Oracle Database 2日でReal Application Clustersガイド 11g リリース1(11.1) E05737-03 |
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この章には、システム管理者およびネットワーク管理者が、DBAとして、クラスタ内の2つのノードを構成する担当者をサポートする際に必要な情報が含まれています。この章では、Red Hat Linuxオペレーティング・システムの基本を理解していることを前提としています。必要に応じて、『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイドfor Linux and UNIX Systems』で詳細を参照してください。また、この章のタスクを実行するには、root
権限が必要です。
この章の内容は次のとおりです。
インストールを開始する前に、システムがOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)の要件を満たしていることを確認する必要があります。この要件は、次の3つのカテゴリに分けられます。
Oracle ClusterwareまたはOracle ClusterwareとOracle RACのインストールの一部を形成する各ノードは、ソフトウェアの最低限のハードウェア要件を満たす必要があります。これらのハードウェア要件は、次のようなカテゴリに分けられます。
Oracle Databaseホーム・ディレクトリに3.5GB以上の使用可能なディスク領域、また自動ストレージ管理(ASM)のホーム・ディレクトリに3.3GB以上の使用可能なディスク領域が必要です。さらに、Oracle Clusterwareソフトウェアのインストールには600MBの使用可能なディスク領域が必要です。最適なパフォーマンスおよび保護のためには、複数のディスクが必要であり、各ディスクが異なるディスク・コントローラを使用する必要があります。
Oracle RACデータベースは、シェアード・エブリシング型のデータベースです。Oracle RACデータベースで使用されているすべてのデータファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイル、およびサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)は、すべてのOracle RACデータベース・インスタンスがアクセス可能な共有記憶域に配置する必要があります。このマニュアルで説明するOracle RACインストールでは、データベース・ファイルの共有記憶域にOracle ASMが使用されます。
Oracle Clusterwareは、次のコンポーネントを使用することによって、優れたスケーラビリティと高可用性を実現します。
これらのOracle Clusterwareコンポーネントには、次のような追加のディスク領域が必要です。
投票ディスク・ファイルを配置するには、各投票ディスクが、任意のハードウェア・デバイスまたはディスクを共有しないように、または他のシングル・ポイント障害の場所を共有しないように構成されていることを確認します。Oracle Clusterwareファイルの詳細は、「Oracle Clusterwareファイル用のブロック・デバイスの構成」を参照してください。
参照:
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Oracle RACクラスタは、プライベート・インターコネクトでリンクしている2つ以上のノードで構成されます。インターコネクトは、クラスタにあるノードの間の通信パスとして機能します。クラスタ・データベースの各インスタンスでは、各インスタンスの共有リソースの使用を同期化するためのメッセージ機能でインターコネクトを使用します。Oracle RACでは、複数のインスタンスで共有されるデータ・ブロックの転送にもインターコネクトを使用します。
Oracle Clusterwareでは、クラスタ内のノードが、プライベート・インターコネクトを使用してプライベート・ネットワークに接続されている必要があります。プライベート・インターコネクトは、クラスタ・ノード間で構成する個別のネットワークです。Oracle RACで使用するインターコネクトは、Oracle Clusterwareで使用するインターコネクトと同じです。このインターコネクトは、プライベート・インターコネクトである(クラスタ・メンバー以外のノードからはアクセスできない)必要があります。
Oracle RACおよびOracle Clusterwareに使用するネットワークを構成する場合は、クラスタ内の各ノードが次の要件を満たしている必要があります。
eth0
を使用している場合は、eth0
をすべてのノードでパブリック・インタフェースとして構成する必要があります。すべてのノードに、同じプライベート・インタフェース名を構成する必要があります。eth1
が1番目のノードのプライベート・インタフェース名である場合は、2番目のノードのプライベート・インタフェースもeth1
である必要があります。
Red Hat Linuxを実行しているノード上に構成するインタフェースを決定するには、root
ユーザーとして次のコマンドを使用します。
# /sbin/ifconfig
各ノードのIPアドレスを取得するには、システムおよびネットワーク管理者の協力が必要になる場合があります。
正確な要件の詳細は、使用プラットフォームのOracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersのインストレーションおよび構成ガイドを参照してください。この要件には次のものが含まれます。
Oracle Database 11g リリース1(11.1)で現在サポートされていないバージョンのオペレーティング・システムを実行している場合は、最初にオペレーティング・システムをアップグレードしてから、Oracle Real Application Clusters 11g をインストールしてください。
root
ユーザーとして次のコマンドを実行します。
# cat /etc/issue
root
ユーザーとして次の手順を実行します。
# uname -r 2.6.9-42.EL
一般のソフトウェアと同様、Linuxカーネルは、オペレーティング・システムの不具合を修正するために更新されます。このようなカーネルの更新を、エラータ・カーネルまたはエラータ・レベルといいます。
前述の例の出力は、カーネルのバージョンが2.6.9、エラータ・レベル(EL)が22であることを示しています。ディストリビューションに必要なエラータ・レベルを確認します。そのエラータ・レベルが最低限必要とされるエラータ・レベルよりも低い場合、オペレーティング・システムに最新のカーネル更新をインストールします。カーネル更新は、オペレーティング・システムのベンダーから入手できます。
root
ユーザーとして次のコマンドを実行すると、必要なパッケージ(特定の機能または計算を実行するプログラム)がインストールされているかどうかを判別できます。
# rpm -q package_name
package_name
変数は、setarch
などの検証の対象とするパッケージの名前です。パッケージがインストールされていない場合、Linuxの配布メディアからインストールするか、LinuxベンダーのWebサイトから必要なバージョンのパッケージをダウンロードします。
参照:
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この項では、次のタスクを実行します。
このサーバーにOracleソフトウェアがインストールされるのが初めてかどうかによって、オペレーティング・システム・グループを作成する必要がある場合があります。
Oracleソフトウェアのインストール時に次のオペレーティング・システムのグループが使用されます。
dba
)
oinstall
)
asm
など)。このオプションを選択しない場合、dba
がデフォルトのOSASMグループとなります。
次のオペレーティング・システム・ユーザーは、すべてのインストールに必要です。
単一のOracleインベントリ・グループは、システム上のすべてのOracleソフトウェアのインストールに必要です。Oracleソフトウェアの最初のインストール後は、そのシステムに行う後続のOracleソフトウェアのインストール全般に対して同じOracleインベントリ・グループを使用する必要があります。ただし、Oracleソフトウェアを所有する異なるユーザーを作成して、各ソフトウェアのインストールへの管理アクセスを認証する場合に異なるオペレーティング・システム・グループを使用することができます。オペレーティング・システム・ユーザー(oracle
など)がOracleソフトウェアへのアクセスの認証に使用されるオペレーティング・システム・グループ(dba
グループなど)のメンバーである場合、そのユーザーは関連するソフトウェアへの管理アクセス権を持ちます。
各Oracle Databaseのインストールへの管理アクセスを認証する場合に異なるオペレーティング・システム・グループを使用すると、それぞれのグループのメンバーは、システムのすべてのデータベースではなく、1つのデータベースに対してのみSYSDBA権限を持ちます。また、別のオペレーティング・システム・グループをASM認証用に構成すると、ASMへのSYSASMアクセスを持ち、データベース・インスタンスへのSYSDBAアクセスを持たないユーザーを構成できます。
/etc/group
ファイルの内容をリストします。
cat /etc/group
root
ユーザーとして次のようなコマンドを入力し、Oracleイベントリ・グループを作成します。
/usr/sbin/groupadd oinstall
root
ユーザーとして次のようなコマンドを入力し、OSDBAグループを作成します。
/usr/sbin/groupadd dba
oracle
ユーザーおよびユーザーのホーム・ディレクトリ(/home/oracle
)の作成方法を示しています。デフォルト・グループはoinstall
、セカンダリ・グループはdba
で、UIDは200を使用します。
useradd -u 200 -g oinstall -G dba -d /home/oracle -r oracle
サーバーですでに作成されたユーザーを判別するには、/etc/passwd
ファイルの内容をリストします。
cat /etc/passwd
oracle
アカウントのパスワードを設定します。password
を自分のパスワードに置き換えます。
passwd oracle Changing password for user oracle. New UNIX password: password retype new UNIX password: password passwd: all authentication tokens updated successfully.
docrac1
およびdocrac2
の両方でユーザーoracle
の属性が同一であることを確認します。
id oracle
このコマンドの出力結果は、次のようになります。
uid=200(oracle) gid=500(oinstall) groups=500(oinstall),501(dba)
UNIXおよびLinuxプラットフォームにOracle RACをインストールする際、ソフトウェアは、1つのノードにインストールされます。その後、OUIはセキュアな通信を使用してそのソフトウェアのバイナリ・ファイルを他のクラスタ・ノードにコピーします。OUIは、通信にセキュア・シェル(SSH)を使用します。また、Oracle RACおよびOracle Clusterwareのその他の様々なコンポーネントも、SSHを使用してセキュアな通信を行います。
SSHを構成するには、最初に、Rivest Shamir Adleman(RSA)鍵とデジタル署名アルゴリズム(DSA)鍵を各クラスタ・ノードに作成する必要があります。秘密鍵と公開鍵を作成した後、すべてのクラスタ・ノード・メンバーの鍵を、各ノードで同一の認証鍵ファイルにコピーします。これが完了したら、SSHエージェントを起動して、鍵をメモリーにロードします。
参照:
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SSHを構成する最初の手順として、各クラスタ・ノードでRSA鍵とDSA鍵を作成します。
oracle
ユーザーとして、docrac1
でオペレーティング・システムに再度ログインします。oracle
ユーザーのホーム・ディレクトリに.ssh
ディレクトリが存在するかどうかを確認します。存在しない場合は、.ssh
ディレクトリを作成し、oracle
ユーザーのみがそのディレクトリにアクセスできるようにディレクトリ権限を設定します。次に例を示します。
$ ls -a $HOME $ mkdir ~/.ssh $ chmod 700 ~/.ssh
/usr/bin/ssh-keygen -t rsa
プロンプトで、次の手順を実行します。
このコマンドによって、/home/oracle/.ssh/id_rsa.pub
ファイルに公開鍵が作成され、/home/oracle/.ssh/id_rsa
ファイルに秘密鍵が作成されます。
docrac1
とdocrac2
の両方に、DSAタイプの公開鍵および秘密鍵を作成します。各ノードの端末ウィンドウで、次のコマンドを実行します。
/usr/bin/ssh-keygen -t dsa
プロンプトで、次の手順を実行します。
このコマンドによって、/home/oracle/.ssh/id_dsa.pub
ファイルに公開鍵が作成され、/home/oracle/.ssh/id_dsa
ファイルに秘密鍵が作成されます。
参照:
鍵を生成したら、各ノードの鍵をauthorized_keys
ファイルにコピーし、このファイルをクラスタ内のすべてのノードにコピーします。
oracle
ユーザー・ホーム・ディレクトリの.ssh
ディレクトリにディレクトリを変更します。
cd ~/.ssh
authorized_keys
ファイルに追加した後、.ssh
ディレクトリの内容を一覧表示します。
$ cat id_rsa.pub >>authorized_keys $ cat id_dsa.pub >>authorized_keys $ ls
authorized_keys
ファイルに加えて、生成した鍵であるid_dsa.pub
およびid_rsa.pub
と公開鍵ファイルであるid_dsa
およびid_rsa
が表示されます。
authorized_keys
ファイルをリモート・ノード上のoracle
ユーザーの.ssh
ディレクトリにコピーします。次の例では、SCPを使用してauthorized_keys
ファイルをdocrac2
にコピーします。oracle
ユーザーのパスは/home/oracle
です。
[oracle@docrac1 .ssh]scp authorized_keys docrac2:/home/oracle/.ssh/ The authenticity of host 'docrac2(143.46.43.101)' can't be established.RSA key fingerprint is 7z:ez:e7:f6:f4:f2:d1:a6:f7:4e:zz:me:a7:48:ae:f6:7e. Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? yes oracle@docrac2's password:
RSA鍵またはDSA鍵を受け入れるように求められます。yes
と入力します。
プロンプトが表示されたら、oracle
ユーザーのパスワードを指定します。このパスワードは、クラスタ内のすべてのノードで同一になるようにする必要があります(注意: これは新たに指定するパス・フレーズではなく、ユーザーのパスワードです)。authorized_keys
ファイルがリモート・ノードにコピーされます。
authorized_keys
ファイルのコピー先ノードにログインします。.ssh
ディレクトリに移動し、cat
コマンドを使用して、2番目のノードのRSA鍵およびDSA鍵をauthorized_keys
ファイルに追加します。次に例を示します。
[oracle@docrac1 .ssh]$ ssh docrac2 Enter passphrase for key '/home/oracle/.ssh/id_rsa': [oracle@docrac2 oracle]S cd .ssh [oracle@docrac2 ssh]$ cat id_rsa.pub >> authorized_keys [oracle@docrac2 ssh]$ cat id_dsa.pub >> authorized_keys
authorized_keys
ファイルを次のノードにコピーし、そのノードの公開鍵をauthorized_keys
ファイルに追加します。
authorized_keys
ファイルを更新したら、SCPを使用して、完全なauthorized_keys
ファイルを最後の更新対象ノードからその他すべてのクラスタ・ノードにコピーし、既存のファイルを上書きします。次に例を示します。
[oracle@docrac2 .ssh]scp authorized_keys docrac1:/home/oracle/.ssh/ The authenticity of host 'docrac1(143.46.43.100)' can't be established. RSA key fingerprint is 7e:62:60:f6:f4:f2:d1:a6:f7:4e:zz:me:b9:48:dc:e3:9c. Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? yes oracle@docrac2's password: Warning: Permanently added 'docrac1,143.46.43.100' (RSA) to the list of known hosts. oracle@docrac1's password: authorized_keys 100% 1656 19.9MB.s 00:00
SSHを使用して別のノードにログインする場合、または別のノードでコマンドを実行する場合は、この時点で、RSA鍵およびDSA鍵の作成時に指定したパス・フレーズの入力を求められます。
参照:
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次の条件がクラスタ内のすべてのノードに該当する場合、クラスタには、ユーザー等価関係があります。
Linuxシステムで、パス・フレーズの入力を求められずにOracle Universal Installerでssh
コマンドおよびscp
コマンドを使用できるようにするには、SSHユーザー等価を構成する必要があります。
oracle
ユーザーとしてオペレーティング・システムにログインします。
$ exec /usr/bin/ssh-agent $SHELL $ /usr/bin/ssh-add
ssh-add
プログラムでは、SSHの構成時に生成した各鍵にパス・フレーズを入力するよう求められます。次に例を示します。
[oracle@docrac1 .ssh]$ exec /usr/bin/ssh-agent $SHELL [oracle@docrac1 .ssh]$ /usr/bin/ssh-add Enter passphrase for /home/oracle/.ssh/id_rsa Identity added: /home/oracle/.ssh/id_rsa (/home/oracle/.ssh/id_rsa) Identity added: /home/oracle/.ssh/id_dsa (/home/oracle/.ssh/id_dsa)
これらのコマンドによって、ノードでssh-agent
プログラムが起動され、SSHコマンドを発行する際にパス・フレーズを使用するように求めるプロンプトを表示しないように、RSA鍵およびDSA鍵がメモリーにロードされます。
SSHが適切に構成されていれば、パスワードまたはパス・フレーズを求めるプロンプトは表示されることなくssh
やscp
コマンドを使用できます。
ssh
コマンドを使用してクラスタ内の各ノードの日付を取得し、SSH構成を完了します。たとえば、ノード名がdocrac1
およびdocrac2
である2ノードのクラスタで、次のコマンドを入力します。
$ ssh docrac1 date $ ssh docrac2 date
SSHを使用してはじめてノード間で接続を行った場合は、次のようなメッセージが表示されることがあります。
The authenticity of host 'docrac1(143.46.43.100)' can't be established.
RSA key fingerprint is 7z:ez:e7:f6:f4:f2:d1:a6:f7:4e:zz:me:a7:48:ae:f6:7e.
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? yes
プロンプトにyes
と入力して続行します。このノードをもう一方のノードから接続するときにこのメッセージが再度表示されることはありません。これ以外のメッセージやテキスト(日付を除く)が表示された場合、インストールに失敗する可能性があります。
いずれかのノードからパスワードまたはパス・フレーズの入力を求められた場合は、そのノードの~/.ssh/authorized_keys
ファイルに正しい公開鍵が含まれていることを確認してください。必要な変更を行って、前述のコマンドを入力したときに日付のみが表示されるようにします。また、シェルがインタラクティブ・シェルの場合にのみスクリプトが機能するように、ログイン・スクリプトの中で出力の生成や質問の表示を行う部分を変更する必要があります。
手順1から手順3を完了した後、クラスタ内の各ノードの各パブリック・ホスト名は、クラスタの他のすべてのメンバーのknown_hosts
ファイルに登録される必要があります。
Red Hat Linuxでは、Oracle Universal Installer(OUI)は、oracle
アカウントから実行します。Oracle Universal Installerは、oracle
ユーザー用に構成された環境変数から情報を入手します。OUIを実行する前に、oracle
ユーザーの環境変数を変更し、次のとおりに構成しておく必要があります。
umask
)を022に設定します。
ORACLE_BASE
環境変数を、Oracle Databaseソフトウェアのインストールを予定している場所に設定します。ORACLE_BASE
ディレクトリの詳細は、「Oracleベース・ディレクトリの選択の概要」を参照してください。
また、/tmp
ディレクトリで使用可能なディスク領域が400MB未満の場合でも、別のファイル・システムには400MB以上の使用可能な領域がある場合は、このファイル・システムに代替の一時ディレクトリを指定するように、TEMP
およびTMPDIR
環境変数を設定できます。
Oracle Clusterwareをインストールする前に、Oracle Clusterwareホーム(CRSホームとも呼ばれる)・ディレクトリの場所にORACLE_HOME
という変数を設定できます。ただし、インストール・プロセスの一部として、ソフトウェアがインストールされる必要があるディレクトリも指定します。Oracle Clusterwareがインストールされた後、環境変数ORACLE_HOME
は、Oracle Databaseのホーム・ディレクトリの値を反映して変更されます。
Oracle Clusterwareの要件として、クラスタ内のノードをプライベート・インターコネクト経由でプライベート・ネットワークに接続する必要があります。また、クラスタ内の各ノードにパブリック・ネットワーク経由でアクセスできることも必要です。
hostname
コマンドによって表示される名前を使用します。このノード名は、永続ホスト名または仮想ホスト名のいずれか(docrac1
など)になります。
public_hostname
-priv
という形式(docrac1-priv
など)で名前を指定することをお薦めします。
public_hostname
-vip
という形式(docrac1-vip
など)で名前を指定することをお薦めします。
# /sbin/ifconfig
出力から、パブリックまたはプライベートのネットワーク・インタフェースとして指定する各ネットワーク・アダプタのインタフェース名(eth0
など)およびIPアドレスを識別します。
各ノードのパブリック名は、使用するドメイン・ネーム・システム(DNS)に登録済である必要があります。使用可能なDNSがない場合は、システム・ホスト・ファイル(/etc/hosts
)のネットワーク名とIPアドレスを記録します。ホストのプライベート・ネットワーク名とプライベートIPアドレスを対応させるには、各ノードの/etc/hosts
ファイルを使用します。
ping
コマンドを使用して、インターコネクト・インタフェースが接続可能かどうかをテストできます。
各ノードの仮想ホスト名は、DNSで登録される必要があります。使用可能なDNSがない場合は、システム・ホスト・ファイル/etc/hosts
に仮想ホスト名およびIPアドレスを記録します。
インストール・プロセスを完了した後、クライアントを構成して、仮想IPアドレスまたは仮想IPアドレスに関連付けられたネットワーク名のいずれかを使用します。
ネットワークの構成後、検証テストを実行して、ネットワークが正しく構成されていることを確認します。クラスタのノード間のネットワーク接続に問題があると、Oracle Clusterwareのインストールに失敗します。
root
ユーザーとして、パブリック・ネットワークおよびプライベート・ネットワークの構成を検証します。docrac1
およびdocrac2
の両方において、インタフェースが同じネットワーク上に構成されているかどうかを検証します。この例では、パブリック・ネットワークにeth0
が使用されます。プライベート・ネットワークにはeth1
が使用され、これがキャッシュ・フュージョン通信に使用されます。
# /sbin/ifconfig eth0 Link encap:Ethernet HWaddr 00:0E:0C:08:67:A9 inet addr: 143.46.43.100 Bcast:143.46.43.255 Mask:255.255.240.0 UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1 RX packets:270332689 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0 TX packets:112346591 errors:2 dropped:0 overruns:0 carrier:2 collisions:202 txqueuelen:1000 RX bytes:622032739 (593.2 MB) TX bytes:2846589958 (2714.7 MB) Base address:0x2840 Memory:fe7e0000-fe800000 eth1 Link encap:Ethernet HWaddr 00:04:23:A6:CD:59 inet addr: 10.10.10.11 Bcast: 10.10.10.255 Mask:255.255.240.0 UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1 RX packets:21567028 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0 TX packets:15259945 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0 collisions:0 txqueuelen:1000 RX bytes:4091201649 (3901.6 MB) TX bytes:377502797 (360.0 MB) Base address:0x2800 Memory:fe880000-fe8a0000 lo Link encap:Local Loopback inet addr:127.0.0.1 Mask:255.0.0.0 UP LOOPBACK RUNNING MTU:16436 Metric:1 RX packets:52012956 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0 TX packets:52012956 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0 collisions:0 txqueuelen:0 RX bytes:905082901 (863.1 MB) TX bytes:905082901 (863.1 MB)
root
ユーザーで、ノードdocrac1
の/etc/hosts
ファイルに、クラスタ内の両方のノードのホストIPアドレス、仮想IPアドレスおよびプライベート・ネットワークIPアドレスが含まれていることを確認します。次に例を示します。
# Do not remove the following line, or various programs # that require network functionality will fail. 127.0.0.1 localhost.localdomain localhost 143.46.43.100 docrac1.mycompany.com docrac1 143.46.43.104 docrac1-vip.mycompany.com docrac1-vip 10.10.10.11 docrac1-priv 143.46.43.101 docrac2.mycompany.com docrac2 143.46.43.105 docrac2-vip.mycompany.com docrac2-vip 10.10.10.12 docrac2-priv
/etc/hosts
ファイルに前述のいずれかの情報がない場合、このファイルを編集して必要な情報を追加します。
docrac1
の/etc/hosts
ファイルを構成した後、そのクラスタのIPアドレスについて同じ情報が含まれるように、docrac2
の/etc/hosts
ファイルを編集します。
root
ユーザーとして、ping
コマンドを使用して、docrac1
からdocrac2
への接続とその逆方向の接続をテストし、ネットワーク構成を検証します。各ノードで、root
ユーザーとして次のコマンドを実行します。
# ping -c 3 docrac1.mycompany.com # ping -c 3 docrac1 # ping -c 3 docrac1-priv # ping -c 3 docrac2.mycompany.com # ping -c 3 docrac2 # ping -c 3 docrac2-priv
仮想IP(docrac1-vip
、docrac2-vip
)に対してping
コマンドを使用しても、Oracle Clusterwareがインストールされ実行中でなければ、ノードは検出できません。パブリックまたはプライベートのアドレスに対するping
コマンドが失敗した場合は、その問題を解決してから次の手順に進みます。
ping
コマンドを使用して、デフォルトのゲートウェイにアクセスできることを確認します。デフォルトのゲートウェイを識別するには、Red Hat Linuxのヘルプ・ユーティリティで説明されているように、route
コマンドを使用します。ご使用のサーバーにOracleソフトウェアをインストールする際、Oracle Universal Installerでは、特定のパッケージとソフトウェア・アプリケーションがオペレーティング・システムにインストール済であることを前提としています。
この項の内容は次のとおりです。
次のWebサイトにあるOracleMetaLinkの認定情報を参照して、オペレーティング・システムとOracle Databaseソフトウェアが認定済の組合せになっていることを確認する必要があります。
https://metalink.oracle.com
この情報は、「Certify & Availability」をクリックし、「1.View Certifications by Product」を選択すると表示されます。
インストールを開始する前に、両方のノードの日時をできるかぎり同じ日時に設定します。これを実現するために、ほとんどのオペレーティング・システムに付属しているネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)機能を使用することをお薦めします。
NTPは、ネットワークで接続されたサーバーの時計を同期させるように設計されたプロトコルです。NTPを使用すると、ネットワーク上の各サーバーがクライアント・ソフトウェアを実行し、参照NTPサーバーと呼ばれる1つ以上のサーバーに対して定期的にタイミング・リクエストを行います。タイミング・リクエストで戻された情報は、サーバーの時計を調整するために使用されます。
クラスタのすべてのノードで、同じ参照NTPサーバーを使用する必要があります。
OUIでは、様々なカーネル・パラメータの現在の設定をチェックして、Oracle RACのデプロイの最低要件を満たすかどうかを確認します。本番データベース・システムの場合は、ユーザーの特定のシステムのパフォーマンスを最適化するように設定をチューニングすることをお薦めします。
Oracle RACのインストール先とするオペレーティング・システムに固有の、またはクラスタと併用するコンポーネント用の、特別な構成手順の実行が必要になる場合があります。オペレーティング・システムに固有のインストール・タスクには、次のような例があります。
oracle
ユーザーのシェル制限を設定します。
参照:
この項では、Oracle Universal Installerを起動する前に完了する必要がある記憶域構成タスクについて説明します。次のタスクに関する情報が含まれます。
参照:
クラスタ内の各ノードには、Oracle Clusterware(Oracle Cluster Registryと投票ディスク)ファイルおよびOracleデータベース・ファイルを格納する外部共有ディスクが必要です。サポートされる共有記憶域のタイプは、ご使用のプラットフォームによって異なります。たとえば、次のものがあります。
すべてのインストールに対して、Oracle ClusterwareファイルおよびOracleデータベース・ファイルで使用する記憶域オプションを選択する必要があります。
Oracle Clusterwareファイルの格納にOCFS2を使用する場合は、ご使用のオペレーティング・システムのバージョンに適したバージョンのOCFS2を使用する必要があります。OCFS2は、Red Hat Linuxおよびカーネル・バージョン2.6で動作します。
このマニュアルの、Red Hat Linuxに基づく例では、共有ディスク・パーティションを使用してOracle Clusterwareファイルを格納し、ASMを使用してOracleデータベース・ファイルを格納します。Oracle ClusterwareおよびOracle RACソフトウェアは、共有ファイル・システムではなく、ローカル・ディスクにノードごとにインストールされます。
次の項では、Red Hat Linux上でOracle Clusterwareファイル用の共有ディスク・パーティションを構成する方法について説明します。
参照:
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Oracle Clusterwareリリース10.2以上では、Red Hat Enterprise Linux 4.0を使用する場合にRAWデバイスではなく、ブロック・デバイスを使用できます。Oracle Clusterwareファイルは、デフォルトで直接I/O(O_DIRECT)を使用するように構成されているため、ブロック・デバイスに直接書き込むことができます。
Oracle Clusterwareをインストールする前に、5つの共有ディスク・パーティションを構成する必要があります。
root
ユーザーとしてオペレーティング・システムにログインします。
docrac1
)で次のコマンドを入力します。
# /sbin/fdisk -l
追加した新規ブロック・デバイスまたはパーティション化されていない使用可能領域があるパーティション化済デバイスに、必要なディスク・パーティションを作成できます。パーティション化されていない使用可能領域があるデバイスを識別するには、既存のパーティションの開始シリンダ番号および終了シリンダ番号を調べ、未使用のシリンダがそのデバイスに含まれているかどうかを調査します。
ブロック・デバイスにパーティションを作成するには、root
ユーザーとして次のようなコマンドを入力します。devicename
はブロック・デバイスの名前です。
# /sbin/fdisk devicename
パーティションを作成する際は、次のガイドラインに従います。
p
コマンドを使用して、デバイスのパーティション表をリストします。
n
コマンドを使用して、パーティションを作成します。
w
コマンドを使用して、変更されたパーティション表をデバイスに書き込みます。
fdisk
のエントリを参照してください。
次の例では、fdisk
を使用して、最初のノードでブロック・デバイス/dev/sda
に280MBのパーティションを作成します。このパーティション(またはスライス)は、OCRディスクのために使用されます。OCRミラーのために、異なるディスクおよびディスク・コントローラに280MBのパーティションを別途作成します。各ファイルは、異なるディスクおよびディスク・コントローラに存在する必要があります。次の例の太字のテキストは、ユーザーが入力したコマンドを表します。
# /sbin/fdisk /dev/sda The number of cylinders for this disk is set to 1024. Command (m for help): p Disk /dev/sdb: 1073 MB, 107341824 bytes 34 heads, 61 sectors/track, 1011 cylinders Units = cylinders of 2074 * 512 = 1061888 bytes Device boot Start End Blocks ID System Command (m for help): n Command action e extended p primary partition (1-4) p Partition number (1-4): 1 First cylinder (1-1011, default 1): Using default value 1 Last cylinder of +size or +sizeM or +sizeK (1-1011, default 1011): +280M Command (m for help): w The partition table has been altered! Calling ioctl() to re-read partition table. Syncing disks. #
/dev/sdb
上に280MBのパーティションを作成します。このパーティションは、OCRミラーに使用されます。前述の例と同じプロンプトを使用します。
fdisk /dev/sdb
fdisk
コマンドを使用して、ブロック・デバイス/dev/sda
上に280MBのパーティションを作成します。このパーティションは、投票ディスク・ファイルに使用されます。投票ディスク・ファイルは、それぞれ異なるディスクおよびコントローラに存在する必要があります。
# /sbin/fdisk /dev/sda The number of cylinders for this disk is set to 1024. Command (m for help): n Command action e extended p primary partition (1-4) p Partition number (1-4): 2 First cylinder (8-1024, default 8): Using default value 8 Last cylinder of +size or +sizeM or +sizeK (8-1024, default 1024): +280M Command (m for help): w The partition table has been altered! Calling ioctl() to re-read partition table. Syncing disks. #
fdisk
コマンドを使用して、ブロック・デバイス/dev/sdb
上に280MBのパーティションを作成します。このパーティションは、投票ディスク・ファイルに使用されます。ファイルは、それぞれ異なるディスクおよびコントローラに存在する必要があります。
# /sbin/fdisk /dev/sdb The number of cylinders for this disk is set to 1024. Command (m for help): n Command action e extended p primary partition (1-4) p Partition number (1-4): 2 First cylinder (8-1024, default 8): Using default value 8 Last cylinder of +size or +sizeM or +sizeK (8-1024, default 1024): +280M Command (m for help): w The partition table has been altered! Calling ioctl() to re-read partition table. Syncing disks. #
fdisk
コマンドを使用して、ブロック・デバイス/dev/sdc
に280MBのパーティションを作成します。このパーティションは、投票ディスク・ファイルに使用されます。
# /sbin/fdisk /dev/sdc
コマンドを実行する際は、手順3と同じレスポンスを使用しますが、パーティションのサイズには+280M
を指定します。
docrac2
でroot
ユーザーとして、前述の手順3〜7で使用した各ディスクに対してpartprobe
コマンドを実行する必要があります。たとえば、前述のコマンドでディスク/dev/sda
、/dev/sdb
、および/dev/sdc
を構成した場合は、次のコマンドを実行します。
# /sbin/partprobe /dev/sda # /sbin/partprobe /dev/sdb # /sbin/partprobe /dev/sdc
これによって、クラスタ内のもう一方のノードで共有記憶域デバイスのカーネル・パーティション表が強制的にリフレッシュされます。
OUIを実行するセッションでは、Oracle Clusterwareのインストールを実行するインストール所有者(oracle
など)がOCRパーティションを所有している必要があります。インストール所有者は、OUIで書き込むことができるようにOCRパーティションを所有している必要があります。インストール中、OUIによってOCRパーティションの所有権がroot
に戻されます。
Red Hat Enterprise Linux 4.0システムを再起動する際、ブロック・デバイスに対する所有権および権限はデフォルトでroot
ユーザーに戻されます。このオペレーティング・システムでOracle Clusterwareファイル用にブロック・デバイスを使用している場合、このデフォルトを上書きする必要があります。
root
ユーザーとしてオペレーティング・システムにログインします。
/etc/udev/permissions.d
ディレクトリに変更します。
49-oracle.permissions
ファイルを作成し、ブロック・デバイスの適切な所有者を確認します。次に、/etc/udev/permissions.d/49-oracle.permissions
ファイルの内容の例を示します。
# OCR sda1:root:oinstall:0640 sdb1:root:oinstall:0640 # Voting Disks sda2:oracle:oinstall:0640 sdb2:oracle:oinstall:0640 sdc1:oracle:oinstall:0640 # ASM sdd:oracle:dba:0660 sde:oracle:dba:0660
oracle.permissions
ファイルの作成後、システムを次に再起動したときに共有デバイスに対する権限が自動的に設定されます。ただちに権限を有効にするには、システムを再起動せず、chown
コマンドおよびchmod
コマンドを使用します。
chown root:oinstall /dev/sda1 chmod 640 /dev/sda1 chown root:oinstall /dev/sdb1 chown 640 /dev/sdb1 chown oracle:oinstall /dev/sda2 chmod 640 /dev/sda2 chown oracle:oinstall /dev/sdb2 chown 640 /dev/sdb2 chown oracle:oinstall /dev/sdc1 chown 640 /dev/sdc1 chown oracle:dba /dev/sdd chown 660 /dev/sdd chown oracle:dba /dev/sde chown 660 /dev/sde
Oracle Universal Installer(OUI)では、指定した場所にOracleベース・ディレクトリが作成されます。Oracleベース・ディレクトリ(ORACLE_BASE
)は、Oracleソフトウェア・インストールの最上位ディレクトリとして機能します。Optimal Flexible Architecture(OFA)ガイドラインでは、Oracleベース・ディレクトリに対して次のようなパスを使用することをお薦めします。
/mount_point/app/oracle
前述のパスの例では、変数mount_point
がOracleソフトウェアをインストールしようとしているファイル・システムのマウント・ポイント・ディレクトリです。
Oracleベース・ディレクトリに対して使用するファイル・システムには、Oracle Databaseソフトウェアのインストールのため7GB以上の使用可能なディスク領域が必要です。Oracleベース・ディレクトリへのパスは、すべてのノード上で同じである必要があります。
Red Hat Linuxシステムの場合、df -h
コマンドを使用して、マウントされた各ファイル・システム上の使用可能なディスク領域を調べることができます。使用可能な領域が十分にあるファイル・システムを選択してください。このマニュアルで説明されるサンプル・インストールの場合、Oracle RACとASMをそれぞれ別のホーム・ディレクトリにインストールするには、選択したマウント・ポイントに7GB以上の使用可能な領域が必要です。このマニュアルの例では、Oracleベース・ディレクトリとして/opt/oracle/11gR1
を使用しています。
OUIでは、Oracle ClusterwareがCRS_homeと呼ばれるディレクトリ構造にインストールされます。このホームは、同じサーバー上にインストールされた他のOracle製品のホーム・ディレクトリとは別のものです。OUIでは、ユーザー用にCRSホーム・ディレクトリを作成します。インストールを開始する前に、Oracle Clusterwareディレクトリの作成に十分なディスク領域がファイル・システムに存在すること、およびroot
ユーザーがCRSホーム・ディレクトリを所有していることを確認してください。
CRSホーム・ディレクトリに使用するファイル・システムには、600MB以上の使用可能なディスク領域が必要です。CRSホーム・ディレクトリへのパスは、すべてのノード上で同じである必要があります。
Red Hat Linuxの場合、df -h
コマンドを使用して、マウントされた各ファイル・システム上の使用可能なディスク領域を調べることができます。使用可能な領域が適切なファイル・システムを選択してください。このマニュアルの例では、CRSホーム・ディレクトリとしてディレクトリ/crs
を使用しています。
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