この項では、Oracle Databaseリリース11の新規および変更されたセマンティク・テクノロジ機能について説明します。
この項では、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)の新規および変更された機能について説明します。
このリリースには、リリース11.1.0.7.0用の個別パッチ7600122で提供された機能も含まれます(「リリース11.1.0.7用に追加された機能(2008年11月)」のリストを参照)。
リリース11.2.0.2: セマンティク・テクノロジ・インストールが無効である場合に必要なアクション: リリース11.2.0.2.0へのアップグレード後にセマンティク・テクノロジ・インストールが無効である場合、追加アクションが必要になることがあります。詳細は、A.1.4項を参照してください。 |
次に、Oracle Databaseリリース11.2.0.3.0用の個別パッチの新規および変更された機能を示します(プレースホルダ・バグ16679453)。
SEM_MATCHテーブル・ファンクションのoptions
パラメータの新しいDO_UNESCAPE=T
オプションによって、返却列の文字は、W3CのN-Triples仕様に従ってエスケープされません(1.6項「SEM_MATCHテーブル・ファンクションを使用したセマンティク・データの問合せ」を参照)。
時間の経過に伴うトリプルの削除によって、RDF_VALUE$表の値のサブセットは、現在セマンティク・ネットワークに含まれるどのRDFトリプルまたはルールでも使用されなくなる可能性があります。このような使用されていない値の数が多くなり、RDF_VALUE$表の大部分を占めるようになった場合、SEM_APIS.PURGE_UNUSED_VALUESサブプログラムを使用して未使用値をパージできます(1.7.5項「未使用値のパージ」を参照)。
SEM_APIS PL/SQLパッケージの既存のサブプログラムに次の重要な変更が加えられました。
SEM_APIS.BULK_LOAD_FROM_STAGING_TABLEには、新しいCOLLECT_PRELOAD_STATS=
<scope>
オプションおよび複数の<stats_scope>_<stats_param>=<number>
オプションが含まれます。PARALLEL_CREATE_INDEX
オプションは削除されました。
2011年11月に利用可能になった更新済のJena Adapterキットには、次の機能が含まれます。
Jena 2.6.4、ARQ 2.8.8およびJoseki 3.4.4のサポートが追加されました(7.2項を参照)。
Java APIおよびJoseki Webサービス・エンドポイント用の名前付きグラフのサポートが追加されました(7.8項「SPARQLの更新のサポート」、7.10.4項「推論オプションの指定」、7.11項「Jena Adapterを使用したバルク・ロード」および7.15.7項「Test11.java: 名前付きグラフを含む問合せ」を参照)。
SPARQL Update 1.1のサポートが追加されました(7.8項を参照)。
Attachment
、GraphOracleSem
またはDatasetGraphOracleSem
クラスのsetInferenceOption(String options)
プロシージャを使用して伴意コールにオプションを追加できます(7.10.4項を参照)。
SPARQL問合せのレスポンス用にJavaScript Object Notation (JSON)形式のサポートが追加されました(7.13項を参照)。
S2S
(SPARQL to pure SQL)問合せオプションは、現在、すべてのSPARQL問合せに対してデフォルトで有効化されています(7.6.4項を参照)。
新しいOracleGraphWrapperForOntModel
クラスによって、Oracle Databaseに格納されたモデルとともにJena OntModel
クラスを使用する場合に、優れたパフォーマンスが発揮されます(7.14.5項を参照)。
述語oracle:virtualModelName
を使用することで、SPARQL問合せに応答するためのフォルトのモデルとして仮想モデルを指定できます(7.2.2項を参照)。
Jena Adapter for Oracle Databaseは、既知のJenaグラフおよびJenaモデルのAPIを実装することで、Oracleセマンティク・テクノロジへのJavaベースのインタフェースを提供します。Jena Adapterのダウンロードおよび使用の詳細は、第7章を参照してください。
注意: Jena Adapterの更新は、その初期リリースから使用可能になっています。更新の新しい機能の詳細は、ダウンロード.zipファイルに含まれるREADMEファイルを参照してください。 |
パッチ9825019 (SEMANTIC TECHNOLOGIES 11G R2 FIX BUNDLE 3)によって、名前付きグラフ・データの次の操作をサポートする機能が追加されました。
ロード
問合せ
推論
1.3.9項で、名前付きグラフのサポートの概要を示します。この項には、名前付きグラフ・データの特定の操作の実行に関する項へのリンクも含まれます。
パッチ9825019 (SEMANTIC TECHNOLOGIES 11G R2 FIX BUNDLE 3)によって、Oracle Databaseセマンティク・テクノロジでは、orageo:WKTLiteral
型付きリテラルとしてエンコードされた空間ジオメトリ・データの格納がサポートされ、空間操作用の問合せ機能のセットが提供されます。
RDFの空間データの表現、索引付けおよび問合せの詳細は、1.6.6項を参照してください。
パッチ9825019 (SEMANTIC TECHNOLOGIES 11G R2 FIX BUNDLE 3)によって、データ型索引(セマンティク・ネットワークに格納された型付きリテラルの値に対する索引)は、特定のタイプのFILTER式を含むSEM_MATCH問合せのパフォーマンスを大幅に向上する可能性があります。
1.9項に、データ型索引の使用方法の説明と、データ型索引を作成、変更および削除する新しいプロシージャに関するリファレンス情報へのリンクがあります。
SPARQL Gateway (7.16項「SPARQL Gatewayとセマンティク・データ」を参照)が、2011年9月のJena Adapterの更新で追加されました。(Jena Adapterの以前のバージョンを使用中で、SPARQL Gatewayを使用しない場合、2011年9月の更新をダウンロードしてインストールする必要はありません。)
(リリース11.2.0.2で有効) SEM_MATCHのSPARQLコメントを使用してインラインHINT0問合せオプティマイザ・ヒントを埋め込むことが可能で、SPARQL問合せの非ルートBGPにオプティマイザ・ヒントを関連付けることができます。また、BGP間の結合に影響を与える新しいヒントが導入されました。詳細は、1.6.4項「インライン問合せオプティマイザ・ヒント」を参照してください。
(リリース11.2.0.2で有効) MDSYS.RDF_VALUE$表にOracle Text索引を作成し、orardf:textContains
SPARQL FILTERファンクションを使用してセマンティク問合せで効率的な全文検索を実行できます。詳細は、1.6.5項「全文検索」を参照してください。
RDFデータのOracle Label Security (OLS)によって、以前から使用可能であったリソースレベル・セキュリティに加え、トリプルレベル・セキュリティ・オプションが提供されます。トリプルレベルによって、パフォーマンスと使いやすさが向上します(5.2.1項「トリプルレベル・セキュリティ」を参照)。
OWL 2 RLプロファイルが、システム定義のルールベースOWL2RL
の追加によってサポートされます(2.1.2項「サポートされるOWLサブセット」を参照)。
次の機能は、2010年3月にOracle Technology Network (OTN)で利用可能になったリリース11.2のセマンティク・テクノロジ・パッチに含まれます。これらの機能を使用するには、このパッチを適用する必要があります。
1.6.7.1項「xsd:dateTime、xsd:dateおよびxsd:timeを含むFILTER構成要素」および1.6.7.2項「型付きリテラルを含むFILTER構成要素のファンクション・ベース索引」の推奨ベスト・プラクティス
第9章「SEM_APISパッケージのサブプログラム」のSEM_APIS.GETV$...形式の名前を持つファンクション
また、A.1.2項「リリース11.1からのセマンティク・テクノロジ・サポートのアップグレード」がA.1.2.1項「空のRDFリテラルの処理」を含むように拡張されました。
Sesame Adapter for Oracle Databaseは、一般的なSesame Java APIをOracleセマンティク・テクノロジ・サポートに統合します。Sesame Adapterのダウンロードおよび使用の詳細は、第8章を参照してください。
注意: Sesame Adapterのサポートは、2010年1月にOracle Technology Network (OTN)で使用可能になったパッチで提供され、2010年3月または4月に使用可能になったパッチで更新されました。 |
セマンティク索引付けを使用して、構造化されていないドキュメントから抽出された情報に対して問合せを実行できます。セマンティクに索引付けされたドキュメントは、標準のSQL問合せ内でSEM_CONTAINS演算子を使用して検索できます。セマンティク索引付けの使用方法の詳細は、第4章を参照してください。
SEM_RDFCTX PL/SQLパッケージには、ドキュメントに作成されるエクストラクタ・ポリシーおよびセマンティク索引を管理するサブプログラムが含まれます。このパッケージの詳細は、第12章を参照してください。
Oracle Databaseの仮想プライベート・データベース(VPD)またはOracle Label Security (OLS)機能を使用して、RDFデータのファイングレイン・アクセス制御メカニズムを実施できます(第5章を参照)。
Oracle Workspace Managerを使用して、セマンティク・データ・ストアのRDFデータをバージョン対応にできます(第6章を参照)。
データベースでセマンティク・テクノロジ・サポートを有効化、ダウングレードおよび削除するためのプロシージャが再設計されました。これらのプロシージャの詳細は、付録Aを参照してください。
Oracleセマンティク・テクノロジ・サポートに関連するタイプ、シノニムまたはPL/SQLパッケージを使用するには、特定のアクションを実行し、前提条件を満たしておく必要があります。これらのアクションおよび前提条件の詳細は、A.1項を参照してください。
SEM_APIS.CREATE_ENTAILMENTプロシージャのoptions
パラメータにRAW8=T
を指定することで、推論プロセス中に作成された多くの中間表にNUMBERのかわりにRAW8データ型を使用できます。このオプションによって、状況によっては最大で30%伴意パフォーマンスが向上する可能性があります。
SEM_MATCHテーブル・ファンクションでサポートされる中カッコ構文に、キーワードのOPTIONALに加え、FILTERまたはUNION (あるいはその両方)を指定できるようになりました。これらのキーワードの詳細は、1.6.2項を参照してください。
Simple Knowledge Organization System (SKOS)データ・モデルのコア・サブセットに基づいて推論を実行できます(第3章を参照)。
owl:intersectionOf
やowl:unionOf
などのOWL構成要素を網羅する追加の推論コンポーネントを指定できます(第9章のSEM_APIS.CREATE_ENTAILMENTプロシージャの「使用方法」にある表9-1「inf_components_inパラメータの推論キーワード」を参照)。
現在のリリースには、Systematized Nomenclature of Medicine - Clinical Terms (SNOMED CT)の用語の表現をサポートする組込みのルールベースが含まれます。このサポートを含めるには、SEM_APIS.CREATE_ENTAILMENTプロシージャのコールでinf_components_in
パラメータにSNOMED
キーワードを指定します。
SEM_PERF.GATHER_STATSプロシージャは、現在、just_on_values_table
とparallel
という2つのパラメータ(両方ともオプション)を受け入れます。このプロシージャの詳細は、第11章を参照してください。
SEM_APIS PL/SQLパッケージで、名前に_RULES_INDEXが含まれるサブプログラムは非推奨になり、このマニュアルから削除されました。かわりに、名前に_ENTAILMENTが含まれるサブプログラムを使用する必要があります。
SEM_APIS.ALTER_SEM_INDEX_ON_RULES_INDEXのかわりに、SEM_APIS.ALTER_SEM_INDEX_ON_ENTAILMENTを使用します。
SEM_APIS.ANALYZE_RULES_INDEXのかわりに、SEM_APIS.ANALYZE_ENTAILMENTを使用します。
SEM_APIS.CREATE_RULES_INDEXのかわりに、SEM_APIS.CREATE_ENTAILMENTを使用します。
SEM_APIS.DROP_RULES_INDEXのかわりに、SEM_APIS.DROP_ENTAILMENTを使用します。
SEM_APIS.LOOKUP_RULES_INDEXのかわりに、SEM_APIS.LOOKUP_ENTAILMENTを使用します。
古い*_RULES_INDEX形式は引き続き動作しますが、*_ENTAILMENTサブプログラムの使用に切り替えることをお薦めします。
いくつかのメタデータ・ビューには、現在も名前にRULES_INDEXが含まれることに注意してください。
伴意とルール索引という用語は、このマニュアルでは同じ意味ですが、主に伴意が使用されます。
次に、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の新規および変更された機能について説明します。
この項では、2008年11月にMy Oracle Supportで利用可能になったリリース11.1.0.7.0用の個別パッチ7600122に含まれる機能について説明します。
仮想モデルのサポート(1.3.8項を参照)
OPTIONAL構成要素のサポートを含むSEM_MATCHグラフ・パターンの中カッコの構文(1.6.2項を参照)
SEM_MATCH問合せでのHINT0 (ヒント・ゼロ)の使用(1.6項を参照)
SEM_MATCHから戻される新しい列: id、_prefix、_suffix (1.6項を参照)
モデルおよびルール索引にセマンティク・ネットワーク索引を作成して管理する機能(1.8項を参照)
SEM_APIS.BULK_LOAD_FROM_STAGING_TABLEプロシージャ: flags
パラメータの新しいオプション(タスクIZC
、MBV
およびMBT
用のjoin_hint
とparallel=
n
)
ステージング表の定義(列の減少)および権限要件の簡略化(1.7.1項を参照)
バルク・ロード中のイベント・トレースの簡略化(1.7.1.2項の新しいRDF$ET_TAB表に関する情報を参照)
記憶域モデルは、OWL推論をサポートするように拡張されました(いくつかの内部データ構造および索引が変更、追加および削除されました)。これらの変更の結果、パフォーマンスも向上しています。
これらの変更の範囲に含まれるため、以前のリリースで使用していたセマンティク・データがある場合、このリリースの新しい機能を使用するには、そのデータをアップグレードして新しい形式に移行する必要があります。詳細は、付録A「セマンティク・テクノロジ・サポートの有効化、ダウングレードまたは削除」を参照してください。
Web Ontology Language (OWL)ベースのオントロジの格納、検証および問合せを支援するためのサポートが追加されました。サポートは、OWL DL言語のサブセットに提供されます。
オントロジ・データを問い合せるには、セマンティク関係を調査するテーブル・ファンクションおよび演算子(SEM_MATCH、SEM_RELATED、SEM_DISTANCEなど)を使用します。
ステージング表の使用とSEM_APIS.BULK_LOAD_FROM_STAGING_TABLEプロシージャのコールを通じて、セマンティク・データをバルク・ロードする際のパフォーマンスを向上できます。詳細は、1.7.1項を参照してください。
オントロジをデータに関連付け、新しいSEM_RELATED演算子(およびオプションでそのSEM_DISTANCE補助演算子)を使用することで、構文的な一致を超えて、リレーショナル・データのセマンティク関係ベースの問合せを実行できます。新しいSEM_INDEXTYPE索引タイプによって、セマンティク問合せのパフォーマンスが向上します。
Oracleセマンティク・テクノロジ・サポートに関連するタイプ、シノニムまたはPL/SQLパッケージを使用するには、セマンティク・テクノロジのサポートを有効にする必要があります。詳細は、付録A「セマンティク・テクノロジ・サポートの有効化、ダウングレードまたは削除」を参照してください。