5.3.2 X6以前のシステム向けのPXEブートによる自動実行のSecure Eraser

この手順では、ノードを再起動したときに自動的に実行されるようにSecure Eraserを構成します。

ノート:

Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0以降、Secure Eraserパッケージ(secureeraser_label.zip)にはNFSイメージではなくISOイメージが含まれています。

始める前に:

  • システムで入手可能な最新のSecure Eraserパッケージをダウンロードしてインストールします。

    Secure Eraserパッケージをダウンロードするには、現在のOracle Exadata System Softwareバージョンに関連付けられた補足Readmeを確認します。各Oracle Exadata System Softwareバージョンに関連付けられた補足Readmeを見つけるには、『Exadata Database Machine and Exadata Storage Server Supported Versions』(My Oracle SupportドキュメントID 888828.1)を参照してください。

  • 消去するノードを起動可能なPreboot Execution Environment (PXE)サーバーにアクセスできることを確認します。

  • 消去するすべてのノードからアクセスできるNFSサーバーにアクセスできることを確認します。

  • 消去するノードのいずれかにアクセスできることを確認します。

  1. PXEイメージ・ファイルのinitrd (initrd-<version>)とカーネル(vmlinux-<version>)をSecure EraserパッケージからPXEサーバーの/tftpbootディレクトリにコピーします。

  2. 消去するデータベース・サーバーおよびストレージ・サーバーの名前を含むファイルを作成します。

    このファイルを生成するため、消去するいずれかのノードで次のコマンドを実行し、ファイル内のノードが消去するノードであることを確認します。

    # ibhosts | awk '/S [0-9\.\,]*/ || /C [0-9\.\,]*/ {print $6}' | 
    sed "s/\"//g" > nodes_to_be_erased
    

    1台のサーバーのみを消去する場合は、Exa01celadm04など、サーバーの名前をnodes_to_be_erasedファイルに入力します。

  3. Secure Eraserパッケージのdcliユーティリティとステップ2で生成されたnodes_to_be_erasedファイルをPXEサーバーにコピーします。

  4. pxe_cfg.templateという名前のPXE構成テンプレートを作成し、次の行を含めます。

    • Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0より前のリリースの場合:

      default linux
      label linux
      kernel vmlinux-nfs-12.2.1.1.0-161015-cell
      append initrd=initrd-nfs-12.2.1.1.0-161015-cell.img dhcp pxe quiet loglevel=
      0 secureeraser bootarea=diagnostics console=tty1 console=ttyS0,115200n8 logp
      ath=10.133.42.221:/export/exadata_secure_eraser_certificate_dir
    • Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0以上の場合:

      default linux
      label linux
      kernel vmlinux-iso-19.1.2.0.0-190111-cell
      append initrd=initrd-iso-19.1.2.0.0-190111-cell.img dhcp pxe quiet loglevel=
      0 secureeraser bootarea=diagnostics console=tty1 console=ttyS0,115200n8 logp
      ath=10.133.42.221:/export/exadata_secure_eraser_certificate_dir
    • 1行目(default)は、使用するデフォルトのラベルがlinuxという名前であることを示します。

    • 2行目(label)は、linuxラベルを定義します。

    • 3行目(kernel)は、ロードするカーネル・ファイルを指定します。ここでは、ステップ1でコピーしたファイルです。

    • 4行目(append)は、カーネルのコマンドラインにオプションを追加します。append文は、構成ファイル内の1行で指定する必要があります。

      • initrdオプションは、ロードするinitrdファイルを指定します。ここでは、ステップ1でコピーしたinitrdファイルです。

      • dhcpオプションは、DHCPを使用してeth0インタフェースを検出することを指定します。

      • pxeオプションは、仮想CDおよびUSBデバイスでのイメージの検索を抑制します。

      • quietオプションは、過度のカーネル・ログ・メッセージを無効にします。

      • loglevel=0オプションは、重要でないカーネル・メッセージを抑制します。

      • secureeraserオプションは、PXEブートによってSecure Eraserユーティリティが自動的に起動され、ノードのハード・ドライブ、フラッシュ・デバイス、内部USB、ILOMを含むすべてのメディアがサニタイズされることを示します。

      • bootareaオプションは、ブート・モードがimaging installやrescueではなくdiagnosticであることを示します。

      • consoleオプションは、標準出力および標準エラー・メッセージがILOM Webコンソールとシリアル・コンソールの両方に出力されることを示します。

      • logpathオプションは、Secure Eraserが証明書を保存するNFS共有ディレクトリを指定します。

    前述の例のデフォルトでは、Secure Eraserはすべてのコンポーネントを消去します。secureeraser-optionsを使用してSecure Eraserのコマンドライン・オプションを指定することで、デフォルトの動作を変更し、特定のコンポーネントのみを安全に消去できます。たとえば、PXEブート時にハード・ドライブとUSBのみを消去する場合、テンプレートは次のようになります。

    • Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0より前のリリースの場合:

      default linux
      label linux
      kernel vmlinux-nfs-12.2.1.1.0-161015-cell
      append initrd=initrd-nfs-12.2.1.1.0-161015-cell.img dhcp pxe quiet loglevel=0 
      secureeraser secureeraser-options="--hdd --usb" bootarea=diagnostics 
      console=tty1 console=ttyS0,115200n8 logpath=10.133.42.221:/export/exadata_
      secure_eraser_certificate_dir
    • Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0以上の場合:

      default linux
      label linux
      kernel vmlinux-iso-19.1.2.0.0-190111-cell
      append initrd=initrd-iso-19.1.2.0.0-190111-cell.img dhcp pxe quiet loglevel=0 
      secureeraser secureeraser-options="--hdd --usb" bootarea=diagnostics 
      console=tty1 console=ttyS0,115200n8 logpath=10.133.42.221:/export/exadata_
      secure_eraser_certificate_dir
  5. PXEサーバーでテンプレート・ファイルを使用して、消去する各ノードの/tftpboot/pxelinux.cfg/ディレクトリにPXE構成ファイルを作成します。

    PXE構成ファイルの名前は、ノードのダッシュ区切り形式のMACアドレスに接頭辞01-を付けたものです。

    消去するノードにアクセスできる場合は、次のステップを使用して、各ノードのPXE構成ファイルをテンプレートに基づいて自動的に生成します。

    1. PXEサーバーから消去するノードにSSH等価を設定します。このコマンドを実行すると、各ノードのrootパスワードの入力が要求されます。

      pxe_server# dcli -g nodes_to_be_erased -k -l root
      
    2. 構成テンプレートに基づいて、消去するノードごとに1つずつのPXE構成ファイルを作成します。

      pxe_server# dcli -g nodes_to_be_erased -l root "ip addr show eth0" | 
      awk '/link\/ether/ {print "01:"$3}' | sed "s/:/-/g" | 
      xargs -I {} cp pxe_cfg.template {}

    消去するノードにアクセスできない場合は、次のステップを使用して、消去する各ノードのPXE構成ファイルを生成します。

    1. 各ノードのeth0インタフェースのMACアドレスを手動で収集し、それらをmac_addressesという名前のテキスト・ファイルに書き込みます。1行に1つのMACアドレスを記述します。次に例を示します:

      00:10:e0:62:c4:fa
      00:10:e0:62:c2:8a
      00:10:e0:62:b8:7c
      00:10:e0:62:b8:3a
      00:10:e0:62:c6:bc
      
    2. 次のコマンドを使用して、構成テンプレートに基づいて消去するノードごとに1つずつのPXE構成ファイルのリストを作成します。

      pxe_server# cat mac_addresses | sed "s/:/-/g;s/^/01-/g" | 
      xargs -I {} cp pxe_cfg.template {}

    どちらの場合も、消去するノードごとに1つずつのPXE構成ファイルのリストが作成されます。たとえば、クオータ・ラック内のノードのMACアドレスが00:10:e0:62:c4:fa、00:10:e0:62:c2:8a、00:10:e0:62:b8:7c、00:10:e0:62:b8:3aおよび00:10:e0:62:c6:bcである場合は、次のファイルが作成されます。

    01-00-10-e0-62-c4-fa
    01-00-10-e0-62-c2-8a
    01-00-10-e0-62-b8-7c
    01-00-10-e0-62-b8-3a
    01-00-10-e0-62-c6-bc

    各ファイルの内容は構成テンプレートと同じです。

    PXEサーバーの要件を確認します。使用するPXEサーバーによっては、必要な名前や設定が若干異なる場合があります。

  6. PXEから起動するようにノードを構成し、ノードを再起動します。

    消去するノードにアクセスできる場合は、次のコマンドを実行します。

    pxe_server# dcli -g nodes_to_be_erased -l root "ipmitool chassis bootdev pxe”
    
    pxe_server# dcli -g nodes_to_be_erased -l root "reboot”

    消去するノードにリモートからアクセスできないが、ILOMにリモートからアクセスできる場合は、次のステップに従います

    1. ILOMの名前を含むiloms_to_be_resetという名前のファイルを作成します。次に例を示します:

      db1-ilom
      db2-ilom
      cell1-ilom
      cell2-ilom
      cell3-ilom
      
    2. ILOMを使用して、PXEから起動するようにノードを構成します。このコマンドを実行すると、ILOMのrootパスワードの入力が要求されます。

      pxe_server# cat iloms_to_be_reset | xargs -I {} ipmitool -I lanplus -H 
      {} -U root chassis bootdev pxe
      
    3. ILOMからノードを再起動します。このコマンドを実行すると、ILOMのrootパスワードの入力が要求されます。

      pxe_server# cat iloms_to_be_reset | xargs -I {} ipmitool -I lanplus -H 
      {} -U root chassis power cycle
      

    ホストにもILOMにもリモートからアクセスできない場合は、シリアル・コンソールを使用してILOMにログインし、次のコマンドを実行します

    ILOM> set /HOST/boot_device=pxe
    
    ILOM> reset /SYS
  7. Secure Eraserユーティリティが自動的に呼び出され、ハード・ドライブ、フラッシュ・デバイス、内部USBを含むすべてのストレージ・メディアがサニタイズされ、すべてのノードのILOMが並行して出荷時のデフォルトにリセットされます。

    Secure Eraserは、指定されたlogpathの場所にsecureeraser_node_chassis_number_date_time.certificateという名前のファイルを作成します。node_chassis_numberは、CellCLIまたはDBMCLIでのストレージ・サーバーまたはデータベース・サーバーのID属性です。

    このファイルには、10秒ごとに更新される進捗状況レポートが格納されます。進捗状況レポートは、各ノードのコンソールにも出力されます。次に、進捗状況レポートの例を示します。

    ID  Type   Model                            Serial Number     Size      Status
    1   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A96H          200.00GB  Being Erased (6%)
    2   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A84Y          200.00GB  Being Erased (5%)
    3   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A7D4          200.00GB  Being Erased (5%)
    4   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A6WG          200.00GB  Being Erased (6%)
    5   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL008KSE          200.00GB  Being Erased (5%)
    6   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL008KS3          200.00GB  Being Erased (5%)
    7   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL008KL7          200.00GB  Being Erased (5%)
    8   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL008KQR          200.00GB  Being Erased (6%)
    9   Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A812          200.00GB  Being Erased (5%)
    10  Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A79G          200.00GB  Being Erased (5%)
    11  Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A80C          200.00GB  Being Erased (6%)
    12  Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A79F          200.00GB  Being Erased (6%)
    13  Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A5WD          200.00GB  Being Erased (5%)
    14  Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A5XS          200.00GB  Being Erased (5%)
    15  Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A7N1          200.00GB  Being Erased (5%)
    16  Flash  Flash Accelerator F80 PCIe Card  FL00A62G          200.00GB  Being Erased (5%)
    17  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E5XHWX        4.00TB    Being Erased (1%)
    18  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E60SYX        4.00TB    Being Erased (1%)
    19  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E60U4X        4.00TB    Being Erased (1%)
    20  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E5UPAX        4.00TB    Being Erased (1%)
    21  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E5XK3X        4.00TB    Being Erased (1%)
    22  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E62M7X        4.00TB    Being Erased (1%)
    23  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E5PSPX        4.00TB    Being Erased (1%)
    24  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E60TJX        4.00TB    Being Erased (1%)
    25  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E5LYDX        4.00TB    Being Erased (1%)
    26  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E602WX        4.00TB    Being Erased (1%)
    27  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E5LY9X        4.00TB    Being Erased (1%)
    28  Disk   H7240AS60SUN4.0T                 1352E5VX4X        4.00TB    Being Erased (1%)
    29  USB    SSM                              1900638EA8BFB749  8.00GB    Being Erased (5%)
    30  ILOM                                    1403NM50CA                        To Be Reset
    
    

    進捗状況レポートの例が示すように、Secure Eraserはすべてのストレージ・デバイスを並行して消去します。ストレージ・デバイスが安全に消去された後、Secure EraserILOMを出荷時のデフォルトにリセットします。これにより、一部のストレージ・デバイスでセキュア消去が失敗した場合でも、Webコンソールにアクセスしてリモート・デバッグを実行したり、ILOMにアクセスしてホストを制御できます。

    セキュア消去が完了すると、ステップ4logpathオプションで指定したNFS共有の場所にsecureeraser_node_chassis_number_date_time.certificate.pdfという名前の証明書が生成されます。セキュア消去が成功した場合、そのノードは自動的に停止されます。一部のコンポーネントでSecure Eraserの処理が失敗した場合、そのノードは詳細なデバッグのため診断シェルに残されます。前述のすべてのステップが成功し、問題が解決した場合は、ステップ6に戻ってSecure Eraserを再実行できます。

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