4 Oracle Analytics Serverの構成

このトピックでは、Configuration Assistantを使用するOracle Analytics Server標準トポロジを構成するプロセスのステップについて説明します。

Configuration Assistantについて

Configuration Assistantは、データベース・スキーマの作成、ポート範囲の指定、システム・コンポーネントの作成に加えて、アプリケーション・サーバーの起動や標準トポロジの構成をサポートするマルチ機能ユーティリティです。Oracle Analytics Serverドメインを構成するにはConfiguration Assistantを使用することをお薦めします。

ドメイン・ホームおよびアプリケーション・ホームの各ディレクトリは/home/oracle/configの下に作成することをお薦めします。ただし、Configuration Assistantを使用してドメインを構成する場合、アプリケーション・ホームは/home/oracle/productディレクトリの下に作成されます。推奨されるディレクトリ構造を実現するには、構成ウィザードを使用してドメインを構成します。

Oracle Analytics Serverエンタープライズ・デプロイメント・ガイドドメインの構成で説明されている手順を使用します。

Configuration Assistantの前提条件

Configuration Assistantを使用してエラーのない円滑なドメイン構成を行うには、このトピックにリストされている基準が満たされていることを確認する必要があります。

必要な条件が満たされているかどうかを検証するには、以下を確認します。

  • Oracle Analytics Serverのバイナリ・ファイルが正常にインストールされていること
  • サポートされている最新のJDKがシステムにインストールされていること
  • いずれかの認証済データベースへのアクセス権を持っていること。詳細は、『Oracle Analytics Serverの管理』証明 - サポートされているデータ・ソースに関する項を参照してください。
  • (オプション)既存のRCUスキーマ接頭辞(STB)の接続詳細を持ち、すでに単一セッションでBIPLATFORM、IAU、OPSS、MDS、STBおよびWLSスキーマを作成していること

    ノート:

    また、DBA資格証明があれば、Configuration Assistantの実行中にスキーマ接頭辞(STB)を生成し、BIPLATFORM、IAU、OPSS、MDS、STBおよびWLSスキーマを作成できます。

    内部ハウスキーピング情報を保持するには、データベース・スキーマが必要です。これらのスキーマは、Oracle Analytics Serverを使用して分析する予定のデータ・ソースとは異なります。

データベース・スキーマの作成

Oracle Analytics Serverドメインを構成する前に、このリリースのOracle Fusion Middlewareで使用する動作保証されたデータベースに必要なスキーマをインストールする必要があります。

動作保証されたデータベースのインストールと構成

データベース・スキーマを作成する前に、動作保証されたデータベースをインストールおよび構成し、データベースが起動されて稼働していることを確認しておく必要があります。

リポジトリ作成ユーティリティの起動

動作保証されたJDKがシステムにインストールされていることを確認してから、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を起動します。

ノート:

このステップを使用して、エンタープライズ・デプロイメント用にOracle Analytics Serverドメインを構成するときにデータベース・スキーマを作成できます。

RCUを起動するには:

  1. コマンドラインからjava -versionを実行して、動作保証されたJDKがすでにシステムにあることを確認します。
  2. JAVA_HOME環境変数が、動作保証されたJDKの場所に設定されていることを確認します。
    たとえば:
    • (Linux) setenv JAVA_HOME /home/Oracle/Java/jdk1.8.0

    • (Window) set JAVA_HOME=C:\home\Oracle\Java\jdk1.8.0

  3. 次のディレクトリに変更します。
    • (Linux) ORACLE_HOME/oracle_common/bin

    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\bin

  4. 次のコマンドを入力します。
    • (Linux) ./rcu

    • (WINDOWS) rcu.bat

「リポジトリ作成ユーティリティ」画面をナビゲートしてスキーマを作成

RCU画面に必要な情報を入力して、データベース・スキーマを作成します。

RCUの概要

「ようこそ」画面はRCUを起動して最初に表示される画面です。

「次」をクリックします。

スキーマ作成の方法の選択

「リポジトリの作成」画面を使用して、コンポーネント・スキーマをデータベースに作成およびロードする方法を選択します。

「リポジトリの作成」画面では、次の操作を実行します。
  • データベースでDBAアクティビティを実行するために必要な権限を持っている場合は、「システム・ロードおよび製品ロード」を選択します。この手順は、SYSDBA権限があることを前提としています。

  • データベースでDBAアクティビティを実行するために必要な権限を持っていない場合は、この画面で「システム・ロードに対するスクリプトの準備」を選択する必要があります。このオプションによってSQLスクリプトが生成され、それをデータベース管理者が使用します。リポジトリ作成ユーティリティによるスキーマの作成システム・ロードと製品ロードについてを参照してください。

  • DBAがシステム・ロードに対してすでにSQLスクリプトを実行している場合、「製品ロードの実行」を選択します。

データベース接続の詳細の提供

「データベース接続の詳細」画面で、RCUがデータベースに接続できるようにするために、データベース接続の詳細を指定します。

Oracleデータベースでデータベースのサービス名が不明な場合は、データベースの初期化パラメータ・ファイル内のSERVICE_NAMESパラメータから取得できます。

Oracleデータベースでは、初期化パラメータ・ファイルにSERVICE_NAMESパラメータが含まれていない場合、サービス名は、DB_NAMEおよびDB_DOMAINパラメータに指定されているグローバル・データベース名と同じになります。

データベース接続の詳細を指定するには:

  1. データベース接続の詳細画面で、選択したデータベース・タイプのデータベース接続の詳細を指定します。
    • Oracle Databaseの場合は、次の例を使用します。

      • 接続文字列: examplehost.exampledomain.com:1521:Orcl.exampledomain.com

        ノート:

        接続文字列を指定するには、接続文字列オプションを選択する必要があります。

      • ホスト名: examplehost.exampledomain.com

      • ポート: 1521

      • サービス名: Orcl.exampledomain.com

      • ユーザー名: sys

      • パスワード: ******

      • ロール: SYSDBA

    • Microsoft SQL Serverの場合は、次の例を使用します。

      • 接続文字列: examplehost.exampledomain.com:1433:dbname

        ノート:

        接続文字列を指定するには、接続文字列オプションを選択する必要があります。

      • サーバー名: examplehost.exampledomain.com

      • ポート: 1433

      • データベース名: dbname

      • ユーザー名: sa

      • パスワード: ******

      中間層データベースがMicrosoft SQL Serverである場合は、SQL Serverエージェントを有効にする必要があります。詳細は、Oracle Analytics Server用のMicrosoft SQL Serverデータベースの構成を参照してください。

  2. 「次へ」をクリックして続行し、データベースへの接続が成功したことを通知するダイアログ・ウィンドウで「OK」をクリックします。
スキーマ・パスワードの指定

「スキーマ・パスワード」画面で、データベースでのスキーマ・パスワードの設定方法を指定した後、パスワードを入力して確認します。

この画面で設定するパスワードは、ノートにとっておく必要があります。このパスワードは、後述するドメイン作成のプロセスで必要になります。

「次」をクリックします。

スキーマの作成の完了

残りのRCU画面を最後までナビゲートし、スキーマ作成を完了します。

RCUを起動したときに、Oracleデータベースで「透過的データ暗号化」(TDE)を使用可能にした場合のみ、「表領域のマップ」画面に「表領域の暗号化」チェック・ボックスが表示されます。

スキーマの作成を完了するには:
  1. RCUによって作成されるすべての新しい表領域を暗号化する場合は、「表領域のマップ」画面で「表領域の暗号化」を選択します。
  2. 「完了サマリー」画面で、「閉じる」をクリックしてRCUを終了します。
Oracle Analytics Server用のMicrosoft SQL Serverデータベースの構成

Microsoft SQL ServerデータベースにOracle Analytics Serverスキーマをインストールした場合は、SQL Serverエージェントの自動起動を構成し、エージェントが機能していることを確認する必要があります。

Windowsオペレーティング・システムでSQL Serverエージェントを有効にするには、次のステップを実行します。
  1. 「スタート」メニューで、「プログラム」→「SQL Server 2019」「Configuration Tools」に移動し、「SQL Server Configuration Manager」をクリックします。

  2. 「+」をクリックして、サービスを管理するSQL Serverを展開します。

  3. 「SQL Server Agent」を右クリックして、「Properties」をクリックします。

    デフォルト・インスタンスの場合、SQL Serverエージェント・サービスは「SQL Server Agent」と表示され、名前付きインスタンスの場合、SQL Serverエージェント・サービスは「SQL Server Agent (インスタンス名)」と表示されます。

  4. 「SQL Server Agent」ダイアログ・ボックスの「Service」タブで、「Start Mode」リストから「Automatic」を選択し、「OK」をクリックしてウィンドウを閉じます。

    この設定により、システムの再起動時にSQL Serverエージェントが自動的に起動されます。

  5. 「SQL Server Agent」を右クリックして、「Start」をクリックします。

  6. 「User Account Control」ダイアログ・ボックスで、「Yes」をクリックして確定します。

Linuxオペレーティング・システムでは、次のコマンドを実行してSQL Serverエージェントを有効にし、SQL Serverサービスを再起動します。
  1. sudo /opt/mssql/bin/mssql-conf set sqlagent.enabled true

  2. sudo systemctl restart mssql-server

    別の方法として、コマンドrestart mssql dockerを使用して、SQL Serverサービスを再起動できます。

Configuration Assistantを使用したOracle Analytics Serverドメインの構成

Configuration Assistantは、.sh (Linux)ファイルまたは.cmd (WINDOWS)ファイルです。Oracleホームにあるbi/binディレクトリから構成実行ファイルを起動して、Configuration Assistantを起動します。このトピックのプロシージャに従って、構成ステップを実行します。

Configuration Assistantを使用してOracle Analytics ServerのWebLogicドメインを拡張する場合、そのドメインの管理サーバーにはAdminServerという名前を付ける必要があります。他の名前の管理サーバーはサポートされていません。

Oracle Analytics Server標準トポロジを構成するには:
  1. 次のディレクトリに変更します。
    • (Linux) ORACLE_HOME/bi/bin

    • (WINDOWS) ORACLE_HOME\bi\bin

  2. 次のコマンドを入力して、Configuration Assistantを起動します。
    • (Linux) ./config.sh

    • (WINDOWS) config.cmd

  3. インストールするコンポーネントを選択し、「次」をクリックします。
    Configuration Assistantは、一貫したスイートのセットがデプロイされるように選択を自動的に調整します。
    • Oracle Analytics Server: データ・ビジュアライゼーション、分析、ダッシュボードおよびエージェントなどのコンポーネントが含まれており、PublisherなしでOracle Analytics Serverがインストールされます。
    • Oracle Analytics Publisher: ピクセルパーフェクト・レポート用のPublisherが含まれています。

      このオプションを使用すると、スタンドアロンのPublisherをインストールできます。

    Oracle Analytics ServerおよびOracle Analytics Publisherコンポーネントを選択して、Oracle Analytics ServerをPublisherとともにインストールします。

  4. 前提条件のチェック」画面で、エラーが発生せずに前提条件のチェックが完了したら、「次へ」をクリックします。
    前提条件のチェックが失敗すると、短いエラー・メッセージが画面の下方に表示されます。エラーを修正し、「再実行」をクリックして再試行します。エラー・メッセージや警告メッセージを無視してインストールを続ける場合は、「スキップ」をクリックします(このアプローチはお薦めできません)。

    ノート:

    前提条件のチェック時にエラー・メッセージまたは警告メッセージの原因となった問題を解決せずに続行すると、構成が正常に動作しなくなる可能性があります。
  5. 「新規ドメインの定義」画面で、次を指定します。
    1. ドメイン・ディレクトリを設定する場所を入力します。
      新しいドメインは、ドメインと同じ名前のサブディレクトリに格納されます。
    2. ドメインの名前を入力します。
      英数字、アンダースコアまたはハイフンを使用できます。
    3. デフォルトのシステム管理者のユーザー名を入力します。
      ユーザー名は空白にできず、30文字以内にする必要があります。

      ノート:

      このユーザーは埋込みLDAPで作成され、WebLogic管理者権限を付与されます。

    4. システム管理者のパスワードを入力します。

      これは文字で始まり、数字を1つ以上含める必要があり、英数字、アンダースコア、ドル記号およびポンド記号を使用できます。

    5. 確認用にパスワードを再入力します。

      「ドメイン・ホーム」は、「ドメイン・ディレクトリ」および「ドメイン名」から導出される読取り専用フィールドです。

  6. 「次」をクリックして「データベース・スキーマ」画面に進みます。この画面で、適切なオプションをクリックして新しいスキーマを作成するか、既存のスキーマを使用します。
    • 新しいスキーマの作成を選択した場合は、次を指定します。

      ノート:

      この場合、Configuration Assistantによってスキーマが作成されます。

      1. 一意のスキーマ接頭辞を入力します。

      2. スキーマのパスワードを入力します。

      3. 確認用にパスワードを再入力します。

      4. 使用するデータベースのタイプをリストから選択します。

        Oracle Analytics Serverでサポートされているデータベースのリストは、『Oracle Analytics Serverの管理』証明 - サポートされているデータ・ソースに関する項を参照してください。

        Oracle ATPデータベースの場合、次の例を使用します。
        • スキーマ接頭辞: BI1722428737

        • スキーマ・パスワード: ******

        • スキーマ・パスワードの確認: ******

        • データベース・タイプ: Oracle Database

        • ユーザー名: admin

        • パスワード: ******

        • 簡易接続文字列: jdbc:oracle:thin:@(description= (retry_count=20)(retry_delay=3)(address=(protocol=tcps)(port=1521)(host=examplehost.exampledomain.com))(connect_data=(service_name=Orcl.exampledomain.com))(security=(ssl_server_dn_match=yes)))

        • ロール: NORMAL

      5. 新規スキーマの作成権限を持つアカウントのユーザー名を入力します。

      6. ユーザー名のパスワードを入力します。

      7. 使用しているデータベースのタイプに基づいて接続文字列を入力します。

        Oracle Analytics Serverでサポートされているデータベースのリストは、『Oracle Analytics Serverの管理』証明 - サポートされているデータ・ソースに関する項を参照してください。

      8. 使用するロールのタイプを選択します。

        Oracle Autonomous Databaseの場合は「NORMAL」、Oracle Databaseの場合は「SYSDBA」を選択する必要があります。

    • 既存のスキーマの使用を選択する場合は、次を指定します。

      ノート:

      この場合、RCUを使用して、STB、BIPLATFORM、IAU、MDS、OPSSおよびWLSスキーマを作成する必要があります。

      1. 使用するデータベースのタイプをリストから選択します。

        Oracle Analytics Serverでサポートされているデータベースのリストは、『Oracle Analytics Serverの管理』証明 - サポートされているデータ・ソースに関する項を参照してください。

      2. 使用しているデータベースのタイプに基づいて接続文字列を入力します。

        Oracle Analytics Serverでサポートされているデータベースのリストは、『Oracle Analytics Serverの管理』証明 - サポートされているデータ・ソースに関する項を参照してください。

      3. 一意のスキーマ接頭辞を入力します。

      4. スキーマのパスワードを入力します。

  7. 「ポート管理」画面で、ポート範囲を指定し、「次」をクリックします。

    ノート:

    デフォルトの、割り当てられたポート範囲は9500以上9999以下です。デフォルト値をそのままにするか、この範囲内の別の値を指定できます。
  8. 「初期コンテンツ」画面で、次のいずれかのオプションを選択し、「次」をクリックします。
  9. 「サマリー」画面で、各画面で指定した値を確認します。
    1. 「保存」をクリックして、サイレント・インストールで使用するレスポンス・ファイルを生成します(オプション)。
    2. 「構成」をクリックします。
      構成プロセスが起動し、「構成の進行状況」画面が表示されます。
  10. エラーが発生せずに構成が完了したら、「次」をクリックして「構成完了」画面に進みます。
  11. 「構成完了」画面で構成サマリーを確認します。
    1. この画面の情報をファイルに保存するには、「保存」をクリックします。
    2. 「終了」をクリックし、Configuration Assistantを終了します。
      Oracle Analytics Serverアプリケーションがブラウザで開きます。Oracle Analytics Serverのホーム・ページへのサインインの構成時に指定したログイン資格証明を使用します。
これで、標準Oracle Analytics Serverトポロジが構成されました。正常に完了すると、Configuration Assistantは新たに構成されたOracle Analytics Serverインスタンスを自動的に起動します。ただし、手動でシャットダウンされたドメインを再起動する場合は、サーバーおよびプロセスを起動します。