2.2 Spatial Studioのダウンロードおよびインストール

各ユーザーがSpatial Studioを使用して空間データに対して技術的に興味深い作業を実行する前に、Spatial Studioをダウンロードしてインストールする必要があります。

Spatial Studioのダウンロードおよびインストールの詳細は、https://www.oracle.com/database/technologies/spatial-studio/get-started.htmlを参照してください。

様々なタイプのインストール・オプションについては、次の各項で説明します:

2.2.1 Spatial Studioクイック・スタートのインストールおよび構成

クイック・スタートは、使用を開始するための簡単な方法であり、個人および開発での使用に適しています。

クイック・スタートは、Spatial Studioの使用を開始するために必要なものがすべて含まれる1つのzipにパッケージ化されています。ただし、Java (64-bit、update 181以降)および独自のデータベース・スキーマは除きます。

クイック・スタートをインストールする前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください:

  • システムにJavaがインストールされていて、JAVA_HOME環境変数がJava SE Development Kitの完全なJDKインストールを指している必要があります。クイック・スタートのインストールには、Java 8 (64-bit、update 181以降)またはJDK 11 (64-bit)が必要です。
  • システムのポート8080および4040が、他の(Web)アプリケーションで使用されていない。ポート8080http://プロトコルで使用し、ポート4040https://プロトコル用です。異なるポートを使用するようにSpatial Studioに指定できますが、8080および4040がデフォルトです。

    デフォルトでは、httpsを使用するアクセスのみがSpatial Studioで許可されます。

    httpアクセスを有効にする場合は、次のステップを実行します:

    • Oracle_Spatial_Studioディレクトリにあるconf/server.jsonファイルを編集して、httpEnabledプロパティをtrueに更新します。
    • sgtech_config.jsonファイルを編集して、https_onlyプロパティをfalseに更新します(「sgtech_config.jsonファイルを使用した構成の変更」を参照)。
    • Spatial Studioアプリケーションを再起動します。
    • ホストOSのファイアウォールで、httpポートが開いていることを確認します。

次のステップを実行すれば、Spatial Studioクイック・スタートをインストールして構成できます:

  1. クイック・スタートzipアーカイブOracleSpatialStudio_qs.zipをダウンロードします。
  2. OracleSpatialStudio_qs.zipファイルを解凍(抽出)します。
    そうすると、Oracle_Spatial_Studioディレクトリが作成されます。
  3. コマンド・ウィンドウ(Windows)またはターミナル(LinuxまたはMac)からOracle_Spatial_Studioディレクトリに移動します。
    このディレクトリには、複数の.batファイルまたは.shファイルが格納されています。
  4. start.shまたはstart.batを実行して、Spatial Studioアプリケーションを起動します。
    LinuxまたはMacでは、まずchmod u+x *.shコマンドを実行して、.shファイルを実行可能にする必要がある場合があります。
  5. https://localhost:4040/spatialstudio URLを使用してブラウザでSpatial Studioを起動し、Webアプリケーションにログインします。

    デフォルトの管理ユーザーのログイン資格証明(admin/welcome1)を使用してログインできます。ただし、すぐにパスワードを変更することをお薦めします。adminユーザーの(暗号化された)パスワードを変更する方法については、クイック・スタートのREADMEファイルを参照してください。

    また、次の点にも注意してください。
    • デフォルト・ポートは4040です。ただし、Oracle_Spatial_Studioディレクトリのconf/server.jsonファイルを編集すればポートを変更できます。このファイルを変更した後は、アプリケーションを再起動する必要があります。(HTTPポートの値をデフォルトの8080から変更した場合も同様です。)
    • クイック・スタートには、次の事前定義済Webユーザー・ログイン・アカウントが用意されています:
      • admin: 管理者ユーザー・アカウント
      • daustinおよびbruce: 2つの通常ユーザー・アカウント

      これらの事前定義済ユーザーとそのログイン・パスワードは、conf/jetty-realm.properties構成ファイルに定義されています。パスワードはすべて暗号化形式で格納されています。アプリケーションを初めて起動する前に、デフォルトの管理者ユーザーadminのパスワードを変更することをお薦めします。adminユーザーとその他の通常のSpatial Studioユーザーの(暗号化された)パスワードを変更する方法については、クイック・スタートのREADMEファイルを参照してください。

      また、Spatial Studioメタデータ・スキーマへのログイン、データベース・スキーマへのユーザー作成の接続など、その他すべてのパスワードは常に高度に暗号化されています。

    • CA署名証明書を使用するようにSpatial Studioサーバーを構成する場合は、「クイック・スタート・インストールでのCA署名SSL証明書の使用」を参照してください。
    • READMEファイルには、Webアプリケーションの起動および停止に関する情報も含まれています。アプリケーションを停止する場合は、2番目のターミナルまたはコマンド・ウィンドウを開いて、同じOracle_Spatial_Studioフォルダに移動し、stop.batまたはstop.shスクリプトを実行する方法をお薦めします。

    メタデータ接続の詳細がsgtech_config.jsonファイルにすでに格納されている場合は、Oracle Spatial Studioの使用を参照してSpatial Studioの使用を開始します。

    それ以外の場合は、ステップ6に進みます。

  6. オプションで、メタデータ接続タイプを選択します。

    このステップは、システムでSpatial Studioの新しいインスタンスを起動する場合にのみ実行します。このステップは、Spatial Studioがすべてのオブジェクト(接続、データセットなど)のメタデータを格納および管理するデータベースにメタデータ・リポジトリを設定するために必要です。メタデータ・スキーマおよびスキーマ・ユーザーに必要な権限の詳細は、「Spatial Studioのメタデータ・スキーマのセットアップ」を参照してください。

    図2-1 メタデータ接続タイプ



    メタデータ接続タイプの選択に応じて、次のステップを実行します:

    • Oracle Database

      次に示すように、メタデータ・スキーマの詳細の指定ダイアログが開きます。

      図2-2 Oracle Databaseへのメタデータ・スキーマ接続



      1. データベースの「接続」を選択します。

        サポートされている値は次のとおりです:

        • サービス
        • SID
      2. 前のステップで選択した接続値に応じて、「サービス/SID」の値を入力します。
      3. データベースの「ユーザー」の名前およびユーザーの「パスワード」を入力します。
      4. 「ホスト」および「ポート」の詳細を入力します。
      5. 「OK」をクリックします。
    • Oracle Autonomous Database

      「ウォレットのアップロード」ダイアログが開きます。

      1. ウォレット・ファイル(Autonomous Databaseインスタンス用)をドラッグ・アンド・ドロップするか、クリックしてシステムからウォレットをアップロードします。
      2. 「OK」をクリックします。

        次に示すように、メタデータ・スキーマの詳細の指定ダイアログが開きます。

        図2-3 Autonomous Databaseへのメタデータ・スキーマ接続



      3. Autonomous Databaseの「ユーザー」の名前およびユーザーの「パスワード」を入力します。
      4. 適切なサービスをドロップダウン・リストから選択します。
      5. 必要に応じて、「プロキシ・ホスト」および「プロキシ・ポート」の詳細を入力します。
      6. 「OK」をクリックします。

    指定されたメタデータ・スキーマの詳細は、sgtech_config.jsonファイルに格納されます。「開始」ページがWebアプリケーションで開きます。Spatial Studioの使用を開始するには、「Oracle Spatial Studioの使用」を参照してください。

2.2.2 Oracle WebLogic ServerへのSpatial Studioのインストール

Spatial Studioは、WebLogic Serverドメインにデプロイできます。複数のエンド・ユーザーが同じSpatial Studioアプリケーションにアクセスする場合は、この方式をお薦めします。

ノート:

複数のエンド・ユーザーのWebLogic ServerでSpatial Studioをホストするには、WebLogic Serverのライセンスが必要です。

Spatial StudioをWebLogic Serverにデプロイするための全般的な方法は、他のJava EE EARアプリケーションをデプロイする方法と同じです。最も簡単な方法は、WebLogic Serverの管理コンソールを使用して次のステップを実行することです。すべてのステップまたはほとんどのステップで、WLSインストール・アプリケーション・ウィザードで提供されるデフォルト値を受け入れることができます。

  1. Oracle Technical ResourcesまたはeDeliveryからStudio EARアーカイブをダウンロードし、ローカル・システムに保存します。
  2. 対象となるWLSドメインの管理コンソールにログインします。
  3. 左側の「デプロイ」リンクをクリックします。
  4. 次の図に示すように、「デプロイメント」セクションの下の「インストール」ボタンをクリックします(ご使用のWLSのインスタンスでは、正確な内容が異なる場合があります)。

    図2-4 Spatial Studioのデプロイ時のWLS管理コンソール

    図2-4の説明が続きます
    「図2-4 Spatial Studioのデプロイ時のWLS管理コンソール」の説明
  5. 次のページで、前にダウンロードしたSpatial Studio EARファイルを選択し、(ライブラリとしてではなく)アプリケーションとしてインストールします。
  6. 残りのステップをクリックして進めます(適切なターゲット・サーバーの選択を含む)。内容を正確に理解している場合を除き、すべての場合にデフォルトのオプションを受け入れる必要があります。最後に、「保存」をクリックしてデプロイメントを完了します。
  7. WLSが本番モードで実行されている場合は、デプロイメントをアクティブにするために、変更をアクティブにする必要があることがあります。
  8. 新しくデプロイしたSpatial Studioアプリケーションがアクティブとしてマークされていることを確認します。マークされていない場合は、WLS管理コンソールから明示的に起動する必要があることがあります。
  9. 管理対象サーバーのURLを/spatialstudioコンテキスト・ルートとともに使用して、Studioアプリケーションにアクセスします。たとえば、http://mycompany.com:7002/spatialstudioです

2.2.2.1 Spatial Studio管理ユーザーによる一般的なWLS管理の防止

Spatial Studio管理ユーザーがWebLogic Serverの他の一般的な管理操作を実行できないようにする場合は、このトピックの手順に従います。

Spatial Studioアプリケーションは、デフォルトで、WebLogicのすべての管理対象管理ユーザー(WebLogicの管理者グループのユーザー)に対してSpatial Studioアプリケーションへのログインを許可し、Spatial Studioアプリケーション内で管理ロールを保持しているとみなします。

ただし、一部のシナリオでは、Spatial Studioアプリケーションのみを管理するユーザーにWebLogic Serverの管理アカウント情報を組織が提供しないことにする場合があります。そのような場合、WLSシステム管理者は、デフォルトのWLSセキュリティ・レルムにID値がSGTech_SystemAdminの新しいWLSグループを作成できます。次に、新しいユーザーを作成するか、既存の非WLS管理ユーザーをこのグループに割り当てます。それ以降、このユーザーは、ログインするたびにSpatial Studioの管理ロールを保持しているとみなされますが、一般的なWLSサーバーの管理を行うことはできません。

また、次の点にも注意してください。

  • すべてのWLS管理対象ユーザーは、デフォルトでSpatial Studioにログインできますが、接続、データセット、プロジェクトなどの独自のSpatial Studioオブジェクトへのアクセスのみに制限されます。
  • Spatial Studioの管理ユーザーには、すべてのユーザーが作成したすべてのSpatial Studioオブジェクトへの完全なアクセス権があります。
  • WebLogicのデフォルトの組込みLDAPセキュリティ・レルムをアイデンティティ・プロバイダとして使用する際に、ユーザー名と割り当てられたアプリケーション・ロール名の大/小文字のみが異なる場合(adminAdminなど)、両方の名前を小文字に調整することをお薦めします。これは、Spatial Studioでのユーザー、グループおよびセキュリティ・ポリシー間の大/小文字の区別の問題を回避するためです。

2.2.3 Apache TomcatへのSpatial Studioのインストール

Oracle Spatial Studioパッチ・リリース23.1.1以降、Apache Tomcatバージョン9にSpatial Studio Webアプリケーションをデプロイして実行できるようになりました。

TomcatにSpatial Studioをデプロイして実行するための一般的なステップは、次のとおりです:
  1. 最新のApache Tomcatバージョン9をダウンロードしてインストールします。

    Tomcatの設定については、Apache Tomcatのドキュメントを参照してください。

  2. Tomcat zipファイルを解凍し、必要に応じて構成します(<TOMCAT_HOME>/webappsディレクトリにあるすべてのデフォルトWebアプリケーションの削除など)。
  3. Oracle Software Delivery CloudからSpatial Studio Tomcat固有のWARアーカイブをダウンロードします。
  4. ダウンロードしたWARアーカイブを<TOMCAT_HOME>/webapps/ディレクトリにコピーします。
  5. WARファイルの名前を必ずspatialstudio.WARに変更します。

    ファイル名にバージョンまたはビルド文字列がないことに注意してください。詳細は、「Tomcat用のSpatial Studio WARアーカイブについて」を参照してください。

  6. Tomcatユーザーおよびロールを構成します。

    Spatial StudioのADMINユーザーを必ず構成します。詳細は、「Spatial StudioのTomcatユーザーの構成」を参照してください。

  7. <TOMCAT_HOME>/binディレクトリの起動スクリプトを使用してTomcatサーバーを起動します。

    Spatial Studio Webアプリケーションにアクセスする前に、TomcatおよびSpatial Studioが完全に初期化されるまで数秒待つ必要がある場合があります。

  8. URL https://localhost:8443/spatialstudioを開いて、ブラウザでSpatial Studioを起動します。

    前述のURLでは、ポート8443が、Apache Tomcatのデフォルトのhttpsポートである点に注意してください。httpアクセス(デフォルト・ポート8080)を有効にする場合は、「HTTPS-ONLYアクセスの許可」を参照してください。

    その後、ステップ6で定義したユーザーのいずれかを使用してログインできます。

    Spatial StudioのアクセスURLでは、デフォルトのホスト名とポートが使用されることに注意してください。デフォルトのTomcatネットワークおよびポート構成を変更する場合は、それに応じてURLを調整する必要があります。

    なんらかの理由でURLにアクセスできない場合は、常に次のログ・ファイルを確認できます:

    • <TOMCAT_HOME>/logsディレクトリにあるTomcatのサーバー・ログ。
    • <USER_HOME>/.sgtech/logsディレクトリにあるSpatial Studioの独自のログ・ファイル。<USER_HOME>は、オペレーティング・システム・ユーザーのホーム・ディレクトリです。

2.2.3.1 Tomcat用のSpatial Studio WARアーカイブについて

Spatial StudioをTomcatで実行するには、spatialstudio_tomcat.warアーカイブをダウンロードする必要があります。

このアーカイブ・ファイルには、新しくダウンロードしてインストールしたTomcatインスタンスで実行できるようにするための依存関係がすべてバンドルされています。

次の点に注意してください。

  • spatialstudio_tomcat.warファイルがTomcatのwebappsディレクトリに配置されている場合は、その名前をspatialstudio.warに変更する必要があります。TomcatではWebアプリケーションのコンテキスト・ルートとしてファイル名を使用しますが、Spatial Studioではこれは通常/spatialstudioであるためです。
  • 他のWebアプリケーションが実行されている既存のTomcatインストールがある場合、または異なるバージョンの依存性ライブラリがすでにインストールされている場合、ライブラリとバージョンの競合が原因でSpatial Studioの実行に問題が発生する可能性があります。そのような場合は、問題を解決するためにMy Oracle Supportでサービス・リクエストを発行できます。

2.2.3.2 Spatial StudioのTomcatユーザーの構成

Spatial StudioをTomcatで実行するには、Spatial Studioの管理者として機能できるTomcatユーザーを少なくとも1人構成する必要があります。

Spatial Studio Webアプリケーションにアクセスすると、ログイン・ページに入力したusernameおよびpasswordが認証のためにTomcatに渡されます。ユーザーが認証されると、Spatial Studioは結果のプリンシパルを調べます。プリンシパルにSGTech_SystemAdminという名前のロールがある場合、ログイン・ユーザーはSpatial Studioの管理ユーザーとみなされます。

外部アイデンティティ・プロバイダを使用して認証を提供するようにTomcatインスタンスがすでに構成されている場合は、Spatial Studioを管理できるように、外部アイデンティティ・プロバイダが提供するユーザーの1人または一部にSGTech_SystemAdminロールが割り当てられていることを確認します。

Tomcatのインストールで単純な組込みユーザー管理メカニズムを使用している場合は、<TOMCAT_HOME>/confディレクトリにあるtomcat-user.xml構成ファイルにロールとユーザーを追加することがあります。

次の簡単な例では、2人のユーザーと2つのロールを定義しています。1つはtomcat-user.xml構成ファイル内のSGTech_SystemAdminです:

<role rolename=”role1”/>
<role rolename="SGTech_SystemAdmin"/>
<user username="admin" password="Welcome1" roles="manager-gui, manager-script, SGTech_SystemAdmin"/>
<user username="scott" password="Welcome1" role="role1"/>

ロールを定義したら、ユーザー名scottまたはadminを使用してSpatial Studioにログインできます。adminユーザーにはSGTech_SystemAdminロールがあるため、ユーザーはログイン後にSpatial Studioを管理できますが、scottユーザーは通常のSpatial Studioユーザーになります。

2.2.4 Oracle Cloud MarketplaceからのSpatial Studioのインストール

Oracle Cloud MarketplaceからOracle CloudにSpatial Studioをプロビジョニングできます。

Cloud MarketplaceからのSpatial Studioのデプロイの詳細は、Cloud MarketplaceからのSpatial Studioのデプロイを参照してください。