データ管理

持分法、原価法、少数株主持分に関する重要ファクト

シナリオ・ロールアップを実行する前に、シナリオ・ロールアップ方法に関する次の情報を確認してください。

  • ロールアップの親で、コスト、資本、または少数株主持ち分の各メソッドで使用する勘定科目のサブ勘定科目がある場合は、戦略モデリングでは、まずサブ勘定科目を使用して、ロールアップの結果を保存します。次の勘定科目に適用されます。

  • 戦略モデリングでは、親ファイルのコスト、資本、および少数株主持ち分の各メソッドに使用する勘定科目をブロックできます。これらの勘定科目のいずれかがブロックされると、ログに警告が書き込まれます。

原価法

原価法は、企業の投資額が20%未満で、保有期間が1年以内の場合に使用します。計算は3つのみ行われ、ロールアップの親に加算されます。

  • 受取配当金: 原価法(v1190)勘定科目は、投資の配当金(v1900普通株主配当金合計)に出資比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv1190 =出資比率% x投資のv1900

  • 原価法および持分法の評価調整で、SVA(v5.00.900)は、投資のSVA値(v5078株主価値)に出資比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv5.00.900 =出資比率% x投資のv5070

  • 原価法および持分法の評価調整で、EP(v5.00.910)は、EP値(v5790経済的利益の株主価値)に出資比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv5.00.910 =出資比率% x投資のv5790

    注:

    投資勘定科目(v2430.00投資: 原価法)の開始残高は、親会社のファイルにあります。投資は、取得価額または市場価格のいずれか低い方の値で繰り越されます。

持分法

持分法は、企業の投資額が20%以上50%未満で、保有期間が1年以上の場合に使用します。事業部門の価値は、投資勘定科目から子会社配当金および投資利益勘定科目へロールアップされ、親エンティティの投資: 持分法の計算に使用されます。

v2420.00投資: 持分法(前の期間)

+ v2420.01投資の増加: 持分法

- v2420.02子会社配当金

+ v2420.03投資利益: 持分法

= v2420.00投資: 持分法

4つの計算がロールアップの親に加算されます。

  • 子会社配当金(v2420.02)勘定科目は、子会社の受取配当金(v1900普通株主配当金合計)に出資比率を乗算した分が増加しますが、投資勘定科目の残高が自動的に減少します。

    親エンティティのv2420.02 =出資比率% x子会社のv1900

  • 投資利益: 持分法(v2420.03)勘定科目は、子会社の税引後当期純利益(v1750当期純利益)に出資比率を乗算した分が増加し、投資勘定科目の残高が自動的に増加します。

    親エンティティのv2420.03 =出資比率% x子会社のv1750

  • 原価法および持分法の評価調整で、SVA(v5.00.900)は、子会社のSVA値(v5070株主価値)に出資比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv5.00.900 =出資比率% x投資のv5070

  • 原価法および持分法の評価調整で、EP(v5.00.910)は、子会社のEP値(v5790経済的利益の株主価値)に出資比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv5.00.910 =出資比率% x投資のv5790

    注:

    子会社投資勘定科目(v2420.00投資: 持分法)の開始残高は、親会社のファイルにあります。子会社の投資の開始残高は、原価で記録する必要があります。

少数株主持分方法

少数株主持分は、投資額が企業の発行株式の50%から100%を保有する場合に使用します。この方法でも、出力値をロールアップします。事業部門の100%がロールアップされても、次の計算では、事業外の利益が認識されます。

  • 少数株主比率は、出資比率と100%との差異として計算されます。

    少数株主比率% = 100% - 出資比率%

  • 損益計算書の「少数株主持分」(v1720)勘定科目は、子会社の税引後当期純利益(v1750当期純利益)に少数株主比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv1720 = 少数株主比率% x 子会社のv1750

  • 貸借対照表上の少数株主持ち分(v2780)勘定科目は、子会社の株主資本勘定科目(v2890)に少数株主比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv2780 = (少数株主比率% x 子会社のv2890)

  • 少数株主持分の評価調整で、SVA(v5.00.920)は、投資のSVA値(v5070株主価値)に少数株主比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv5.00.920 =出資比率% x投資のv5070

  • 少数株主持分の評価調整で、EP(v5.00.930)は、投資のEP値(v5790経済的利益の株主価値)に少数株主比率を乗算した分が増加します。

    親エンティティのv5.00.930 =出資比率% x投資のv5790

ロールアップの親および子モデルの期間

分析の長さと期間の詳細レベルは、シナリオ・ロールアップのすべてのファイルで同じである必要があります。シナリオ・ロールアップの整合性を確実にするため、ロールアップにおいては、ロールアップの親の期間情報を、子モデルの期間情報と比較します。

いくつかの期間条件は、シナリオ・ロールアップの結果に影響を与える可能性があります。

  • 不均一な期間は、子モデルまたはロールアップの親に存在しますが、両方には存在しない期間です。条件に応じて、データはシナリオ・ロールアップに含まれる場合と含まれない場合があります。不均一な期間を参照してください。

  • 履歴および予測期間の境界に不一致が発生するのは、シナリオ・ロールアップのファイルで最終履歴期間が一致しない場合です。会計年度末の不一致を参照してください。

  • シナリオ・ロールアップのファイルで年度末が一致しない場合は、会計年度末が不均一になり、ロールアップが停止します。履歴および予測期間の境界の不一致を参照してください。

  • シナリオ・ロールアップに含まれる1つ以上のファイルに、その他のファイルと異なる時間ディメンションが含まれると、期間の詳細レベルに差異が発生します。許容される差異もありますが、ロールアップが停止する場合もあります。期間の詳細レベルの差異を参照してください。

  • サブ期間は、シナリオ・ロールアップに含めるために、子モデルとシナリオ・ロールアップの親の間で一貫している必要があります。そうではない場合、ロールアップが停止する可能性があります。サブ期間の不一致を参照してください。

不均一な期間

ロールアップの親に子モデルよりも多くの履歴期間が存在する場合、戦略モデリングでは、ロールアップの親の値をゼロと仮定しますが、子モデルは仮定しません。ロールアップしない期間のデータをブロックすると、ロールアップの親のその他の期間のデータを保持できます。

ロールアップした親の履歴期間が子モデルよりも少ない場合は、ロールアップした親の履歴期間のデータのみがシナリオ・ロールアップに含まれます。

ロールアップの親に子モデルよりも多くの予測期間が存在する場合、戦略モデリングでは、ロールアップの親の値をゼロと仮定しますが、子モデルは仮定しません。

ロールアップの親の予測期間が子モデルよりも少ない場合、戦略モデリングでは、予測のかわりにロールアップの親の残存価額に子モデルの予測データが含まれます。シナリオ・ロールアップによる評価およびロールアップの親モデルまたはファイルの残余価額を参照してください。

会計年度末の不一致

それぞれの子モデルの会計年度末は、ロールアップの親の会計年度末と一致する必要があります。それらが一致しない場合、戦略モデリングはエラーをログに記録し、ロールアップを停止します。

たとえば、ロールアップの親が会計年度末として7月31日を使用している場合には、すべての子モデルで会計年度末として7月31日を使用する必要があります。

履歴および予測期間の境界の不一致

ロールアップする親の最終履歴期間により、シナリオ・ロールアップのための最終履歴期間が定義されます。ロールアップしたモデルおよび子モデルの両方の履歴および予測の境界は、作成時またはインポート時にファイルに割り当てられたシステム・ラベルに基づいて比較されます。履歴および予測の境界が異なると、警告メッセージが表示されますが、ロールアップは終了します。

たとえば、子モデルは月次期間を使用し、最終履歴期間が1996年5月の場合、ロールアップの親は四半期を使用し、最終履歴期間は1996年第2四半期(つまり1996年6月)になります。子モデルの最初の予測期間(1996年6月)のデータは、ロールアップの親の最終履歴期間に移動します。

期間の詳細レベルの差異

シナリオ・ロールアップ構造のファイルに異なる期間の詳細レベルが含まれると、子モデルの最も大きな期間構造が、ロールアップの親での最も詳細なレベルになります。ロールアップの親の期間の詳細レベルに基づき、期間の詳細レベルのルールがどのように子モデルに適用されるかを、次の表に示します。

ロールアップされた親の使用: 子モデルで使用できるレベル:

年、半期、四半期、月、または週

半期

半期、四半期および半期、月次および半期、または週および半期

四半期

四半期、月次および四半期、または週および四半期

月次、または週および月次

不一致な期間がこれらのルールの範囲外になる場合、ロールアップの親では子モデルから集約されたデータを使用します。たとえば、ロールアップした親では年度を使用し、子モデルでは四半期を使用していると、シナリオ・ロールアップでは、それぞれの子モデルの年度の値を使用します。

期間の不一致がこれらのルールでカバーされていない場合、戦略モデリングはエラーをログに記録し、シナリオ・ロールアップを停止します。

サブ期間の不一致

戦略モデリングは、ロールアップの親と子モデルのサブ期間が一致する場合に、サブ期間がロールアップされます。

子モデルにサブ期間が含まれていても、ロールアップの親にサブ期間がなければ、シナリオ・ロールアップにはサブ期間が含まれません。サブ期間データは、ロールアップの親に全期間が集約されます。

日数

ロールアップ前: サブ期間#1 サブ期間#2 合計日数

事業部門ファイル

30

335

365

親のロールアップ

なし

365

365

ロールアップ後: サブ期間#1 サブ期間#2 合計日数

親のロールアップ

なし

365

365

ロールアップの親にサブ期間があり、子モデルに一致するサブ期間がなければ、戦略モデリング・ログにエラーが記録され、シナリオ・ロールアップが停止します。

不均一な時間の長さのサブ期間も、同様です。この例では、ロールアップの親に、事業部門#1の時間の長さと一致したサブ期間が含まれます。子モデル#2のサブ期間が一致しないため、戦略モデリングはエラーをログに記録し、シナリオ・ロールアップを停止します。

日数

ロールアップ前: サブ期間#1 サブ期間#2 合計日数

事業部門ファイル#1

30

335

365

事業部門ファイル#2

45

320

365

親のロールアップ

30

335

365

異なる通貨を含むファイルのロールアップ

戦略モデリングでは、子モデルごとのデフォルト通貨名と、ロールアップの親のデフォルトの通貨名が比較されます。それらが異なる場合、戦略モデリングは警告をログに記録しますが、ロールアップを続行します。ロールアップされる値の重要性が低い場合もあります。

通貨換算が含まれていなければ、このルールは有効です。

シナリオ・ロールアップのフリーフォーム式

戦略モデリングでは、子モデルの出力データの加算性が可能なかぎり保持されます。ロールアップの親に@inputを使用したフリーフォーム式が含まれると、戦略モデリングでは@inputが求められます。

たとえば、損益計算書上の減価償却費用(v1110)を計算するために、子モデルおよびロールアップの親が、@input関数を含む同じフリーフォーム式を使用するとします。戦略モデリングでは、子モデルの出力値からロールアップの親の入力値が求められます。この例では、ロールアップの親に加算された出力$430を達成するには、入力を0.86とする必要があります。

事業部門ファイルのフリーフォーム式:

@input * v2190.1

ロールアップの親のフリーフォーム式:

@input * v2190.

入力データ:

勘定科目名 事業部門ファイル#1 事業部門ファイル#2 親のロールアップ

減価償却費用(資金)(v2190.1)

$200

$300

$500

減価償却費用(v1110.0)

.80

.90

.86

出力データ:

勘定科目名 事業部門ファイル#1 事業部門ファイル#2 親のロールアップ

減価償却費用(v1110.0)

$160

$270

$430

ロールアップされた親に@inputを使用するフリーフォーム式が含まれている場合、シナリオ・ロールアップはロールアップされた親をチェックして、勘定科目に通貨の上書きがあるかどうかを確認します。存在する場合、通貨オーバーライドは、シナリオ・ロールアップ内のすべての子モデルの出力データの合計です。

たとえば、どちらの事業部門でも、@inputを含む同じフリーフォーム式を使用して損益計算書上で減価償却費用(v1110)を計算します。ロールアップの親は、@inputを使用しません。減価償却費用(v1110)は、減価償却費用(資金)(v2190.1)と等しく設定されます。戦略モデリングでは、子モデルの出力値によって、この値が求められます。この例では、#430の通貨の上書きにより、ロールアップの親に加算された出力$430が達成されます。

事業部門ファイルのフリーフォーム式:

@input * v2190.01

ロールアップの親のフリーフォーム式:

v2190.01

入力データ:

勘定科目名 事業部門ファイル#1 事業部門ファイル#2 親のロールアップ

減価償却費用(資金)(v2190.1)

$200

$300

$500

減価償却費用(v1110.0)

.80

.90

#430

出力データ:

勘定科目名 事業部門ファイル#1 事業部門ファイル#2 親のロールアップ

減価償却費用(v1110.0)

$160

$270

$430

通貨の上書きがない場合は、シナリオ・ロールアップではフリーフォーム式が実行されます。通貨の上書きがないと、ロールアップした親の出力が、子モデルの合計と一致しない場合があります。

上の例では、通貨の上書きがないので、ロールアップした親でフリーフォーム式が実行されます。

事業部門ファイルのフリーフォーム式: @input * v2190.01

ロールアップの親のフリーフォーム式: v2190.01

入力データ:

勘定科目名 事業部門ファイル#1 事業部門ファイル#2 親のロールアップ

減価償却費用(資金)(v2190.1)

$200

$300

$500

減価償却費用(v1110.0)

.80

.90

フリーフォーム式の実行

出力データ:

勘定科目名 事業部門ファイル#1 事業部門ファイル#2 親のロールアップ

減価償却費用(v1110.0)

$160

$270

$500

シナリオ・ロールアップによる評価

ロールアップの親と子モデルでは、類似した評価が実行されます。ほとんどのデータは子モデルから取得されますが、シナリオ・ロールアップ構造によっては、一部の勘定科目がロールアップされた親に手動で入力される場合があります。

勘定科目をブロックするように選択しておかないかぎり、子モデルにからのキャッシュ・フローは完全シナリオ・ロールアップ・メソッドの加法型になります。シナリオ・ロールアップのロールアップを参照してください。その他の子モデルの勘定科目も累計されます。

  • 負債の市場価格(v5.00.500)

  • その他の負債の市場価格(v5.00.540)

  • 年金債務積立不足額(v5.00.520)

  • 株式および債券の投資(v5.00.560)

  • その他の負債の市場価格(v5.00.700)

  • その他の資産の市場価格(v5.00.720)

  • 残余税引後純営業利益調整(v5.00.820)

ロールアップするレベルでこれらの勘定科目にデータが含まれていて、子モデルでは含まれていない場合は、子モデルのいずれかにデータを入力することを検討してください。あるいは、ファイルが変更されないように、子モデルに勘定科目データを入力します。

資本コスト勘定科目グループをブロックし、これらの勘定科目をロールアップの親に手動で入力できます。

これを行わない場合、資本コストは子モデルの加重平均として計算されます。

ロールアップの親モデルまたはファイルの残余価額

残余価額をロールアップする場合は、株主価値モデルおよび配当還元モデルのどちらも、戦略モデリングでは清算メソッドによって計算されます。永続メソッドは、経済的利益モデルに適用されます。子モデルでの残余価額の将来価値(FVRV)は、ロールアップの親のFVRVを計算するために加算されます。ロールアップしたFVRVは、子モデルからの加重平均割引率によって割引かれます。資本コスト勘定科目グループをブロックしていれば、加重平均のかわりに、ロールアップの親の割引率が使用されます。

残余価額をブロックすると、戦略モデリングでは、ロールアップの親で選択された残余価額メソッドを使用して計算します。

残余価額勘定科目グループをブロックする場合には、ロールアップの親のこれらの勘定科目にデータを手動で入力する必要があります。

株主価値モデル

永続

標準営業利益調整(v5110.00)

残余価額の税率(v4.00.560)

永続性の成長

標準営業利益調整(v5110.00)

残余価額の税率(v4.00.560)

永続成長率(v4.00.520)

価値成長期間

標準営業利益調整(v5110.00)

残余価額の税率(v4.00.560)

永続成長率(v4.00.520)

永久価値の成長期間(v4.00.540)

株価収益率

標準利益調整(v5140.00)

株価収益率(v5130.00)

負債割引/(割増)(v5150.00)

時価簿価比率

時価簿価比率(v5120.00)

負債割引/(割増)(v5150.00)

清算

清算価額(v5210)

配当還元モデル

永続

株式簿価長期収益率(v4.00.780)

残余価額目標レバレッジ率(v4.00.760)

永続性の成長

株式簿価長期収益率(v4.00.780)

永続成長率(v4.00.720)

残余価額目標レバレッジ率(v4.00.760)

価値成長期間

永久価値の成長期間(v4.00.740)

残余価額目標レバレッジ率(v4.00.760)

永続成長率(v4.00.720)

株価収益率

標準利益調整(v5440.00)

株価収益率(v5430.00)

時価簿価比率

時価簿価比率(v5420.00)

清算

資本の清算価額(v5480.00)

経済的利益モデル

永続

E.P.残余税率(v5.00.800)

残余税引後純営業利益調整(v5.00.820)

税引後率利益への経済的利益算出調整(v5740.00)

資産への経済的利益算出調整(v5715.00)

負債への経済的利益算出調整(v5720.00)