Solstice DiskSuite 4.2.1 ユーザーズガイド

トランスメタデバイスの除去

この節では、トランスメタデバイス (UFS ロギング) の除去方法について説明します。


注 -

トランスメタデバイスを除去し、マウントデバイスと同じメタデバイス名を維持するには、「メタデバイス名の切り替え」を参照してください。


トランスメタデバイスを除去するための予備情報

トランスメタデバイスの除去方法 (DiskSuite ツール)

この作業は、マウント解除できるファイルシステムから UFS ロギングを除去するために使用します。

  1. 前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを除去するための前提条件」) を満たし、予備情報 (「トランスメタデバイスを除去するための予備情報」) を読んでいることを確認する。

  2. メタデバイスの最新のバックアップがあることを確認する。

  3. ファイルシステムをマウント解除する。

  4. オブジェクトリストから、トランスメタデバイスオブジェクトをダブルクリックする。

    トランスメタデバイスオブジェクトがキャンバスに表示されます。

  5. トランスメタデバイスオブジェクトのポップアップメニューを表示し、「削除」を選択する。

  6. 「削除」ボタンをクリックする。

    トランスメタデバイスは、その配下のマスターデバイスとロギングデバイスに分割されます。

  7. 次のいずれかの方法によって、/etc/vfstab ファイルを編集する。

    • マスターデバイスがメタデバイスである場合は、マスターデバイスとして機能するメタデバイスのファイルシステムをマウントするよう、/etc/vfstab ファイルのエントリを変更できます。

    • マスターデバイスが 1 つのスライスから成るメタデバイスである場合は、そのメタデバイスの配下にあるスライスのファイルシステムをマウントするよう、/etc/vfstab ファイルのエントリを変更できます。

    • マスターデバイスがスライスである場合は、そのスライスのファイルシステムをマウントするよう、/etc/vfstab ファイルのエントリを変更できます。

    • これ以上データにアクセスする予定がない場合は、ファイルシステム用の /etc/vfstab ファイルのエントリを完全に除去します。

  8. コンフィグレーションログを表示して、トランスメタデバイスオブジェクトが削除されたことを確認する。

  9. fsck(1M) コマンドを実行する。

    ファイルシステムはもうロギングデバイスではないため、ファイルシステムをマウントするには、その前に fsck を実行する必要があります。fsck の実行は、マスターデバイスの構成に応じて、raw メタデバイス上、またはスライス用の raw デバイス上で行います。次のプロンプトに対して y と答えます。


    # fsck <raw デバイス名>
    ...
    FILE SYSTEM STATE IN SUPERBLOCK IS WRONG; FIX? y
    ...

    注 -

    ファイルシステムをメタデバイスにマウントする場合、そのメタデバイス用の raw デバイス上で fsck を実行します。そうでない場合、ファイルシステムをマウントするスライス用の raw デバイス上で fsck を実行します。


  10. ファイルシステムをマウントする。

    ファイルシステムは、もうログを記録していません。

  11. [オプション] マスターデバイスとロギングデバイスを整理する。

    マスターデバイスとロギングデバイスがメタデバイスであった場合は、不要となったメタデバイスを削除します。

トランスメタデバイスの除去方法 (コマンド行)

「DiskSuite オブジェクトを除去するための前提条件」の前提条件と 「トランスメタデバイスを除去するための予備情報」の予備情報をチェックしてから、metaclear(1M) コマンドを使用して、トランスメタデバイスを除去します。詳細は、metaclear(1M) のマニュアルページを参照してください。

例 - トランスメタデバイスの除去


# umount /abcfs
# metaclear d64
(/etc/vfstab ファイルを編集する)
# fsck /dev/rdsk/c0t2d0s6
...
FILE SYSTEM STATE IN SUPERBLOCK IS WRONG; FIX? y
...
# mount /abcfs

この例では、/abcfs ファイルシステムから UFS ロギングを除去し、トランスメタデバイス d64 を使用します。マスターデバイスの配下のスライスは、/dev/dsk/c0t2d0s6 です。トランスメタデバイスが除去されると、マスターデバイスに関連する情報は、デバイスを除去する前にログから元に戻されます。/etc/vfstab ファイルに含まれるファイルシステム用のエントリは、トランスメタデバイス用のメタデバイス名の代わりに、ファイルシステムを含むブロックデバイスと raw デバイスを参照するように変更しなければなりません。ファイルシステムはもうロギングデバイスではないため、マウントする前に fsck(1M) コマンドが実行されます。FIX? プロンプトに対して y と応答すると、ファイルシステムが配下のスライスにマウントされます。

マウント解除不可能なファイルシステムからトランスメタデバイスを除去する方法 (DiskSuite ツール)

この作業は、ルート (/)、/usrswap など、マウント解除できないファイルシステムから UFS ロギングを除去するために使用します。

  1. 前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを除去するための前提条件」) を満たし、予備情報 (「トランスメタデバイスを除去するための予備情報」) を読んでいることを確認する。

  2. メタデバイスの最新のバックアップがあることを確認する。

  3. オブジェクトリストから、トランスメタデバイスオブジェクトをダブルクリックする。

    オブジェクトがキャンバスに表示されます。

  4. ロギングデバイスを、トランスメタデバイスオブジェクトからキャンバスにドラッグする。

    オブジェクトの状態は、「ログの切断 (予定設定済み)」に変化します。

  5. トランスメタデバイスオブジェクトの先頭の矩形内部をクリックしてから、「確定」をクリックする。

    ダイアログボックスが表示され、トランスメタデバイスがマウント解除された後、または次のリブートの後で、ロギングデバイスが切断されるという警告が出されます。「確定」をクリックします。

    トランスメタデバイスの状態が「ログの切断 (進行中)」に変化します。


    注 -

    /etc/vfstab ファイルにファイルシステムのエントリが存在し、そのファイルシステムが現在マウントされている場合、DiskSuite ツールはこれを自動的に更新して、トランスメタデバイス名の代わりにスライス名を使用するようにします。


  6. リブートする。

    ファイルシステムがチェックされていることを示すメッセージが表示されます。


    ...
    The /usr file system (/dev/md/rdsk/d0) is being checked.
    /dev/md/rdsk/d0: 11576 files, 198318 used, 42081 free
    /dev/md/rdsk/d0: (737 frags, 5168 blocks, 0.3% fragmentation)
    ...
  7. /etc/vfstab ファイルを編集して、トランスメタデバイスを除去する。

    ファイルシステムが、トランスメタデバイスではなく、ファイルシステムを含むブロックデバイスと raw デバイスを参照するよう、ファイルシステムのエントリを変更します。

  8. リブートする。

    このリブートによって、システムは、ファイルシステムがトランスメタデバイスではなく、すでにその配下のスライスにマウントされていることを認識できます。

  9. トランスメタデバイスを削除する。

    1. オブジェクトリストから、トランスメタデバイスオブジェクトをダブルクリックする。オブジェクトがキャンバスに表示されます。

    2. オブジェクトの先頭の矩形内部をクリックし、プルダウンメニューを表示する。

    3. 「削除」オプションを選択する。

  10. 確認ダイアログボックスの「削除」ボタンをクリックする。

  11. コンフィグレーションログを表示して、トランスメタデバイスオブジェクトが削除されたことを確認する。

マウント解除不可能なファイルシステムからトランスメタデバイスを除去する方法 (コマンド行)

「DiskSuite オブジェクトを除去するための前提条件」の前提条件と「トランスメタデバイスを除去するための予備情報」の予備情報をチェックしてから、metadetach(1M) と metaclear(1M) のコマンドを使用して、トランスメタデバイスを除去します。詳細は、metadetach(1M) と metaclear(1M) のマニュアルページを参照してください。

この作業は、/usr など、通常のシステム操作中にはマウント解除できないファイルシステムから、トランスメタデバイスを除去するときに使用します。

例 - /usr からトランスメタデバイスを除去


# metadetach -f d20
d20: logging device c0t0d0s1 will be detached at unmount or reboot
# reboot
...
The /usr file system (/dev/rdsk/c0t3d0s3) is being checked.
...
(/etc/vfstab ファイルを編集する)
# reboot
...
# metaclear d20
d20: Trans is cleared

この例では、d20 は、/usr ファイルシステムに UFS ロギングを提供するトランスメタデバイスです。ロギングを除去するため、-f オプションを付けて metadetach コマンドを実行してロギングデバイスを強制的に切断し、システムをリブートします。次に、ファイルシステムが、(トランスメタデバイスではなく)ファイルシステムを含むスライスを参照するよう、/etc/vfstab ファイルを編集してファイルシステムのエントリを変更します。もう一度リブートすると、/usr ファイルシステムは、その新しいマウントデバイス上に置かれます。metaclear コマンドは、トランスメタデバイス d20 をシステムから除去します。