1.3.2.2.3 Oracle ASMの最大可用性

高冗長性のOracle ASMディスク・グループと、Oracle Exadata Deployment Assistantを使用して自動的にデプロイ可能なファイルの配置構成をお薦めします。

少なくともストレージ・セルが3つあるDATA、RECOまたは他の任意のOracle ASMディスク・グループに対して高冗長性を構成できます。Exadata Softwareリリース12.1.2.3.0以降では、投票ディスクを高冗長性ディスク・グループに含め、Exadataストレージ・セルが5つ未満の場合にはquorumディスクを(実質的に投票ディスクと同じ)をデータベース・サーバーに追加できます。

最大可用性アーキテクチャ(MAA)のベスト・プラクティスでは、DATAとRECOの2つの主要なOracle ASMディスク・グループを使用します。ディスク・グループは次のように編成されています。

  • I/O帯域幅とパフォーマンスを最大化し、管理を簡素化するため、ディスク・グループはすべてのディスクおよびOracle Exadata Storage Server全体でストライプ化されます。
  • DATAおよびRECOディスク・グループは、高(3方向)冗長性で構成されます。

高い冗長性のディスク・グループの利点については、次の停止シナリオに示します。

  • 二重パートナ・ディスク障害: ディスク障害に続く、2番目のパートナ・ディスクの障害による、データベースおよびOracle ASMディスク・グループの損失防止。
  • Oracle Exadata Storage Serverのオフライン時のディスク障害: ストレージ・サーバーがオフラインであり、そのいずれかのストレージ・サーバーのパートナ・ディスク障害が発生した場合の、データベースおよびOracle ASMディスク・グループの損失防止。ストレージ・サーバーは、Exadataローリング・ストレージ・サーバーのパッチ適用など、Exadataストレージの計画メンテナンスによってオフラインになる場合があります。
  • ディスクのセクター破損によるディスク障害: 潜在的なディスク・セクター破損が存在し、計画メンテナンスまたはディスク障害のいずれかが原因でパートナ・ストレージ・ディスクを使用できない場合の、データの損失およびI/Oエラーの防止。

デフォルトのExadata高冗長性デプロイメントの一部である高冗長性ディスク・グループに投票ディスクが含まれている場合、前述の障害シナリオでもクラスタおよびデータベースの可用性は失われません。投票ディスクが標準冗長性ディスク・グループに含まれている場合は、データベース・クラスタで障害が発生します。データベースを再起動する必要があります。このようなリスクは、投票ディスクを高冗長性ディスク・グループに移動し、データベース・サーバーに追加のquorumディスクを作成することで排除できます。

ストレージ障害に対する最大のアプリケーション可用性を提供し、ストレージ停止時の運用を簡素化するために、すべて(DATAおよびRECO)を高冗長性ディスク・グループにすることをお薦めします。対照的に、すべてのディスク・グループが標準冗長性で構成されている場合に2つのパートナ・ディスクで障害が発生すると、Exadata上のすべてのクラスタとデータベースで障害が発生し、すべてのデータが失われます(標準冗長性では二重パートナ・ディスク障害は許容されません)。ストレージ保護が向上する以外に、高冗長性と標準冗長性との主な違いは、使用可能なストレージ容量と書込みI/Oにあります。高冗長性ではより多くの領域が必要で、2つではなく3つの書込みI/Oが発生します。追加で発生する書込みI/OがExadataスマート・Write-Back Flash Cacheに与える影響はごくわずかです。

次の表では、冗長性オプション、その他のオプション、および相対的な高可用性のトレードオフについて説明します。次の表は、投票ディスクが高冗長性ディスク・グループに含まれていることを前提としています。既存の高冗長性ディスク・グループ構成の高冗長性グループに投票ディスクを移行するには、『Oracle Exadata Database Machineメンテナンス・ガイド』を参照してください。

冗長性のオプション 可用性の意味 推奨事項

すべて(DATAおよびRECO)を高冗長性にする

投票ディスクが高冗長性ディスク・グループに存在している場合、前述のストレージ停止のシナリオでは、アプリケーションのダウンタイムおよびデータ損失はゼロです。

現在投票ディスクが標準冗長性ディスク・グループに含まれている場合、それらを高冗長性ディスク・グループに移行するには『Oracle Exadata Database Machineメンテナンス・ガイド』を参照してください。

ミッション・クリティカルなアプリケーションのための最高のストレージ保護および運用の簡素化のために、このオプションを使用します。冗長性を高めるには、より多くの領域が必要です。

DATAのみを高冗長性にする

前述のストレージ停止のシナリオでは、アプリケーションのダウンタイムおよびデータ損失はゼロです。このオプションでは、別のアーカイブ先が必要です。

運用の複雑性が若干高いDATAのための最高のストレージ保護には、このオプションを使用します。すべてを高冗長化する場合よりも使用可能な領域が増えます。

詳細は、My Oracle Supportノート2059780.1を参照してください。

RECOのみを高冗長性にする

前述のストレージ停止のシナリオでは、データ損失はゼロです。

前述のストレージ停止のシナリオで長時間のリカバリが許容される場合は、このオプションを使用します。リカバリ・オプションは次のとおりです。

  • リストアとリカバリ:

    - DATAディスク・グループの再作成

    - RECOからのリストアおよびテープ・ベースのバックアップ(必要な場合)

    - データベースのリカバリ

  • スイッチとリカバリ:

    - RMANスイッチを使用してコピー

    データベースのリカバリ

すべて(DATAおよびRECO)を標準冗長性にする

ノート: ASMディスク・グループのコンテンツ・タイプを使用したディスク間ミラー分離では、物理ディスクとストレージ・サーバーを共有する標準冗長性グループの2つのディスク・パートナが失われたとき、1つのディスク・グループに停止が制限されます。

前述のストレージ停止のシナリオでは、すべてのOracle ASMディスク・グループに障害が発生しました。ただし、ディスク間ミラー分離を使用すると、停止対象は1つのディスク・グループに制限されます。

ノート: このオプションは、エイスまたはクオータ・ラックには使用できません。

最低でもDATAのみは高冗長性にすることをお薦めします。

すべてを標準冗長性にするオプションは、別のOracle Exadata Database MachineにデプロイされたOracle Data Guardのスタンバイ・データベースによってプライマリ・データベースが保護されているか、Oracle Exadata Database Machineが開発またはテスト・データベースにのみサービスを提供している場合に使用します。Oracle Data Guardでは、ストレージ障害に対してリアルタイムのデータ保護および高速のフェイルオーバーを提供します。

Oracle Data Guardが使用できず、DATAまたはRECOディスク・グループが失われている場合は、My Oracle Supportノート1339373.1に記載されているリカバリ・オプションを利用してください。

MAAの設定のための最適なファイル配置は次のとおりです。

  • Oracle Databaseファイル — DATAディスク・グループ
  • フラッシュバック・ログ・ファイル、アーカイブREDOファイルおよびバックアップ・ファイル — RECOディスク・グループ
  • REDOログ・ファイル — 最初の高冗長性ディスク・グループ。高冗長性のディスク・グループが存在しない場合は、REDOログファイルがDATAおよびRECOディスク・グループ間に配置されます。
  • 制御ファイル — 最初の高冗長性ディスク・グループ。高冗長性のディスク・グループが存在しない場合は、DATAディスク・グループで1つの制御ファイルを使用します。バックアップ制御ファイルがRECOディスク・グループ内に存在するようにし、RMAN CONFIGURE CONTROLFILE AUTOBACKUP ONを設定する必要があります。
  • サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE) — 最初の高冗長性ディスク・グループ。高冗長性のディスク・グループが存在しない場合は、SPFILEがDATAディスク・グループ内に存在するようにします。SPFILEバックアップがRECOディスク・グループ内に存在するようにします。
  • Oracle Exadata Database Machineフル・ラックおよびOracle Exadata Database Machineハーフ・ラック用のOracle Cluster Registry (OCR)および投票ディスク— 最初の高冗長性ディスク・グループ。高冗長性のディスク・グループが存在しない場合は、ファイルがDATAディスク・グループ内に存在するようにします。
  • Oracle Exadata Database Machineクオータ・ラックまたはエイス・ラックの投票ディスク — 最初の高冗長性ディスク・グループ'(そうでなければ、標準冗長性ディスク・グループ)。高冗長性ディスク・グループのExadataストレージ・セルが5つ未満である場合は、OEDAデプロイメント中にquorumディスクをExadataデータベース・サーバーに追加できます。既存の高冗長性ディスク・グループ構成の高冗長性グループに投票ディスクを移行するには、『Oracle Exadata Database Machineメンテナンス・ガイド』を参照してください。
  • 一時ファイル — 最初の高冗長性ディスク・グループ。すべてを高冗長性にするオプションを使用する場合は、最初の高冗長性ディスク・グループを使用します。
  • ステージングおよび非データベース・ファイル — DBFSディスク・グループまたはACFSボリューム
  • Oracleソフトウェア(監査および診断先を含む) — OEDAデプロイメント中に構成されたExadataデータベース・サーバーのローカル・ファイル・システムの場所