10.1.1 cman.oraファイルについて

Oracle Connection Managerをホストするコンピュータを構成するには、cman.oraファイルのパラメータを設定します。

cman.oraファイルは、Oracle Connection Managerをホストするコンピュータ上のORACLE_BASE_HOME/network/adminディレクトリにあります。cman.oraファイルがORACLE_BASE_HOME/network/adminディレクトリにない場合は、ORACLE_HOME/network/adminディレクトリでファイルを探します。cman.oraファイルが存在しない場合、Oracle Connection Managerは起動しません。このファイルには次のコンポーネントが含まれています。

  • リスニング・エンドポイント
  • アクセス制御ルール・リスト
  • パラメータ・リスト

各Oracle Connection Manager構成は、1つの名前-値(NV)文字列内にカプセル化されており、その文字列は、前述のコンポーネントで構成されています。

1台のコンピュータで任意の数のOracle Connection Managerをホスティングでき、そのそれぞれのエントリがcman.oraファイルに保持されます。このファイルに複数のOracle Connection Managerを定義する場合は、完全修飾ホスト名を1つのみ設定することによって、デフォルトとして割り当てることができます。

クライアントとOracle Connection Manager制御ユーティリティ(CMCTL)の2つの接続に対して複数のルールを指定できます。変更を行う場合、次のガイドラインが適用されます。

  • クライアント接続とCMCTL接続に対して、1つ以上のルールを入力する必要があります。ルールを省略すると、省略されたルール・タイプの全接続が拒否されます。
  • Oracle Connection Managerでは、ワイルドカードをIPアドレスの一部として使用できません。ワイルドカードを使用する場合は、完全なIPアドレスのかわりとして使用してください。たとえば、クライアントのIPアドレスの場合は、(SRV=*)と指定します。
  • Oracle Connection Managerでは、サブネット・アドレスの表記として/nnのみを使用できます。例10-1では、最初のルールの/24が左端の24ビットで構成されるサブネット・マスクを表しています。クライアントIPアドレスの先頭の24ビットのみが、ルール内のIPアドレスと比較されます。

ノート:

Oracle Connection ManagerはIPv6アドレッシングをサポートしています。「IPv4およびIPv6のブリッジとしてのOracle Connection Managerの使用」を参照してください。

例10-1に、CMAN1というOracle Connection Managerの構成エントリが含まれるcman.oraファイルを示します。

例10-1 cman.oraファイルの例

CMAN1=
  (CONFIGURATION=
    (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=proxysvr)(PORT=1521))
    (RULE_LIST=
      (RULE=(SRC=192.0.2.32/24)(DST=sales-server)(SRV=*)(ACT=accept)
        (ACTION_LIST=(AUT=on)(MCT=120)(MIT=30)))
      (RULE=(SRC=192.0.2.32)(DST=proxysvr)(SRV=cmon)(ACT=accept)))
    (PARAMETER_LIST=
      (MAX_GATEWAY_PROCESSES=8)
      (MIN_GATEWAY_PROCESSSES=3)))
       

例10-1は、次のルールを示しています。

  • 例の最初のルールでは、次のパラメータを設定しています。
    • SRC=192.0.2.32/24は、クライアント接続用です。クライアントのIPアドレスまたはソースを指定します。
    • DST=sales-serverは接続先のホスト名を示しています。ACTパラメータは、actionの略で、受入れ、拒否または削除を示しています。ACTION_LISTパラメータは、それが受け入れられた場合の接続の属性を設定し、接続に関するデフォルトのパラメータ設定を、接続ベースでオーバーライドできます。
  • 2番目のルールでは、次のパラメータを設定しています。
    • SRC=192.0.2.32およびDST=proxysvrは同じサーバーを表し、Oracle Connection ManagerとCMCTLは同じコンピュータ上にある必要があることを示しています。

    関連項目:

    アクセス制御の有効化

表10-1は、cman.oraファイルのルール・レベル・パラメータを説明します。

表10-1 cman.oraファイルのルール・レベル・パラメータ

パラメータ 説明

SRC

ソースのホスト名またはクライアントのIPアドレス。IPアドレスはサブネットで、192.0.2.62/24などで指定できます。

DST

接続先のホスト名またはデータベース・サーバーのIPアドレス。IPアドレスはサブネットで、192.0.2.62/24などで指定できます。

SRV

初期化パラメータ・ファイル(init.ora)のSERVICE_NAMESパラメータから取得したOracleデータベースのサービス名。

サービス名は、リスナーへの接続時に、接続記述子の一部としてクライアントによって指定されます。このサービス名は、ルール・リストに指定されたサービス名と比較されます。

ACT

前述の3つのパラメータに基づいた、受信要求の受入れ、拒否または削除。

複数のルールをRULE_LISTに定義できます。最初に適合したRULEのアクション(ACT)が接続要求に適用されます。ルールが定義されていない場合はすべての接続が受け入れられます。

次の例では、クライアント・コンピュータclient1-pcは、サービスsales.us.example.comへのアクセスが拒否されますが、クライアント192.0.2.45はサービスdb1へのアクセスが許可されます。

(RULE_LIST=
  (RULE=(SRC=client1-pc)(DST=sales-server)(SRV=sales.us.example.com)(ACT=reject))
  (RULE=(SRC=192.0.2.45)(DST=192.0.2.200)(SRV=db1)(ACT=accept)))

関連項目:

Oracle Connection Managerパラメータの詳細は、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。