Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド 11gリリース2 (11.2) for Microsoft Windows x64 (64-Bit) B58876-07 |
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この章では、インストーラを起動してOracle ClusterwareとOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)をインストールする前、およびOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)のインストールをクラスタへ追加する前に完了しておく必要がある、記憶域の構成作業について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
この項では、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureソフトウェアの格納用にサポートされているオプションと共有ファイルについて説明します。この章には次の項目があります。
関連項目: ネットワーク接続ストレージ・オプションのサポートされているベンダーのリストについては、My Oracle Supportの「動作保証」ページを参照してください。動作保証の情報にアクセスする方法については、第2.4項「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」を参照してください。 |
Oracle Clusterware投票ディスクは、クラスタ・ノードのステータスの監視に使用され、Oracle Cluster Registry(OCR)は、構成情報とクラスタのステータスが格納されるファイルです。OCRは、インストーラによって、Oracle Clusterwareのインストール時に自動的に初期化されます。Oracle Database Configuration Assistant (DBCA)は、OCRを使用して、作成するクラスタ・データベースの構成情報を格納します。
投票ディスクとOCRファイルは、Oracle ASMディスク・グループまたはクラスタ・ファイル・システムのいずれかに配置できます。記憶域は共有される必要があります。構成されている投票ディスクの大半(過半数)が利用できないノードは再起動されます。
記憶域オプションが高可用性の要件を満たすには、1つ以上のディスクに障害が発生しても、障害が発生したディスクに格納されているデータをリカバリできるように、ディスクに格納されるファイルをデータ冗長性によって保護する必要があります。この冗長性を、Redundant Array of Independent Disks (RAID)デバイス、または複数の物理デバイス上の論理ボリュームを使用して外部で提供し、すべてをストライプおよびミラー化する方法(SAMEと呼ばれる)を実装できます。RAIDデバイスも論理ボリュームもない場合は、異なるファイル・システム上にファイルの追加のコピー(ミラー)を作成できます。ファイルをミラー化する場合は、追加のOCRファイルおよび2つ以上の追加の投票ディスク・ファイル用にディスク領域を指定する必要があります。
各OCRの場所は、異なるディスクに配置する必要があります。投票ディスク・ファイルを配置する場合は、ファイルがハードウェア・デバイスまたはディスクを共有しないように、または他のシングル・ポイント障害の影響が他の投票ディスクに及ばないように、各ファイルを構成する必要があります。構成されている投票ディスクの大半(過半数)が利用できないノードは再起動されます。
Oracle Clusterwareファイル用に記憶域オプションを選択する場合は、次のガイドラインを使用します。
選択した記憶域オプションの要件がすべて満たされている場合、各ファイル・タイプでサポートされている記憶域オプションのいずれの組合せでも使用できます。
共有記憶域として、Oracle ASM 11gリリース2 (11.2)を使用できます。この目的では、以前のリリースのOracle ASMは使用できません。
外部ファイルの冗長性が適用される記憶域オプションがない場合は、投票ディスクの場所を3つ以上構成して、冗長性を確保する必要があります。
Oracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)は、共有ファイル・システムに格納することはできません。ローカル・ディスクにインストールする必要があります。
Oracle ClusterwareファイルをOracle ASMに格納し、ディスク・グループに冗長性を使用すると、Oracle ASMにより、ディスク・グループの冗長性に基づいて、最適な投票ファイル数が自動的に維持されます。投票ファイルは1つのディスク・グループに作成され、このディスク・グループに投票ファイルを手動で追加することはできません。
すべてのOracle RACインストールで、Oracle Databaseファイルに使用するために、共有記憶域オプションを選択する必要があります。Oracle Databaseファイルには、データ・ファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイル、サーバー・パラメータ・ファイルおよびパスワード・ファイルが含まれています。また、インストール中に自動バックアップを有効にするには、リカバリ・ファイル(高速リカバリ領域)に使用する共有記憶域オプションを選択する必要があります。
次のガイドラインに従って、Oracle Databaseファイルで使用する記憶域オプションを選択します。
リカバリ・ファイル用に選択する共有記憶域オプションは、データ・ファイル用に選択する共有記憶域オプションと同じであっても、異なっていてもかまいません。ただし、リカバリ・ファイルの格納にRAWデバイスは使用できません。
RAWデバイスは、既存のインストールをアップグレードする場合、および以前に構成したRAWパーティションを使用する場合にのみサポートされます。新規インストールでのRAWディスクまたはパーティションの使用は、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistant (ASMCA)やOracle Universal Installer (OUI)ではサポートされていませんが、データベースを手動で構成する場合は、Oracle RACでサポートされます。
関連項目: 既存のデータベースをアップグレードするための準備方法については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
選択した記憶域オプションの要件がすべて満たされている場合、各ファイル・タイプでサポートされている共有記憶域オプションのいずれの組合せでも使用できます。
データベースのデータ・ファイルおよびリカバリ・ファイルの共有記憶域オプションとして、Oracle ASMを選択することをお薦めします。
Standard EditionのOracle RACインストールでは、データベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルの共有記憶域オプションとして、Oracle ASMのみがサポートされています。Oracle RACデータ・ファイル、オンラインREDOログ、アーカイブREDOログ、制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)および高速リカバリ領域の記憶域として、Oracle ASMを使用する必要があります。
Oracle RACでOracle ASMを使用するために新しいOracle ASMインスタンスを構成する場合は、システムが次の条件を満たしている必要があります。
クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールの一部として、クラスタ内のすべてのノードにOracle ClusterwareおよびOracle ASM 11gリリース2 (11.2)がインストールされている。
Oracle RACをインストールする前またはOracle RACデータベースを作成する前に、クラスタ内のすべてのノードで既存のすべてのOracle ASMインスタンスが停止されている。
Oracle Grid Infrastructureのインストール中、1つのディスク・グループを作成できます。Oracle Grid Infrastructureのインストール後、ASMCA、SQL*PlusまたはASMCMDを使用して追加のディスク・グループを作成できます。Oracle Database 11gリリース2 (11.2)以上のリリースでは、Oracle Database Configuration Assistant (DBCA)にOracle ASM用のディスク・グループを作成する機能がないことに注意してください。
Oracle Grid Infrastructureをインストールした後にOracle DatabaseまたはOracle RACをインストールする場合は、データベース・ファイル、OCRおよび投票ディスク・ファイル用に同じディスク・グループを使用しても、異なるディスク・グループを使用してもかまいません。Oracle RACをインストールする前またはデータベースを作成する前に複数のディスク・グループを作成する場合は、次のいずれかを行うように決定できます。
データ・ファイルおよびリカバリ・ファイル用に同じOracle ASMディスク・グループを使用する
ファイル・タイプごとに異なるディスク・グループを使用する
記憶域用に1つのディスク・グループのみを作成した場合は、OCRと投票ディスク・ファイル、データベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルは1つのディスク・グループに格納されます。記憶域用に複数のディスク・グループを作成した場合は、異なるディスク・グループにファイルを配置するように選択できます。
注意: 既存のディスク・グループを管理するOracle ASMインスタンスは、Gridホームで実行されている必要があります。 |
関連項目:
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ネットワーク接続ストレージ(NAS)・システムでは、データへのアクセスにネットワーク・ファイル・システム(NFS)が使用されます。Oracle Direct NFSクライアントを使用して、サポートされているNASサーバーにOracle RACデータ・ファイルとリカバリ・ファイルを格納できます。
Oracle RACのインストールを開始する前に、NFSファイル・システムをマウントして使用可能にしておく必要があります。NFSの構成とマウントについては、ベンダーのドキュメントを参照してください。
Oracle DatabaseソフトウェアおよびデータベースがNFS記憶域を使用している場合、そのパフォーマンスは、データベース・サーバーとNASデバイス間のネットワーク接続のパフォーマンスによって左右されることに注意してください。そのため、データベース・サーバー(またはクラスタ・ノード)とNASデバイスの接続には、ギガビット・イーサネット以上のプライベートな専用ネットワーク接続を使用することをお薦めします。
Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)は、汎用のファイル・システムです。Oracle ACFSにOracle Database 11gリリース2 (11.2)のデータベース用のOracleホームを配置できますが、Oracleデータ・ファイルまたはOracle ClusterwareファイルはOracle ACFSに配置できません。Oracle ACFSの次の点に注意してください。
Oracle Clusterwareの実行可能ファイルまたは共有ファイルをOracle ACFSに配置することはできません。
Oracle Databaseの実行可能ファイルおよび管理ファイル(トレース・ファイルなど)をOracle ACFSに配置することができます。
Oracle ACFSは、Oracleデータ・ファイル以外のファイル・タイプ用に、汎用ファイル・システムを提供します。
関連項目: ACFSの使用の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。 |
Oracleデータ・ファイルをWindows用のOracle Cluster File System(Windows用のOCFS)に格納する場合は、次のガイドラインに従って格納先を決定します。
データ・ファイルを格納するために、単一のクラスタ・ファイル・システムまたは複数のクラスタ・ファイル・システムを選択できます。
単一のクラスタ・ファイル・システムを使用する場合は、そのデータベース専用の物理デバイスにあるクラスタ・ファイル・システムを選択します。
パフォーマンスおよび信頼性を高めるために、複数の物理デバイスでRAIDデバイスまたは論理ボリュームを選択し、すべてをストライプ化およびミラー化する方法(SAME)を実装します。
複数のクラスタ・ファイル・システムを使用する場合は、そのデータベース専用の単独の物理デバイスまたはパーティション上のクラスタ・ファイル・システムを選択します。
この方法によって、物理I/Oを分散させ、別々のデバイスで個々に制御ファイルを作成して、信頼性を向上できます。また、Oracle Optimal Flexible Architecture(OFA)のガイドラインを完全に実装できます。この方法を実装するには、OUIで「詳細」データベース作成オプションを選択する必要があります。
インストール中に事前構成済データベースを作成する場合、選択するクラスタ・ファイル・システムには4GB以上の空きディスク領域が必要です。
最適なパフォーマンスを得るため、データベース専用に使用される物理デバイスに存在するクラスタ・ファイル・システムを選択する必要があります。
注意: Windows用のOCFSに使用するディスクにNew Technology File System(NTFS)パーティションを作成する必要はありません。 |
Windows用のOCFSでは、NFSまたはWindowsネットワーク共有を介したネットワーク・アクセスはサポートされません。
インストール時に自動バックアップを有効にする予定がある場合にのみ、Oracle Databaseリカバリ・ファイル用の場所をインストール前に選択しておく必要があります。
クラスタ・ファイル・システムにリカバリ・ファイルを配置する場合は、配置する場所を決定するときに次のガイドラインを使用します。
ディスク障害が発生した場合にデータベース・ファイルとリカバリ・ファイルが使用不可能にならないように、リカバリ・ファイルは、データベース・ファイルとは別の物理ディスクにあるクラスタ・ファイル・システムに格納します。
注意: いずれかまたは両方のファイル・タイプに標準または高冗長レベルのOracle ASMディスク・グループを使用するか、または外部冗長を使用する方法もあります。 |
選択するクラスタ・ファイル・システムには、3GB以上の空きディスク領域が必要です。
ディスク領域要件は、高速リカバリ領域に対して設定(DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
初期化パラメータで指定)された、デフォルトのディスク割当て制限です。
「詳細」データベース構成オプションを選択すると、異なるディスク割当て容量の値を指定できます。データベースを作成した後、Oracle Enterprise Managerを使用して、別の値を指定することもできます。
関連項目: 高速リカバリ領域のサイジングの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。 |
Oracle ClusterwareとOracle RACデータベースの両方とも、クラスタ内のすべてのノードで使用できる必要があるファイルを使用します。これらのファイルは、サポートされているタイプの共有記憶域に配置される必要があります。
Oracle Grid InfrastructureとOracle RACのインストール中、どのタイプの共有記憶域を使用するかを決定するときに次のトピックを確認します。
Oracle Grid Infrastructureソフトウェアは、クラスタ・ファイル・システムにインストールすることはできません。Oracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)は、NTFSフォーマットされたローカルのディスクに存在する必要があります。
共有Oracle Clusterwareファイルの格納には、次の2つの方法があります。
Oracle ASM: Oracle Clusterwareファイル(OCRおよび投票ディスク)をOracle ASMのディスク・グループにインストールできます。
標準インストールとStandard EditionのOracle RACインストールにおいて、Oracle ASMは必須のデータベース記憶域オプションです。それは、Oracle ClusterwareとOracle Databaseファイル用の、統合された高性能のデータベース・ファイル・システムおよびディスク・マネージャです。データベース・ファイルのストライプ化およびミラー化を自動的に実行します。
Windows用のOCFS: Windows用のOCFSは、Microsoft WindowsプラットフォームでOracle ClusterwareとOracle RACファイルの記憶域として使用できる、唯一サポートされている別のクラスタ・ファイル・システムです。Windows用のOCFSは、Linuxプラットフォームで使用できるOCFS2とは異なります。
Windows用のOCFSは、Microsoft Windowsプラットフォーム向けのOracle Grid InfrastructureとOracle RACのインストール・メディアに含まれており、Oracle Clusterwareで自動的にインストールされます。ただし、新規インストールの場合は、Oracle ASMを使用してOCRと投票ディスク・ファイルを格納することをお薦めします。Oracle ClusterwareファイルにWindows用のOCFSを使用することはお薦めしません。
注意: Oracle Clusterwareファイルを、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)に配置することはできません。Oracle Grid Infrastructureは、クラスタ・ファイル・システムにインストールすることはできません。 |
関連項目: サポートされているクラスタ・ファイル・システムについては、My Oracle Supportの「動作保証」ページを参照してください。第2.4項「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」を参照してください。 |
表3-1「Oracle ClusterwareとOracle RACファイルおよびホーム・ディレクトリでサポートされている記憶域オプション」には、Oracle ClusterwareおよびOracle RACファイルを格納するために使用できる記憶域オプションが示されています。
注意: Oracle ClusterwareおよびOracle RACインストールでサポートされる記憶域オプションの最新情報は、My Oracle Support Webサイトの「動作保証」ページを参照してください。第2.4項「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」を参照してください。 |
すべてのノードで共有する必要があるOracle Database(Oracle RAC)ファイルを格納するには、いくつかの方法があります。
Oracle ASM: Oracle ASMディスク・グループにOracle RACデータ・ファイルとリカバリ・ファイルを作成できます。
標準インストールとStandard EditionのOracle RACインストールにおいて、Oracle ASMは必須のデータベース記憶域オプションです。
サポートされている共有ファイル・システム: サポートされているファイル・システムには、次のものがあります。
Windows用のOCFS: Windows用のOCFSは、Oracle Databaseバイナリとデータ・ファイルの格納に使用されるクラスタ・ファイル・システムです。データベース記憶域としてWindows用のOCFSを使用する場合は、Windows用のOCFSによって使用される未フォーマットのディスク・パーティションを作成するときに、すべてのデータベースとリカバリ・ファイルに対応できる十分な大きさのパーティションを作成する必要があります。
Oracle ACFS: Oracle ACFSは、管理ファイルおよび外部汎用データ・ファイルを格納できる汎用ファイル・システムを提供します。Oracle ACFSにOracle Databaseソフトウェアをインストールできます。
注意: Oracle ClusterwareまたはOracle Databaseデータ・ファイルをOracle ACFSに配置することはできません。 |
関連項目: サポートされているクラスタ・ファイル・システムについては、My Oracle Supportの「動作保証」ページを参照してください。第2.4項「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」を参照してください。 |
ネットワーク・ファイル・システム(NFS)とOracle Direct NFSクライアント: Oracle内部のDirect NFSクライアントを直接使用してNFS V3サーバーにアクセスするように、Oracle RACを構成できます。
表3-1に、Oracle ClusterwareおよびOracle RACファイルを格納するために使用できる記憶域オプションを示します。
表3-1 Oracle ClusterwareとOracle RACファイルおよびホーム・ディレクトリでサポートされている記憶域オプション
注意: Oracle ClusterwareおよびOracle RACインストールでサポートされる記憶域オプションの最新情報は、My Oracle Support Webサイトの「動作保証」ページを参照してください。第2.4項「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」を参照してください。 |
サポートされている各ファイル・システム・タイプには、Oracle ClusterwareおよびOracle RACをサポートするために満たす必要がある追加の要件があります。記憶域オプションを選択する際に、次の項を参考にしてください。
Oracle ClusterwareファイルにWindows用のOCFSを使用するには、次の要件に準拠する必要があります。
OCRファイルを共有ファイル・システムに配置するように選択する場合は、次のいずれかに該当していることが推奨されます。
ファイル・システムに使用されるディスクが、高可用性のストレージ・デバイス(ファイルの冗長性を実装しているRAIDデバイスなど)にある。
2つ以上のファイル・システムがマウントされていて、Oracle Clusterware 11gリリース2 (11.2)の機能を使用してOCRおよび投票ディスクに冗長性を提供している。
RAIDデバイスを使用してOracle Clusterwareファイルを格納する場合は、OCR用に280MB以上の使用可能な領域と、投票ディスクごとに280MBを持つパーティションが必要です。
OCRと投票ディスク・ファイルの高可用性を提供するためにOracle Clusterwareの冗長機能を使用する場合、3つ以上のファイル・システムが必要となり、OCRと投票ディスク用に各ファイル・システムに560MBの使用可能領域が必要になります。
注意: Windows用のOCFSが使用できる最小のパーティション・サイズは、500MBです |
たとえば、ハードウェア・レベルで冗長性(外部冗長)を提供していないクラスタ・ファイル・システムにすべてのOCRおよび投票ディスク・ファイルを格納するには、3つ以上のボリューム(OCRおよび投票ディスク・ファイル用に3つの別々のボリューム位置で、1つのボリュームに1つのファイル)で約2GBの記憶域が使用可能である必要があります。データが冗長構成されるファイル・システムでは、OCRを格納するために280MBの使用可能な領域と、投票ディスク・ファイルごとに560MBの使用可能な領域を持つ物理ディスクが1つのみ必要です。
Oracle ASMを使用するための記憶域要件を指定するには、必要なデバイス数およびディスクの空き領域を確認する必要があります。この作業を実行するには、次の手順を実行します。
ヒント: 次の手順を実行する際に、Oracle ASMディスク・グループを作成するために使用するRAWデバイス名のリストを作成し、Oracle Grid Infrastructureのインストール中またはOracle RACデータベースの作成時にこの情報を使用できるようにします。 |
Oracle ASMを、Oracle Clusterwareファイル(OCRおよび投票ディスク)、Oracle Databaseデータ・ファイル、リカバリ・ファイルまたはすべてのファイル・タイプに使用するかを決定します。
注意:
|
Oracle RACデータベースの自動バックアップを有効にする場合は、共通記憶域に高速リカバリ領域を配置する必要があります。高速リカバリ領域にOracle ASMディスク・グループを指定して、リカバリ・ファイルの共有記憶域メカニズムとしてOracle ASMを選択できます。インストール時に選択するデータベースの作成方法に応じて次のいずれかを選択します。
Oracle Databaseのインストールを実行する前にOracle ASMディスク・グループを作成し、DBCAを対話型モードで実行するインストール方法を選択した場合(「詳細」データベース構成オプションを選択した場合など)、データ・ファイルおよびリカバリ・ファイルに同じOracle ASMディスク・グループを使用するかどうかを決定できます。それぞれのファイル・タイプで異なるディスク・グループを使用するように選択することもできます。データ・ファイル用とリカバリ・ファイル用に、別々のOracle ASMディスク・グループを作成することをお薦めします。
インストール後にDBCAを使用してデータベースを作成する場合も、同様の選択ができます。
非対話型モードでDBCAを実行するインストール・タイプを選択した場合は、データ・ファイルとリカバリ・ファイルに同じOracle ASMディスク・グループを使用する必要があります。選択するOracle ASMディスク・グループは、インストールまたはDBCAを開始する前に作成済である必要があります。
Oracle ASMディスク・グループに使用するOracle ASMの冗長性レベルを選択します。
Oracle ASMディスク・グループに選択した冗長レベルによって、Oracle ASMでディスク・グループ内のファイルをミラー化する方法および必要となるディスク数とディスク領域が決まります。冗長レベルは、次のとおりです。
外部冗長
外部冗長ディスク・グループでは、最小で1台のディスク・デバイスが必要です。外部冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計です。
Oracle ASMは外部冗長ディスク・グループ内のデータをミラー化しないため、RAIDなどのストレージ・デバイスによる外部冗長を使用するか、または独自のデータ保護メカニズムを持つ類似デバイスを使用することをお薦めします。
外部冗長を選択した場合でも、3つ以上の投票ディスクを構成しておく必要があります。各投票ディスクは独立したエンティティで、ミラー化できないためです。
標準冗長
標準冗長ディスク・グループでは、最小で2台のディスク・デバイス(または2つの障害グループ)が必要です。標準冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、すべてのデバイスのディスク領域の合計の半分です。
Oracle Clusterwareファイルの場合、標準冗長のディスク・グループは最小で3台のディスク・デバイスを必要とし、3つの投票ディスク・ファイル、つまりOCRに1つ、OCRコピーに2つ(プライマリとセカンダリ・ミラーに1つずつ)を提供します。標準冗長のディスク・グループを使用すると、クラスタは障害グループを1つ失っても存続できます。
ほとんどの使用環境では、標準冗長ディスク・グループを選択することをお薦めします。
高冗長
高冗長ディスク・グループでは、Oracle ASMはデフォルトで3方向のミラー化を使用してパフォーマンスを向上させ、最高レベルの信頼性を提供します。高冗長ディスク・グループでは、最小で3台のディスク・デバイス(または3つの障害グループ)が必要です。高冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の3分の1です。
Oracle Clusterwareファイルの場合、高冗長のディスク・グループは最小で5台のディスク・デバイスを必要とし、5つの投票ディスク・ファイル、つまりOCRに1つ、OCRのコピーに3つ(プライマリに1つ、セカンダリ・ミラーに2つ)を提供します。高冗長のクラスタは、障害グループを2つ失っても存続できます。
高冗長ディスク・グループでは、高レベルのデータ保護が提供されますが、この冗長レベルの使用を決定する前に、追加するストレージ・デバイスのコストを考慮する必要があります。
注意: ディスク・グループの作成後に、ディスク・グループの冗長レベルを変更することはできません。 |
Oracle Clusterwareファイルに必要なディスク領域の合計容量を決定します。
表3-2を使用して、共有ストレージとしてOracle ASMを使用するOracle Clusterwareのインストールに必要な最小限のディスク数と最小限のディスク領域を決定します。
表3-2 冗長タイプによるOracle ASM用のOracle Clusterwareディスク領域
格納されるファイル・タイプ | ディスクの最小台数 | ディスクまたはディスク・パーティション・サイズ |
---|---|---|
外部冗長ディスク・グループのOCRと投票ディスク |
1 |
投票ディスク・ファイルごとに300MB以上およびOCRごとに300MB |
標準冗長ディスク・グループのOCRと投票ディスク |
3 |
OCRとそのコピーに600MB以上、投票ディスク・ファイルに900MB以上、または1つのディスク・グループ内の両方のファイルに1.5GB以上。 注意: インストール中にディスク・グループを作成する場合は、2GB以上のサイズにする必要があります。 |
高冗長ディスク・グループのOCRと投票ディスク |
5 |
OCRとそのコピーに900MB以上、投票ディスク・ファイルに1.5GB以上、または1つのディスク・グループ内の両方のファイルに2.4GB以上。 |
Oracle ASMで標準冗長性ディスク・グループに対してOracle Clusterwareファイルの高可用性を確保するには、Oracle Clusterwareファイル用として、別々の3つの障害グループ(物理ディスクは3つ以上)に4GB以上のディスク容量(2GB以上の有効なディスク容量)が必要です。各ディスクには1GB以上の容量を確保して、容量に余裕を持ってOracle Clusterwareファイルを作成できるようにする必要があります。
Oracle Databaseファイルおよびリカバリ・ファイルに必要なディスク領域の合計容量を決定します。
次の表を使用して、初期データベースのインストールに必要な最小限のディスク数とディスク領域を決定します。
表3-3 冗長タイプによるOracle Databaseに必要な記憶領域の合計
冗長レベル | ディスクの最小台数 | データベース・ファイル | リカバリ・ファイル | 合計 |
---|---|---|---|---|
外部 |
1 |
1.5GB |
3GB |
4.5GB |
標準 |
2 |
3GB |
6GB |
9GB |
高 |
3 |
4.5GB |
9GB |
13.5GB |
注意: 前の表に示したファイル・サイズは、新規インストール(またはユーザー・データのないデータベース)の必要最小限の見積りです。実際のデータベースのファイル・サイズはこれよりも大きくなります。 |
既存のディスク・グループを使用できるかどうかを確認します。
現在、システム上にOracle ASMインスタンスが存在している場合は、これらの記憶域要件を満たすために既存のディスク・グループを使用できます。インストール時、必要に応じて、既存のディスク・グループにディスクを追加できます。既存のディスク・グループの使用の詳細は、第3.3.2.1項「既存のOracle ASMディスク・グループの使用」を参照してください。
使用する既存のOracle ASMディスク・グループがない場合は、Oracle RACをインストールする前に、必要に応じて1つ以上のOracle ASMディスク・グループを作成します。ディスク・グループで使用するディスクの選択の詳細は、第3.3.2.2項「Oracle ASMディスク・グループで使用するディスクの選択」を参照してください。
必要な場合は、Oracle ASMディスク・グループのデバイスに障害グループを指定します。
注意: Oracle RACのインストール前またはOracle RACデータベースの作成前にOracle ASMディスク・グループを構成するインストール方法を使用する場合は、この手順のみを完了する必要があります。 |
標準または高冗長ディスク・グループを使用する場合は、カスタム障害グループのディスク・デバイスを関連付けることによって、ハードウェア障害に対するデータベースの保護を強化できます。障害グループには、障害の可能性のある共通のメカニズムを共有しているOracle ASMディスクを定義します。デフォルトでは、各デバイスに独自の障害グループが含まれます。カスタム障害グループを定義する場合は、次の点に注意してください。
標準冗長ディスク・グループには最小で2つの障害グループを、高冗長ディスク・グループには3つの障害グループを指定する必要があります。
ディスク・グループにデータ・ファイルおよびOracle Clusterwareファイル(投票ディスク・ファイルなど)が含まれる場合、標準冗長ディスク・グループには最小で3つの障害グループを、高冗長ディスク・グループには5つの障害グループを指定する必要があります。
投票ディスク・ファイルを格納するディスク・グループの場合、標準冗長では最小で3つの障害グループ、高冗長では最小で5つの障害グループが必要です。ディスク・グループに投票ディスク・ファイルが含まれない場合、必要な障害グループの最小数は標準冗長で2つ、高冗長で3つです。障害グループの最小数は、カスタム障害グループかどうかにかかわらず適用されます。
ただし、標準冗長ディスク・グループの2台のディスク・デバイスが同じSmall Computer System Interface (SCSI)コントローラに接続されている場合、コントローラに障害が発生すると、ディスク・グループは使用できなくなります。この例のSCSIコントローラは、シングル・ポイント障害です。このタイプの障害を防止するためには、2つのSCSIコントローラを使用します。各コントローラに2台のディスクを接続し、各コントローラに接続されたディスクに障害グループを定義します。この構成では、ディスク・グループが1つのSCSIコントローラの障害を許容できます。
注意: Oracle Grid Infrastructureのインストール後に、GUIツールのASMCA、コマンドライン・ツールのasmcmd 、またはSQL*Plusコマンドを使用して、カスタム障害グループを定義できます。 |
Oracle ASM障害グループの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。
データベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルの記憶域オプションとしてOracle ASMを使用するには、既存のOracle ASMディスク・グループを使用するか、Oracle Database 11gリリース2のインストール前およびOracle RACデータベースの作成前にASMCAを使用して必要なディスク・グループを作成しておく必要があります。
現在Oracle ASMディスク・グループが存在しているかどうか、または既存のディスク・グループに十分なディスク領域があるかどうかを判断するために、Oracle Enterprise Manager Grid ControlまたはDatabase Controlを使用できます。また、次の手順も使用できます。
コントロール パネルの「サービス」で、OracleASMService+ASM
n
サービス(n
はノード番号)が起動されていることを確認します。
Windowsのコマンド・プロンプトを開き、一時的に環境変数ORACLE_SID
に、使用するOracle ASMインスタンスに対して適切な値を指定します。
たとえば、Oracle ASMシステム識別子(SID)を+ASM1
とした場合、次の設定を入力します。
C:\> set ORACLE_SID=+ASM1
ORACLE_HOME
環境変数にGridホームが設定されていない場合は、次のコマンドを使用して、この変数にGridホームの場所を一時的に設定します。
C:\> set ORACLE_HOME=C:\app\11.2.0\grid
ASMCMDを使用して、Oracle ASMインスタンスに接続し、必要に応じて次のコマンドでインスタンスを起動します。
C:\> %ORACLE_HOME%\bin\asmcmd
ASMCMD> startup
次のコマンドのいずれかを入力して、既存のディスク・グループ、それらの冗長レベルおよび各ディスク・グループでのディスクの空き領域を表示します。
ASMCMD> lsdg
または
C:\> %ORACLE_HOME%\bin\asmcmd -p lsdg
出力結果から、適切な冗長レベルが設定されているディスク・グループを特定し、そのディスク・グループにある空き領域を記録します。
システムに適切なディスク・グループが存在しない場合は、適切なディスク・デバイスを設置または指定して、新しいディスク・グループを追加します。次のガイドラインに従って、適切なディスク・デバイスを指定します。
Oracle ASMディスク・グループのすべてのデバイスは、サイズおよびパフォーマンス特性が同じである必要があります。
単一の物理ディスクにある複数のパーティションを、1つのディスク・グループのデバイスとして指定しないでください。Oracle ASMは、各ディスク・グループのデバイスが、別々の物理ディスク上に存在するとみなします。
非共有論理パーティションは、Oracle RACではサポートされていません。Oracle RACデータベースに論理パーティションを使用する場合は、diskpart.msc
などの論理ボリューム・マネージャで作成された共有論理ボリュームを使用する必要があります。
論理ボリュームは、Oracle ASMディスク・グループのデバイスとして指定できますが、Oracle ASMには不要なほどレイヤーが複雑になるため、この使用はお薦めしません。さらに、Oracle ASMおよびOracle RACで論理ボリュームを使用する場合、Oracle RACでは、クラスタ論理ボリューム・マネージャが必要です。
Oracle ASMで使用するディスク・パーティションを構成する場合は、次の制限に注意してください。
第4章「クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール」の説明に従ってOUIを実行してOracle Clusterwareをインストールしている間は、Oracle Clusterwareファイルをプライマリ・パーティションに格納することはできません。Oracle ClusterwareファイルおよびOracle ASMに使用するディスクの拡張パーティションに論理ドライブを作成する必要があります。
x64 Windowsでは、各ディスクに作成できるプライマリ・パーティション数は最大128です。
共有ディレクトリを作成できるのは、プライマリ・パーティションおよび論理ドライブ上のみです。
ディスクが競合しないように、単一のディスクに作成するパーティションの数を制限することをお薦めします。このため、プライマリ・パーティションではなく拡張パーティションを使用する方が適した場合があります。
このような理由から、Oracleソフトウェア・ファイルの格納には、プライマリ・パーティションではなく拡張パーティションの使用をお薦めします。
Oracle Clusterware、Oracle ASM、Oracle RACに共有ファイル・システムを使用するには、ファイル・システムで次の要件を満たす必要があります。
クラスタ・ファイル・システムを使用するには、そのクラスタ・ファイル・システムが第3.2項「Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACでサポートされている記憶域オプション」に示されているサポートされているクラスタ・ファイル・システムである必要があります。
NFSを使用するには、動作保証されているネットワーク接続ストレージ(NAS)・デバイス上にある必要があります。動作保証されているNASデバイスのリストについては、第2.4項「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」の説明に従って、My Oracle Support Webサイトにアクセスしてください。
Oracle RACデータ・ファイルを共有ファイル・システムに配置するように選択する場合、次のいずれかに該当している必要があります。
ファイル・システムに使用されるディスクが、高可用性のストレージ・デバイス(RAIDデバイスなど)にある。
ファイル・システムは、2つ以上の独立したファイル・システムで構成されており、一方のファイル・システムではデータベース・ファイル、もう一方のファイル・システムではリカバリ・ファイルが使用される。
インストールを実行するユーザー・アカウント(oracle
またはgrid
)には、共有記憶域として指定したパスにファイルを作成するための書込み権限が必要です。
表3-4と表3-5を使用して、共有ファイル・システムの最小サイズを決定します。
表3-4 Oracle Clusterware共有ファイル・システムのボリューム・サイズ要件
格納されるファイル・タイプ | ボリュームの数 | ボリュームのサイズ |
---|---|---|
外部冗長で作成された投票ディスク |
1 |
投票ディスク・ボリュームごとに300MB以上 |
外部冗長で作成されたOCR |
1 |
OCRボリュームごとに300MB以上 |
Oracleソフトウェア提供の冗長で作成されたOracle Clusterwareファイル(OCRおよび投票ディスク) |
1 |
OCRボリュームごとに300MB以上 投票ディスク・ボリュームごとに300MB以上 |
表3-5 Oracle RAC共有ファイル・システムのボリューム・サイズ要件
格納されるファイル・タイプ | ボリュームの数 | ボリュームのサイズ |
---|---|---|
Oracle Databaseデータ・ファイル |
1 |
ボリュームごとに1.5GB以上 |
注意: リカバリ・ファイルはデータベース・ファイルとは異なるボリュームに配置する必要があります。 |
1 |
ボリュームごとに2GB以上 |
表3-4および表3-5で、必要なボリューム・サイズの合計を加算して求めます。たとえば、標準冗長を使用してすべてのOracle Clusterwareファイルを共有ファイル・システムに格納するには、3つ以上のボリューム(OCRと2つのOCRミラー用に3つの別々のボリューム位置と、ボリュームごとに1つの投票ディスク)で2GB以上の記憶域が使用可能である必要があります。投票ディスクおよびOCRファイルを別々の物理ディスクに確実に配置するには、500MB以上の物理ディスクが3つ以上必要です。また、Oracle RACにこの共有ストレージを使用して、データ・ファイルにボリューム1つ、リカバリ・ファイルにボリューム1つを使用する場合、2つのボリュームで3.5GB以上、全ボリュームの合計で5.5GB以上の利用可能な記憶域が必要です。
データベース・ファイルにWindows用のOCFSまたはOracle ASMを使用した場合、データベースは、デフォルトで、Oracle Databaseが管理するファイルを使用して作成されます。Oracle Managed Files機能を使用する場合は、データベース・ファイルの作成または削除時に、ファイル名のかわりにデータベース・オブジェクト名のみを指定する必要があります。
Oracle Managed Filesを使用可能にするには、設定の手順を実行する必要があります。
関連項目: 『Oracle Database管理者ガイド』のOracle Managed Filesの使用に関する項を参照してください。 |
ディスク記憶域オプションを決定したら、最初に第3.5項「共有ディスクの事前準備」に示されている手順を実行し、次のように共有記憶域を構成します。
Oracle ASMを使用する場合は、第3.6項「Oracle ASM用の共有記憶域の構成」を参照してください。
ファイル・システムを使用する場合は、第3.7項「Windows用のOCFSにおけるOracle Databaseファイル用の記憶域の構成」を参照してください。
次の手順を実行して、記憶域用の共有ディスクを準備します。
クラスタ内のノード間でデータの共有に使用するすべてのディスクで、書込みキャッシュを無効にする必要があります。書込みキャッシュを無効にするには、次の手順を実行します。
「スタート」をクリックし、「コントロール パネル」、「管理ツール」、「コンピュータの管理」、「デバイス マネージャ」、「ディスク ドライブ」の順に選択します。
「ディスク ドライブ」を展開し、最初に表示されているドライブをダブルクリックします。
選択したドライブの「ポリシー」タブで、書込みキャッシュを有効にするオプションの選択を解除します。
その他に、Oracle ClusterwareおよびOracle RACで使用する各ドライブをダブルクリックし、前述の手順のとおり、書込みキャッシュを無効にします。
注意: ノード間で共有されるファイル(データベース・ファイルを含む)の格納に使用するディスクでは、書込みキャッシュを無効にする必要があります。 |
Windows Server 2003 R2 Enterprise EditionまたはDatacenter Editionを使用する場合は、ディスク自動マウントを有効にする必要があります(デフォルトでは無効になっています)。その他のWindowsリリースでは、デフォルトで自動マウント機能が有効になっている場合にも、自動マウントが有効であることを確認してください。
自動マウントを有効化する必要があるのは、次のものを使用する場合です。
Oracle RACのRAWパーティション
Windows用のOCFS
Oracle Clusterware
単一ノード・データベース・インストール用のRAWパーティション
Oracle ASM用の論理ドライブ
注意: RAWパーティションは、構成済のパーティションを使用している既存のインストールをアップグレードする場合のみ、サポートされます。新規インストールでのRAWパーティションの使用は、ASMCAまたはOUIではサポートされていませんが、手動で構成する場合は、ソフトウェアでサポートされます。 |
Windowsのバージョン間でオペレーティング・システムをアップグレードする場合(たとえば、Windows Server 2003からWindows Advanced Server 2003へ)、アップグレード完了後にこの手順を繰り返す必要があります。
新しいボリュームの自動マウントが有効かどうかを確認するには、次のコマンドを実行します。
c:\> diskpart DISKPART> automount Automatic mounting of new volumes disabled.
自動マウントを有効化するには、次の手順を実行します。
コマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。
c:\> diskpart DISKPART> automount enable Automatic mounting of new volumes enabled.
exit
を入力してdiskpart
セッションを終了します。
クラスタ内の各ノードに対して手順1および2を繰り返します。
前述の手順を実行してWindows Server 2003 R2システムのすべてのクラスタ・ノードの準備を完了した後、それらのすべてのノードを再起動します。
インストーラでは、OCRまたは投票ディスク用のデフォルトの格納先は提供されません。これらのファイルをOracle ASMで作成する場合は、Oracle ASMディスク・グループで使用されるディスク・パーティションの作成および構成を最初に行う必要があります。
次の項では、Oracle ClusterwareファイルまたはOracle Databaseデータ・ファイルを格納するためにOracle ASMで使用されるディスク・パーティションを作成および構成する方法について説明します。
Oracle ASMにDAS(Direct Attached Storage)またはSAN(Storage Area Network)ディスクを使用するには、各ディスクにパーティション表が必要です。各ディスクに1つのパーティション(ディスク全体を含む)を作成することをお薦めします。
Microsoft Computer Managementユーティリティまたはコマンドライン・ツールdiskpart
を使用して、パーティションを作成することをお薦めします。パーティションはドライブ文字を指定しないで作成してください。パーティションを作成すると、ディスクを構成できます。
関連項目:
|
WindowsシステムでOUIに表示されるパーティションは、プライマリ・パーティションを含まないディスク上にあり、asmtool
とマーク付け(スタンプ)されている論理ドライブのみです。asmtoolg
(Graphical User Interface(GUI)バージョン)またはasmtool
(コマンドライン・バージョン)を使用して、インストール前にディスクを構成します。クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール時に、asmtoolg
ユーティリティを使用することもできます。
asmtoolg
およびasmtool
ユーティリティはパーティション化したディスクでのみ動作します(パーティション化されていないディスクではOracle ASMを使用できません)。これらのツールを使用して、インストール後にディスクを再構成することもできます。これらのユーティリティは、Oracle Grid Infrastructureの一部として自動的にインストールされます。
注意: Windows Server 2008以降のリリースでは、ユーザー・アカウント制御(UAC)が有効な場合、asmtoolg またはasmtool の実行には管理者レベルの権限が必要です。 |
asmtoolg
およびasmtool
ツールは、ディスクに意味のある永続的な名前を関連付けることによって、Oracle ASMでこれらのディスクを使用しやすくします。Oracle ASMは、ディスク・グループを同時により簡単に操作するためにディスク文字列を使用します。asmtoolg
またはasmtool
で作成された名前を使用すると、Windowsのドライブ文字を使用するよりも操作が簡単になります。
asmtoolg
またはasmtool
で作成されたディスク名は、識別のためにすべて接頭辞ORCLDISK
で始まり、その後にユーザー定義の接頭辞(デフォルトはDATA
)とディスク番号が続きます。\\.\ORCLDISK
prefixn
という名前を指定して、これらをOracle ASMインスタンスでRAWデバイスとして使用できます(prefix
はDATA
またはユーザー指定の値のいずれかで、n
はディスク番号)。
asmtoolg
を使用してディスクを構成する場合は、次のいずれかの項を参照してください。
asmtoolg
(GUIバージョン)は、デバイス名を作成する場合に使用します。asmtoolg
を使用して、Oracle ASMで使用可能なデバイスを追加、変更、削除および検証します。
ディスク・スタンプを追加または変更するには、次の手順を実行します。
Oracle Grid Infrastructureのインストール・メディアのasmtool
フォルダに移動し、asmtoolg
をダブルクリックします。
Oracle Clusterwareがインストールされている場合は、Grid_home
\
bin
フォルダに移動して、asmtoolg.exe
をダブルクリックします。
Windows Server 2008以降のリリースで、ユーザー・アクセス制御(UAC)が有効な場合は、コマンド・ウィンドウへのデスクトップ・ショートカットを作成する必要があります。「管理者として実行」を使用してコマンド・ウィンドウを開き、コンテキスト・メニューを右クリックしてasmtoolg
を起動します。
「Add or change label」オプションを選択した後、「Next」をクリックします。
asmtoolg
によって、システムで使用可能なデバイスが表示されます。認識されていないディスクのステータスは「Candidate device」、スタンプされたディスクのステータスは「Stamped ASM device」、スタンプが削除されたディスクのステータスは「Unstamped ASM device」となります。また、このツールは、ディスクをWindowsで認識されるファイル・システム(NTFSなど)としても表示します。これらのディスクは、Oracle ASMディスクとしては使用できないため、選択できません。また、Microsoftダイナミック ディスクもOracle ASMディスクとしては使用できません。
必要に応じて、第1.2.7項「ディスク・パーティションの準備」の手順を実行し、Oracle ASMインスタンスのディスク・パーティションを作成します。
「Stamp Disks」ウィンドウで、Oracle ASMで使用するディスクを選択します。
Oracle ASMは、簡単に使用できるように、任意の接頭辞に対して選択されたすべてのデバイスに一意のスタンプを生成できます。スタンプは、指定した接頭辞と数値を連結して生成されます。たとえば、接頭辞がDATA
の場合、最初のOracle ASMリンク名はORCLDISKDATA0
となります。
また、個々のデバイスのスタンプも指定できます。
必要に応じて、ディスクを選択して個々のスタンプ(Oracle ASMリンク名)を編集します。
「Next」をクリックします。
「Finish」をクリックします。
ディスク・スタンプを削除するには、次の手順を実行します。
Oracle Grid Infrastructureのインストール・メディアのasmtool
フォルダに移動し、asmtoolg
をダブルクリックします。
Oracle Clusterwareがインストールされている場合は、Grid_home
\
bin
フォルダに移動して、asmtoolg.exe
をダブルクリックします。
Windows Server 2008以降のリリースで、ユーザー・アクセス制御(UAC)が有効な場合は、コマンド・ウィンドウへのデスクトップ・ショートカットを作成する必要があります。「管理者として実行」を使用してコマンド・ウィンドウを開き、コンテキスト・メニューを右クリックしてasmtoolg
を起動します。
「Delete labels」オプションを選択した後、「Next」をクリックします。
「delete」オプションは、ディスクがスタンプされている場合にのみ使用できます。「delete」画面には、スタンプされたすべてのOracle ASMディスクが表示されます。
「Delete Stamps」画面で、スタンプを削除するディスクを選択します。
「Next」をクリックします。
「Finish」をクリックします。
asmtool
は、Oracle ASMで使用されるディスクをマーク付け(スタンプ)するためのコマンドライン・インタフェースです。次のオプションがあります。
オプション | 説明 | 例 |
---|---|---|
-add |
スタンプを追加または変更します。ハード・ディスク、パーティションおよび新しいスタンプ名を指定する必要があります。ディスクがRAWデバイスであるか、またはディスクに既存のOracle ASMスタンプが含まれている場合は、-force オプションを指定する必要があります。
必要に応じて、第1.2.7項「ディスク・パーティションの準備」の手順を実行し、Oracle ASMインスタンスのディスク・パーティションを作成します。 |
asmtool -add [-force] \Device\Harddisk1\Partition1 ORCLDISKASM0 \Device\Harddisk2\Partition1 ORCLDISKASM2... |
-addprefix |
共通の接頭辞を使用してスタンプを追加または変更し、自動的にスタンプを生成されます。スタンプは、指定した接頭辞と数値を連結して生成されます。ディスクがRAWデバイスであるか、またはディスクに既存のOracle ASMスタンプが含まれている場合は、-force オプションを指定する必要があります。 |
asmtool -addprefix ORCLDISKASM [-force] \Device\Harddisk1\Partition1 \Device\Harddisk2\Partition1... |
-create |
パーティションのかわりにファイルからOracle ASMディスク・デバイスを作成します。
注意: このコマンドの使用は本番環境ではサポートされません。 |
asmtool -create \\server\share\file 1000 asmtool -create D:\asm\asmfile02.asm 240 |
-list |
使用可能なディスクを表示します。スタンプ、Windowsデバイス名およびディスク・サイズ(MB)が表示されます。 |
asmtool -list |
-delete |
ディスクから既存のスタンプを削除します。 |
asmtool -delete ORCLDISKASM0 ORCLDISKASM1... |
Windows Server 2008以降のリリースで、ユーザー・アクセス制御(UAC)が有効な場合は、コマンド・ウィンドウへのデスクトップ・ショートカットを作成する必要があります。「管理者として実行」を使用してコマンド・ウィンドウを開き、コンテキスト・メニューを右クリックしてasmtool
を起動します。
注意: -add 、-addprefix または-delete を使用すると、asmtool はローカル・ノードおよびクラスタの他のノード(使用可能な場合)上のOracle ASMインスタンスに、使用可能なディスクを再スキャンするように通知します。 |
Oracleホームおよびデータ・ファイルにWindows用のOCFSを使用する場合は、最低限、次のパーティションを準備してから、OUIを起動しOracle Clusterwareをインストールする必要があります。
Oracleホーム用に5.5GB以上のパーティション(共有Oracleホームが必要な場合)
Oracle Databaseのデータ・ファイルおよびリカバリ・ファイル用に3GB以上のパーティション
管理者グループのメンバーとしてWindowsにログインし、この項で説明する手順を実行して、Windows用のOCFSの共有ディスクRAWパーティションを設定します。Windowsでは、RAWパーティションを論理ドライブと呼びます。パーティション作成の詳細は、ディスク管理ユーティリティからWindowsオンライン・ヘルプを参照してください。
1つのノードからWindowsディスク管理ユーティリティを実行し、拡張パーティションを作成します。ベーシック・ディスクを使用します(ダイナミック・ディスクはサポートされていません)。
Oracle Databaseのデータ・ファイルおよびリカバリ・ファイル用のパーティションを作成します。オプションで、Oracleホーム用の2つ目のパーティションを作成します。
Windows用のOCFSで使用するパーティションの数は、パフォーマンスに影響します。そのため、作成するパーティションは、選択するWindows用のOCFSオプションで最低限必要な数にする必要があります。
注意: Oracleでは、単一システム上の複数のOracleホームへのデータベースのインストールをサポートしています。これによって、データベース・ソフトウェアを柔軟にデプロイおよびメンテナンスできます。たとえば、同じシステムで異なるバージョンのデータベースを同時に実行したり、他の実行中のデータベースに影響を与えずに、システムの特定のデータベースまたはOracle Automatic Storage Managementインスタンスをアップグレードすることができます。 ただし、複数のOracleホームを単一のシステムにインストールした場合は、これらのOracleホームが共存できるようにするために必要な考慮事項があるため、若干複雑になります。この内容の詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』および『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』を参照してください。 |
必要なパーティションを作成するには、次の手順を実行します。
クラスタ内の既存のノードから、次のようにしてDiskPartユーティリティを実行します。
C:\> diskpart DISKPART>
使用可能なディスクを表示します。ディスク番号(n
)を指定して、パーティションの作成先のディスクを選択します。
DISKPART> list disk
DISKPART> select disk n
次のように拡張パーティションを作成します。
DISKPART> create part ext
次の構文で拡張パーティションを作成した後、必要なサイズの論理ドライブを作成します。
DISKPART> create part log [size=n] [offset=n] [noerr]
パーティションを2つ以上追加する場合は、手順2から4を繰り返します。Oracleホーム用およびOracle Databaseファイル用にパーティションを1つずつ構成することをお薦めします。
使用可能なボリュームをリストし、使用する論理ドライブからドライブ文字を削除します。
DISKPART> list volume
DISKPART> select volume n
DISKPART> remove
Windows 2003 R2システムにドライブを準備する場合は、論理ドライブの作成後、クラスタ内のすべてのノードを再起動する必要があります。
クラスタ内のすべてのノードでパーティションが表示されていること、およびいずれのOracleパーティションにもドライブ文字が割り当てられていないことを確認してください。いずれかのパーティションにドライブ文字が割り当てられている場合は、次の手順を実行してドライブ文字を削除します。
Windowsのディスク管理ユーティリティでパーティションを右クリックします。
メニューから、「ドライブ文字とバスの変更」を選択します。
「ドライブ文字とパスの変更」ウィンドウの「削除」をクリックします。
Oracle RACの記憶域用にWindows用のOCFSを使用する場合は、データ・ファイルの格納にWindows用のOCFSを使用する前に、Windows用のOCFSおよびWindows用のOCFSが使用するディスクを構成する必要があります。
Oracle Clusterwareファイルの記憶域タイプとしてWindows用のOCFSを選択しない場合、Oracle Grid Infrastructureのインストール時にWindows用のOCFSは構成されません。Windows用のOCFSを使用するには、まずWindows用のOCFSのドライバをインストールする必要があります。
Windows用のOCFSのドライバをインストールし、起動するには、Windows用のOCFSを使用するクラスタ内の各ノードのGrid_home
\cfs
ディレクトリから次のコマンドを実行します。
Grid_home\cfs\OcfsInstall /y
OracleClusterVolumeServiceサービスを作成するには、クラスタ内の各ノードで次のコマンドを実行します。
Grid_home\cfs\OcfsFindVol /i:Grid_home\cfs\ocfsfindvol.exe
OracleClusterVolumeServiceサービスを起動するには、クラスタ内の各ノードで次のコマンドを実行します。
net start OracleClusterVolumeService
Windows用のOCFSでOracleデータ・ファイルを格納するには、共有ディスクにOCFSボリュームを作成する必要があります。
ディスク・パーティションまたは論理ドライブをOCFSボリュームとしてフォーマットするには、Grid_home
\cfs
ディレクトリから次の構文を使用してocfsformat.exe
コマンドを実行します。
Grid_home\cfs\OcfsFormat /m link_name /c ClusterSize_in_KB /v volume_label /f /a /d
前述のコマンド構文の例では、次の変数が使用されました。
/m
link_name
は、Windows用のOCFSでフォーマットするこのファイル・システムのマウントポイントです。Windowsでは、論理ドライブに対応するドライブ文字を指定します。
ClusterSize_in_KB
は、Windows用のOCFSのボリュームのクラスタ・サイズまたは割当てサイズです。このオプションは/a
オプションとともに使用する必要があります。そうしないと、4キロバイト(KB)のデフォルト・サイズが使用されます。
volume_label
は、オプションのボリューム・ラベルです
/f
オプションは、指定されたボリュームの形式を強制します
/a
オプションを指定すると、/c
オプションで指定したクラスタ・サイズをOcfsFormat
で使用するように強制されます。
/d
オプションを使用すると、以降のすべてのボリュームに対する操作で直接入出力モードが使用されます。
たとえば、名前がDATAで、U:
としてマウントされ、クラスタ・サイズがデフォルトではない1MBの共有ディスクを使用している、Windows用のOCFSでフォーマットされた共有ディスク・パーティションを作成するには、次のコマンドを使用します。
ocfsformat /m U: /c 1024 /v DATA /f /a
この項では、Direct NFSクライアントについて次の内容で説明します。
Oracle Database 11gリリース2 (11.2)では、オペレーティング・システムまたはサードパーティのNFSクライアントを使用するかわりに、Direct NFSクライアントを使用してNFS V3サーバーに直接アクセスするようにOracle Databaseを構成できます。Direct NFSクライアントでは、利用可能なリソースを効率的に使用するよう自動調節が行われ、サポートされているNFSサーバー上にデータ・ファイルを格納可能です。
注意: Oracle RACでサポートされているNFSサーバーを使用してください。サポート情報については、第2.4項「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」に示すように、My Oracle Supportを確認してください。 |
Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用できるようにするには、インストールを開始する前に、NFSファイル・システムをマウントし、通常のNFSマウントを介して使用できるようにする必要があります。設定は、インストール後にDirect NFSクライアントで管理されます。Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用してNFSサーバーを開くことができない場合は、Oracleアラート・ログに情報メッセージが記録されます。トレース・ファイルも作成され、Direct NFSクライアントがNFSサーバーに接続できなかったことが示されます。
注意: バックエンドNFSサーバーが32768以上の書込みサイズ(wtmax )をサポートしない場合、Direct NFSは機能しません。 |
NFSサーバー上に存在しDirect NFSクライアントによってアクセスされるOracleファイルにも、サード・パーティのNFSクライアントを介してアクセスできます。Direct NFSクライアントで作成されるOracleデータ・ファイルの管理は、『Oracle Database管理者ガイド』の「データ・ファイルおよび一時ファイルの管理」に示されているガイドラインに従って行う必要があります。
Direct NFSクライアントを構成せずに、Common Internet File System (CIFS)によってマウントされたボリュームをOracle Databaseファイルの格納に使用することはできません。データベース書込みに必要なアトミック書込みの要件はCIFSプロトコルでは満たすことができないため、CIFSは、copy
コマンドなどのOSレベルのアクセスでのみ使用できます。
Direct NFSクライアントを使用する場合は、構成ファイルoranfstab
を作成して、Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用できるようにするオプション、属性およびパラメータを指定する必要があります。ダイレクトNFSクライアントでは、Oracle_home
\dbs
\oranfstab
内のマウント・ポイント・エントリが検索されます。最初に一致したエントリがマウント・ポイントとして使用されます。oranfstab
ファイルは、Oracle_home
\dbs
ディレクトリに作成する必要があります。
oranfstab
ファイルがOracle_home
\dbs
に格納されている場合、このファイルのエントリは、単一データベースに固有のエントリとなります。Oracle RACインストールが共有Oracleホームにある場合、oranfstab
ファイルは、すべてのデータベース・インスタンスからグローバルに使用できます。共有Oracleホームを使用するすべてのインスタンスは、同じOracle_home
\dbs
\oranfstab
ファイルを使用します。非共有Oracleホームの場合は、すべてのOracle RACインスタンスが同じoranfstab
ファイルを使用するため、すべてのノードにoranfstab
ファイルをレプリケートする必要があります。また、すべてのノードのoranfstab
ファイルは同期している必要があります。
注意: Oracle Databaseで使用されているNFSパスをoranfstab から削除する場合は、データベースを再起動してその変更を有効にする必要があります。また、ファイル・システムに使用するマウント・ポイントは、すべてのノードで同一である必要があります。 |
Direct NFSクライアントでは、oranfstab
の構成情報に基づいてNFSストレージ・デバイスに対するマウント・ポイント設定が決定されます。Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用してNFSサーバーを開くことができない場合は、Direct NFSクライアントによってNFSサーバーへの接続を確立できなかったことを示すエラー・メッセージがOracleアラート・ファイルおよびトレース・ファイルに書き込まれます。
注意: インスタンスごとにアクティブなDirect NFSクライアントを1つのみ実装できます。インスタンスでDirect NFSクライアントを使用すると、別のDirect NFSクライアントは実装できなくなります。 |
Direct NFSクライアントでは、NFSサーバー用のoranfstab
ファイルに定義されている最大4つのネットワーク・パスを使用できます。Direct NFSクライアントによって、指定したすべてのパス間でロード・バランシングが実行されます。指定したパスで障害が発生した場合は、Direct NFSクライアントによって、残りのすべてのパスに対して未処理の要求が再発行されます。
注意: インスタンスごとにアクティブなDirect NFSクライアントを1つのみ実装できます。あるインスタンスでDirect NFSクライアントを使用すると、それ以外ではDirect NFSクライアントを実装できなくなります。 |
Oracle RACデータベースでのDirect NFSクライアントの使用を管理するには、次のグローバル動的パフォーマンス・ビューを使用します。
GV$DNFS_SERVERS
: Direct NFSクライアントを使用してアクセスしたサーバーが表示されます。
GV$DNFS_FILES
: Direct NFSクライアントを使用して現在開かれているファイルが表示されます。
GV$DNFS_CHANNELS
: Direct NFSクライアントによってファイルを使用しているサーバーに対するオープン・ネットワーク・パス(またはチャネル)が表示されます。
GV$DNFS_STATS
: Direct NFSクライアントのパフォーマンス統計が表示されます。
Direct NFSクライアントを有効にするには、oranfstab
ファイルをOracle_home
\dbs
に追加する必要があります。oranfstab
ファイルがこのディレクトリに格納されている場合、このファイルのエントリは、1つの特定のデータベースに固有のエントリとなります。Direct NFSクライアントでは、oranfstab
に指定されているマウント・ポイント・エントリが検索されます。Direct NFSクライアントでは、最初に検出されたエントリがマウント・ポイントとして使用されます。
Direct NFSクライアントを有効にするには、次の手順を実行します。
Direct NFSクライアントでアクセスする各NFSサーバーの次の属性を使用してoranfstab
ファイルを作成します。
server
: NFSサーバー名。
path
: インターネット・プロトコル(IP)アドレスまたは名前のいずれかで指定された、NFSサーバーへの最大4つのネットワーク・パス。NFSサーバー上でifconfig
コマンドを使用して表示できます。
local
: IPアドレスまたは名前のいずれかで指定された、データベース・ホスト上の最大4つのネットワーク・インタフェース。データベース・ホスト上でipconfig
コマンドを使用して表示できます。
export
: NFSサーバーからエクスポートされたパス。UNIX形式のパスを使用します。
mount
: エクスポートされたボリュームに対応する、ローカル・マウント・ポイント。Windows形式のパスを使用します。
mnt_timeout
: (オプション)Direct NFSクライアントがマウント成功を待機し、タイムアウトするまでの時間(秒)を指定します。デフォルトのタイムアウトは10分(600)です。
management
: Direct NFSクライアントを有効にして、SNMP問合せの管理インタフェースを使用します。SNMPがNFSサーバー上の別の管理インタフェースで実行されている場合は、このパラメータを使用できます。デフォルト値は、server
パラメータ値です。
community
: SNMP問合せで使用するコミュニティ文字列を指定します。デフォルト値はpublic
です。
uid
: (オプション) oranfstab
にリストされているすべてのNFSサーバーにアクセスするためにDirect NFSクライアントで使用されるUNIXユーザーID。デフォルト値はuid:65534
で、これはNFSサーバーのuser:nobody
と対応しています。
gid
: (オプション) oranfstab
にリストされているすべてのNFSサーバーにアクセスするためにDirect NFSクライアントで使用されるUNIXグループID。デフォルト値はgid:65534
で、これはNFSサーバーのgroup:nogroup
と対応しています。
oranfstab
ファイルで指定されているマウント・ポイントは、Direct NFSクライアントが使用されていないかのように、データベース・ファイルが通常存在するローカル・パスを表します。たとえば、Direct NFSを使用していないデータベースのデータ・ファイルの場所がC:\app\oracle\oradata\orcl
ディレクトリである場合は、対応するoranfstab
ファイルでNFS仮想マウント・ポイントにC:\app\oracle\oradata\orcl
を指定します。
例3-1および例3-2に、oranfstab
ファイルでDirect NFSクライアント属性を使用する方法の例を示します。
注意:
|
標準のOracle Disk Manager(ODM)ライブラリoraodm11.dll
をODM NFSライブラリに置き換えます。
Oracle Databaseでは、Direct NFSクライアントを有効にするためにODMライブラリoranfsodm11.dll
を使用します。ODMライブラリを置き換えるには、次の手順を実行します。
ディレクトリをOracle_home
\bin
に変更します。
サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)を使用して、ノード上のOracle Databaseインスタンスを停止します。
次のコマンドを入力します。
copy oraodm11.dll oraodm11.dll.orig copy /Y oranfsodm11.dll oraodm11.dll
SRVCTLを使用して、Oracle Databaseインスタンスを再起動します。
クラスタ内の各ノードに対して手順aから手順dを繰り返します。
例3-1 ローカルおよびパスのNFSサーバー・エントリを使用しているoranfstabファイル
次の例のoranfstab
ファイルは、NFSサーバー・エントリを示しています。NFSサーバーMyDataServer1
は、IPアドレスで指定される2つのネットワーク・パスを使用しています。
server: MyDataServer1 local: 132.34.35.10 path: 132.34.35.12 local: 132.34.55.10 path: 132.34.55.12 export: /vol/oradata1 mount: C:\APP\ORACLE\ORADATA\ORCL
例3-2 ネットワーク接続名を使用しているoranfstabファイル
次の例のoranfstab
ファイルはNFSサーバー・エントリを示しており、NFSサーバーMyDataServer2
は、使用するネットワーク・インタフェース(ネットワーク接続名)で指定される4つのネットワーク・パスを使用しています。この例では複数のエクスポート・パスも使用されています。
server: MyDataServer2 local: LocalInterface1 path: NfsPath1 local: LocalInterface2 path: NfsPath2 local: LocalInterface3 path: NfsPath3 local: LocalInterface4 path: NfsPath4 export: /vol/oradata2 mount: C:\APP\ORACLE\ORADATA\ORCL2 export: /vol/oradata3 mount: C:\APP\ORACLE\ORADATA\ORCL3
ORADNFSは、データベース管理者がMicrosoft WindowsプラットフォームのDirect NFSクライアントで基本的なファイル操作を実行できるユーティリティです。
ORADNFSはマルチコール・バイナリで、単一のバイナリでありながら多数のユーティリティのように動作します。ORADNFSを使用するには、ローカルのORA_DBA
グループのメンバーである必要があります。ORADNFSを使用してコマンドを実行するには、コマンドラインの引数としてコマンドを発行します。
次のコマンドは、ORADNFSで使用できるコマンドのリストを出力します。
C:\> oradnfs help
C:\ORACLE\ORADATAとしてマウントされているNFSディレクトリのファイル・リストを表示するには、次のコマンドを使用します。
C:\> oradnfs ls C:\ORACLE\ORADATA\ORCL
注意: ORADNFSが動作するには、oranfstab 構成ファイルの有効なコピーがOracle_home \dbs に存在する必要があります。 |
Direct NFSクライアントを無効にするには、次の手順を実行します。
第3.8.5項「Direct NFSクライアントの有効化」で実行したプロセスを取り消して、元のoraodm11.dll
ファイルをリストアします。
oranfstab
ファイルを削除します。
注意: Oracle Databaseで使用されているNFSパスを削除する場合は、データベースを再起動してその変更を有効にする必要があります。 |
以前のリリースのOracle ASMが、サーバー上または既存のOracle Clusterwareインストール環境内にインストールされている場合は、ASMCAを使用して、既存のOracle ASMインスタンスをOracle ASM 11gリリース2 (11.2)にアップグレードできます。また、ASMCAを使用して、障害グループ、Oracle ASMボリュームおよびOracle ACFSを構成できます。
注意: 既存のOracle ASMインスタンスのアップグレードは、そのノード上のすべてのデータベース・インスタンスおよびアプリケーションを停止してから実行する必要があります。 |
インストール時に、Oracle ASMを使用することを選択したときに、以前のOracle ASMバージョンが別のOracle ASMホームにインストールされていることがASMCAで検出された場合は、Oracle ASM 11gリリース2 (11.2)のバイナリをインストールした後に、ASMCAを起動して既存のOracle ASMインスタンスをアップグレードできます。次に、Oracle ASMボリュームを作成し、アップグレードしたOracle ASMを使用してOracle ACFSを作成することで、Oracle ACFSのデプロイメントを構成できます。
Oracle ASM 11gリリース2 (11.2.0.1)以上からアップグレードしている場合、Oracle ASMはローリング・アップグレードの一部として常にOracle Grid Infrastructureとともにアップグレードされ、アップグレード中にASMCAが起動されます。リリース11.2.0.1から11.2.0.2では、ASMCAがOracle ASMを個別にアップグレードすることはできません。
Oracle ClusterwareまたはOracle RACの既存のインストール環境で、すべてのノード上のOracle ASMインスタンスの旧バージョンがOracle ASM 11gリリース1の場合は、Oracle ASMインスタンスのローリング・アップグレードを実行できます。Oracle RACインストールの旧バージョンのOracle ASMインスタンスがOracle ASM 11gリリース1よりも前のリリースの場合は、ローリング・アップグレードを実行できません。すべてのノードのOracle ASMは、Oracle ASM 11gリリース2 (11.2)にアップグレードされます。
Oracle Grid Infrastructureには、Oracle Clusterware、Oracle ASM、Oracle ACFS、Oracle ADVM、ドライバ・リソースおよびソフトウェア・コンポーネントが含まれ、これらはOUIを使用したインストール中にGridホームにインストールされます。Oracle Grid Infrastructureのインストール後、Oracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)を使用してOracle ASMインスタンスを起動し、Oracle ASMディスク・グループ、Oracle ADVMボリュームおよびOracle ACFSファイル・システムを作成できます(Oracle Clusterwareが動作可能な場合)。あるいは、SQL*Plus、ASMCMDコマンドライン・ツールまたはOracle Enterprise Managerを使用して、Oracle ASMディスク・グループとOracle ADVMボリュームを作成できます。ファイル・システムは、オペレーティング・システムのコマンドライン・ツールまたはOracle Enterprise Managerを使用してOracle ACFSに作成できます。
注意:
|
Oracle ACFSにOracle RACデータベース用のOracleホームを作成する場合は、次の手順を実行します。
クラスタ用Oracle Grid Infrastructure(Oracle ClusterwareおよびOracle ASM)をインストールします。
Gridホームのbin
ディレクトリに移動します。次に例を示します。
C:\> cd app\11.2.0\grid\bin
ローカル管理者ユーザーとしてASMCAを起動します。次に例を示します。
C:\..\bin> asmca
「ASMの構成: ディスク・グループ」ページが表示されます。
「ASMの構成: ディスク・グループ」ページで、Oracle ADVMボリュームを作成するディスク・グループを右クリックし、「データベース・ホームのACFSの作成」を選択します。
「ACFSホスト・データベース・ホームの作成」ウィンドウで次の情報を入力します。
データベース・ホームのボリューム名: データベース・ホームの名前を入力します。この名前は、racdb_01
などのように組織で一意である必要があります。
データベース・ホームのマウント・ポイント: マウント・ポイントのディレクトリ・パスまたは論理ドライブ文字を入力します。たとえば、M:\acfsdisks\racdb_01
とします。
後で参照するために、このマウント・ポイントを書き留めます。
データベース・ホーム・サイズ(GB): データベース・ホームのサイズをGB単位で入力します。
必要な情報を入力したら、「OK」をクリックします。
プロンプトが表示されたら、ASMCAから指示されたスクリプトをローカル管理者ユーザーとして実行します。
Oracle RAC 11gリリース2 (11.2)のインストール中に、Oracle RACをインストールするユーザーまたはデータベース管理者が、「データベース・ホームのマウント・ポイント」フィールドで指定したマウント・ポイントをOracleホームに選択するようにします(前の例ではM:\acfsdisks\racdb_01
)。
注意: Oracle ACFSには、Oracle Database 11gリリース1以前のリリースのOracleホーム・ディレクトリを配置できません。 |
関連項目: Oracle ACFSを使用してストレージを構成および管理する方法の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。 |
Oracle Database 11gリリース2 (11.2)およびOracle RAC 11gリリース2 (11.2)から、DBCAまたはOUIを使用して、RAWデバイス上にOracle ClusterwareまたはOracle Databaseファイルを格納する処理がサポートされなくなりました。
既存のOracle RACデータベースをアップグレードする場合、またはOracle ASMインスタンスを使用するOracle RACデータベースをアップグレードする場合は、既存のRAWデバイスのパーティションを使用して、既存のインストールをローリング・アップグレードできます。RAWデバイスを使用した、新しいインストールは実行できません。