2.2 Oracle DBCAの使用によるTrue Cacheの構成
True Cache環境を構成する方法として最も簡単なのは、Oracle Database Configuration Assistant (Oracle DBCA)の使用です。
Oracle DBCAはOracle Databaseに付属のアシスタント・ツールであり、これにより、OracleデータベースとTrue Cacheの作成、構成および管理のプロセスが簡略化されます。
ノート:
Oracle Database FreeのTrue Cacheの構成プロセスは簡略化されています。まず、使用しているプラットフォームの『Oracle Database Freeインストレーション・ガイド』を確認します。Oracle Database FreeでのTrue Cacheの構成(Linux)またはOracle Database FreeでのTrue Cacheの構成(Windows)を参照してください。2.2.1 前提条件
True Cacheを構成する前に、次の前提条件を実行します。
- True Cacheノードから簡易接続(EZConnect)文字列を使用してプライマリ(ソース)データベースにアクセスするためのネットワーク・パスを設定します。
- True CacheノードにOracle Databaseソフトウェアをインストールします。
-
プライマリ・データベースがプライマリ・ノードでアーカイブ・ロギング(
ARCHIVELOG)
モードで実行されていることを確認します。REDOログ・ファイルをTrue Cacheノードに送信するには、プライマリ・データベースが
ARCHIVELOG
モードである必要があります。Oracle DBCAにより、プライマリ・データベースがARCHIVELOG
モードであることが確認されます。プライマリ・データベースが
ARCHIVELOG
モードでない場合は、マウント・モードで再起動し、ALTER DATABASE ARCHIVELOG
コマンドを実行し、プライマリ・データベースを再度開きます。 -
プライマリ・データベースに
LOG_ARCHIVE_CONFIG
およびLOG_ARCHIVE_DEST_n
を設定しないでください。True Cacheでは、プライマリ・データベースにこれらが自動的に構成されます。 -
プライマリ・データベースで
LOG_ARCHIVE_DEST
が設定されている場合は、削除します。LOG_ARCHIVE_DEST
は、LOG_ARCHIVE_DEST_n
パラメータと互換性がありません。詳細は、LOG_ARCHIVE_DESTを参照してください。
2.2.2 DBCAを使用したTrue Cacheの作成
Oracle DBCAでTrue Cacheを作成するには、次のステップに従います。
-
パスワード・ファイル、およびオプションで透過的データ暗号化(TDE)ウォレットを、プライマリ・データベースからTrue Cacheノードにコピーします。次のいずれかのメソッドを使用できます。
- プライマリ・データベースのパスワード・ファイル(およびオプションのTDEウォレット)をTrue Cacheノード上の任意の場所に手動でコピーします。
-
プライマリ・データベースでDBCAコマンドを実行して、パスワード・ファイル(およびオプションのTDEウォレット)を構成BLOBファイルにパッケージ化します。次に、ファイルをTrue Cacheノードにコピーし、Oracle Homeユーザーがファイルを所有していることを確認します。
次のコマンドを使用してプライマリ・データベースで構成BLOBファイルを準備します:
ORACLE_HOME/bin/dbca -configureDatabase -prepareTrueCacheConfigFile -sourceDB primary_db_sid_or_db_unique_name -trueCacheBlobLocation primary_db_config_blob_path -silent
例:
$ORACLE_HOME/bin/dbca -configureDatabase -prepareTrueCacheConfigFile -sourceDB primdb1i -trueCacheBlobLocation /tmp/blob_loc2 -silent
パラメータの詳細は、「configureDatabase」を参照してください。
-
True Cacheノードで、
-createTrueCache
コマンドを実行してTrue Cache構成を完了し、True Cacheを起動します。ステップ1でプライマリ・データベースのパスワード・ファイル(およびオプションのTDEウォレット)をTrue Cacheノードにコピーするために使用した方法に応じて、次のいずれかのコマンド形式を選択します。
-
パスワード・ファイル(およびオプションのTDEウォレット)を手動でコピーした場合は、次のコマンドを使用します:
ORACLE_HOME/bin/dbca -createTrueCache -gdbName true_cache_global_name -sid true_cache_sid -sourceDBConnectionString primary_db_easy_connect_string -passwordFileFromSourceDB password_file_path -sgaTargetInMB sga_memory_size -pgaAggregateTargetInMB pga_memory_size -silent
パスワード・ファイルを使用する例:
$ORACLE_HOME/bin/dbca -createTrueCache -gdbName tcdb1 -sid tcdb1 -sourceDBConnectionString primary.example.com:1522/primdb1i.example.com -passwordFileFromSourceDB /tmp/password_loc2/orapwddbmc1 -sgaTargetInMB 20000 -pgaAggregateTargetInMB 4000 -silent
-
構成BLOBファイルを作成した場合は、次のコマンドを使用します:
ORACLE_HOME/bin/dbca -createTrueCache -gdbName true_cache_global_name -sid true_cache_sid -sourceDBConnectionString primary_db_easy_connect_string -trueCacheBlobFromSourceDB true_cache_config_blob_path -sgaTargetInMB sga_memory_size -pgaAggregateTargetInMB pga_memory_size -tdeWalletLoginType AUTO_LOGIN -listeners listener_name -silent
TDEウォレットを使用する例:
$ORACLE_HOME/bin/dbca -createTrueCache -gdbName tcdb1 -sid tcdb1 -sourceDBConnectionString primary.example.com:1522/primdb1i.example.com -trueCacheBlobFromSourceDB /tmp/blob_loc2/blob.tar.gz -sgaTargetInMB 20000 -pgaAggregateTargetInMB 4000 -tdeWalletLoginType AUTO_LOGIN -listeners LISTENER -silent
パラメータの詳細は、「createTrueCache」を参照してください。
ノート:
Oracle RACプライマリ・データベースの場合、-sourceDBConnectionString
パラメータをSCAN:port/service_name
に設定します。 -
2.2.3 DBCAを使用したTrue Cacheデータベース・アプリケーション・サービスの構成
JDBC ThinドライバでTrue Cacheを使用するには、キャッシュするプライマリ・データベース・アプリケーション・サービスごとに、対応するTrue Cacheデータベース・アプリケーション・サービスを作成します。
これにより、アプリケーションで、JDBC接続URLを変更することなく、既存のJDBC接続をプライマリ・データベースからTrue Cacheに切り替えることが容易になります。これを行うには、23ai JDBC Thinドライバを使用して、接続のReadOnly
パラメータをTRUE
またはFALSE
に設定します。
プライマリ・データベースで、次のステップを実行します:
-
リモート・リスナーを構成します。
ノート:
登録に対する有効ノード・チェック(VNCR)がリスナーに構成されているかどうかを確認します。その場合は、リモート・リスナーのlistener.ora
ファイルのREGISTRATION_INVITED_NODES_LISTENER
パラメータにTrue Cacheを追加します。ノート:
Oracle RACプライマリ・データベースの場合、
srvctl
コマンドライン・ユーティリティを使用して、True CacheノードをSCANリスナーの招待済ノード・リストに追加します。(グリッド所有者ユーザーとしてlistener.ora
ファイルを手動編集しないでください。)例:
srvctl modify scan_listener -invitednodes true_cache_host -endpoints TCP:port
-
True Cacheサービスで使用するプライマリ・データベース・アプリケーション・サービスを作成して起動し、そのサービスが実行されていることを確認します。
プライマリ・データベース構成に基づいて、次のいずれかのオプションを選択します:
-
単一インスタンス・プライマリ・データベースの場合は、
DBMS_SERVICE
PL/SQLパッケージを使用します。プラガブル・データベース(PDB)に固有のサービスの場合、DBMS_SERVICE
を使用してサービスを開始する前に、特定のPDBに接続するか、セッションで正しいPDBコンテナを設定します。単一インスタンスのプライマリ・データベースに対して
DBMS_SERVICE
パッケージを使用する例を次に示します。BEGIN DBMS_SERVICE.CREATE_SERVICE('SALES', 'SALES'); DBMS_SERVICE.START_SERVICE('SALES'); END; / PL/SQL procedure successfully completed.
SELECT service_id, name, true_cache_service FROM v$active_services WHERE name='SALES'; SERVICE_ID NAME TRUE_CACHE_SERVICE ---------- ------------------ ------------------ 6 SALES // TRUE_CACHE_SERVICE will be filled in by this (dbca -configureTrueCacheInstanceService) command
-
Oracle RACプライマリ・データベースの場合は、
srvctl
コマンドライン・ユーティリティを使用してプライマリ・データベース・サービスを追加します。プライマリ・インスタンスでそのサービスを起動します。Oracle Clusterware管理のインスタンスの場合のみ、srvctl
を使用します。srvctl add service -db primary_db_unique_name -service primary_db_service_name -preferred primary_db_instance_list -pdb primary_pdb_name
例:
srvctl add service -db primdb1i -service sales -preferred primdb1i1,primdb1i2 -pdb sales_pdb
-
-
-configureTrueCacheInstanceService
パラメータを指定してdbca -configureDatabase
コマンドを実行し、True Cacheを構成します。これにより、プライマリ・データベースでTrue Cacheデータベース・アプリケーション・サービスが構成され、True CacheでTrue Cacheサービスが開始されます。True Cacheデータベース・アプリケーション・サービスごとにこのコマンドを実行します。
ノート:
このコマンドを実行するには、プライマリ・データベース・アプリケーション・サービスがすでに存在している必要があります。ノート:
複数のTrue Cacheが同じサービスを提供するTrue Cacheの共通構成の場合、DBCAは最初のTrue Cacheでサービスを開始してから、他のTrue Cacheでサービスを手動で開始します。ORACLE_HOME/bin/dbca -configureDatabase -configureTrueCacheInstanceService -sourceDB primary_db_sid_or_db_unique_name -trueCacheConnectString true_cache_easy_connect_string -trueCacheServiceName true_cache_service_name -serviceName primary_db_service_name -pdbName primary_pdb_name -silent
例:
$ORACLE_HOME/bin/dbca -configureDatabase -configureTrueCacheInstanceService -sourceDB primdb1i -trueCacheConnectString tc.example.com:1522/tcdb1.example.com -trueCacheServiceName sales_tc -serviceName sales -pdbName sales_pdb -silent
パラメータの詳細は、「configureDatabase」を参照してください。
-
データベース・アプリケーション・サービスがTrue Cacheで起動した後、
lsnrctl
コマンドを使用して、True Cacheサービス登録のリモート・リスナー・サービスを検証します。「リモート・リスナー構成の検証」を参照してください。
-
複数のTrue Cacheが同じサービスを提供するTrue Cacheの共通構成の場合は、すべての追加True Cacheでサービスを開始します。例:
EXEC DBMS_SERVICE.START_SERVICE('SALES_TC');
2.2.4 True CacheのためのOracle DBCAコマンドおよびパラメータ
True Cacheを構成するには、次のOracle DBCAコマンドおよびパラメータを使用します。
2.2.4.1 configureDatabase
configureDatabase
コマンドにより、True Cacheのプライマリ・データベースを構成します。このコマンドは、プライマリ・データベースで実行します。
パラメータ
True Cacheの場合は、次の構文でdbca
-configureDatabase
コマンドを使用します。
ノート:
この表では、True Cacheに固有の、configureDatabase
のパラメータを示しています。完全な構文およびパラメータについては、『Oracle Multitenant管理者ガイド』のconfigureDatabaseを参照してください。
表2-1 configureDatabaseのパラメータ
パラメータ | 必須/オプション | 説明 |
---|---|---|
--prepareTrueCacheConfigFile |
True Cacheに必要 |
このオプションを使用して、プライマリ・データベースのパスワード・ファイルまたはウォレットを含む構成BLOBファイルを準備します。 このオプションでは次の追加パラメータを入力します:
|
-configureTrueCacheInstanceService |
True Cacheに必要 |
このオプションを使用して、プライマリ・データベースでTrue Cacheデータベース・アプリケーション・サービスを構成し、True Cacheでそのサービスを開始します。 このオプションでは次の追加パラメータを入力します:
|
-cleanupTrueCacheInstanceService |
True Cacheに必要 |
このオプションを使用して、プライマリ・データベース構成からTrue Cacheデータベース・アプリケーション・サービスを削除します(たとえば、True Cacheを削除する場合)。 このオプションでは次の追加パラメータを入力します:
|
2.2.4.2 createTrueCache
createTrueCache
コマンドにより、True Cacheを構成します。このコマンドは、True Cacheノードで実行します。
構文とパラメータ
次の構文でdbca
-createTrueCache
コマンドを使用します。
dbca -createTrueCache
-dbUniqueName true_cache_unique_name | -gdbName true_cache_global_name
-sourceDBConnectionString primary_db_easy_connect_string
-trueCacheBlobFromSourceDB true_cache_config_blob_path | -passwordFileFromSourceDB password_file_path
[-tdeWalletFromSourceDB tde_wallet_path]
[-createListener new_database_listener]
[-datafileDestination true_cache_control_file_path
[-initParams initialization_parameters_list
[-initParamsEscapeChar initialization_parameters_escape_character]]
[-listeners listener_list]
[-pgaAggregateTargetInMB pga_memory_size]
[-sgaTargetInMB sga_memory_size]
[-sid true_cache_sid]
[-sourceTdeWalletPassword primary_db_wallet_password]
[-tdeWalletLoginType {PASSWORD | AUTO_LOGIN | LOCAL_AUTO_LOGIN}]
[-tdeWalletRoot tde_wallet_root_init_parameter]
[-useWalletForDBCredentials {true | false}
-dbCredentialsWalletLocation wallet_files_directory
[-dbCredentialsWalletPassword wallet_account_password]]
表2-2 createTrueCacheのパラメータ
パラメータ | 必須/オプション | 説明 |
---|---|---|
または
|
必須 | このTrue Cacheの一意の名前、またはグローバル・データベース名を入力します。 |
|
必須 |
プライマリ・データベースに接続するための簡易接続(EZConnect)文字列を入力します。 例: ノート: Oracle RACプライマリ・データベースの場合、 |
または
|
必須 |
次のうち1つを入力してください。
|
|
オプション | 作成する新しいデータベース・リスナーを入力し、LISTENER_NAME:PORTという形式でデータベースを登録します。 |
|
オプション |
True Cache制御ファイル、スタンバイREDOログ・グループおよび一時データ・ファイルが格納される場所を入力します。 True CacheでOracle Automatic Storage Management (ASM)ストレージまたはOracle Exadata Exascaleストレージ・ボールトが使用される場合は、
ノート: ディレクトリに、プライマリ・データベースの一時ファイルを保持するのに十分な領域と、ブロック・サイズおよびスレッドごとの最大オンラインREDOログ・サイズの4倍を足した領域があることを確認します。たとえば、プライマリに2つのREDOログ・スレッドがあり、各スレッドに512バイト・ブロックの2つの2GBのオンラインREDOログ、512バイト・ブロックの2つの4GBのオンラインREDOログ、4KBブロックの3つの8GBのオンラインREDOログがある場合、次の式を使用します: 2スレッドx (4GB x 2 (512バイト・ブロックの大きい方)) + (8KB x 3 (4KBブロック)) |
|
オプション |
このTrue Cacheのその他の初期化パラメータ値を含む 初期化パラメータの複数の値の間に特定のエスケープ文字を使用するために、 |
|
オプション | 1つ以上のリスナーがすでに存在する場合は、データベースの構成に使用できる既存のリスナーをカンマ区切りリストで入力します。既存のリスナーを指定しない場合、DBCAによって新しいリスナーが作成されます。 |
|
オプション | ターゲットのプログラム・グローバル領域(PGA)メモリーの集計の値(MB単位)を入力して、このTrue Cacheにアタッチされているすべてのサーバー・プロセスで使用できるようにします。 |
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オプション | このTrue Cacheのシステム・グローバル領域(SGA)メモリー・サイズの値(MB単位)を入力します。 |
|
オプション | このTrue Cacheのシステム識別子(SID)を入力します。 |
|
オプション | プライマリ・データベースでTDEウォレットが使用されている場合は、そのウォレットのパスワードを入力します。 |
|
オプション |
オラクルでは、True Cacheの起動ごとにパスワード・ウォレットを手動で開く必要がないように、True Cacheの ウォレット・タイプの詳細は、Oracle Databaseウォレットについての説明を参照してください |
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オプション | True Cacheのウォレットを配置する場所を指定するTrue Cache TDEウォレット・ルート初期化パラメータの場所を入力します。 |
|
オプション |
プライマリ・データベースでデータベース資格証明にOracleウォレットが使用されている場合は、
|
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