プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Microsoft Windows x64 (64-Bit)
B58876-07
  目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
 
次
 

1 クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの標準インストール

この章では、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの標準インストールと拡張インストールの違いについて説明し、さらに標準インストールを完了するために必要な手順について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

1.1 標準インストールと拡張インストール

Oracle Grid Infrastructureのインストールには、2つのインストール・オプションがあります。

  • 標準インストール: 標準インストール・オプションは、手動による構成選択の数が少ない、簡単なインストールです。ほとんどのクラスタ実装に、このインストール・タイプを選択することをお薦めします。

  • 拡張インストール: 拡張インストール・オプションは、より高度なシステム知識を必要とする詳細な手順です。追加の記憶域およびネットワークの選択、Intelligent Platform Management Interface(IPMI)との統合、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)ロールのより粒度の細かい指定など、特定の構成を選択できます。

1.2 手作業を必要とするインストール前の手順

次の手動の構成作業を行います。

1.2.1 システム要件の確認

この項では、次のインストール前の作業の概要を示します。


関連項目:

これらの作業の詳細は、第2.5項「ハードウェア要件の確認」を参照してください。

1.2.1.1 メモリー要件

Windowsは、システム・キャッシュではなくプログラムのメモリー使用量に合わせて最適化される必要があります。Windowsの「タスク マネージャ」ウィンドウで「パフォーマンス」タブを選択し、システムで使用可能なメモリーを表示します。

仮想メモリー設定を表示するには、コントロール パネルから「システム」を選択します。「システムのプロパティ」ウィンドウの「詳細設定」タブを選択し、「パフォーマンス」の下の「パフォーマンス オプション」または「設定」をクリックします。「パフォーマンス オプション」ウィンドウで「詳細設定」タブをクリックすると、仮想メモリー(ページ・ファイル)についての設定がウィンドウ下部に表示されます。

クラスタおよびOracle RAC用Oracle Grid Infrastructureの場合のRAMの最小要件は4GBです。仮想メモリー領域の最小要件は8GBです。RAMが4から32GBのシステムでは、ページング・ファイル・サイズをRAMの容量の1.5倍以上に設定することをお薦めします。RAMが32GBより大きいシステムでは、32GBのサイズのページング・ファイルを使用することをお薦めします。スワップ領域とGridホームが同じファイル・システム上にある場合は、それぞれ最小領域要件を合計した領域が必要になります。

1.2.1.2 ディスク要件

「スタート」メニューから「ファイル名を指定して実行」を選択します。「ファイル名を指定して実行」ウィンドウで、Diskmgmt.mscと入力し、ディスク管理のGraphical User Interface(GUI)を開きます。

ディスク管理のGUIには、使用可能なファイル・システム上の使用可能な領域が表示されます。Oracle Clusterwareファイルに対して標準の冗長性(3つのOracle Cluster Registry(OCR)ファイル、および3つの投票ディスク・ファイル)を使用する場合は、Oracle Clusterwareファイル用に用意されている3つの個別の物理ディスク上で2GB以上のディスク領域を使用できる必要があります。


注意:

OCRまたは投票ディスク・ファイル(Oracle Clusterwareファイル)はRAWパーティション上にインストールできません。Oracle Clusterwareファイルは、Oracle ASMまたはサポートされている記憶域オプションにのみインストールできます。RAWデバイスは、Oracle ASMディスクとして使用できます。

Oracle ClusterwareファイルをOracle ASM上にインストールして、Oracle ASMでのOCRまたは投票ディスク・ファイルの高可用性を確保するには、Oracle Clusterwareファイル用として、別々の3つの障害グループ(物理ディスクは3つ以上)に2GB以上のディスク領域が必要です。各ディスクには1GB以上の容量を確保して、容量に余裕を持ってOracle Clusterwareファイルを作成できるようにする必要があります。

Oracle Grid Infrastructureリリース11.2.0.3以上では、クラスタ・ホーム(Gridホーム)用Oracle Grid Infrastructureのインストールに必要な最小ディスク領域は5GBです。これには、Oracle Clusterware、Oracle ASMおよびOracle ACFSのファイルとログ・ファイル、およびクラスタ状態モニター・リポジトリの領域を格納するための領域が含まれます。

Oracle Grid Infrastructureリリース11.2.0.2または11.2.0.1の場合は、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)に3GB以上の領域を確保してください。これにはOracle ClusterwareとOracle ASMファイルおよびログ・ファイルが含まれます。

一時領域とGridホームが同じファイル・システム上にある場合、そのファイル・システムにはそれぞれの最小領域要件を合計した領域が必要になります。

1.2.1.3 TEMP領域要件

WindowsのTEMPディレクトリには、1GB以上のディスク領域を確保してください。この領域を確保できない場合は、ディスクのパーティション・サイズを大きくするか、またはディレクトリ内の不要なファイルを削除します。環境変数TEMPおよびTMPの両方が、次のようにTEMPディレクトリの場所を指していることを確認します。

TEMP=C:\WINDOWS\TEMP
TMP=C:\WINDOWS\TEMP

関連項目:

詳細は、第2.5項「ハードウェア要件の確認」を参照してください。

1.2.2 ネットワーク要件の確認

次のものが利用可能であることを確認します。

1.2.2.1 クラスタの単一クライアント・アクセス名

標準インストール中に、データベース・インスタンスが実行されているノードに関係なくクラスタ内のデータベースに接続するために使用される、デフォルトの単一クライアント・アクセス名(SCAN)を確認するよう求められます。SCANのデフォルト値は、ローカル・ノード名に基づいています。SCANをデフォルトから変更する場合、使用する名前は、社内全体でグローバルに一意である必要があります。

標準インストールでは、SCANにはクラスタの名前が含まれます。SCANおよびクラスタ名は長さ1文字以上15文字以下の英数字である必要があり、次のように、ハイフン(-)も使用できます。

NE-sa89-scan

15文字を超えるSCANを必要としても、クラスタ名はデフォルトでSCANの最初の15文字になります。SCANアドレスの要件については、第1.2.2.2項「IPアドレス要件」を参照してください。

1.2.2.2 IPアドレス要件

インストールを開始する前に、各ノードにネットワーク・インタフェース・カード(NIC)が2つ以上構成されている必要があります。1つはプライベート・インターネット・プロトコル(IP)・アドレス用、もう1つはパブリックIPアドレス用です。


注意:

静的ホスト名をすべてのサーバー・ノード・パブリック・ホスト名に使用することをお薦めします。

1.2.2.2.1 手動で構成する場合のIPアドレス要件

パブリックIPアドレスおよび仮想IP(VIP)アドレスは静的アドレスである必要があり、インストール前に構成されている必要があります。また、各ノードの仮想IPアドレスは現在未使用である必要があります。パブリックIPアドレスと仮想IPアドレスは、同じサブネット内にある必要があります。インストールのインタビュー時にプライベートとして指定したネットワーク・インタフェース上のプライベート・サブネットに含まれるプライベートIPアドレスが、Oracle Clusterwareによって管理されます。

クラスタには、次のアドレスが構成されている必要があります。

  • 次の特性がある、各ノードのパブリックIPアドレス:

    • 静的IPアドレス

    • 各ノードへのインストール前に構成され、インストール前にそのノードに対して解決可能

    • 他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にある

  • 次の特性がある、各ノードのVIPアドレス:

    • 静的IPアドレス

    • 各ノードへのインストール前に構成されるが、現在は使用されていない

    • 他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にある

  • 次の特性がある、クラスタの単一クライアント・アクセス名(SCAN):

    • SCANとして指定された名前に3つの静的IPアドレスが関連付けられ、そのすべてのアドレスがランダムな順序でDNSによってリクエスタに返されるように、インストール前にドメイン・ネーム・サーバー(DNS)上で静的IPアドレスが3つ構成されている

    • インストール前にDNSで構成され、現在は使用されていないアドレスに解決される

    • 先頭が数値以外であり、英数字とハイフン(-)は使用できるがアンダースコア(_)は使用できないという、RFC-952標準に準拠している名前が指定される。

    • 他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にある

  • 次の特性がある、各ノードのプライベートIPアドレス:

    • 静的IPアドレス

    • インストール前に、ただし独自のサブネットがある別のプライベート・ネットワーク上で構成される。IPアドレスは、他のクラスタ・メンバー・ノードによらないかぎり解決可能にできません。

SCANは、クラスタへのサービス・アクセスをクライアントに提供するために使用される名前です。SCANは特定のノードではなくクラスタ全体に関連付けされているため、SCANはクライアントの再構成を必要とせずに、クラスタでノードを追加または削除することを可能にします。また、データベースに場所の独立性がもたらされるため、クライアント構成は特定のデータベース・インスタンスがどのノードで実行されているかに依存しません。クライアントは引き続き、以前のリリースと同じ方法でクラスタにアクセスできますが、クラスタにアクセスするクライアントではSCANの使用をお薦めします。


注意:

標準インストールでは、指定したSCANはクラスタの名前でもあるため、SCAN名はクラスタ名の要件を満たしている必要があります。拡張インストールでは、SCANとクラスタ名はインストール時に別のフィールドに入力するため、クラスタ名要件はSCAN名に適用されません。

DNSによってSCANが正しくアドレスに関連付けられていることを確認するには、nslookupコマンドを使用します。次に例を示します。

C:\> nslookup mycluster-scan
Server:         dns.example.com
Address:        192.0.2.001

Name:   mycluster-scan.example.com
Address: 192.0.2.201
Name:   mycluster-scan.example.com
Address: 192.0.2.202
Name:   mycluster-scan.example.com
Address: 192.0.2.203

インストール後、クライアントがクラスタにリクエストを送信すると、Oracle ClusterwareのSCANリスナーはクライアント・リクエストをクラスタのサーバーにリダイレクトします。


注意:

SCAN VIPアドレスの構成は、hostsファイルで行わないことを強くお薦めします。SCAN VIPにはDNS解決を使用します。SCANの解決にhostsファイルを使用すると、1つのIPアドレスへの解決しかできず、SCANアドレスは1つのみになってしまいます。

DNSまたはhostsファイルでのSCANの構成のみがサポートされています。SCANをNetwork Information Service(NIS)で構成することはできません。



関連項目:

ネットワーク・アドレスの詳細は、付録C.1.3「ネットワーク・アドレスの理解」を参照してください。

1.2.2.3 ネットワーク・アダプタの意図した使用方法

インストール時に、Oracle Universal Installer(OUI)がクラスタ・ノードで検出するネットワーク・アダプタ(ネットワーク・インタフェース)ごとに計画された使用方法を指定するように求められます。各ネットワーク・アダプタをパブリックまたはプライベート・アダプタとして、あるいは「使用しない」として指定する必要があります。Oracle ClusterwareとOracle RACの両方には、同じプライベート・アダプタを使用する必要があります。他の目的に使用する予定のネットワーク・アダプタ(ネットワーク・ファイル・システム専用のアダプタなど)の場合、そのネットワーク・アダプタがOracle Clusterwareで無視されるように、「使用しない」アダプタとして指定する必要があります。

パブリック・アダプタに高可用性またはロード・バランシングが必要な場合は、サードパーティのソリューションを使用します。通常、これにはボンディング、トランキングなどのテクノロジが使用できます。

1.2.2.4 TCP/IPのメディア検出機能の無効化

メディア検出機能では、ローカル・スイッチへのリンクが失われた際に、ネットワーク・インタフェース・カードとIPアドレスを切り離すことができます。Windows Server 2003 SP1以上でTCP/IPのWindowsメディア検出機能を無効にするには、各ノードでDisableDHCPMediaSenseパラメータの値を1に設定する必要があります。メディア検出機能を無効にするには、Windowsレジストリを変更する必要があるため、Windowsドキュメントに示されている方法を使用して、まずレジストリをバックアップし、リストアできることを確認する必要があります。

クラスタの各ノードで次の手順を完了することにより、メディア検出機能を無効化します。

  1. Windowsレジストリをバックアップします。

  2. レジストリ・エディタ(Regedit.exe)を使用して、レジストリの次のキーを表示します。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Tcpip\Parameters
    
  3. パラメータのサブキーに、次のレジストリ・エントリを追加します。

    Name: DisableDHCPMediaSense
    Data type: REG_DWORD (Boolean)
    Value: 1
    
  4. レジストリ・エディタを終了して、コンピュータを再起動します。

1.2.2.5 ネットワーク・アダプタのバインド順とプロトコルの優先順位

各ノードで、ネットワーク・アダプタのバインド順を確認します。バインド順序の1番目がパブリック・ネットワーク・アダプタ、2番目がプライベート・ネットワーク・アダプタであることを確認します。ネットワーク・アダプタのバインド順序を構成するには、次の手順を実行します。

  1. 「マイ ネットワーク」を右クリックして、「プロパティ」を選択します。

  2. 左側のメニューで、「アダプタの設定の変更」を選択します。

  3. 「詳細設定」メニューで、「詳細設定」をクリックします。

  4. 「アダプタとバインド」タブに表示される最初の名前がパブリック・アダプタ名でない場合は、そのパブリック・アダプタ名を選択し、矢印をクリックしてリストの最上位に移動します。

  5. 「OK」をクリックしてその設定を保存した後、「詳細設定」ダイアログ・ボックスを終了します。

ネットワーク・アダプタ(パブリックなど)のクラスごとに使用される名前は、すべてのノードにわたって一貫性がある必要があります。同じ名前がネットワーク内の各ノード上のネットワーク・アダプタの同じクラスで使用されていない場合、ネットワーク・アダプタにはデフォルト以外の名前(PublicLANなど)を使用することができます。

1.2.2.6 パブリック・ネットワーク・インタフェース用DNSへの自動登録の選択解除

パブリック・ネットワーク・インタフェースにWindows Server 2008以降を使用している場合は、サーバーの再起動時にホスト、VIPおよびSCAN IPの混在による問題を回避するため、この接続のアドレスをDNSに登録するを選択解除する必要があります。

次の手順を実行して、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012またはWindows Server 2012 R2サーバーにおけるパブリック・ネットワーク・インタフェースの自動IP登録を無効にします。

  1. 「マイ ネットワーク」を右クリックして、「プロパティ」を選択します。

  2. 左側のメニューで、「アダプタの設定の変更」を選択します。

  3. パブリック・ネットワーク・インタフェース名を右クリックして「プロパティ」を選択します。

  4. 「ネットワーク」タブを選択し、「インターネット プロトコル バージョン 4 (TCP/IPv4)」を選択します。

  5. 「プロパティ」をクリックします。

  6. 「全般」タブを選択し、「詳細設定」をクリックします。

  7. 「DNS」タブを選択します。

  8. 「この接続のアドレスを DNS に登録する」のラジオ・ボタンを選択解除します。

クラスタの各ノードでこの手順を繰り返します。

1.2.2.7 自動メトリック値の手動構成

Windows 2012のでは、IPv4のパブリックおよびプライベート・ネットワーク・インタフェースでWindowsの自動メトリック機能が使用されます。自動メトリックはWindowsの新機能であり、リンク・スピードに基づいてローカル・ルートのメトリックを自動で構成するものです。自動メトリックはデフォルトで有効であり、手動で特定のメトリックを割り当てるよう構成することもできます。自動メトリックを有効にしてデフォルト値を使用する場合、Oracle Grid Infrastructureのインストール時に、OUIによって、サーバーのデフォルトのパブリック・ホスト名にプライベート・ネットワーク・インタフェースが選択されてしまうことがあります。

インストール時にOUIによって間違ったネットワーク・インタフェースが選択されないようにするには、次の手順を実行します。

  1. 「コントロール パネル」で、「ネットワーク接続」をダブルクリックします。

  2. ネットワーク・インタフェースを右クリックして、「プロパティ」をクリックします。

  3. 「インターネット プロトコル(TCP/IP)」をクリックし、「プロパティ」をクリックします。

  4. 「全般」タブで、「詳細設定」をクリックします。

  5. メトリックを指定するには、「IP 設定」タブで自動メトリックのチェック・ボックスを選択解除します。

  6. 「インターフェース メトリック」フィールドで、パブリック・ネットワーク・インタフェース・メトリックをプライベート・ネットワーク・インタフェースより小さな値に設定します。たとえば、パブリック・ネットワーク・インタフェース・メトリックを100に、プライベート・ネットワーク・インタフェース・メトリックを300に設定します。

1.2.2.8 IPv6コンポーネントの無効化

IPv6は、Oracle Grid Infrastructureではサポートされていません。Oracleソフトウェアをインストールする前に、次の手順を使用してすべてのクラスタ・ノードのレジストリを変更して、IPv6を無効にします。

  1. regeditプログラムを起動します。現在のレジストリ設定のバックアップを作成します。

  2. レジストリ・エディタで、HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ CurrentControlSet\Services\Tcpip6\Parametersエントリに移動します。

  3. DisabledComponentsキーをダブルクリックして、値を変更します。DisabledComponentsキーが存在しない場合は、次のようにこのキーを作成します。

    1. 「編集」メニューを開きます。

    2. 「新規」→「DWORD (32 ビット) 値」を選択します。

    3. DisabledComponentsを入力し、[Enter]を押してキーを作成します。

  4. DisabledComponentsキーの場合は、ffffffffのDWORD値を追加します。

  5. レジストリ・エディタを終了して、コンピュータを再起動します。

  6. Oracle Grid Infrastructureをインストールする各ノードでこの手順を繰り返します。

この手順により、IPv6ループバック・インタフェース以外のすべてのIPv6コンポーネントが無効化されます。

1.2.2.9 クラスタ内のファイルをコピーするための権限の確認

インストール中に、OUIはソフトウェアをローカル・ノードからクラスタ内のリモート・ノードにコピーします。各ノードで次のコマンドを実行して、クラスタ内の他のノードの管理者権限があることを確認します(nodenameはリモート・ノードの名前)。

net use \\nodename\C$

1.2.3 オペレーティング・システム・パッチおよび他の必須ソフトウェアのインストール

詳細は、第2.8項「ソフトウェア要件の特定」に示されている表を参照してください。

Windowsの仮想メモリー(ページング・ファイル)に十分な領域を構成する必要があります。ページング・ファイルは、RAM(コンピュータのメイン・メモリー)に収まらない情報を格納するために使用されます。ページング・ファイルは、すべてのプロセスで共有されるため、ページング・ファイルで領域が不足していると、プロセスはメモリーを割り当てることができなくなります。

可能な場合は、複数の物理デバイスでページング・ファイルを複数のファイルに分割します。この構成によって、仮想メモリーへのパラレル・アクセスが促進され、ソフトウェア・パフォーマンスが向上します。Windowsのページング・ファイルの構成については、第1.2.1.1項「メモリー要件」を参照してください。

1.2.4 オペレーティング・システム・ユーザーの構成

Oracleソフトウェアをインストールするには、管理者権限のあるアカウントを使用する必要があります。詳細は、第2.13項「ユーザー・アカウントの構成」を参照してください。


注意:

リモートでインストールを実行する場合は、第2.3項「リモートWindowsサーバーへのログイン」を参照してください。

1.2.5 インストール時に使用するディレクトリの構成

Oracle Grid Infrastructureのインストール中、OUIによっていくつかのディレクトリが使用されます。

1.2.5.1 一時ディレクトリ

すべてのノードにわたって適切にインストールするために、OUIはMicrosoft Windows内で定義されている一時フォルダを使用します。TEMPおよびTMP環境変数は、クラスタ内のすべてのノード上の同じローカル・ディレクトリを指している必要があります。デフォルトでは、これらの設定は「マイ コンピュータ」の環境設定に%USERPROFILE%\Local Settings\Tempおよび%USERPROFILE%\Local Settings\Tmpとして定義されています。これらは%WINDIR%\tempおよび%WINDIR%\tmpとして明示的に再定義することをお薦めします(たとえば、WindowsがCドライブにインストールされている場合は、C:\Windows\tempまたはC:\Windows\tmpと定義します)。

1.2.5.2 Gridホーム・ディレクトリ

Oracle Grid Infrastructureがインストールされるディレクトリは、Gridホームと呼ばれます。Oracle Grid Infrastructureをインストールする場合、Gridホームの場所を決定する必要があります。Oracle ASMもこのホーム・ディレクトリにインストールされます。

Oracle RACをインストールする場合は、Oracle Databaseソフトウェアを異なるディレクトリにインストールする必要があります。Oracle RACインストールの場所は、Oracleホームと呼ばれます。


注意:

Oracle Grid Infrastructureのみでのインストールの場合は、OUIによって作成されるGridホームとOracle Inventoryディレクトリを使用することをお薦めします。

1.2.5.3 Oracleベース・ディレクトリ

インストール時に、Oracleベースの場所を指定するように求められます。Oracleベースは、インストールを実行するユーザーが所有します。既存のOracleホームが含まれるディレクトリを選択するか、またはOracleベース・ディレクトリの構造を持っていない別のディレクトリを選択できます。

他のOracleソフトウェアがインストールされていないコンピュータにOracle Database 11gリリース2 (11.2)をインストールする場合、OUIによってOracleベース・ディレクトリが作成されます。Oracleソフトウェアがすでにインストールされる場合は、1つ以上のOracleベース・ディレクトリがすでに存在します。後者の場合は、インストール中に、OUIにより使用するOracleベース・ディレクトリを選択するように求められます。

Windowsのデフォルトのインストールの場合、Oracleベース・ディレクトリは次のようになります。Xはディスク・ドライブ、usernameは現在ログインしているユーザーの名前です。

X:\app\username

Oracleベース・ディレクトリ・パスを使用すると、Oracleインストールの構造が簡略化され、複数のデータベース・インストールでOptimal Flexible Architecture(OFA)構成を保持しやすくなります。

1.2.5.4 Oracle Inventoryディレクトリ

Oracle Inventoryディレクトリには、サーバーにインストールされたすべてのOracleソフトウェア用の中央インベントリがあります。デフォルトでは、Oracle Inventoryディレクトリの場所は、C:\Program Files\Oracle\Inventoryです。このディレクトリは、Windowsサーバーに初めてOracleソフトウェアをインストールするときに自動的に作成されます。

1.2.6 共有記憶域の確認

スタンドアロンまたはOracle RACのデータベースをインストールする場合は、Oracle Clusterwareファイル(投票ディスクとOCR)用、およびOracle Databaseファイル用として、Oracle ASM上に使用可能な領域が必要です。新しいインストール環境では、Oracle ClusterwareファイルをRAWデバイスに作成することができなくなりました。また、共有記憶域としてWindows用のOracle Cluster File System(Windows用のOCFS)を使用することもできます。


注意:

Oracle ASMをOracle ClusterwareファイルまたはOracle Databaseファイルに使用する場合、データベースの数に関係なく、クラスタ内のノードごとにOracle ASMインスタンスが1つ作成されます。

1.2.7 ディスク・パーティションの準備

次の項では、Windows用のOracle Cluster File System(Windows用のOCFS)またはOracle ASMで使用するためにディスク・パーティションを準備する手順を示します。

1.2.7.1 Windows用のOCFSまたはOracle ASMで使用するためのディスク・パーティションの作成

次の手順では、Windows用のOCFS、またはOracle ASMで使用するためのディスク・パーティションの作成手順について説明します。

  1. Microsoftのコンピュータの管理ユーティリティまたはコマンドライン・ツールdiskpartを使用して、拡張パーティションを作成します。ベーシック・ディスクを使用します(ダイナミック・ディスクはサポートされていません)。

  2. Oracle Clusterwareファイル用に1つ以上の論理パーティションを作成します。Windows用のOCFSを使用する場合は、OCRおよび投票ディスク用に別々のパーティションを作成する必要はありません。Oracle Clusterwareでは、OCRおよび投票ディスクに対して専用のファイルが作成されます。

  3. ファイル・システムでRedundant Array of Inexpensive Disks(RAID)を使用しない場合は、Oracle Clusterwareで使用されるパーティションごとに追加の拡張パーティションと論理パーティションを作成し、冗長性を提供します。

必要なパーティションを作成するには、Microsoft Windowsの「ディスクの管理」ユーティリティを使用します。マスター・ブート・レコード(MBR)・パーティション・スタイルのベーシック ディスクを、パーティション作成用の拡張パーティションとして使用します。

  1. クラスタ内の既存のノードから、次の手順でWindowsディスク管理ツールを起動します。

    1. Windows Server 2003およびWindows 2003 R2システムの場合:

      「スタート」をクリックし、「設定」「コントロール パネル」「管理ツール」「コンピュータの管理」を選択します。

      「記憶域」フォルダの「ディスクの管理」を開きます。MBRパーティション・スタイルを持つベーシック・ディスクを使用して、拡張パーティションを作成します。ディスクの未割当ての部分を右クリックして、「拡張パーティションの作成」を選択します。OCRおよび投票ディスクの両方を格納するパーティションのサイズ(520MB以上)か、投票ディスクまたはOCRのいずれかのみを格納するパーティションのサイズ(500MB以上)を指定します。

      論理ドライブのオプションを指定する際に、オプション「ドライブ文字またはドライブ パスを割り当てない」および「このパーティションをフォーマットしない」を選択します。この手順を繰り返して、必要なすべてのファイルを格納するのに十分な論理パーティションを作成します。

    2. Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012またはWindows Server 2012 R2システムの場合に、DISKPARTユーティリティを使用してディスク・パーティションを作成する手順は、第3.7項「Windows用のOCFSにおけるOracle Databaseファイル用の記憶域の構成」を参照してください。

  2. クラスタ内の各ノードで、パーティションが表示されていること、共有記憶域用に作成されたディスク・パーティションのいずれにもドライブ文字が割り当てられていないことを確認します。いずれかのパーティションにドライブ文字が割り当てられている場合は、次の手順を実行してドライブ文字を削除します。

    • Windowsのディスク管理ツールのパーティションを右クリックします。

    • メニューから、「ドライブ文字とバスの変更」を選択します。

    • 「ドライブ文字とパスの変更」ウィンドウの「削除」をクリックします。

1.2.7.2 Oracle ASMで使用するためのディスク・パーティションのスタンプ付け

Oracle ASMを使用してOracle Clusterwareファイルを格納する場合は、追加の手順を1つ実行する必要があります。ディスク・パーティションを作成した後、Oracle ASMによって使用できるようにするには、ディスクにヘッダーをスタンプする必要があります。asmtoolg(GUIバージョン)またはasmtool(コマンドライン・バージョン)を使用して、ディスク・パーティションにスタンプを付けることができます。


注意:

Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012またはWindows Server 2012 R2で、ユーザー・アカウント制御(UAC)が有効な場合は、asmtoolgまたはasmtoolユーティリティを実行するには管理者レベルの権限が必要です。

1.3 Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのインストール

この項では、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール・プロセスの概要について説明します。詳細は、第4.2項「Oracle Grid Infrastructureのインストール」を参照してください。

  1. インストール・メディアのルート・レベルからOUIを起動します。たとえば、インストール・メディアがDドライブにマウントされている場合は、コマンド・プロンプトで次のように実行します。

    C:\> D:
    D:\> setup.exe
    
  2. 「クラスタ用のGrid Infrastructureのインストールおよび構成」を選択し、次に「標準インストール」を選択します。この後のインストール画面で、構成情報を指示どおりに入力します。

  3. Oracle Grid Infrastructureをインストールした後、Oracle ClusterwareとOracle ASMが起動し、正しく機能していることを確認します。