間で除した値)/ロット・サイズ。 この例では、(16/8)/1 = 2日/ユニットとして計算できます。
-
Cのプロセス・リード・タイム: 固定リード・タイム(1) + {変動リード・タイム(2)*ロット・サイズ(1)} = 3日。
-
リード・タイム率は、作業定義の全工程の合計製造リード・タイムに対する、特定の工程の開始のオフセット・パーセント値として計算されます。 計算された値を表に示します。
累積製造リード・タイムの計算
次に、両方の製造品目の累積製造リード・タイムを確認します。 製造品目の累積製造リード・タイムの計算のための計算ロジックを次に示します。任意のレベルの製造品目の累積製造リード・タイム= プロセス・リード・タイム + Maximum [0, 前処理リード・タイム, (累積製造リード・タイム - オフセット日数)] + 後処理リード・タイム。
-
アプリケーションでは、まず、階層の最下位レベルにある製造品目の累積製造リード・タイムを計算し、上位レベルへと遡ります。 最初に品目Cの累積製造リード・タイムを計算します。
品目Cの場合、プロセス・リード・タイムは3日です。 前処理リード・タイムは1で品目階層でCより下には製造品目がないため、最大は1になります。 後処理リード・タイムは、ユーザーが定義した2日です。 したがって、累積製造リード・タイムは、3 + 1 + 2= 6日として計算されます。
-
品目Aの場合、プロセス・リード・タイムは2日です。 品目CはAより下にある唯一の製造品目となり、工程20で使用されます。そのリード・タイム率は50%であるため、オフセットは0.5 * 2 = 1日になります。 したがって、最大値は品目Cの累積製造リード・タイムからオフセット日数を減算した値、つまり、6 - 1 = 5日になります。 後処理リード・タイムは、ユーザーが定義した2日です。 したがって、累積製造リード・タイムは、2 + Maximum [0, 2, (6-1)] + 2 = 2 + 5 + 2 = 9日として計算されます。
累積合計リード・タイムの計算
-
最初に、次の式を使用して、購買品目BおよびDに対する合計リード・タイムの累計を計算します。
前処理リード・タイム+プロセス・リード・タイム+後処理リード・タイム。
ここでは、品目BおよびDのリード・タイムが作業定義で定義されています。
品目
プロセス・リード・タイム
前処理リード・タイム
後処理リード・タイム
品目B
2
1
1
品目D
0
1
3
品目Bの場合、累積合計リード・タイムは、2 + 1 + 1 = 4日です。
品目Dの場合、累積合計リード・タイムは、0 + 1 + 3 = 4日です。
-
次に、製造品目AおよびC両方の累積合計リード・タイムを計算します。 製造品目の累積合計リード・タイムの計算のための計算ロジックを次に示します。
任意のレベルの製造品目の累積合計リード・タイム = プロセス・リード・タイム + maximum [0, 前処理リード・タイム, 任意の製造/購買コンポーネントの(累積合計リード・タイム - オフセット日数)] + 後処理リード・タイム
品目Cの場合、プロセス・リード・タイムは3日です。 前処理リード・タイムは、ユーザーが定義した1日です。 コンポーネントDは1日目の終わりに必要であるため、オフセット日数は1です。 累積合計リード・タイムは、購買品目コンポーネント品目Dの累積合計リード・タイムから導出される4日です。 後処理リード・タイムは、ユーザーが定義した2日です。 したがって、累積製造リード・タイムは、3 + Maximum [ 0, 1, (4-1) ] + 2 = 3+3+2 = 8日として計算されます。
品目Aの場合、プロセス・リード・タイムは2日です。 前処理リード・タイムは、ユーザーが定義した2日です。 オフセット日数は、コンポーネントBの場合は初日に必要であるため0で、コンポーネントCの場合は1日目の終わりに必要であるため1です。 累積合計リード・タイムは、品目コンポーネントBではその累積合計リード・タイムから導出される4日、品目コンポーネントCではその累積合計リード・タイムから導出される7日です。 後処理リード・タイムは、ユーザーが定義した2日です。 したがって、累積製造リード・タイムは、2 + Maximum [ 0, 2, (4-0), (8-1)] + 2 = 2+7+2 = 11日として計算されます。
-
すべての計算および導出に基づく、すべてのリード・タイム値の最終的なまとめを次に示します。
品目
タイプ
ロット・サイズ
固定リード・タイム
変動リード・タイム
プロセス・リード・タイム
前処理リード・タイム
後処理リード・タイム
累積製造リード・タイム
累積合計リード・タイム
品目A
製造
1
1
1
2
2
2
9
11
品目B
購買
1
該当なし
該当なし
2
1
1
該当なし
4
品目C
製造
1
1
2
3
1
2
6
8
品目D
購買
1
該当なし
該当なし
0
1
3
該当なし
4