既存のバックアップ計画のリカバリ・アプライアンスへの適応

既存のバックアップ計画からリカバリ・アプライアンスを使用する計画に移行してデータ保護に対応することが決まったら、既存の計画を一部変更する必要があります。現在使用中のすべてのRMANバックアップおよびリカバリ・スクリプトは、少し変更することによりリカバリ・アプライアンス環境で使用できるようになります。

RMANバックアップおよびリカバリの既存のスクリプトをリカバリ・アプライアンスで使用できるように適応させるには、次の変更が必要です。

  • ディスク・チャネルやテープ・チャネルのかわりにZero Data Loss Recovery Applianceバックアップ・モジュール(リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュール)に対応するSBTチャネルを使用するよう、RMANチャネルの構成またはチャネルの割当てを変更します。

  • RMANバックアップ・スクリプトを変更し、リカバリ・アプライアンスでは動作が異なるコマンドを削除します。

  • リカバリ・アプライアンス環境では不要なコマンドを削除して、既存のRMANスクリプトをシンプルにします。

RMANチャネル構成の変更

RMANのチャネルは、バックアップ・デバイスに対する1つの双方向ストリームを表します。チャネルは、入力デバイスからデータを読み取り、処理して出力デバイスに書き込みます。RMANでは次の種類のチャネル構成をサポートしています。

  • DISK (バックアップをディスクに格納)

  • SBT

    バックアップは、テープ(Oracle Secure Backupなどのメディア管理ソフトウェアを使用)、リカバリ・アプライアンス(リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを使用)、またはOracle Cloudのいずれかに格納されます。

既存のRMANスクリプトでは、DISKチャネル(ディスクへバックアップ)またはSBTチャネル(テープへバックアップ)を使用しているはずです。リカバリ・アプライアンスにバックアップまたはリカバリ・アプライアンスからリストアするには、保護されたデータベースのホストにインストールされているリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールに対応するSBTチャネルの使用を構成する必要があります。リカバリ・アプライアンス環境では、バックアップおよびリカバリ・スクリプトでリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを指しているSBT_LIBRARYパラメータを使用して、SBTチャネルを割り当てる必要があります。

関連項目:

リカバリ・アプライアンスで使用するRMANチャネルの割当てまたは構成方法の例は、「リカバリ・アプライアンスのバックアップおよびリカバリ操作でのRMANチャネルの使用方法」を参照してください

RMANバックアップおよびリカバリ・スクリプトの変更

リカバリ・アプライアンスで機能が少し異なるRMANコマンド(サポートされないRMANコマンドのリストを参照)がバックアップ・スクリプトで使用されている場合は、スクリプトを変更して該当するコマンドを適切な新しいコマンドで置き換える必要があります。たとえば、RMAN UNREGISTER DATABASEコマンドの機能は、リカバリ・アプライアンスでは異なる動作を示します。したがって、既存のRMANスクリプトを変更して、UNREGISTER DATABASEコマンドを置き換える必要があります。UNREGISTER DATABASEのかわりに使用する必要のあるDBMS_RA.DELETE_DBプロシージャは、SQL*Plusからのみ使用できます(RMANでは使用できません)。

既存のバックアップ計画でRMAN増分更新バックアップ計画を使用し、初期イメージ・コピー・バックアップに後続のレベル1の増分バックアップをマージしている場合は、リカバリ・アプライアンスの永久的増分バックアップ計画を使用するようにRMANコマンドを変更します。

関連項目:

不要なRMANコマンドの削除

通常、RMANバックアップおよびリカバリ・スクリプトにはバックアップを検証するためのコマンドが含まれています。これには、VALIDATECROSSCHECKなどのコマンドがあります。リカバリ・アプライアンスでは、保護されたデータベースからのすべてのバックアップを自動的に検証してから記憶域に書き込むため、既存のデータ保護計画からリカバリ・アプライアンスを使用する計画に移行した後は、これらのコマンドは必要なくなります。リカバリ・アプライアンスを使用するように既存の計画を適応させる際に、スクリプトからVALIDATEおよびCROSSCHECKコマンドを削除してください。

また、リカバリ・アプライアンス側で実行されるようになった操作(テープへのバックアップ、不要なバックアップの削除など)も、既存のバックアップ計画から削除する必要があります。