Oracle Data Guardのパッチ適用の使用例

この項では、様々なシナリオでのOracle Data Guardへのパッチ適用ステップを説明します。

シナリオ1: プライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースがRACデータベースの場合。

表14-2では、プライマリおよびスタンバイのデータベースがRACデータベースの場合に、Oracle Grid InfrastructureのPSUまたはOracle DatabaseのPSUを適用するステップを示します:

表14-2 Oracle Data Guardへのパッチ適用(RAC - RAC)

プライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースの構成 パッチの適用方法
プライマリおよびスタンバイのRACデータベースが同じクラスタから実行されている場合。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、クラスタ・ターゲットを選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
プライマリおよびスタンバイのRACデータベースが異なるクラスタから実行されている場合。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、スタンバイRACデータベースが含まれるクラスタ・ターゲットを選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
  4. (オプション)スタンバイRACデータベースが新規のプライマリ・データベースになるように、データベース・スイッチオーバーを実行します(この逆の場合も同様です)。

    データベース・スイッチオーバーを実行する方法の詳細は、Oracle Data Guard BrokerBroker環境でのスイッチオーバーとフェイルオーバーの概要を参照してください。

  5. 必要なOracle Grid InfrastructureのPSUまたはOracle DatabaseのPSUを検索して、プライマリRACデータベース(またはスイッチオーバーを実行した場合は新規のスタンバイ・データベース)を含むクラスタ・ターゲットを選択して別のパッチ計画を作成します。
  6. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  7. 計画を分析およびデプロイします。
2つのプライマリRACデータベース(P1およびP2)が、2つの異なるクラスタ(C1およびC2)からそれぞれに実行されている場合。スタンバイRACデータベース(S1およびS2)は、それぞれC2およびC1から実行されています。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、1つ目のクラスタ・ターゲット(C1)を選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
  4. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、2つ目のクラスタ・ターゲット(C2)を選択して、別のパッチ計画を作成します。
  5. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  6. 計画を分析およびデプロイします。

ノート:

クラスタにパッチを適用する順序は問題ではないため、C1、C2の順でも、C2、C1の順でもかまいません。
シナリオ2: プライマリ・データベースがRACデータベースで、スタンバイ・データベースが、Cluster Ready Services (CRS)ターゲットまたは単一インスタンスの高可用性(SIHA)ターゲットによって管理されている単一インスタンス・データベースの場合。

表14-3では、プライマリ・データベースがRACデータベースで、スタンバイ・データベースがCRSターゲットまたはSIHA (単一インスタンスの高可用性)ターゲットで管理される単一インスタンスのデータベースの場合、Oracle Grid InfrastructureのPSUまたはOracle DatabaseのPSUを適用するステップを示します。

表14-3 Oracle Data Guardへのパッチ適用(RAC - SIDB)

プライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースの構成 パッチの適用方法
プライマリRACデータベースおよびスタンバイの単一インスタンス・データベースが同じクラスタから実行されている場合。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、クラスタ・ターゲットを選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
プライマリRACデータベースおよびスタンバイの単一インスタンス・データベースが異なるクラスタから実行されている場合。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、スタンバイの単一インスタンス・データベースが含まれるクラスタ・ターゲットを選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
  4. (オプション)単一インスタンスのスタンバイ・データベースが新規のプライマリ・データベースになるように、データベース・スイッチオーバーを実行します(この逆の場合も同様です)。

    データベース・スイッチオーバーを実行する方法の詳細は、Oracle Data Guard BrokerBroker環境でのスイッチオーバーとフェイルオーバーの概要を参照してください。

  5. 必要なOracle Grid InfrastructureのPSUまたはOracle DatabaseのPSUを検索して、プライマリRACデータベース(またはスイッチオーバーを実行した場合は新規のスタンバイ・データベース)を含むクラスタ・ターゲットを選択して別のパッチ計画を作成します。
  6. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  7. 計画を分析およびデプロイします。
2つのプライマリRACデータベース(P1およびP2)が、2つの異なるクラスタ(C1およびC2)からそれぞれに実行されている場合。スタンバイの単一インスタンス・データベース(S1およびS2)は、それぞれC2およびC1から実行されています。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、1つ目のクラスタ・ターゲット(C1)を選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
  4. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、2つ目のクラスタ・ターゲット(C2)を選択して、別のパッチ計画を作成します。
  5. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  6. 計画を分析およびデプロイします。

ノート:

クラスタにパッチを適用する順序は問題ではないため、C1、C2の順でも、C2、C1の順でもかまいません。

シナリオ3: プライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースが、CRSまたはSIHAターゲットによって管理されている単一インスタンス・データベースの場合。

表14-4では、プライマリおよびスタンバイのデータベースがCRSターゲットまたはSIHAターゲットで管理される単一インスタンスのデータベースの場合、Oracle Grid InfrastructureのPSUまたはOracle DatabaseのPSUを適用するステップを示します。

ノート:

Enterprise Manager 13.4およびPerl 5.38 Updateを使用して単一インスタンスの高可用性Oracle Database (SIHA) 12.1.0.2にパッチ適用する場合は、データベースに少なくともバージョン12.1.0.2.191015のパッチが適用されていて、ターゲットに2019年10月以降のGI PSUパッチが適用されている必要があります。

表14-4 Oracle Data Guardへのパッチ適用(SIDB - SIDB)

プライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースの構成 パッチの適用方法
プライマリおよびスタンバイの単一インスタンス・データベースが同じクラスタから実行されている場合。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、クラスタ・ターゲットを選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
プライマリおよびスタンバイの単一インスタンス・データベースが異なるクラスタから実行されている場合。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、スタンバイの単一インスタンス・データベースが含まれるクラスタ・ターゲットを選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
  4. (オプション)単一インスタンスのスタンバイ・データベースが新規のプライマリ・データベースになるように、データベース・スイッチオーバーを実行します(この逆の場合も同様です)。

    データベース・スイッチオーバーを実行する方法の詳細は、Oracle Data Guard BrokerBroker環境でのスイッチオーバーとフェイルオーバーの概要を参照してください。

  5. 必要なOracle Grid InfrastructureのPSUまたはOracle DatabaseのPSUを検索して、単一インスタンスのプライマリ・データベース(またはスイッチオーバーを実行した場合は新規のスタンバイ・データベース)を含むクラスタ・ターゲットを選択して別のパッチ計画を作成します。
  6. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  7. 計画を分析およびデプロイします。
2つのプライマリの単一インスタンス・データベース(P1およびP2)が、2つの異なるクラスタ(C1およびC2)からそれぞれに実行されている場合。スタンバイの単一インスタンス・データベース(S1およびS2)は、それぞれC2およびC1から実行されています。
  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、1つ目のクラスタ・ターゲット(C1)を選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
  4. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、2つ目のクラスタ・ターゲット(C2)を選択して、別のパッチ計画を作成します。
  5. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  6. 計画を分析およびデプロイします。

ノート:

クラスタにパッチを適用する順序は問題ではないため、C1、C2の順でも、C2、C1の順でもかまいません。
シナリオ4: プライマリRACデータベース(P1)および、CRSまたはSIHAターゲットによって管理されているプライマリの単一インスタンス・データベース(P2)が、2つの異なるクラスタ(C1およびC2)からそれぞれに実行されている場合。CRSまたはSIHAターゲットによって管理されているスタンバイの単一インスタンス・データベース(S1およびS2)は、それぞれC2およびC1から実行されています。

この構成に、Oracle Grid InfrastructureのPSUまたはOracle DatabaseのPSUを適用するには、次のステップに従います。

  1. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、1つ目のクラスタ・ターゲット(C1)を選択して、パッチ計画を作成します。
  2. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  3. 計画を分析およびデプロイします。
  4. Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseの必要なPSUを検索し、2つ目のクラスタ・ターゲット(C2)を選択して、別のパッチ計画を作成します。
  5. 必要なデプロイメント・オプションを指定します。
  6. 計画を分析およびデプロイします。

ノート:

クラスタにパッチを適用する順序は問題ではないため、C1、C2の順でも、C2、C1の順でもかまいません。