リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベース

リカバリ・アプライアンスの重要なコンポーネントはリカバリ・アプライアンス・メタデータ・データベースです。このデータベースは、すべてのバックアップのメタデータを管理し、RMANリカバリ・カタログも格納します。リカバリ・アプライアンス・メタデータ・データベースは、事前に構成およびチューニングされており、リカバリ・アプライアンスによって管理されます。図2-5に、保護データベースとのやりとりを行うリカバリ・アプライアンス・メタデータ・データベースを示します。

図2-5 リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベース

図2-5の説明が続きます
「図2-5 リカバリ・アプライアンス・メタデータ・データベース」の説明

この項には次のトピックが含まれます:

デルタ・ストア

デルタ・ストアは、リカバリ・アプライアンスの記憶域の場所にあるすべての保護データベース・バックアップ・データ全体です。すべてのデータ・ファイルとアーカイブREDOバックアップがデルタ・ストアに含まれます。デルタ・ストアには、すべての保護データベースのすべてのデータ・ファイルためのデルタ・プールがあります。

デルタ・プール

デルタ・ストアはデルタ・プールのコレクションです。リカバリ・アプライアンスは保護データベースからバックアップを受け取ると、インデックスを付けてデルタ・プールに格納します。デルタ・プールはデータ・ファイル・ブロックのセットであり、リカバリ・アプライアンスがこれを元に仮想完全バックアップを作成します。リカバリ・アプライアンスは、受信した任意の増分バックアップに対応する仮想完全バックアップを作成できるように、自動的にデルタ・プールを管理します。

リカバリ・アプライアンスにバックアップが送信される各データ・ファイルには、それぞれ独自のデルタ・プールがあります。たとえば、prod1のデータ・ファイル10は独自のデルタ・プールがあり、データベースprod2のデータ・ファイル1にも独自のデルタ・プールがあります。図2-6に示すように、リカバリ・アプライアンスによって保護されるデータベースのすべてのデルタ・プールがデルタ・ストアに含まれます。

図2-6 デルタ・ストアのデルタ・プール

図2-6の説明が続きます
「図2-6 デルタ・ストアのデルタ・プール」の説明

自動デルタ・プール領域管理

リカバリ・アプライアンスがバックアップを管理する一連の操作は、自動デルタ・プール領域管理と呼ばれます。領域管理では具体的には次の自動タスクが行われます。

  • ディスク・リカバリ・ウィンドウ目標とSBT保存ポリシーに基づいて、不要すなわち期限切れになったバックアップの削除(リカバリ・アプライアンスの記憶域の場所とテープの両方)

    リカバリ・アプライアンスは、ディスクに格納しておく必要がないバックアップを定期的に判別して、ディスク領域を再利用できるようにします。リカバリ・アプライアンスが、デルタ・プールにあるバックアップを不要と判別するとき、通常、そのバックアップを構成する個々のブロックは、不要ではないブロックと一緒に物理ファイルに配置されています。リカバリ・アプライアンスはそれらの物理ファイルを再書込みして、不要ブロックが占有していた領域をデルタ・プールが再利用できるようにします。

  • デルタ・プールを定期的に再編成して、リストア操作のパフォーマンスを改善します

    デルタ・プールの自動トラッキングと再編成は、デルタ・プールの最適化と呼ばれます。古いブロックが削除され、更新されたデータ・ファイルに関する新しい増分バックアップが届くと、バックアップ内のブロックの連続性が低下することがあります。この状態によって、リストア操作のパフォーマンスが低下する可能性があります。リカバリ・アプライアンスは、自動的に仮想完全バックアップ・ブロックを再編成して連続性を維持するバックグラウンド・タスクを実行し、これにより、リストア操作の読取りアクセスを最適化します。

リカバリ・アプライアンス・スキーマ

リカバリ・アプライアンス・スキーマに含まれるメタデータは、リカバリ・アプライアンスが保護データベースにかわってバックアップを管理するために内部で使用します。RASYSは、リカバリ・アプライアンス・スキーマを所有するリカバリ・アプライアンス管理ユーザーです。リカバリ・アプライアンス・スキーマにはRMANリカバリ・カタログが含まれます。

リカバリ・アプライアンス・カタログ

リカバリ・カタログの更新は、リカバリ・アプライアンスのインデックス付けと領域管理コレクションの結果を反映します。このような更新は、保護データベースの制御ファイルでは行われません。この理由から、リカバリ・アプライアンスにバックアップを格納する保護データベースはリカバリ・アプライアンス・カタログを使用する必要があります。

ノート:

保護データベースは、バックアップ・リポジトリとしてリカバリ・アプライアンスを使用しなくても、リカバリ・アプライアンス内のリカバリ・カタログを使用できます。

RMANは、バックアップおよびリカバリ操作に利用されるのと同じリカバリ・アプライアンス・アカウントを使用してリカバリ・アプライアンス・カタログに接続します。各リカバリ・アプライアンス・ユーザー・アカウントは、仮想プライベート・カタログ・アカウントでもあります。DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESSプロシージャは、リカバリ・アプライアンス権限を特定の保護データベースのデータベース・ユーザー・アカウントに付与します。

関連項目: