ゼロ・ダウンタイムのOracle Grid Infrastructureのパッチ適用
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用して、Oracle RACデータベース・インスタンスを停止せずにOracle Grid Infrastructureにパッチを適用します。
ノート:
Oracle Fleet Patching and Provisioning (FPP)の停止時間ゼロのアップグレード(ZDU)機能は、Oracle Database 23aiで非推奨になりました。ZDUでは、一時的なロジカル・スタンバイまたはOracle GoldenGateクラシックが使用されます。ただし、一時ロジカル・スタンバイは最新のデータ型をサポートしておらず、Oracle GoldenGateのクラシック実装は非推奨です。ZDUのかわりに、Oracleでは、DBMS_ROLLING
PL/SQLパッケージと組み合せてFPPを使用することをお薦めします。新規OracleホームのプロビジョニングおよびデプロイメントにはFPPを使用でき、ローリング・アップグレードの効率的な方法としてDBMS_ROLLING
を使用できます。
DBMS_ROLLING
パッケージはアプリケーション・コンティニュイティと緊密に統合されており、データベース層の中断を最小限に抑え、ローリング・パッチ適用アクティビティをマスクするために役立ちます。
Oracle Grid Infrastructureにパッチを適用する現在の方法では、Oracle Grid Infrastructureホームにパッチを適用するノードですべてのOracle RACデータベース・インスタンスを停止する必要があります。この問題は、グリッド・インフラストラクチャ・レイヤーで対処され、データベース・インスタンスはOracle Grid Infrastructureのパッチ適用中に引き続き実行できます。
ノート:
ゼロ・ダウンタイムのパッチ適用は、19cまたは最新リリースのOracle RACまたはOracle RAC One Nodeのデータベースで、Oracle Grid Infrastructure 19cリリース更新(RU) 19.8以降のリリースのホーム外パッチ適用にのみ使用できます。Oracle RACまたはOracle RAC One Nodeのデータベースのリリースが19cより古い場合、ゼロ・ダウンタイムのパッチ適用中にデータベース・インスタンスが停止します。停止時間0のOracle Grid Infrastructureパッチ適用を有効にするには、次のようにrhpctl move gihome
コマンドを使用します。
rhpctl move gihome -tgip -sourcewc source_workingcopy_name -destwc destination_workingcopy_name
システム・ソフトウェア・バイナリへのパッチ適用
ゼロ・ダウンタイム・パッチ適用を使用する場合、Oracle Grid Infrastructureユーザー領域のバイナリのみにパッチが適用されます。追加のOracle Grid Infrastructure OSシステム・ソフトウェア、カーネル・モジュールおよびシステム・コマンド(ACFS
、AFD
、OKA
など)は更新されません。これらのコマンドは、パッチ・バージョンより前のバージョンを引き続き実行します。パッチ適用後、OPatchインベントリにはインベントリ内の新しいパッチ番号が表示されますが、実行中のOSシステム・ソフトウェアにはこれらの変更は含まれていません。Grid Infrastructureホームで使用可能なOSシステム・ソフトウェアのみにパッチが適用されています。
Grid Infrastructureホームで使用可能なOSシステム・ソフトウェアを確認するには、crsctl
query
driver
activeversion
-all
コマンドを実行します。システムで実行されているOSシステム・ソフトウェアを確認するには、crsctl
query
driver
softwareversion
-all
を使用します。
単一ノードでグリッド・インフラストラクチャOSシステム・ソフトウェアを更新するには、グリッド・インフラストラクチャ・ソフトウェアを完全に停止する必要があります。Grid Infrastructureソフトウェアを停止するには、単一ノードでOracle RACデータベースを停止する必要があります。Oracle RACデータベースを停止した後、root.sh
-updateosfiles
を実行して、単一ノード上のすべてのGrid Infrastructure OSシステム・ソフトウェアを更新します。
ゼロ・ダウンタイムのパッチ適用では、オペレーティング・システム・ドライバは自動的に更新されません。ゼロ・ダウンタイムのパッチ適用プロセス中に、更新されたオペレーティング・システム・ドライバがGridホームにコピーされますが、これらのドライバはオペレーティング・システムにインストールされません。クラスタは、更新されたドライバがオペレーティング・システムにインストールされるまで、古いバージョンのオペレーティング・システムのドライバを引き続き使用します。
データベース記憶域にOracle ASM Filter Driver (Oracle ASMFD)またはOracle ACFSを使用している場合、オペレーティング・システム・ドライバは次のいずれかのシナリオで更新されます。
- オペレーティング・システム・カーネルを更新し、クラスタ・ノードを再起動します。
- オペレーティング・システム・ドライバのインストールに失敗した場合は、各クラスタ・ノードで
rootcrs.sh -updateosfiles
コマンドを実行し、クラスタ・ノードを再起動します。
crsctl query driver activeversion [-all]
コマンドを使用してクラスタ・ノードのアクティブなオペレーティング・システム・ドライバのバージョンを確認し、crsctl query driver softwareversion [-all] [-f]
コマンドを使用して使用可能なオペレーティング・システム・ドライバのバージョンを確認できます。