5.1 ネットワーク・モデリングの概要

多くのアプリケーションで、機能またはオブジェクトは、ネットワークのノードおよびリンクとしてモデル化されます。ネットワーク・モデルには、ノード間およびリンク間の接続性の関係、リンクの方向、ノードおよびリンクのコストなどの論理情報が含まれます。

論理ネットワーク情報を使用して、ネットワークを分析し、質問(多くはパスの計算および追跡に関連する質問)に対する回答を得ることができます。たとえば、生化学パスウェイの場合、2つの化合物間で可能なすべての反応パスウェイを検出できます。または、道路ネットワークの場合、次の情報を検出できます。

  • 2つの都市間の最短(距離)パスまたは最速(移動時間)パス

  • 特定の空港に最も近いホテルおよびそのホテルへのアクセス方法

論理ネットワーク情報の他に、ノードの位置やリンクのジオメトリなどの空間情報をネットワークに関連付けることができます。この情報を使用すると、論理情報をモデル化できます(たとえば、ルートの物理的な長さを空間表現から直接計算できるため、このルートのコストなどの論理情報をモデル化できます)。

Spatialのネットワーク・データ・モデル機能は、大規模で複雑なネットワークに対して使用できます。たとえば、図5-1は、ネットワーク分析用のデモのWebベース・アプリケーションに表示された、ネットワーク・データ・モデル機能を使用して定義したサンフランシスコ市とリンクを示しています。(このデモは、「ネットワーク・データ・モデルのチュートリアルとその他のリソース」で説明するNDMのチュートリアルを使用してインストールできます。)

図5-1 サンフランシスコ市のノードとリンク

図5-1の説明が続きます
図5-1「サンフランシスコ市のノードとリンク」

一般的なデータ・モデルおよびネットワーク分析機能を使用すると、従来の地理情報システム(GIS)の他に、多くの種類のネットワーク・アプリケーションをモデル化および分析できます。たとえば、生化学の分野では、アプリケーションで、生物の反応パスウェイ・ネットワークをモデル化する必要がある場合があります。製薬産業では、新薬発見プロセスをモデル化するアプリケーションで、蛋白質間の相互作用をモデル化する必要がある場合があります。

Spatialのネットワーク・モデリング機能には、スキーマ・オブジェクトおよびApplication Program Interface(API)が含まれます。スキーマ・オブジェクトには、メタデータおよびネットワーク表が含まれます。APIには、データベースでネットワークを作成および管理するためのサーバー側PL/SQL API (SDO_NETパッケージ)、およびネットワークの編集と分析のための中間層(クライアント側) Java APIが含まれます。