保護されたデータベースのメタデータのリカバリ・アプライアンス・カタログへのインポート

保護されたデータベースのデータ保護にリカバリ・アプライアンスを使用するには、これらの保護されたデータベースのメタデータがRMANリカバリ・カタログではなくリカバリ・アプライアンス・カタログに格納されている必要があります。RMANリカバリ・カタログに現在格納されている既存のバックアップ・メタデータは、リカバリ・アプライアンス・カタログにインポートできます。既存のリカバリ・カタログをリカバリ・アプライアンス・カタログにインポートすることをお薦めします。

RMANリカバリ・カタログには、1つ以上の保護されたデータベースに関するメタデータを格納できます。RMANリカバリ・カタログをリカバリ・アプライアンス・カタログにインポートする際は、一部のデータベースのみに関連するメタデータ、またはRMANリカバリ・カタログ内のすべてのメタデータをインポートできます。

既存のカタログをリカバリ・アプライアンス・カタログにインポートする場合、バックアップ・メタデータのみがコピーされます。カタログのインポート時に、既存のバックアップ自体はリカバリ・アプライアンスにコピーされません。必要な場合は、「既存のバックアップのリカバリ・アプライアンスへの移行」の説明に従って、既存のバックアップを別途コピーする必要があります。

保護されたデータベースのメタデータをリカバリ・アプライアンスにインポートするステップ

  1. 「RMANリカバリ・カタログをリカバリ・アプライアンスにインポートするための準備」で説明している準備ステップを完了します。

  2. 「IMPORT CATALOGコマンドを使用した保護されたデータベースのメタデータのインポート」の説明に従って、リカバリ・アプライアンスに移行する保護されたデータベースのメタデータが格納されているRMANリカバリ・カタログをインポートします。

RMANリカバリ・カタログをリカバリ・アプライアンスにインポートするための準備

保護されたデータベースのメタデータをRMANリカバリ・カタログからリカバリ・アプライアンス・カタログにインポートする前に、保護されたデータベースとリカバリ・アプライアンスの両方でいくつかの操作を実行する必要があります。

  1. リカバリ・アプライアンスで次のステップを実行します。

    1. メタデータを移行する対象の保護されたデータベースで使用するリカバリ・アプライアンス・ユーザーを作成します。保護されたデータベースでは、このリカバリ・アプライアンス・ユーザーを使用して、リカバリ・アプライアンスとの認証を行います。

    2. メタデータを移行する対象の保護されたデータベースに使用する保護ポリシーを作成します。

      移行対象の保護されたデータベースの要件を満たせば、既存の保護ポリシーを使用しても構いません。

    3. メタデータを移行する対象の保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録します。

    関連項目:

    これらのステップを実行する方法の詳細は、『Zero Data Loss Recovery Appliance管理者ガイド』を参照してください。

  2. 保護されたデータベースで次のステップを実行します。

    1. ソースのRMANリカバリ・カタログを格納しているデータベースがOracle 12cリリース1でない場合は、リカバリ・カタログ・データベースをOracle 12cリリース1にアップグレードします。

      関連項目:

      データベースをOracle Database 12cリリース1 (12.1)にアップグレードする方法の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

    2. リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールして、リカバリ・アプライアンスへのバックアップ・データの転送に必要な共有ライブラリを作成します。

      バックアップ・モジュールをインストールすると、保護されたデータベースとリカバリ・アプライアンスとの認証に使用する資格証明が格納されるOracleウォレットが作成されます。

    3. 保護されたデータベースにはTARGETとして、保護されたデータベースのメタデータが格納されているRMANリカバリ・カタログにはCATALOGとして接続します。

      次の例では、保護されたデータベースにはTARGETとして、ソースのRMANリカバリ・カタログにはCATALOGとして接続します。RMANリカバリ・カタログの所有者はrman_cat11で、dbrcat11はRMANリカバリ・カタログ・データベースのネット・サービス名です。rmancat11_pswdrman_cat11ユーザーのパスワードに置き換えます。

      $ rman target / catalog rman_cat11/rmancat11_pswd@dbrcat11
      
    4. 保護されたデータベースからRMANリカバリ・カタログに作成中のバックアップがないことを確認します。

      次のコマンドでは、ソースのRMANリカバリ・カタログの所有者としてSQL*Plusに接続し、RMANリカバリ・カタログrman_cat11に作成中のバックアップを問い合せます。

      $ sqlplus rman_cat11/rmancat11_pswd@dbrcat11
      SQL> SELECT username, module 
                FROM v$session
                WHERE username = 'RMAN_CAT11';
      

      この問合せでは結果が返されません。返される行は、進行中のバックアップまたはリストア操作の可能性があるものに対する接続を示します。行が返された場合、接続がないことを確認して問合せを再試行します。

    5. 保護されたデータベースのカタログに格納されているバックアップ・ピースの数を確認します。

      次の例では、保護されたデータベースMY_PTDBのバックアップ・ピースの数を表示します。

      SQL> SELECT db_name, COUNT(*)
                FROM rc_backup_piece_details
                WHERE db_name='MY_PTDB';
      
    6. SQL*Plusを終了し、TARGETとして保護されたデータベースに再接続し、CATALOGとしてソースのRMANリカバリ・カタログに再接続して、リカバリ・カタログ内のバックアップが有効で、正常なリカバリ操作に使用できることを確認します。

      $ rman target / catalog rman_cat11/rmancat11_pswd@dbrcat11
      

      バックアップを検証するには、バックアップをリストアするか、RESTORE ... VALIDATEコマンドを使用します。

      関連項目:

      RESTORE ... VALIDATEコマンドの使用方法の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。

    7. ソースのRMANリカバリ・カタログの所有者としてSQL*Plusに接続し、dbmsrmansys.sqlスクリプトを実行します。このスクリプトでは、RECOVERY_CATALOG_OWNERロールに必要な追加権限を付与します。

      $ sqlplus rman_cat11/rmancat11_pswd@dbrcat11 
      SQL> $ORACLE_HOME/rdbms/admin/dbmsrmansys.sql
      SQL> exit
      

      rman_cat11ユーザーはRMANリカバリ・カタログの所有者で、リカバリ・カタログ・データベースのネット・サービス名はdbrcat11です。rmancat11_pswdrman_cat11ユーザーのパスワードに置き換えます。

    8. リカバリ・アプライアンスでRMANセッションを開始し、RASYSユーザーを使用してリカバリ・アプライアンスにはTARGETとして、ソースのRMANリカバリ・カタログにはCATALOGとして接続します。

      次のコマンドでは、リカバリ・アプライアンスにはTARGETとして、ソースのRMANリカバリ・カタログにはCATALOGとして接続します。

      $ 	rman target rasys/rasys_pswd
      RMAN> CONNECT CATALOG rman_cat11/rmancat11_pswd@dbrcat11
      

      RASYSはリカバリ・アプライアンス・カタログの所有者です。rasys_pswdrasysユーザーのパスワードに置き換えます。ソースのRMANリカバリ・カタログの所有者はrman_cat11で、リカバリ・カタログ・データベースのサービス名はdbrcat11です。rmancat11_pswdrman_cat11ユーザーのパスワードに置き換えます。

      ノート:

      UPGRADE CATALOGは、適切なデータベース・バージョンがある別のORACLE_HOMEから実行する必要があります。RA23の場合は、別のDatabase 23aiバージョンからカタログのアップグレードを実行します。
    9. ソースのRMANリカバリ・カタログを新しいリリースにアップグレードします。UPGRADE CATALOGコマンドは、確認用に2回入力する必要があります。

      • UPGRADE CATALOG;
        UPGRADE CATALOG;
        
    10. アップグレード済のソースのRMANリカバリ・カタログでステップ2.dから2.fを繰り返し、アップグレード済のカタログが正常で、保護されたデータベースのリカバリに使用できることを確認します。

IMPORT CATALOGコマンドを使用した保護されたデータベースのメタデータのインポート

RMANリカバリ・カタログのメタデータをリカバリ・アプライアンス・カタログにインポートするには、RMAN IMPORT CATALOGコマンドを使用します。

ソースRMANリカバリ・カタログ・スキーマのバージョンは、リカバリ・アプライアンスのリカバリ・カタログ・スキーマ(12.1.0.2)の現在のバージョンと同じである必要があります。必要に応じて、ソース・リカバリ・カタログ・スキーマを12.1.0.2にアップグレードします。

保護されたデータベースのメタデータをリカバリ・アプライアンス・カタログにインポートするには:

  1. RMANを起動し、rasysユーザーを使用してCATALOGとして接続します。rasysは、リカバリ・アプライアンス・カタログの所有者です。

    次のコマンドでは(ra_pswdrasysユーザーのパスワードに置き換えます)、リカバリ・アプライアンス・カタログにCATALOGとして接続します。リカバリ・アプライアンスの単一クライアント・アクセス名(SCAN)はra-scanで、リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースのサービス名はzdlra5です。rasysはリカバリ・アプライアンス・カタログの所有者です。

    # 	rman CATALOG rasys/ra_pswd@ra-scan:1521/zdlra5
    
  2. ソースのRMANリカバリ・カタログをリカバリ・アプライアンス・カタログにインポートします。ソースのRMANリカバリ・カタログの資格証明は、保護されたデータベースの管理者から提供されます。

    NO UNREGISTER句を使用して、現在使用中であるソースのRMANリカバリ・カタログから保護されたデータベースを登録解除しないように指示します。

    次のコマンドでは、ユーザーrman_cat11 (rmancat11_pswdrman_cat11ユーザーのパスワードに置き換えます)が所有しているソースのRMANリカバリ・カタログに格納されているすべてのメタデータをインポートします。

    IMPORT CATALOG rman_cat11/rmancat11_pswd@dbrcat11 NO UNREGISTER;
    

    次のコマンドでは、ユーザーrman_cat11 (rmancat11_pswdrman_cat11ユーザーのパスワードに置き換えます)が所有しているソースのRMANリカバリ・カタログに格納されている、データベース名がMY_PTDBの保護されたデータベースに関するメタデータをインポートします。

    IMPORT CATALOG rman_cat11/rmancat11_pswd@dbrcat11 
         DB_NAME 'MY_PTDB' NO UNREGISTER;
    
  3. RC_BACKUP_PIECE_DETAILSビューを問い合せて、リカバリ・アプライアンス・カタログにすべてのバックアップ・ピースが含まれていることを確認します。

    「RMANリカバリ・カタログをリカバリ・アプライアンスにインポートするための準備」のステップ2.eの問合せによって返された行数を、このステップの出力と比較します。両方の問合せによって返されたバックアップ・ピースの数は同数になる必要があります。

関連項目:

IMPORT CATALOGコマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。