29 クラウドへのOracle Databaseのバックアップ

パブリック・クラウドなどのオフサイトの格納場所を使用することは、Oracle Databaseのバックアップ計画の重要な部分です。クラウド・バックアップはインターネットから常にアクセス可能で、必要なときにすぐリカバリに使用できます。

29.1 RMANを使用したクラウドへのオンプレミスのOracle Databaseのバックアップについて

RMANは、Oracle Cloud、Microsoft Azure Blob StorageおよびAmazon Web Servicesに直接バックアップできます。使用するクラウド・ストレージ・プロバイダへのサブスクリプションを取得してから、RMANを構成してクラウドの格納先に直接バックアップします。

Oracle Database Cloud Backupモジュールは、RMANがクラウド・サービスを使用して直接バックアップおよびリストアできるようにする、オラクル提供のメディア管理ソフトウェアです。バックアップ・モジュール・インストーラ・ファイルは、Oracle Databaseのインストール後にOracleホーム・ディレクトリで使用可能になります。

ターゲット・データベース・サーバーに、使用するクラウド・バックアップの保存先に対応するOracle Database Cloud Backup Moduleをインストールします。たとえば、Oracle DatabaseをAzure Blob Storageにバックアップするには、ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Module for Azureを設定する必要があります。

RMANは、SBT (テープ)チャネルを使用してクラウド・ストレージにバックアップを作成します。SBTチャネルを構成する場合は、クラウド・バックアップ・モジュールに対応するSBTライブラリも指定する必要があります。

RMAN SBTライブラリは、ターゲット・データベース・リリース・バージョンの一部として使用できます。各SBTライブラリには、事前定義された別名があります。たとえば、oracle.azureは、Azure Blob StorageのSBTライブラリです。

バックアップ・モジュールをインストールしてSBTチャネルを構成したら、選択したクラウド・バックアップの保存先に対して、RMANユーティリティを使用してバックアップおよびリストアを実行できます。

クラウドのバックアップおよびリストア用にRMANを設定する手順の概要を次に示します。
  1. 使用するクラウド・ストレージ・サービスのサブスクリプションを取得します。選択したクラウド・サービスに関連付けられたアクティブなアカウントおよび資格証明が必要です。
    RMANは、次の一般的なクラウド・サービスを使用したバックアップおよびリストアをサポートしています:
    • Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Object Storage
    • Swift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure (OCI) Object Storage Service
    • Microsoft Azure Blob Storage
    • Amazon Simple Storage Service (S3)
  2. ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Moduleをインストールします。

    バックアップ・モジュール・インストーラ・ファイルは、データベース・インストールの一部としてOracleホーム・ディレクトリで使用可能になります。

  3. 選択したクラウド・サービスを使用したバックアップおよびリストア操作用のRMAN SBT (テープ)チャネルを構成します。
  4. RMANを使用して、クラウドに直接バックアップおよびリストアします。

29.2 Oracle Database Cloud BackupモジュールおよびRMAN SBTライブラリ

クラウドにバックアップを作成するには、Oracle Database Cloud Backup Moduleをインストールまたは設定し、関連するSBTライブラリを使用してRMAN SBTチャネルを構成する必要があります。

表29-1 Oracle Database Cloud Backup ModuleとRMAN SBTライブラリのマトリックス

バックアップの保存先 インストール/設定 インストーラ・ファイル/設定ツールの使用 SBT_LIBRARY

Oracle Cloud Infrastructureオブジェクト・ストレージ

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI

oci_installer.zip

oracle.oci

Swift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure Object Storage Service

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classic

opc_installer.zip

oracle.oci

Microsoft Azure Blob Storage

Oracle Database Cloud Backup Module for Azure

az_setup.zip

oracle.azure

Amazon Simple Storage Service (S3) (AWS)

Oracle Secure Backup(OSB) Cloud Module

osbws_installer.zip

oracle.osbws

29.3 クラウド・バックアップ用にRMANを構成するための一般的なワークフロー

クラウドのバックアップおよびリストア用にRMANを設定するには、このワークフローを参照してください。

表29-2 クラウドのバックアップおよびリストア用にRMANを設定するためのタスク・ワークフロー

手順 説明 詳細情報

クラウド・サービス・アカウントの取得

選択したクラウド・サービス・プロバイダ(Oracle Cloud (OCI)、Microsoft Azure Blob StorageまたはAmazon S3 (AWS))のアカウントを作成します。

選択したクラウド・サービスでRMAN操作を認証するには、クラウド・サービス・アカウントの詳細が必要です。

前提条件の確認

サポートされているOracle Databaseのバージョンおよび各クラウド・バックアップ・モジュールに固有の要件を確認します。

必要なOracle Database Cloud Backup Moduleをインストールまたは設定します。

ターゲット・データベースのOracleホーム・ディレクトリから、Oracle Database Cloud Backup Moduleインストーラ・ファイルにアクセスします。

RMAN環境を構成して、クラウドのバックアップおよびリストアの永続的な設定を作成します。

RMANのCONFIGUREコマンドを使用して、RMANクラウドのバックアップおよびリストア操作用の自動SBTチャネルを作成します。構成済のクラウドの保存先にすべてのバックアップを直接送信するように、デフォルトのデバイス・タイプとしてSBTを構成します。

RMANの暗号化の構成

RMANの暗号化を構成します。RMANデータベース・バックアップをクラウドに送信する前に暗号化することをお薦めします。

RMAN圧縮の構成(オプション)

RMANデータベース・バックアップをクラウドに送信する前に、サイズが小さくなるように圧縮を構成します。

RMANを使用したクラウドのバックアップおよびリカバリ操作の実行

RMANをターゲットOracle Databaseに接続します。RMANコマンドを使用して、クラウドにバックアップを作成し、クラウドのバックアップをリストアします。

29.4 クラウド・バックアップの管理インタフェース

クラウドのバックアップ操作を管理するには、次のいずれかのオプションを使用できます。

  • RMANインタフェース

    RMANコマンドライン・インタフェースを使用して、使い慣れたコマンドを実行し、オンデマンドでバックアップを行います。cronユーティリティを使用して、自動化されたバックアップ・ジョブを作成することもできます。

  • Oracle Enterprise Manager Cloud Control

    Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して、バックアップ・モジュールを構成し、バックアップおよびリカバリの操作を実行します。

  • サード・パーティ・ツール

    CloudBerry Labのクラウド・バックアップ・ソリューションなどのサードパーティ・ツールを使用します。https://www.cloudberrylab.com/backup.aspxを参照してください。