DBCAは、シングル・インスタンスOracle Databaseの場合のお薦めのパッチ・メンテナンスです。

パッチ適用プロセスを簡略化するために、ほとんどのシングル・インスタンスOracle DatabaseデプロイメントにはDBCAを使用することをお薦めします。DBCAは、すべてのオンプレミス・データベース・パッチ・メンテナンスに使用するお薦めのデータベース・メンテナンス・ユーティリティです。

ノート:

メンテナンスを簡略化し潜在的な問題を回避するためのベスト・プラクティスとして、新しいOracleホームおよびホーム外パッチ適用を使用してデータベース・メンテナンスを実行することをお薦めします。これは、パッチ適用操作のためのお薦めのデプロイメント選択です。

データベースにパッチを適用する必要がある状況

ご使用のデータベースのセキュリティをサポートするため、また、時間の経過に合わせてそのセキュリティをメンテナンスするために、四半期ごとのリリース更新(RU)を使用してデータベース・メンテナンスを実行することをお薦めします。

開始する前に、ベスト・プラクティスとして次のガイドラインを知っておいてください:

  • ご使用のデータベースについて、バージョン番号、パッチおよびその他の構成情報を記録します
  • 開始する前に、リリース更新のREADMEを確認します。

Oracle Databaseリリース更新パッチについて

Oracleでは、リリース更新(RU)の形式で四半期ごとの更新を提供して、新機能のリリース、既存の機能のアップグレード、セキュリティの強化またはサポートされているソフトウェアでの問題の解決を行います。

Oracle Database 23ai以降、RUは次の2つの形式で提供されます。

  • 新しいソフトウェア・リリースのようにアウトオブプレースでインストールできるゴールド・イメージとして。
  • OPatchまたはOPatchAutoを使用してインプレースで適用できるバイナリ・パッチとして。

次のステップを使用して、アウトオブプレースOracle Databaseパッチを適用できます:

  1. RUをゴールド・イメージとしてダウンロードします。
  2. runInstaller -setupDBHomeAsを使用して、ソースOracleホームと同じOracleベースに、古いOracleホーム(ソース)と同じ新しいOracleホーム(ターゲット)を作成します。
  3. Oracle Databaseを古いOracleホームから新しいOracleホームに移動します。

データベースを新しいOracleホームに移動すると、すべてのデータベース・サービスが新しいホームから開始されます。

DBCAの起動前のメモリーへのSSHキーのロード

Oracle DBCAを起動する端末セッション用のメモリーにSSHキーをロードして、Oracle DBCAの起動時にユーザー等価関係エラーを回避します。

システムでSSHにパス・フレーズを使用している場合、SSHキーをロードするためにパス・フレーズを指定する必要があります。
  1. SSHキーをロードするには、次のコマンドを使用します。
    $ exec /usr/bin/ssh-agent $SHELL
    $ /usr/bin/ssh-add
    

    必要に応じて、プロンプトに従って、パス・フレーズを指定します。これで、Oracle Database Configuration Assistant (Oracle DBCA)を起動できます。

DBCAを使用したリリース更新メンテナンスの開始

Oracle Database 23ai以降では、Database Configuration Assistant (DBCA)を使用してソフトウェア・メンテナンスを実行できます。

ソフトウェア・メンテナンスのお薦めの手順は、リリース更新(RU)を新しいOracleホームにデプロイすることです。パッチ適用プロセスはホーム外更新であるため、このプロセスには最小限の停止時間が必要です。Oracleでは、様々なパッチ適用テクノロジが提供されています。しかしながら、使いやすさの点から、DBCAまたはOracle Fleet Patching and Provisioningのどちらかを使用してデータベース・パッチ・メンテナンスを実行することをお薦めします。

シングル・インスタンス・データベースの場合は、DBCAを使用することをお薦めします。クラスタ環境では、Oracle Fleet Patching and Provisioningを使用しない場合、一般に、DBCAが、パッチ・メンテナンスに役立つ最も簡単な選択肢です。

パッチ・デプロイメント・オプションの詳細は、Oracle Databaseパッチ・メンテナンス・ガイドラインを参照してください。

  1. Oracle Databaseソフトウェアを更新する必要があるかどうかを判断します。
    最後のソフトウェア更新が実行されたのが適用頻度ポリシーで許可される前である場合は、ソフトウェアを更新します。適用頻度ポリシーでは、プロアクティブ・ソフトウェア更新を適用する頻度(四半期ごと、半年ごと、または年ごと)を定義します。四半期ごとの適用頻度をお薦めします。

    最後のソフトウェア更新を確認するには、oraversion -compositeVersionを実行します。次に例を示します:

    $ORACLE_HOME/bin/oraversion -compositeVersion
    23.04.0.0.0
  2. パッチ更新が最新でない場合は、最新のOracle DatabaseソフトウェアRUイメージを一時ファイルの場所(/tmpなど)にダウンロードします。

    ノート:

    サポート対象のすべてのデータベース・リリースに対する最新のOracle Databaseリリース更新は、Primary Note for Database Proactive Patch Program (Doc ID 888.1)から入手できます
  3. runInstaller -deployDBGoldImageコマンドを使用して、新しいRUイメージを新しいOracle Database Oracleホームにデプロイします。

    たとえば、RUイメージがp123456であり、新しいOracle Database Oracleホームが/u01/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2である場合:

    $ sudo runInstaller -deployDBGoldImage -imagePath /tmp/p123456.zip -targetHome /u01/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2
  4. ソフトウェア更新適用のDBCA事前チェックを実行して、データベースを移動する前に問題がないかどうかを確認します。

    たとえば、ターゲット・ホームが/u01/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2であり、移動するデータベースの一意の名前がsalesである場合:

    $ cd $ORACLE_HOME/bin
    $ /u01/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2/bin/dbca -silent -moveDatabase -sourceDB sales -executePrereqs
    DBCAによって、ソース・データベース・ホームにすでに存在するパッチがターゲット・データベース・ホームに存在しないとレポートされた場合、これは、1つ以上の個別(1回かぎり)パッチがソース・データベース・ホームに以前にインストールされており、これらのパッチが、ターゲット・データベース・ホームに使用されるリリース更新にまだ含まれていないことを意味しています。この場合には、次のステップを実行します:
    1. My Oracle SupportのCreating Gold Image for Oracle Database and Grid Infrastructure Installations (Doc ID 2915366.2)に記載されているステップを使用して、ゴールド・イメージを構築します。このイメージを作成するには、次の情報を指定します:
      • ソース・データベース・ホーム(opatch lsinventory)。
      • 候補パッチの入力テキスト・ボックスに、ターゲット・データベース・ホームのリリース更新のパッチ番号。
    2. 新しいゴールド・イメージを使用可能な場合は、その新しいゴールド・イメージを使用してソフトウェア更新適用のDBCA事前チェックを再度実行します。
  5. DBCAを実行して、データベースを新しいOracle Database Oracleホームに移動します。

    DBCAの非対話型(サイレント)セッションを開始するには、次のコマンドを使用してDBCAを起動します。ここでのsource_DB_nameは、シングル・インスタンス・データベースのOracleシステム識別子(SID)です。たとえば、新しいOracle Databaseホームが/u01/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2/であり、データベースの一意の名前がsalesである場合:

    $ /u01/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2/bin/dbca -silent -moveDatabase -sourceDB sales

    DBCAは、移動の実行のために、ターゲットのRUバージョンのOracleホームから実行されます。DBCAでは、データベースの移動のために非対話型(サイレント)モードとグラフィック・ユーザー・インタフェース(UI)モードの両方が用意されています。サイレント・モードでは、DBCAで、移動操作の動作を制御するための高度なオプションが提供されます。これらのコマンドのヘルプには、次のパスでアクセスできます:

    /u01/app/oracle/product/23.0.0.0/dbhome_2/bin/dbca -silent -moveDatabase -help

    関連項目:

    構成ファイルの作成とその他のDBCAコマンドおよびオプションの詳細は、Oracle Multitenant管理者ガイドのDatabase Configuration Assistantコマンド・リファレンスを参照してください。

  6. データベース移動操作が正常に完了し、新しいターゲットOracleホームでデータベース機能を確認したら、deinstallコマンドを使用してソースOracle Database Oracleホームを削除することを検討してください。

    注意:

    ターゲットの新規Oracleホームで再配置されたデータベースの機能を確認した後にのみ、ソースOracleホームを削除します。

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