1.2. Sun Ray 環境の構成要素

1.2.1. デスクトップクライアント
1.2.2. 物理ネットワーク
1.2.3. Sun Ray サーバー
1.2.4. デスクトップ環境

Sun Ray Software は、Sun Ray 環境全体の中心的要素です。大まかに言って、Sun Ray 環境は主にクライアント、物理ネットワーク、および Sun Ray サーバー (Sun Ray Software がインストールされている) という 3 つの領域から成ります。図1.1「Sun Ray 環境の構成要素」に、Sun Ray 環境内の大まかな関連を示します。

図1.1 Sun Ray 環境の構成要素

Sun Ray 環境を示した図。

以降のセクションでは、各領域の概要を説明します。

1.2.1. デスクトップクライアント

現在のところ、デスクトップクライアントには主に Sun Ray クライアントと Oracle Virtual Desktop Client の 2 種類があります。

1.2.1.1. Sun Ray クライアント

Sun Ray クライアントは、デスクトップコンピュータの完全な機能を潜在的に超えたハードウェア装置である一方で、管理コストや環境面でのコストを削減できます。Sun Ray クライアントは、ネットワークのクライアント側でフレームバッファーとして動作します。アプリケーションは Sun Ray サーバー上で実行し、その出力を仮想フレームバッファーへ描画します。Sun Ray Software は描画される出力を整形して適切な Sun Ray クライアントへ送信し、そこで出力が解釈されて表示されます。

ネットワークサーバーからすると、Sun Ray クライアントは Ethernet MAC アドレス以外は同一です。Sun Ray クライアントに障害が発生したとしても、そこにデータは存在しないので、簡単に交換できます。IP アドレスは各 Sun Ray クライアントの接続時にクライアントにリースされ、クライアントが切断されると再利用できるようになります。IP アドレスのリースは、DHCP によって管理されます。

Sun Ray クライアントには、主にサイズ、タイプ、サポートされるモニター解像度の点で異なるさまざまなモデルがあります。ただし、すべての Sun Ray クライアントには、スマートカードリーダー、キーボード、およびマウスが含まれます。

スマートカードリーダーについては、カスタムアプリケーションやその他の情報をユーザーのスマートカード内にエンコードする開発者向けに、業界標準の PC/SC-lite API が含まれています。

デフォルトでは、Sun Ray クライアントは関連付けられている Sun Ray サーバーと同じ Oracle Solaris または Oracle Linux オペレーティングシステムを使用します (通常の Sun Ray セッションと呼ばれる)。ただし、Windows Connector や VMware View Connector により、ユーザーはクライアントでリモートの Windows デスクトップセッションや VMware View セッションにアクセスできます。キオスクモードを構成すると、ユーザーは通常の Oracle Solaris または Oracle Linux Sun Ray セッションを完全に無視し、割り当てられたコネクタセッションに直接移動できます。

1.2.1.2. Oracle Virtual Desktop Client

Oracle Virtual Desktop Client は Sun Ray クライアントのソフトウェアバージョンです。Oracle Virtual Desktop Client アプリケーションは通常のコンピュータまたはタブレット上で実行され、Sun Ray セッションにアクセスできるようにします。Windows、Linux、Mac OS X、iPad、または Android 上でサポートされ、インストールできます。Oracle Virtual Desktop Client は、標準的な Sun Ray クライアント機能のほとんどをサポートします。

1.2.2. 物理ネットワーク

ほとんどのネットワーク化環境と同様に、Sun Ray 環境にも適切に設計されたネットワークが必要であり、いくつかある方法のいずれかで構成できます。

ネットワーク構成タイプの詳細な説明と、各ネットワークタイプを構成する手順については、2章Sun Ray ネットワーク環境の計画を参照してください。

1.2.3. Sun Ray サーバー

Sun Ray サーバーは、Sun Ray Software を実行し、Sun Ray 環境の基盤です。Sun Ray クライアントおよび Oracle Virtual Desktop Client に必要な管理サポートのすべてを提供します。

最初の重要な手順は、ユーザーが必要なオペレーティングシステム環境を判断することで、それに基づいて Sun Ray 環境を設定できます。ユーザーが Oracle Linux 環境を必要としている場合は、Sun Ray サーバーに Oracle Linux をインストールできます。Oracle Solaris 環境を必要とするユーザーに対しても同様です。ユーザーがリモートの Windows デスクトップセッションの使用のみを計画している場合、基盤となるデスクトップはユーザーから隠されるため、Sun Ray サーバーでは Oracle Linux と Oracle Solaris のどちらを選択することもできます。Sun Ray サーバーのオペレーティングシステムとして Oracle Linux を使用する場合と Oracle Solaris を使用する場合とでは若干の違いがあるため、その違いを考慮してください。

ユーザーに Windows 環境を提供する場合は、Sun Ray Software 機能がリモートデスクトップ環境内の異なるバージョンの Windows オペレーティングシステムでどのようにサポートされているのかを理解することも重要です。ほとんどの機能は、サポートされている Windows プラットフォームのすべてに提供されますが、その実装方法が異なります。

Sun Ray サーバーは、デスクトップクライアントと通信するために、Sun Ray Software の一部として自動的に利用可能になるネットワークプロトコル群である Appliance Link Protocol (ALP) を使用します。また、Sun Ray サーバーは、標準の Microsoft Remote Desktop Protocol (RDP) を使用してリモートの Windows デスクトップ (使用されている場合) にもアクセスします。

1.2.4. デスクトップ環境

リモートの Windows デスクトップにアクセスできるようにする場合は、Sun Ray サーバーと Sun Ray ネットワークから Windows システムにアクセスできる必要があります。次に、ユーザーがリモートの Windows デスクトップにアクセスするように Windows Connector または VMware View Connector を構成する必要があります (キオスクモードを使用して、ユーザーがデスクトップクライアントにログインしたときに Windows デスクトップを自動的に提供するなど)。