アプリケーション・デプロイメント

Forms Developerでアプリケーションを作成したら、そのアプリケーションをWeb上に配布できます。Oracle Forms Servicesは、指定されたURLによってOracle Fusion Middlewareのアプリケーションにアクセスします。

次に、そのURLでHTTP Listenerにアクセスし、そこでListener Servletと通信します。リスナー・サーブレットは、Forms ServicesのセッションごとにFormsランタイム・プロセス(Windowsではfrmweb.exe、UNIXとLinuxではfrmweb)を起動します。

Forms Servicesが実行される仕組みの詳細は、「Oracle Forms Servicesのアクション」を参照してください。

内容は次のとおりです。

アプリケーションのデプロイ

Oracle Fusion Middleware構成ウィザードによって設定されるデフォルトのパラメータを使用して基本フォームをデプロイするには:

  1. Oracle Forms Developerでアプリケーションを作成し、関連するソース・ファイル(.fmb.mmb.pll.olb)がホストされるアプリケーション・サーバー上の目的の場所にこれらのファイルを保存またはコピーします。

    ソース・ファイルは、Forms Developer以外ではオープンできない設計時ファイルです。実行可能ファイル(.fmx.mmx.plx)は、(Forms Compilerを使用して)ソース・ファイルをコンパイルしたときに作成されるランタイム・ファイルで、Webデプロイメントに使用します。

    Formsファイル・タイプの詳細とForms Compiler (frmcmp)の使用方法は、Form Builderの「ヘルプ」メニューを参照してください。

  2. Forms Compilerを使用して、ソース・ファイルから実行可能ファイルを生成します。コンパイラおよびその場所は、次を参照してください。
    • UNIXプラットフォームの場合: FORMS_INSTANCE/bin/frmcmp.sh
    • Microsoft Windowsの場合: ORACLE_HOME\bin\frmcmp.exe

    起動時にコンパイラに引数が渡されない場合、グラフィカル・ユーザー・インタフェースの起動が試みられます。Forms Compilerの使用の詳細は、Forms Developer (Forms Builder)ヘルプを参照してください。または、–helpオプションを使用してオプションの引数を表示します。たとえば: frmcmp -help

    使用例: frmcmp.sh module=myForm.fmb module_type=form compile_all=yes userid=user1/user1@orcl

  3. 目的のアプリケーション・モジュールにOracle Forms Servicesからアクセスできるようにformsweb.cfgを変更します。このファイルは、Fusion Middleware Controlの「Web構成」ページで編集します(「Forms Servicesの構成」を参照)。

    表-1は、form=hrapp.fmxというフォーム・モジュールを持つアプリケーションmy_applicationの構成を示しています:

    表-1 構成セクションのパラメータ値の例

    構成セクション名 Formsモジュール名の値
    my_application hrapp.fmx

    構成が完了すると、ブラウザのURLに「...?config=my_application」(formsweb.cfg「Web構成」セクションの名前)と入力することにより、Web上でOracle Forms Servicesモジュールhrapp.fmxへアクセス可能になります。

    ノート:

    この構成セクションの名前に使用できる文字は、空白以外の英数字のみで、一意である必要があります。
  4. .fmxファイルの場所は、必ずFORMS_PATH環境変数で指定します。

    たとえばWindowsでは、.fmxファイルがd:\my_files\applicationsにある場合は、FORMS_PATHd:\my_files\applicationsと記述します。Windowsの場合、複数の場所を指定するには各ディレクトリ名をセミコロンで区切ります。UNIXとLinuxの場合はコロン(:)で区切ります。その環境ファイルの「環境構成」ページで、この情報を指定します。

  5. 環境ファイルを変更するには、Fusion Middleware Controlの「環境構成」ページで環境ファイルを選択し、アプリケーションの必要に応じて環境変数を追加または編集します。たとえば、次の表に示す環境変数を追加できます。

    表-2 環境変数の値の例

    環境変数の名前 環境変数の値

    NLS_LANG

    NLS_LANG=GERMAN_GERMANY.WE8ISO8859P15

    環境ファイルでこれらの環境変数を指定した場合は、「Web構成」ページを使用して、formsweb.cfgの該当する構成セクションでこの環境ファイルを指定します。

  6. 次のように、URLで記述したアプリケーションの名前を入力します。

    http://example.com:9001/forms/frmservlet?

    exampleはコンピュータのホスト名で、9001はWebLogic Manager Serverによって使用されるポートです

    構成セクションを作成した後、config=に続いてその構成セクション名を記述します。この例では、hrapp.fmxにアクセスするためのURLは次のようになります。

    http://example.com:9001/forms/frmservlet?config=my_application

パラメータの指定

Oracle Forms Servicesアプリケーションにパラメータ値を事前定義するには、2つの方法があります。次の方法でパラメータを定義できます。

  • Fusion Middleware Controlの「Web構成」ページのデフォルト・セクションで、アプリケーション設定を編集します。デフォルトの構成セクションには、Oracle Forms Servicesで使用するデフォルト値が表示されます。
  • 名前を付けたアプリケーションの構成セクションで、他のシステム・パラメータとユーザー・パラメータの値を管理(追加、編集、コピー、削除)します(「Fusion Middleware Controlでの構成セクションの作成」を参照)。たとえば、myApp用に作成した構成セクションで、次の表に示すパラメータおよびその値を追加または変更できます。

「Web構成」の名前付き構成セクションで指定したパラメータは、デフォルト・セクションの設定をオーバーライドします。

ノート:

システム・パラメータは、ユーザー・パラメータとは異なりURLにおいてオーバーライドできません。

Fusion Middleware Controlでの構成セクションの作成

アプリケーションのデプロイのステップ2で作成した構成セクションで、Oracle Forms Servicesアプリケーションのパラメータを指定できます。「Web構成」ページのデフォルト・セクションで使用可能なアプリケーションおよびシステム・パラメータを任意で指定できます。

たとえば、lookAndFeelパラメータをoracleの値に設定し、「適用」をクリックすると、アプリケーションのルック・アンド・フィールをOracleのルック・アンド・フィールに設定できます。

また、名前付き構成セクションのデフォルトのパラメータ値をオーバーライドすることもできます。たとえば、アプリケーションへの接続情報を<username>/<password>@orclとして事前定義するには、useridのパラメータ値を設定する必要があります。これには、名前を付けた構成セクションでuseridのパラメータ値を<username>/<password>@orclに変更します。

編集可能な他のパラメータは、「Forms構成パラメータ」を参照してください。

Oracle Forms Servicesアプリケーションへのアクセスに使用するURLの編集

Oracle Forms ServicesアプリケーションにアクセスするURLに制限のないパラメータを直接入力できます。前述の例の場合、構成ファイルにformパラメータを指定するかわりに、URLに次のように入力することもできます。

http://example.com:9001/forms/frmservlet?config=my_application&form=hrapp

アンパサンド(&)を使用すれば、フォームと名前を付けた構成パラメータの組合せをコールすることができます。前述の例では、"my_application"で指定したパラメータ設定を使用して、フォーム"hrapp"をコールしています。

ノート:

URLで指定したパラメータは、構成セクションで設定したパラメータをオーバーライドします(「アプリケーションのURLセキュリティの管理」を参照)。

ランフォーム・パラメータにおける特殊文字の指定

ランフォーム・パラメータに渡される値に特殊文字が含まれている場合は、特定の考慮事項が適用されます。この項では、こうした考慮事項について説明し、今回のリリースのデフォルト動作と前リリースのデフォルト動作を比較します。

ランフォーム・パラメータは、テンプレートHTMLファイルのserverArgsアプレット・パラメータで指定されるパラメータです。テンプレートHTMLファイルのserverArgsパラメータで指定された値は、変数の置換後に、コマンドライン・パラメータ文字列と呼ばれることもあります。これは、空白で区切られた一連のname=valueのペアで構成されます。この名前には、英数字またはアンダースコアのみが使用可能です。name=valueペアの値の部分には、任意の文字列を使用できます。

現行リリースのデフォルト動作

ランフォーム・パラメータの値は、次に示す3つの場所のいずれかで指定できます。

  1. テンプレートHTMLファイル(base.htmなど)のserverArgsパラメータの値。
  2. (1)の変数参照を(直接または再帰的に)置換する、構成ファイル(formsweb.cfgなど)で指定された変数の値。通常、これらの値は、Fusion Middleware Controlを使用して管理します。「Forms Servicesの構成」を参照してください。
  3. (1)または(2)の変数参照を直接置換する、URLの属性値。

(3)では、URL構文規則(ブラウザおよびアプリケーション・サーバーで実行される)により、URLエスケープ・シーケンスとして特定の文字を入力する必要があります(計3文字のうち、%に続く2桁の16進数字は文字のASCII値を表します)。

この要件には、%文字自体が含まれます(%25として入力する必要があります)。さらに、現在Oracle Forms Servicesでは、ブラウザおよびアプリケーション・サーバーでエスケープなしに引用符を入力できる場合でも、引用符('"')は%22として入力する必要があります。

URL構文規則では、(URLエスケープ・シーケンス%20の代替として)空白を+として入力することも許可されています。ただし、otherparams構成パラメータの値では、+は特別に扱われ、ランフォーム・パラメータの値に埋め込まれた空白を示すのとは対象的に、name=valueペアを分割します。

たとえば、ランフォーム・アプリケーションにユーザー・パラメータparam1param2が指定されており、これらのパラメータに「a b」および「c d」を割り当てる場合は、次の文字列をURLに取り込みます。

&otherparams=param1=a%20b+param2=c%20d

(1)および(2)のように、テンプレートHTMLファイルまたは構成ファイルでランフォーム・パラメータを指定する場合、Formsでは状況によってURLエスケープ・シーケンスが必要とされる場合やURLエスケープ・シーケンスの使用が許可される場合、また許可されない場合があります。

ランフォーム・パラメータの値の外部では、URLエスケープ・シーケンスは使用できません。たとえば、name=valueペアの=は、常にそのまま=として指定する必要があります。隣接する2つのname=valueペアを区切る空白は、常にそのまま" "(シングル・スペース文字)として指定する必要があります。

ランフォーム・パラメータの値の内部では、空白(' ')をURLエスケープ・シーケンス(%20)として指定する必要があります。HTMLデリミタ文字(構成ファイルで指定)もURLエスケープ・シーケンスとして指定する必要があります。また、(1)のようにランフォーム・パラメータがテンプレートHTMLファイルで指定されている場合は、引用符('"')をURLエスケープ・シーケンス(%22)として指定する必要があります。

その他の7ビットASCII文字も、URLエスケープ・シーケンスとして指定する場合があります。ただし、この指定は必須ではありません(次に示すとおり、%では必要な場合があります)。%文字には、特定の追加制限が適用されます。これには次のものがあります。

  • HTMLデリミタが% (デフォルト)である場合、ランフォーム・パラメータの値内の%の出現をエスケープする(%25として指定する)必要があります。(HTMLデリミタ文字のエスケープの必要性については、前述のとおりです)。さらに、7ビットのASCII値を表す2桁の16進数字(最初の文字が0から7の2桁の16進数字)で変数名を開始することはできません。
  • HTMLデリミタが%でなければ、その直後に8進数字と16進数字が続く場合、%の出現はエスケープする必要があります。%の他の出現もエスケープすることをお薦めしますが、これは必須ではありません。

ノート:

前リリースで作成した既存のテンプレートHTMLファイルまたは構成ファイルを所有し、そのファイルで%以外のHTMLデリミタが使用され、ランフォーム・パラメータの値に%が含まれている場合は、この推奨事項を無視することもできます。

前リリースの動作

リリース9.0.4以降の動作は、テンプレートHTMLファイルと構成ファイルのランフォーム・パラメータの値では引用符をエスケープ(%22)する必要がある点を除いて、現行リリースと同じです。

9.0.4より前のリリースでは、テンプレートHTMLファイルや構成ファイルで指定したランフォーム・パラメータの値にはURLエスケープ・シーケンスを使用できませんでした(前述の(1)と(2)の場合)。3つのすべての場合において、特定の特殊文字、特に空白、引用符、アポストロフィを指定することは困難または不可能でした。さらに、パラメータ値には、値をランフォームに渡す前に特定の変換が適用されました。特に顕著なのは値がアポストロフィで開始および終了する場合で、通常これらのアポストロフィは削除されました。ただし、こうした変換は明確に定義されたものではなく、Web環境とクライアント/サーバー環境の間には差異がありました。

現行リリースでの前リリースの動作取得

使用しているアプリケーションが前リリースの動作に依存している場合は、構成ファイルでescapeparams変数の値をFalseに設定するだけで、現行リリースで前リリースの動作を取得できます(この作業はFusion Middleware Controlで実行します)。

以前の動作の取得を選択したアプリケーションに限定する場合は、異なる構成セクションのescapeparams変数に異なる値を指定できます。以前の動作を必要とするアプリケーションでは、escapeparams変数をFalseに設定した構成セクションを指定します。新しい動作を必要とする(または許容する)アプリケーションでは、escapeparams変数をTrueに設定した構成セクションを指定します。

テンプレート・ファイルの考慮事項

独自のテンプレート・ファイルを作成する場合は、次の点を考慮してください:

  • escapeparams変数(%がHTMLデリミタ文字の場合は文字列%escapeparams%)への参照がserverArgsアプレット・パラメータ値の最初の部分に表示され、空白が続くように設定することをお薦めします。例については、付属のbase.htmファイルを参照してください。
  • escapeparams変数への参照が、テンプレート・ファイルの他の部分に表示されないようにしてください。serverArgsアプレット・パラメータの値を引用符ではなくアポストロフィで囲む場合は、テンプレート・ファイル内のランフォーム・パラメータの値の内部でアポストロフィをエスケープする(%27)必要があります。引用符にはエスケープ・シーケンスは不要です。
  • serverArgsアプレット・パラメータ値の先頭からescapeparams変数への参照を省略することが可能です。これにより、構成ファイルでescapeparams変数に指定した値に関係なく、以前のリリースの動作が得られます。

静的HTMLページの考慮事項

静的HTMLを使用してランフォーム・エンジンを呼び出し、最新リリースの動作を取得する場合は、特定のステップに従う必要があります。

ノート:

静的HTMLまたはJNLPの使用はお薦めしません。Formsアプリケーションに対するコールはすべて、Formsサーブレット(frmservlet)を介してルーティングすることをお薦めします。これを行わないと、予期しない動作が発生することがあります。

基本的な規則として、静的HTMLがForms Servletで生成されたHTMLのように見える必要があります。具体的には、serverArgsアプレット・パラメータの値を文字列escapeparams=trueで開始する必要があります(大/小文字の区別なし)。

さらに、serverArgsアプレット・パラメータ値の各name=valueペアの値部分で、次の表に示すURLエスケープ・シーケンスによって特定の文字を指定する必要があります。

表-3 静的HTMLページのURLエスケープ・シーケンス

エスケープが必要な文字 URLエスケープ・シーケンス
改行' \n ' %0a
空白' ' %20
引用符' " ' %22
パーセント' % ' %25
アポストロフィ' ' ' %27
左カッコ' ( ' %28
右カッコ' ) ' %29

name=valueペアの値部分に使用されている他の7ビットASCII文字をエスケープすることもできます。

静的HTMLでのserverArgsアプレット・パラメータの書式の例を次に示します。この例は、my formという名前のフォームに関するものです。ここでは、値foo'barがユーザー定義パラメータmyparamに渡されます。

<PARAM NAME="serverArgs" VALUE="escapeparams=true module=my%20form myparam=foo%27bar">