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Oracle® Databaseインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Microsoft Windows
B58878-10
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1 Oracle Databaseのインストールの概要

この章では、Oracle Databaseの様々なインストール・タイプと、Oracle Databaseのインストール前に考慮が必要な問題について説明します。

1.1 このリリースでインストールされる新しいOracle製品および機能

このリリースでは、様々な新しい機能および製品がインストールされます。「Oracle Database 11gリリース2(11.2)の新機能」を参照してください。

1.2 インストールの計画

Oracle Databaseのインストール・プロセスは、次の6つの段階で構成されます。

  1. リリース・ノートの参照: インストールを開始する前に、Oracle Databaseのリリース・ノートを参照してください。リリース・ノートは、プラットフォーム固有のマニュアルとともに使用可能です。リリース・ノートの最新バージョンは、次の場所のOracle Technology Networkから入手できます。

    http://www.oracle.com/technetwork/indexes/documentation/index.html

  2. ライセンス情報の確認: メディア・パック内のインストール・メディアには多くのOracleコンポーネントが含まれていますが、使用可能なのは、ライセンスを購入したコンポーネントのみです。

    Oracleサポート・サービスでは、ライセンスを購入していないコンポーネントに対するサポートは提供していません。


    関連項目:

    『Oracle Databaseライセンス情報』

  3. インストールの計画: この概要に関する章では、インストールできるOracle製品と、インストール開始前に考慮が必要な問題について説明します。

    また、付録Gでは、サイトでOracleのアプリケーションを使用している場合や、複数のOracle Databaseクライアント接続が必要な場合のOracle Databaseのインストール方法など、Oracle Databaseコンポーネントのインストールに関するよくある質問の参照が必要な場合もあります。

    複数のインストールを実行する計画の場合、サイレント・インストールまたはレスポンス・ファイル・インストール、およびOracleホームのクローニングについて、付録Cを参照してください。

    Oracle Database Clientは別個にインストールします。Oracle Databaseインストール時にOracle Database Clientをインストールすることはできません。

  4. インストール前の作業の完了: 第2章では、Oracle Databaseをインストールする前に完了しておく必要のある作業について説明します。また、Oracle Restartのインストール前の作業については第3章を参照してください。

  5. ソフトウェアのインストール: 次の項を参照してOracle Databaseをインストールします。

    • 第4章: Oracle Universal Installerを使用して、Oracle Databaseをインストールする方法およびOracleホームをクローニングする方法について説明します。

    • 第3章: Oracle Universal Installerを使用して、Oracle Grid Infrastructureのメディアからスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid InfrastructureおよびOracle Automatic Storage Managementをインストールする方法について説明します。

    • 第7章: Oracle Databaseソフトウェアを削除する方法について説明します。

    • 付録C: サイレント・インストールまたはレスポンス・ファイル・インストールの実行方法について説明します。これらの方法は、Oracle Databaseの複数インストールを実行する場合に使用します。

    • 付録D: 異なる言語でOracleコンポーネントをインストールして使用する方法について説明します。

    • 付録F: インストールで問題が発生した場合のトラブルシューティングに関するアドバイスを提供します。

  6. インストール後の作業の完了: 第5章では、インストール後の作業について説明します。

  7. Oracle Databaseの使用開始: 次の項を参照してOracle Databaseの使用を開始します。

    • 第6章: インストールされたOracle Databaseの内容の確認方法、データベースおよびその他の各種Oracleツールの起動方法、および各種ファイルの検索方法について説明します。

    • 「Oracleホームのクローニング」: 既存のOracle Databaseホームをクローニングする方法について説明します。

    • 付録B: Optimal Flexible Architectureについて説明します。Optimal Flexible Architectureは、メンテナンスをほとんど必要としない信頼性の高いOracleインストールを保証する一連のガイドラインです。

    • 付録D: グローバリゼーション・サポート情報について説明します。

    • 付録E: Oracle Databaseのポート番号を管理する方法について説明します。

1.3 インストールの考慮事項

この項には、この製品のインストール方法を決定する前に考慮する必要のある情報が記載されています。この章には次の項目があります。

1.3.1 WindowsシステムとUNIXシステムのインストールの相違

UNIX環境でのOracleコンポーネントのインストール経験がある場合、UNIXで必要な多くの手動設定作業は、Windowsでは不要な点に注意してください。UNIXとWindowsでのインストールの主な相違点は次のとおりです。

  • サービスの起動および停止

    Windowsでは、Oracle Universal Installerで、ホスト・コンピュータの起動時にOracleソフトウェア・コンポーネントが自動的に起動されるよう構成可能なサービスがインストール時に作成されます。LinuxおよびUNIXシステムでは、データベースまたはシステム管理者がoratabファイルを手動で構成する必要があります。

  • 環境変数

    Windowsでは、Oracle Universal Installerで、PATHORACLE_BASEORACLE_HOMEORACLE_SIDなどの環境変数がレジストリに設定されます。UNIXシステムでは、このような環境変数は手動で設定する必要があります。

    複数のOracleホームがインストールされている場合、レジストリに設定されるのは最後のOracleホームのSIDのみです。Oracleホームの管理の詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイドfor Windows and UNIX』を参照してください。

  • オペレーティング・システム・グループ

    Windowsシステムでは、Oracle Universal InstallerはORA_DBAORA_OPERORA_SID_DBAおよびORA_SID_OPERグループを作成します。これらはオペレーティング・システムのOracleインスタンスに対する認証に使用されます。LinuxおよびUNIXシステムでは、これらのオペレーティング・システム・グループを手動で作成する必要があります。これらは、様々なOracleソフトウェア・リソースへのアクセス許可の付与およびオペレーティング・システムによる認証に使用されます。Windowsでは、Oracleインベントリ・グループは使用されません。

  • Oracle Universal Installerを実行するアカウント

    Windowsでは、管理者権限でログインします。別個のアカウントは必要ありません。LinuxおよびUNIXシステムでは、ソフトウェア所有者のユーザー・アカウントを作成および使用する必要があり、このユーザーはOracleインベントリ・グループに属している必要があります。


関連項目:

『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイド』の付録「Oracle DatabaseのWindowsとUNIXでの相違点」

1.3.2 推奨ファイル・システム

Oracleデータベース・ホーム(Oracleデータベース・バイナリ、トレース・ファイルなど)をOracle ACFSまたはNTFSにインストールすることを強くお薦めします(Oracle ACFSを使用する場合は、データベース・ファイル自体をOracle ASMに置く必要があり、それ以外の場合は、NTFSに置くことができます)。これらのファイルのセキュリティのため、Oracle ACFSおよびOracle ASMまたはNTFSを、FAT32のかわりに使用することをお薦めします。


関連項目:

Oracle Universal InstallerおよびDatabase Configuration Assistantを使用してOracle Databaseソフトウェアをインストールする際のデフォルト権限の詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイド for Microsoft Windows』の「ファイル権限」を参照してください。

1.3.3 ユーザー・アカウント制御を使用したユーザー・アカウントの管理

コンピュータ上で信頼性のあるアプリケーションのみを実行するようにするため、Windows Vista、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2、Windows 7、Windows 8、Windows 8.1、Windows Server 2012およびWindows Server 2012 R2ではユーザー・アカウント制御を備えています。このセキュリティ機能を有効にしてある場合、Oracle Universal InstallerではOracle Databaseのインストール時に同意または資格証明がその設定に応じて求められます。必要に応じて同意するか、Windows管理者の資格証明を示します。

Database Configuration Assistant、Net Configuration Assistant、OPatchなど一部のOracleツールを実行する場合、あるいはOracleホーム内の任意のディレクトリに対して書込みを行うツールやアプリケーションを実行する場合には、管理者権限が必要です。ユーザー・アカウント制御が有効になっている場合に、ローカルの管理者としてログインすると、通常の方法で正常にこれらのコマンドを実行できます。ただし、管理者グループのメンバーとしてログインしている場合は、Windows管理者権限で明示的にこのようなタスクを起動する必要があります。管理者権限が必要なすべてのOracleショートカットは、クリックすると自動的に管理者として起動されます。ただし、このツールをWindowsコマンド・プロンプトから実行する場合は、管理者コマンド・プロンプトで実行する必要があります。OPatchにはショートカットがないため、管理者コマンド・プロンプトから実行する必要があります。


関連項目:

詳細は、Oracle Databaseのプラットフォーム・ガイドのWindowsユーザー・アカウント制御を使用したツールの実行に関する項を参照してください。

Windows管理者権限でコマンド・プロンプト・ウィンドウを起動する手順:

  1. デスクトップで、コマンド・プロンプト・ウィンドウのショートカットを作成します。デスクトップにそのショートカットのアイコンが表示されます。

  2. 新規作成したショートカットのアイコンを右クリックし、「管理者として実行」を指定します。

このウィンドウを開くと、タイトル・バーに「管理者: コマンド プロンプト」と表示されます。このウィンドウ内から実行されるコマンドは、管理者権限で実行されます。

1.3.4 ハードウェアおよびソフトウェアの動作保証

このマニュアルに記載されているプラットフォーム固有のハードウェア要件とソフトウェア要件は、このマニュアルの発行時点での最新情報です。ただし、このマニュアルの発行後にプラットフォームおよびオペレーティング・システム・ソフトウェアの新バージョンが動作保証される場合があるため、動作保証されたハードウェア・プラットフォームおよびオペレーティング・システムのバージョンの最新リストは、My Oracle Support(以前のOracleMetaLink)のWebサイトで動作保証マトリクスを確認してください。このWebサイトでは、互換性のあるクライアントおよびデータベースのバージョン、パッチおよび不具合の解決策についても記載しています。My Oracle Support(以前のOracleMetaLink)のWebサイトは、次の場所で参照できます。

https://support.oracle.com/

My Oracle Supportを使用するには、オンライン登録する必要があります。ログイン後、メニュー・オプションから「動作保証」タブを選択します。「動作保証」ページで、「動作保証検索」オプションを使用して、製品リリースおよびプラットフォーム別で検索します。製品デリバリライフタイム・サポートなどの、「動作保証クイック・リンク」のオプションを使用して検索することもできます。

1.3.4.1 Oracle SQL Developer用のサード・パーティ・データベースの動作保証

Oracle SQL Developerを使用して、複数のOracle以外のデータベースのメタデータおよびデータを表示できます。詳細は、『Oracle SQL Developerインストレーション・ガイド』のSQL Developer (Oracleおよびサード・パーティ)用のデータベースの動作保証に関する項を参照してください。

1.3.5 複数のOracleホームのサポート

Oracle Databaseでは複数のOracleホームがサポートされます。このリリース以前のソフトウェアを、同じシステムの異なるOracleホーム・ディレクトリに複数回インストールできます。これによって、データベース・ソフトウェアを柔軟にデプロイおよびメンテナンスできます。たとえば、同一システムでバージョンの異なるデータベースを同時に実行したり、他の実行中のデータベースに影響を及ぼさずにシステムの特定のデータベース・インスタンスをアップグレードすることができます。ただし、1つのシステムに複数のOracleホームをインストールしている場合は、Oracleホームを共存させるため、この複雑性の考慮が必要になることがあります。


関連項目:

複数のOracleホーム環境での問題の詳細は、My Oracle Support(以前のOracleMetalink)のNote 460054.1を参照してください。

1.3.5.1 OracleソフトウェアがインストールされているシステムへのOracle Databaseのインストール

この製品は、新規のOracleホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。Oracle Databaseのあるリリースから別のリリースのOracleホーム・ディレクトリには、製品をインストールできません。たとえば、既存のOracle9iのOracleホーム・ディレクトリにOracle Database 11gリリース2(11.2)のソフトウェアをインストールすることはできません。

このリリースは、別のOracleホーム・ディレクトリにインストールするかぎり、同じシステムに複数回インストールできます。

1.3.6 スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureは、単一インスタンス・データベースが含まれたエンタープライズ・グリッド・アーキテクチャのインフラストラクチャを提供します。Oracle Database 11gリリース2(11.2)では、これらのインフラストラクチャ製品が、Oracle Grid Infrastructureホームと呼ばれる1つのソフトウェア・インストールに組み込まれています。単一インスタンス・データベースの場合、Oracle Grid InfrastructureホームにはOracle RestartおよびOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)ソフトウェアが含まれます。

Oracle Automatic Storage ManagementまたはOracle Restartを使用する場合は、データベースのインストールおよび作成を行う前に、まず、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。そうでない場合は、データベースを手動でOracle Restartに登録する必要があります。


関連項目:

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールの詳細は、第3章「スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure」を参照してください

1.3.7 Oracle Cluster Synchronization Services

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールすると、Oracle Universal Installerで、単一ノードのOracle Cluster Synchronization Services (CSS)が構成されます。

CSSサービスは、Oracle ASMインスタンスと、データベース・ファイル記憶域をOracle ASMに依存しているデータベース・インスタンスとの同期のめに必要です。CSSサービスは、Oracle ASMインスタンスまたはデータベース・インスタンスの起動時にすでに実行されている必要があるため、Oracle ASMが起動される前にOracle Restartによって自動的に起動されます。Oracleデータベースのデータベース・ファイルの記憶域にOracle ASMを使用している場合、このプロセスは実行中である必要があります。

単一インスタンスのインストールの場合、CSSがインストールおよび実行されるOracle Grid Infrastructureホームで、Oracle ASMも実行されます。


注意:

Oracle RACがインストールされているクラスタ・システムでは、CSSはOracle Clusterwareのインストール時に構成されます。Oracle Clusterwareを実行中のシステムで、Oracle RACまたはOracle Clusterwareを削除する方法の詳細は、『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド』を参照してください。

1.3.8 Oracle Universal Installerの概要

Oracle Universal InstallerはJavaベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)ツールであり、これによってOracleソフトウェアをインストールできます。Oracle Universal Installerには次の機能があります。

  • コンポーネントおよびスイートのインストール

  • グローバリゼーション・サポート

  • 分散インストールのサポート

  • レスポンス・ファイルを使用したアンアテンド・サイレント・インストール

  • インストール済コンポーネントの削除

  • 複数のOracleホームのサポート

Oracle Universal Installerでは、レスポンス・ファイルを使用してOracleソフトウェアのサイレント・インストールまたはレスポンス・ファイル・インストールを実行できます。詳細は、付録C「レスポンス・ファイルを使用したOracle Databaseのインストールおよび構成」を参照してください。

Oracle Universal Installer 11gを使用して、Oracle Database 11gリリース2(11.2)のOracleホーム・ディレクトリをインストールする必要があります。

Oracle Universal Installerにより、Java Runtime Environment(JRE)のOracleバージョンが自動的にインストールされます。Oracle Universal Installerおよび複数のOracleアシスタントを実行するには、このバージョンが必要です。My Oracle Support (以前のOracleMetaLink)で提供されるパッチで変更しないかぎり、JREを変更しないでください。ダウンロードするOracleパッチについては、次のサイトを参照してください。

https://support.oracle.com/

Oracle Universal Installerを実行すると、dbhome_nディレクトリが作成されます。これは、インストールしているコンポーネントを追跡します。このディレクトリの内容を変更しないでください。デフォルトでは、このディレクトリはORACLE_HOMEと同じディレクトリ・レベルにあります。

1.3.9 Oracleベース・ディレクトリ

他のOracleソフトウェアがインストールされていないコンピュータにOracle Database 11gリリース2(11.2)をインストールする場合、Oracle Universal InstallerではOracleベース・ディレクトリを作成します。Oracleソフトウェアがインストール済の場合、1つ以上のOracleベース・ディレクトリが存在します。インストール済であれば、Oracle Universal InstallerではOracle Databaseをインストールするディレクトリを選択できます。

デフォルトのWindowsインストールでは、Oracleベース・ディレクトリは次のように表示されます。

DRIVE_LETTER:\app\username

注意:

システムに他のOracleベース・ディレクトリが存在する場合にも、Oracleベース・ディレクトリを作成するように選択できます。

1.3.10 Oracleホーム・ディレクトリ

この項の内容は、次のとおりです。

1.3.10.1 Oracleホーム環境の内容

Oracleホーム・ディレクトリは、Oracleベース・ディレクトリの下に配置されます。たとえば、デフォルトのWindowsインストールでは、Oracleホーム・ディレクトリにdbhome_1を指定すると、Oracleベース・ディレクトリで次のように表示されます。

DRIVE_LETTER:\app\username\product\11.2.0\dbhome_1

Oracleホームは、Oracleコンポーネントが実行される環境に対応します。この環境は次のもので構成されます。

  • インストール済コンポーネント・ファイルの位置

  • インストール済コンポーネントのバイナリ・ファイルを参照するPATH変数

  • レジストリ・エントリ

  • サービス名

  • プログラム・グループ

Oracleホームにはそれ自体に関連付けられた名前もあり、これはインストーラによって自動的に割り当てられます。

1.3.10.2 複数のOracleホーム・コンポーネント

すべてのOracleコンポーネントは、同一コンピュータの複数のOracleホームにインストールできます。ただし、一部のコンポーネントでは、一度にサポートできるアクティブ・インスタンスは1つのみです。現行(最新)のインストールによって以前のものが非アクティブになります。このようなコンポーネントは次のとおりです。

  • Oracle Administration Assistant for Windows

  • Oracle Counters for Windows Performance Monitor

  • Oracle Objects for OLE

  • Oracle Provider for OLE DB


注意:

Oracle Objects for OLEは、Windows x64ではサポートされていません。

1.3.11 Oracle Data Guard環境へのOracle Database Vaultのインストール

Oracle Data GuardをOracle Database Vaultとともに使用する場合は、次のURLのMy Oracle Support(以前のOracleMetaLink)のWebサイトでNote 754065.1を参照してください。

https://support.oracle.com/

1.3.12 Oracle Database Vaultのデフォルトの監査ポリシーおよび初期化パラメータ

Oracle Database Vaultにより、ベースラインのデータベース監査ポリシーがインストールされます。このポリシーは、Database Vaultのデータベース表に格納されるアクセス制御構成情報、Oracle Catalogに格納される情報(ロールバック・セグメントや表領域など)、システム権限の使用、およびOracle Label Security構成を網羅しています。Oracle Database Vaultをインストールすると、セキュリティ固有のデータベース初期化パラメータがデフォルト値で初期化されます。


関連項目:

データベースの監査ポリシーの詳細は、『Oracle Database Vault管理者ガイド』を参照してください。

1.4 インストールの考慮事項

32ビットWindows用のOracle Database 11gリリース2(11.2)データベースは、64ビットWindow用のOracle Database 11gリリース2(11.2)データベースに移行できます。移行の詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』のOracle Database 11gリリース2 (11.2)のデータベースの移行に関する項を参照してください。

1.5 Oracle Databaseのインストール方法

Oracle Databaseをインストールする際は、次のような様々な方法を選択できます。

1.5.1 対話型のインストール・タイプ

対話型の方法を使用してデータベースの作成および構成オプションを選択してOracle Databaseをインストールする場合は、Oracle Universal Installerに表示される一連の画面で、Oracle Databaseソフトウェアのインストールや、データベースの作成に必要な情報をすべて指定できます。

Oracle Universal Installerには、次のオプションがあります。

  • デスクトップ・クラス: ラップトップまたはデスクトップ・クラス・システムにインストールする場合に、このオプションを選択します。このオプションには初期データベースが含まれ、最小構成が可能です。このオプションは、データベースを短時間で設定して実行するユーザーを対象としています。

  • サーバー・クラス: 本番データ・センターにOracleをデプロイする際に使用するようなサーバー・クラス・システムにインストールする場合に、このオプションを選択します。このオプションでは、より拡張された構成オプションを使用できます。このオプションで使用できる拡張構成オプションには、Oracle RAC、Oracle Automatic Storage Management、バックアップおよびリカバリ構成、Enterprise Manager Grid Controlとの統合、より細かいメモリー・チューニングなどがあります。

    さらに、「サーバー・クラス」オプションには、次のインストール・タイプが用意されています。

    • 標準: Oracle Databaseを簡単にインストールするには、このインストール方法を選択します。このインストール・タイプでは、ユーザー入力が最小限で済みます。この方法では、ソフトウェアがインストールされ、画面上で指定する情報を使用することにより、汎用のデータベースがオプションで作成されます。このインストール・タイプはデフォルトです。

    • 詳細: 次のいずれかのタスクを実行する場合は、このインストール・タイプを選択します。

      • データベース・キャラクタ・セットまたは異なる製品言語の選択

      • インストール時のEXAMPLE表領域の作成

      • ソフトウェアとは異なるファイル・システムでのデータベースの作成

      • 管理スキーマに対する異なるパスワードの指定

      • 自動バックアップまたはOracle Enterprise Manager通知の構成

      • Oracle Configuration Managerの構成

      • 「データベース・エディションの選択」画面で、「Enterprise Edition」を選択すると、ほとんどの顧客がOracle Databaseのインストールに際して必要とするコンポーネントが自動的に選択されます。「オプションの選択」をクリックしてコンポーネント・リストのコンポーネントをカスタマイズすることも可能です。

1.5.2 レスポンス・ファイルを使用した自動インストールの方法

レスポンス・ファイルを作成し、それをOracle Universal Installerの起動時に指定することにより、Oracle Databaseのインストールの手順の一部またはすべてを自動化できます。これらの自動インストール方法は、類似構成のシステムに複数インストールを実行する必要がある場合に便利です。

レスポンス・ファイルを使用すると、必要な情報をすべて指定したかどうかによって、次のいずれかのモードでOracle Universal Installerを実行できます。

  • サイレント・モード: 必要な情報をすべて指定したレスポンス・ファイルを使用し、Oracle Universal Installerの起動時に-silentオプションを指定すると、Oracle Universal Installerはサイレント・モードで実行されます。Oracle Universal Installerの画面は表示されません。

  • レスポンス・ファイル・モード: レスポンス・ファイルに必要な情報を一部指定しない場合、Oracle Universal Installerはレスポンス・ファイル・モードで実行されます。

これらのモード、およびレスポンス・ファイルを使用したインストールの実行方法の詳細は、付録Cを参照してください。

1.6 ソフトウェアの更新オプション

ソフトウェアの更新機能を使用して、Oracleでの最新の更新(個別パッチの更新、クリティカル・パッチの更新、Oracle Universal Installerの更新、最新のパッチ・セット更新など)を動的にダウンロードし、適用します。この機能は、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)以降で使用できます。

My Oracle Supportの資格証明を入力して最新の更新をダウンロードするか、以前にダウンロードした更新を適用できます。または、-downloadUpdatesオプションを使用して更新を別途ダウンロードしておき、後で更新が保存された場所を指定してインストールの際に適用することもできます。


関連項目:

-downloadUpdatesオプションおよびインストールの際の動的なソフトウェア更新の適用の詳細は、Oracle Databaseソフトウェアのインストールに関する項を参照してください。

1.7 Oracle Databaseのエディション

Oracle Database 11gのインストール時には、次のインストール・タイプから1つ選択できます。

  • Enterprise Edition: 「Standard Edition」を選択した場合にインストールされる全製品に加えて、ライセンス供与可能なOracle Databaseオプションとデータベース構成および管理ツールがインストールされます。また、データ・ウェアハウスおよびトランザクション処理で普及している製品もインストールされます。このオプションを使用すると、コンポーネント・リストのコンポーネントを個別に有効または無効にすることもできます。

  • Standard Edition: このインストール・タイプは、部門またはワークグループ・レベルのアプリケーションおよび中小企業(SME)向けのオプションです。コア・リレーショナル・データベース管理サービスおよびオプションを提供するように設計されています。管理ツール、完全分散、レプリケーション、Web機能およびビジネス集中型アプリケーション構築機能の統合セットがインストールされます。

  • Standard Edition One: このインストール・タイプは、部門またはワークグループ・レベルのアプリケーション、Webアプリケーション向けのオプションです。中小企業の単一インスタンス環境から、多くの部門に分散されている環境まで、Oracle Database Standard Edition Oneには、ビジネス集中型アプリケーションの構築に必要なすべての機能が備わっています。

  • Personal Edition: 「Enterprise Edition」インストール・タイプと同じソフトウェアをインストールしますが、Enterprise EditionおよびStandard Editionと完全互換が要求される単一のユーザー開発およびデプロイメント環境のみがサポートされます。Oracle RACは「Personal Edition」ではインストールされません。


関連項目:

  • Oracle Database Clientを別にインストールする必要があります。Oracle Databaseインストール時にインストールすることはできません。インストール手順は、Oracle Database Clientのインストレーション・ガイドを参照してください。

  • 各Oracle Databaseエディションで使用可能な機能の詳細とライセンスの情報は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。



注意:

  • インストール・プロセスはすべてのデータベース・エディションで同じです。

  • 必ず有効なライセンスがある製品のみをインストールしてください。


1.8 データベース構成オプション

インストール・プロセス中にOracleデータベースを作成できます。Oracleデータベースの作成を選択すると、Oracle Universal InstallerではOracle Database Configuration Assistantを使用してOracleデータベースを作成します。様々な異なるアプリケーション用に設計されている事前構成済データベース・タイプの1つを作成するか、事前構成済データベース・タイプの1つを変更するか、または自分の要件に適したカスタマイズ・データベースを作成できます。

この項では、次のデータベース構成オプションについて説明します。

1.8.1 事前構成済データベース・タイプ

Oracleでは、インストール時に作成またはカスタマイズできる次の事前構成済データベース・タイプを提供しています。

  • 汎用目的、トランザクション処理

  • データ・ウェアハウス

これらの事前構成済データベース・タイプの説明は、Oracle Universal InstallerまたはOracle Database Configuration Assistantのオンライン・ヘルプを参照してください。

1.8.2 データベースの作成に影響するインストールの選択

Oracle Universal Installerは、インストール時の選択により、次の2通りのモードでOracle Database Configuration Assistantを実行します。

  • サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モード

    「Enterprise Edition」、「Standard Edition」または「Personal Edition」のデータベース・エディションを選択した場合、事前構成済データベース・タイプを作成するよう選択してください。Oracle Universal Installerでは、選択したタイプのデータベースの作成に必要な最低限の情報がプロンプトで表示されます。この場合、ソフトウェアのインストール後に、Oracle Database Configuration Assistantがサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行され、データベースが作成されます。


    注意:

    以前にデータベースを作成していない場合、この方法を使用してデータベースを作成することをお薦めします。

  • 対話モード

    Oracle Universal Installerを使用してデータベースをインストールし、OracleホームからOracle Database Configuration Assistantを起動します。Oracle Database Configuration Assistantは対話モードで実行されます。Oracle Database Configuration Assistantの画面を使用すると、事前構成済データベース・タイプのうち1つを変更するか、データベースをカスタマイズできます。


    注意:

    この方法を選択してデータベースを作成する場合、Oracle Database Configuration Assistantの各画面で指定の必要な情報の説明を表示するには、その画面にある「ヘルプ」ボタンをクリックしてください。

1.8.3 インストール後のデータベースの作成

インストール時にデータベースを作成しない場合は、Oracle Database Configuration Assistantを使用してソフトウェアのインストール後にデータベースを1つ作成できます。


関連項目:

インストール後にOracle Database Configuration Assistantを使用してデータベースを作成する方法の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

1.9 データベース記憶域オプション

インストール時にデータベースを作成するように選択した場合は、データベース・ファイルについて次の記憶域オプションを指定できます。


注意:

インストールの際、RAWデバイスにファイルをインストールするオプションは使用できません。ファイル・システムまたはOracle Automatic Storage Managementを使用する必要があります。

1.9.1 ファイル・システム

ファイル・システム・オプションを選択すると、Oracle Database Configuration Assistantにより、コンピュータ上のファイル・システムのディレクトリにデータベース・ファイルが作成されます。オペレーティング・システムまたはOracleソフトウェアで使用されるファイル・システムとは異なるファイル・システムを選択することをお薦めします。次のいずれかのファイル・システムを選択できます。

  • システムに物理的に接続されているディスク上のファイル・システム

    論理ボリュームまたはRAIDデバイス以外の基本ディスクにデータベースを作成する場合は、Optimal Flexible Architecture(OFA)推奨事項に従い、データベース・ファイルを複数のディスクに分散させてください。

  • 論理ボリューム・マネージャ(LVM)またはRAIDデバイス上のファイル・システム

    LVMまたはRAID構成で複数のディスクを使用している場合は、Stripe-And-Mirror-Everything(SAME)方法論を使用してパフォーマンスと信頼性を高めることをお薦めします。この方法論を使用すると、データベース記憶域用に複数のファイル・システムのマウント・ポイントを指定する必要がなくなります。

  • 動作保証されているネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスからマウントされたネットワーク・ファイル・システム(NFS)。Direct NFS機能の使用を選択することもできます。この機能を使用すると、NFS構成の管理が簡素化され、パフォーマンスも向上します。


    関連項目:

    Direct NFS機能の詳細は、「Direct NFSクライアント」を参照してください。

    オラクル社によってNASデバイスが動作保証されている場合、これらにデータベース・ファイルを格納できます。

「詳細」データベース作成オプションを選択すると、新規データベースでOracle Managed Filesの機能を使用するように選択することもできます。この機能を使用すると、データベース・ファイルを作成または削除するときに、ファイル名ではなく、データベース・オブジェクト名を指定すれば実行できます。


関連項目:

Oracle Managed Filesの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

1.9.2 Oracle Automatic Storage Management

Oracle Automatic Storage Managementは、高パフォーマンスのストレージ管理ソリューションです。Oracle Databaseファイルでは、データベースの作成やレイアウトおよびディスク領域の管理など、動的なデータベース環境の管理作業を簡素化します。

Oracle Automatic Storage Managementは、単一データベース・インストール環境、複数データベース・インストール環境、およびOracle RAC環境で使用できます。また、Oracle Database 10gリリース1(10.1.0.3以上)で作成されたデータベースで使用できます。ただし、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のデータベースでは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)以上のOracle Automatic Storage Managementを使用する必要があります。Oracle Automatic Storage Managementは、Oracle Grid Infrastructureのインストールの一部としてインストールされます。Oracle Automatic Storage Managementを使用する場合は、データベースのインストールおよび作成を行う前に、Oracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。Oracle Automatic Storage Managementの既存のインストールをアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードを実行してOracle Automatic Storage Managementをアップグレードする必要があります。


関連項目:

Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのインストールの詳細は、第3章「スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure」を参照してください

Oracle Automatic Storage Managementでは、REDOログ、制御ファイル、データ・ポンプ・エクスポート・ファイルなど、すべてのデータベース・ファイルの記憶域が管理されます。Oracle Automatic Storage Managementでは、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステムを使用してファイル・システムを作成することで、Oracle Databaseの実行可能バイナリ・ファイルおよび他のデータベース以外のファイルを管理できます。Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステムがクラスタ対応でも、単一のインスタンス・データベースでファイル・システムとして機能します。

Oracle Automatic Storage Managementを使用するため、ストライプ化およびミラー化を考慮して、パーティション化したディスクをOracleに割り当てます。Oracle Automatic Storage Managementでディスク領域が管理されるため、論理ボリューム・マネージャ(LVM)のような従来のディスク管理ツール、ファイル・システムおよび両者の管理に必要となる数多くのコマンドが不要になります。Oracle Automatic Storage Managementとデータベース・インスタンスとの同期化は、Oracle Cluster Synchronization Services(CSS)により処理されます。


関連項目:

Oracle Automatic Storage Management Cluster File Systemの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

1.9.2.1 Oracle Automatic Storage Managementのコンポーネント

Oracle Automatic Storage Managementでは次のコンポーネントを使用します。

Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループ

ディスク・グループとは、Oracle Automatic Storage Managementにより1つのユニットとして管理されるディスク・デバイスの集合です。各ディスク・デバイスには、個別の物理ディスク、RAIDストレージ・アレイや論理ボリュームなどの複数のディスク・デバイス、または物理ディスク上のパーティションを使用できます。ただし、ほとんどの場合、ディスク・グループは1つ以上の個別物理ディスクで構成されます。Oracle Automatic Storage Managementでディスク・グループ内のI/Oと記憶域のバランスを適切に調整できるように、ディスク・グループ内のすべてのデバイスの記憶容量とパフォーマンスが、完全に同じでなくとも類似していることを確認する必要があります。

Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループ・テンプレートを使用すると、ディスク・グループ内の個別ファイル・タイプの冗長性属性およびストライプ化属性を設定できます。ディスク・グループを作成すると、Oracle Automatic Storage Managementにより、そのディスク・グループ用に一連のデフォルト・テンプレートが作成されます。デフォルトのテンプレート設定は、ディスク・グループのタイプに応じて異なります。たとえば、標準の冗長性のディスク・グループの場合、制御ファイルのデフォルト・テンプレートは3方向ミラー化に設定されます。その他のファイル・テンプレートはすべて双方向でミラー化されます。高冗長性ディスク・グループの場合、デフォルトのミラー化を変更できません。つまり、高冗長性ディスク・グループでは、すべてのファイルが常に3方向でミラー化されます。デフォルト・テンプレートは、サイト固有の要件に合せて変更できます。詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

Oracle Automatic Storage Managementはディスク・グループのデバイスすべてにデータを均等に分散させて、パフォーマンスと使用率を最適化します。データベースを停止せずに、ディスク・グループにディスク・デバイスを追加または削除できます。ディスクを追加または削除すると、Oracle Automatic Storage Managementによりディスク・グループ内の各データファイルのバランスが再調整されます。複数のディスク・グループを作成し、日常のファイル格納アクティビティに加えて、バックアップおよびリカバリ操作のような特定のタスクを処理できます。

ディスク・グループにデバイスを追加するときに、そのデバイスの障害グループを指定できます。障害グループにより、同じコントローラに接続されているデバイスなど、共通の障害特性を持つディスク・デバイスが識別されます。コントローラに障害が発生すると、そこに接続されているデバイスがすべて使用不可能になります。デフォルトでは、各デバイスはそれぞれの障害グループにも属しています。Oracle Automatic Storage Managementでは、指定の障害グループを使用してデータをディスク・グループ内のデバイス間に分散し、コンポーネント障害によるデータ消失の危険性を最小限に抑えることができます。

Oracle Automatic Storage Managementインスタンス

Oracle Automatic Storage Managementインスタンスは、Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループを管理する特殊なOracleインスタンスです。Oracle Automatic Storage ManagementインスタンスおよびASMSNMPアカウントは、Oracle Grid Infrastructureホームの一部として作成されます。Oracle Enterprise Managerでは、このアカウントを使用してOracle ASMインスタンスが監視され、Oracle ASM関連のデータ・ディクショナリ・ビューからデータが取得されます。ASMSNMPアカウントは、作成時にステータスがOPENに設定され、SYSDBA権限が付与されます。

Oracle ASMインスタンスは、ホストで実行されているデータベース・インスタンス数に関係なく各ホストに1つのみです。


関連項目:


1.10 データベース管理オプション

データベース管理を容易にするために、OracleではOracle Enterprise Managerと呼ばれるWebベースの管理ツールが提供されています。

Oracle Enterprise Managerは、2通りの方法によりデプロイできます。

  • Oracle Enterprise Managerを環境の中心にデプロイ。

    Oracle Enterprise Managerを中心にデプロイするには、1つ以上のOracle Management Repositoryと1つのOracle Management Serviceを自分の環境にインストールした後、すべてのコンピュータにOracle Enterprise Management Agentをインストールする必要があります。その後、単一のHTMLインタフェースを使用して、それらの全システムのソフトウェア・ターゲットおよびハードウェア・ターゲットを管理および監視できます。ターゲットには、Oracleデータベース、アプリケーション・サーバー、Netリスナーおよびサード・パーティのソフトウェアを含めることができます。この単一のインタフェースは、Oracle Enterprise Manager Grid Control(または簡単にGrid Control)と呼ばれています。


    注意:

    • Oracle Enterprise Managerは、Oracle Enterprise Manager Grid Controlインストール・メディアで別に提供されています。

    • 最新の動作保証の詳細は、次のURLからMy Oracle SupportのNote 412431.1(Oracle Enterprise Manager Grid Controlの動作保証チェッカー)を参照してください。

      https://support.oracle.com/
      

  • Oracle Enterprise Manager Database Controlをデータベース・システム上にローカルにデプロイ。

    Oracle Enterprise Manager Database Controlソフトウェアは、Oracle Databaseのインストール時にデフォルトでインストールされます。このローカルでのインストールにより、Oracle Enterprise Manager Database Controlと呼ばれるWebベース・インタフェースが提供されます。Database Controlは、Grid Controlの機能と類似していますが、Database Controlの場合は単一のデータベースのみを管理できます。このシステム上で複数のデータベースを管理する場合は、データベースごとに別のDatabase Controlを構成するか、またはOracle Enterprise Manager 11g Grid Controlをインストールする必要があります。


関連項目:

Oracle Enterprise Managerの詳細は、『Oracle Enterprise Manager概要』および『Oracle Enterprise Manager Grid Control基本インストレーション・ガイド』を参照してください。

この章の内容は次のとおりです。

1.10.1 事前構成済データベースの管理オプション

インストール時に事前構成済データベースを作成する場合は、データベースを管理するためのOracle Enterprise Managerインタフェースを選択する必要があります。次のオプションを使用できます。

  • 中央データベース管理にGrid Controlを使用。

    このオプションは、Oracle Management Agentがシステム上にインストールされている場合にのみ使用できます。Oracle Universal Installerにより、システム上でOracle Management Agentが検出された場合は、このオプションを選択して、データベースを管理するためのOracle Management Serviceを指定できます。

    Oracle Management Agentがインストールされていない場合、データベースの管理にDatabase Controlを使用する必要があります。しかし、Oracle Databaseのインストール後にOracle Management Agentをインストールする場合には、このデータベースの管理にGrid Controlを使用できます。

  • ローカル・データベース管理にDatabase Controlを使用。

    このオプションは、Oracle Management Agentがシステム上にインストールされていない場合に、デフォルトで選択されます。ただし、Management Agentがインストールされている場合でも、Database Controlを構成してデータベースを管理できます。

1.10.2 カスタム・データベースの管理オプション

Oracle Universal Installerを使用してデータベースをインストールし、OracleホームからOracle Database Configuration Assistantを起動します。Oracle Database Configuration Assistantは対話モードで実行されます。Oracle Database Configuration Assistantの画面では、データベースを管理するOracle Enterprise Managerインタフェースを指定できます。または、Enterprise Managerを使用してデータベースを構成しないことを選択できます。

インストール時にEnterprise Managerを使用するようにデータベースを構成することをお薦めします。ただし、インストール時にEnterprise Managerを使用するようデータベースを構成しないことを選択した場合は、インストール後にOracle Database Configuration Assistantを使用して、Enterprise Managerを使用するようにデータベースを構成できます。

1.10.3 Oracle Enterprise Manager Database Controlで使用できる機能

Oracle Enterprise Manager Database Controlは、Oracle Databaseとともにデフォルトでインストールされ、Oracleデータベースの監視、管理および保守に使用できるWebベースのユーザー・インタフェースが提供されます。これを使用して、すべてのデータベース管理タスクを実行できます。また、データベースに関する情報の確定にも使用できます。

  • インスタンス名、データベースのバージョン、Oracleホームの位置、メディア・リカバリ・オプションおよびその他のインスタンス・データ

  • 現行のインスタンスの可用性

  • データベース・アラート情報

  • セキュリティ・アラートの自動通知

  • パッチ適用機能

  • セッションおよびSQL関連のパフォーマンス情報

  • 領域使用メトリック

1.11 データベース・バックアップおよびリカバリ・オプション

インストール時にOracle Enterprise Manager Database Controlを使用する場合は、オプションでオラクル社推奨のデフォルト・バックアップ方法を使用する自動データベース・バックアップを有効にできます。

インストール時に自動バックアップを有効にする必要はありません。Oracle Enterprise Manager Database ControlまたはGrid Controlを使用して、ソフトウェアをインストールしてデータベースを作成した後に自動バックアップを構成できます。

この項の内容は、次のとおりです。


関連項目:

  • Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用した自動バックアップの構成やカスタマイズ、またはバックアップしたデータベースのリカバリの詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

  • バックアップ方法の定義と、Oracleデータベースのバックアップおよびリカバリの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。


1.11.1 自動バックアップの有効化

自動バックアップを有効にすると、Oracle Enterprise Managerでは、高速リカバリ領域と呼ばれるディスク上の記憶域にすべてのデータベース・ファイルをバックアップするOracle Database Recovery Manager(RMAN)を使用して、日常的なバックアップ・ジョブがスケジュールされます。高速リカバリ領域のサイズは、バックアップが必要なデータベースのサイズによって決まります。バックアップ・ジョブの初回実行時には、データベースの全体バックアップが作成されます。その後のバックアップ・ジョブでは、増分バックアップが実行され、先行する24時間におけるどの時点の状態にもデータベースをリカバリできます。オンライン・バックアップを作成する場合は、ARCHIVELOGモードでバックアップ・ジョブを実行する必要があります。

自動バックアップ・ジョブをインストール時に有効にするには、次の情報を指定する必要があります。

  • 高速リカバリ領域の場所

    高速リカバリ領域には、ファイル・システム・ディレクトリまたはOracle Automatic Storage Managementディスク・グループのいずれかを使用できます。高速リカバリ領域に構成されるデフォルトのディスク割当て制限は、2GBです。Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループでは、必要なディスク領域は選択するディスク・グループの冗長性レベルにより決定します。高速リカバリ領域の場所を選択する方法およびそのディスク領域要件の詳細は、第2章を参照してください。

  • バックアップ・ジョブのオペレーティング・システムのユーザー名およびパスワード

    Oracle Enterprise Managerでは、バックアップ・ジョブの実行時に指定するオペレーティング・システムの接続情報が使用されています。指定するユーザー名は、データベース管理者を識別するWindowsグループ(ORA_DBAグループ)に属している必要があります。このユーザーは、Logon As A Batch Job権限も備えている必要があります。

1.11.2 バックアップ・ジョブのデフォルト設定

インストール時に事前構成済データベースの1つを選択した後に自動バックアップを有効にすると、自動バックアップは次のデフォルト設定で構成されます。

  • バックアップ・ジョブは毎晩午前2時に実行されるようにスケジュールされます。

  • 高速リカバリ領域のディスク割当て制限は、2GBです。

インストール時またはインストール後のいずれかの時点で、Oracle Database Configuration Assistantを使用して自動バックアップを有効にすると、様々なバックアップ・ジョブの開始時間および様々な高速リカバリ領域のディスク割当て制限を指定できます。

1.12 電子メール通知オプション

Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用するようにインストール時に選択した場合は、特定のイベントが発生した場合に電子メールを送信するようにEnterprise Managerを構成できます。これらのイベントには、ディスク領域のクリティカル制限(しきい値)への到達、またはデータベースの予期しない停止などの状態変化を含めることができます。

電子メール通知を有効にする場合は、次の情報を指定する必要があります。

  • Simple Mail Transport Protocol(SMTP)サーバーのホスト名。

  • アラートを受信する電子メール・アドレス。

    電子メール・アドレスには、個人のアドレス、共有電子メール・アカウントまたは配布リストを指定できます。

Enterprise Manager Database Controlを使用すると、データベースの作成後に電子メール通知を設定、変更またはカスタマイズできます。


注意:

電子メール通知を有効にするオプションは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.2)以降使用できません。

1.13 アップグレードの考慮事項

Oracle Database 11gリリース2(11.2)は、新しいOracleホーム・ディレクトリにインストールすることをお薦めします。以前にインストールしたOracle8iまたはOracle9iコンポーネントが格納されているOracleホーム・ディレクトリに、Oracle Database 11gリリース2(11.2)をインストールする必要がある場合は、新規インストールの開始前にOracle Universal Installerを使用してこれらのコンポーネントを削除してください。

既存のデータベースのアップグレードを決定する前に、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。サポートされているアップグレード・パスおよびアップグレード手順については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。ただし、ここでは『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』の手順を実行する前に把握しておく必要のあるWindows固有の問題について説明します。

この項の内容は、次のとおりです。

1.13.1 データベースのアップグレード前のオペレーティング・システムのアップグレード

新しいリリースのOracle Databaseにアップグレードする場合、オペレーティング・システム要件が変更されている可能性があります。必要に応じて、Oracle Databaseをアップグレードする前にオペレーティング・システムをアップグレードします。サポートされているオペレーティング・システムの一覧については、第2章「Oracle Databaseのインストール前の要件」を参照してください。

オペレーティング・システムをアップグレードしてからデータベースのアップグレードを実行するには、次のいずれかの手順を実行します。

1.13.1.1 オペレーティング・システムのアップグレード

オペレーティング・システムをアップグレードします。次に、手動またはOracle Database Upgrade Assistantでデータベースをアップグレードします。

1.13.1.2 新しいコンピュータへの移行

次のいずれかの方法を使用して、新しいコンピュータに移行します。

  • 新しいコンピュータでデータベースをアップグレードするには、次のようにします。

    1. 前のオペレーティング・システムを実行しているコンピュータから、サポートされているオペレーティング・システムを実行しているコンピュータに、データベース・ファイルをコピーします。

    2. サポートされているオペレーティング・システムを実行しているコンピュータに制御ファイルを再作成します。

    3. 『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』に説明されている方法を使用して、データベースを手動でアップグレードします。


    注意:

    この方法では、Oracle Database Upgrade Assistantは使用できません。ただし、前のデータベースに戻す処理は容易になります。

  • また、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』に説明されている、エクスポート/インポート・ユーティリティの方法を使用して、データベースをアップグレードすることも可能です。


    関連項目:

    現在のデータベース・リリースのアップグレード方法の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』のOracle Databaseをアップグレードする場合にサポートされるアップグレード・パスに関する項の表を参照してください。

1.13.2 Oracle Grid InfrastructureとともにインストールされるOracle Automatic Storage Management

以前のリリースでは、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)は、Oracle Databaseのインストールの一環としてインストールされました。Oracle Database 11gリリース2(11.2)では、Oracle Automatic Storage Managementは、クラスタ用またはスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールに含まれます。

Oracle Automatic Storage Managementの既存のインストールをアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードを実行してOracle Automatic Storage Managementをアップグレードする必要があります。Oracle Automatic Storage Managementをインストールしておらず、Oracle Automatic Storage Managementを記憶域オプションとして使用する場合は、Oracle Grid Infrastructureのインストールを完了した後にOracle Databaseのインストールを開始する必要があります。


関連項目:

『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』

1.13.3 夏時間のアップグレード

夏時間のアップグレードの詳細は、「タイムゾーン付きタイムスタンプ・データ型の夏時間のアップグレード」を参照してください。

1.13.4 クライアントおよびアプリケーション・ソフトウェア・インストールのポリシー

11gリリース2(11.2)にOracle Databaseをアップグレードする場合、クライアント・ソフトウェアもOracle Database 11gリリース2(11.2)にアップグレードすることをお薦めします。サーバーとクライアント・ソフトウェアを同じリリース番号で維持することによって、アプリケーションの安定性が最大限に確保されます。また、最新のOracleクライアント・ソフトウェアでは、前のリリースにはなかった機能性が追加され、パフォーマンスが向上しています。

1.13.5 データベースのダウングレード

ワード・サイズの変更の手順も含め、データベースのダウングレード手順については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。