この章では、Oracle Database 11gリリース2 (11.2) for Fujitsu BS2000/OSDで使用するBS2000/OSDに固有の情報について説明します。
この章には次の項が含まれます:
BS2000/OSDのすべてのOracle Databaseユーティリティおよび製品では、ORAENV
というOracle Database環境定義ファイルが使用されます。Oracle Database製品を使用するには、多数のOracle Database環境変数が含まれるこのファイルを、製品の使用前に生成する必要があります。これらのOracle Database環境変数には、Oracle Databaseおよびユーティリティの動作環境が記載されています。このファイルの作成方法は、「環境定義ファイルの生成」の項を参照してください。
ORAENV
ファイルを生成しない場合、すべての環境変数でデフォルト値が使用されます。ORASID
などのように、環境変数にデフォルト値がない場合もあります。まずORAENV
ファイルを生成してからOracle Databaseプログラムまたはユーティリティを起動しないと、Oracle Databaseには接続できません。
ORAENV
ファイルは、BS2000コマンド・プロシージャの形式を持つテキスト・ファイルです。コマンド・プロシージャは、自体を/SET-FILE-LINK ORAENV
、filename
コマンドを使用してコールます。各行にはOracle Database環境変数とそれに割り当てられた値が含まれます。このファイルを読み込む際、Oracle Databaseでは列1に、スラッシュ記号(/)またはアスタリスク記号が(*)あるすべての行を無視します。
Oracle Databaseを最初に使用する前に、ORAENV
ファイルを再生する必要があります。ORAENV
ファイルを生成するには、次の手順を実行します。
次のコマンドを入力し、INSTALL.P.USER
プロシージャをコールます。
/CALL-PROCEDURE $ORAC1120.INSTALL.P.USER
ここで$ORAC1120
は、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)インストール・ユーザーIDです。
SID
というデータベース・システム識別子を求められます。
SID
を入力します。SID
がわからない場合は、データベース管理者に問い合せてください。
ORAENV
ファイルにCALL-PROCEDURE
コマンドを入力し、ORAENV
ファイル(sid
.P.ORAENV
)をコールます。たとえば、データベースDEMO
用に例のORAENV
ファイルをコールするには、次のコマンドを入力します。
/CALL-PROCEDURE DEMO.P.ORAENV
次にOracle Databaseで使用できるORAENV
ファイルの内容を示します。
/SET-PROC-OPT DATA-ESCAPE=*STD /DECL-PAR (SYSCMD(INI-VAL='DEMO.P.ORAENV')) / REMARK * SYSCMD must be name of this file / WRITE-TEXT ' ' / WRITE-TEXT ' +----------------------------------------+ ' / WRITE-TEXT ' I Oracle Database 11g Release 2 (11.2) I ' / WRITE-TEXT ' I environment setup I ' / WRITE-TEXT ' +----------------------------------------+ ' / WRITE-TEXT ' ' / SET-FILE-LINK ORAENV,&SYSCMD / SET-FILE-LINK ORALOAD,$ORAC1120.ORALOAD.LIB / SET-FILE-LINK ORAMESG,$ORAC1120.ORAMESG.LIB /&* MOD-SDF $ORAC1120.SYSSDF.ORACLE.USER /&* *** if SYSOUT protocol is desired set BGJOUT='KEEP' *** /&* SET-VAR BGJOUT='DEL' / EXIT-PROCEDURE ** parameters for users: * ORAUID=/BS2/$ORAC1120 ORASID=DEMO NLS_LANG=German_Germany.D8BS2000 * PRINTPAR= /END-PROCEDURE
必要な場合、このファイルのユーザー変数を編集してOracle Database 11gリリース2 (11.2)の動作環境を変更できます。付録B「Oracle環境変数」には、ORAENV
ファイルで指定できる変数一覧があります。ユーザー変数に割り当てる値は、ご自分のタスクのみ用です。データベース管理者は、データベース・インスタンス全体に影響する他の変数を設定することも可能です。ORAENV
ファイルでDBA固有の値を設定しても無視されます。
注意: 作業するデータベースごとに、個々にORAENV ファイルを作成できます。環境変数を設定するには、使用するデータベースの環境変数を含むORAENV ファイルをコールます。 |
Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のプログラムを起動するには、ORALOAD
ライブラリ(デフォルト: $ORAC1120.ORALOAD.LIB
)が必要です。Oracle Databaseでは、必要に応じて実行可能ファイルを動的にロードするため、このライブラリを使用します。ORALOAD
ライブラリは、Oracle Databaseプログラムをコールする前にリンク名ORALOAD
で指定する必要があります。リンク名が見つからない場合は、BLS (BS2000ローダー)のエラー・メッセージが示されます。ORALOAD
リンク名は、ORAENV
プロシージャがコールされると設定されます。Oracleのメッセージでは、別のライブラリ、ORAMESG
ライブラリ(デフォルト: $ORAC1120.ORAMESG.LIB
)も必要です。このライブラリにはORAENV
プロシージャでORAMESG
のリンク名が割り当てられます。
Oracle Database製品を起動する前に、第1.1.2項「環境定義ファイルのコール」で説明している環境定義ファイルをコールする必要があります。
BS2000のコマンド・プロンプト(/)に、START-PROGRAM
コマンドをプログラム名とともに入力し、Oracle Databaseプログラムおよびユーティリティを起動します。データ・プロンプト(*)が表示されたら、次の例に示すとおり、このオプションと演算子を最初のデータ入力行に指定します。
/START-PROGRAM $ORAC1120.program_name CCM0001 enter options: * [option_switch] [arguments]
ここで、
program_name
は起動するプログラムまたはユーティリティの名前です
option_switch
は、プログラムによって異なる1つ以上のオプションのスイッチです。これを使用する場合、スイッチの前にはダッシュ(-)を使用します。
arguments
は、プログラム(またはユーティリティ)の1つ以上の演算子であるか、ユーザーIDとパスワードの組合せ、または両方である場合があります。
例1-1
SQL*Plusを起動するには、次のコマンドを入力します。
/START-PROGRAM $ORAC1120.SQLPLUS
* /NOLOG
SQL> CONNECT SYS / AS SYSDBA
Enter password: password
プログラムがロードされたら、CCM0001
のプロンプトが表示され、コマンドライン・オプションを入力できます。前述の例のとおり、プログラムに、option_switch
またはarguments
を入力します。その後、SQL*Plusの場合はSQL>
である、このプログラムのプロンプトが表示されます。これで、プログラムのコマンドを1つ以上入力できます。有効なコマンドの説明は、製品の汎用のドキュメントを参照してください。
または、次のBS2000 SDFコマンドを使用してOracle Databaseユーティリティを起動できます。
/START-EXECUTABLE
($ORAC1120.ORALOAD.LIB
,program_name
)
たとえば、SQL*Plusを起動する場合は、次のコマンドを入力します。
/START-EXECUTABLE
($ORAC1120.ORALOAD.LIB,SQLPLUS)
次のコマンドを使用してユーティリティを起動することも可能です。
/START-ORACLE-CMMIGR or /CMMIGR /START-ORACLE-EXPORT or /OEXP /START-ORACLE-EXPDP or /EXPDP /START-ORACLE-IMPORT or /OIMP /START-ORACLE-IMPDP or /IMPDP /START-ORACLE-LISTENER-CONTROL or /LSNRCTL /START-ORACLE-MKWALLET or /MKWALLET /START-ORACLE-SQLLOADER or /SQLLDR /START-ORACLE-SQLPLUS or /SQLPLUS /START-ORACLE-TNSPING or /TNSPING /START-ORACLE-RMAN or /RMAN
起動コマンド後、(パラメータに等号(=)または空白が含まれる場合は引用符を使用して)パラメータを指定できます。ユーティリティを起動する前に、ORAENV
ファイルでMOD-SDF
コマンドを起動し、ORAENV
ファイルをコールます。
例:
/sqlplus /lsnrctl stop /oimp 'system/manager file=iea buffer=210000 ignore=y grants=y rows=y full=y commit=y'
Oracle Database 11gリリース2 on Fujitsu BS2000/OSD以降では、SQL*Plusなどのユーティリティは通常のBS2000環境だけでなくPOSIX環境でも実行できるようになりました。
Oracle Databaseソフトウェアのインストール時、ユーティリティはPOSIXファイル・システムのディレクトリoracle_home_path
/bin
にインストールされます。POSIXシェルでOracleユーティリティを起動する前に、環境変数ORACLE_HOME
を設定し、環境変数PATH
を、Oracleディレクトリoracle_home_path
/bin
のパス名を使用して拡張する必要があります。次に例を示します。
$ ORACLE_HOME=/u01/app/orac1120/product/dbhome $ export ORACLE_HOME $ PATH=$ORACLE_HOME/bin:$PATH $ export PATH
または、Oracle Databaseのインストール時にPOSIXの下に作成されるプロファイルoracle_home_path
/.profile.oracle
を実行できます。このプロファイルで、ORACLE_HOME
およびPATH
などの最も重要な変数を拡張できます。プロファイルは次のように実行します。
$ . /u01/app/orac1120/product/dbhome/.profile.oracle
変数ORACLE_SID
を設定し、特定のOracleインスタンスのOracleユーティリティを起動します。関連するBS2000 ORAENV
ファイルに定義されているその他のインスタンス固有のパラメータを、POSIX環境に設定するか、BS2000 ORAENV
ファイルにアクセスして設定します。
POSIXシェルで実行されるユーティリティでは、インスタンス固有の変数をBS2000ファイル・システムのORAENV
ファイルから読み込むことができます。BS2000 ORAENV
ファイルにアクセスするには、oraenvsid
という名前のファイルをoracle_home_path
/dbs
ディレクトリに作成する必要があります。このファイルには、BS2000 ORAENV
ファイルの完全修飾されたBS2000ファイル名を含みます。これは、BS2000ファイル・システムのORAENV
ファイルへのリンクのように動作します。
たとえば、ORAENV
ファイルの$ORADATA.ORCL.P.ORAENV
にアクセスしたい場合、次のように、oracle_home_path
/dbs
ディレクトリにoraenvORCL
ファイルを作成する必要があります。
$ ORACLE_HOME=/u01/app/orac1120/product/dbhome
$ export ORACLE_HOME
$echo '$ORADATA.ORCL.P.ORAENV' > $ORACLE_HOME/dbs/oraenvORCL
$ chmod 664 $ORACLE_HOME/dbs/oraenvORCL
注意:
|
Oracleユーティリティがデータベースへの接続にBEQプロトコルを使用する場合、Oracle Net ServicesはBS2000環境の専用サーバーの起動に、BGJPAR
変数からジョブ・パラメータを取得します。この変数を指定しない場合、Oracle Net Servicesではデフォルト値が使用されます。
注意: BGJPAR 変数は、oracle_home_path /.profile.oracle プロファイルの実行後は設定されません。 |
BEQプロトコルを使用する場合、Oracle Net Servicesによって起動されるBS2000ジョブには、特定のBS2000ジョブ・パラメータを定義することをお薦めします。BGJPAR
変数に、これらのパラメータを定義するオプションがあります。この変数は、関連するBS2000のORAENV
ファイルに設定するか、POSIX環境に適切な値を明示的に設定することによって定義できます。
たとえば、継承サーバー・タスクを特殊なJOB-CLASS
に割り当てる必要がある場合、POSIX環境でBGJPAR
変数を次のように設定します。
$ ORACLE_SID=orcl
$ export ORACLE_SID
$ BGJPAR='START=SOON,CPU-LIMIT=NO,JOB-CLASS=JCBORA,LOGGING=*NO'
$ export BGJPAR
次のコマンドを使用すると、SQL*Plusなどで他のUNIXシステムと同様な方法でユーティリティを起動できます。
$ sqlplus /nolog
$ SQL> connect / as sysdba
Oracleインスタンスへは次の方法を使用して接続できます。
Bequeathアダプタを使用したOracle Net Servicesの使用(『Oracle Databaseインストレーションおよび構成ガイドfor Fujitsu BS2000/OSD』のOracle Net Servicesに関する説明を参照してください)。
TCP/IPまたはIPCを介したOracle Net Servicesの使用
一覧の方法を使用してOracle Databaseに接続できるかどうかは、システムの構成に依存するので、データベース管理者に問い合せてください。通常、どのようにOracleインスタンスに接続するかは、次に示すとおり、ログオン文字列の一部としてuserid/passwordにアットマーク(@)で区切って付加し、ユーザーが方法を指定します。
接続文字列を指定しない場合、設定されている場合、環境変数DEFAULT_CONNECTION
がOracle Databaseと接続を確立するために使用されます。ORAENV
ファイルおよびDEFAULT_CONNECTION
環境変数の詳細は、付録B「Oracle環境変数」を参照してください。
ローカルまたはリモート・インスタンスへのアクセスは、Oracle Net Servicesを介して実行されます。ローカルまたはリモートのデータベースにアクセスするには、Oracle Net Servicesのログオン文字列を使用し、次を特定します。
使用するプロトコル
アクセスするデータベース
(専用または共有のいずれかの)使用するサーバーのタイプ
Oracle Net Servicesログオン文字列は、次の構造になっています。
/START-PROGRAM $ORAC1120.SQLPLUS * userid/password@service_name
ここで、
service_name
では、目的のデータベースのTNS接続識別子を識別するTNSNAMES.ORA
ファイルに入力したサービス名を指定します。ここに何を入力するかわからない場合は、データベース管理者に問い合せてください。
次の例では、TNSNAMES.ORA
ファイルにSERVERX
として定義したデータベースに接続するログオン文字列を示します。
HR/HR@SERVERX
Bequeathアダプタを使用してOracle Databaseに接続する方法の詳細は、『Oracle Databaseインストレーションおよび構成ガイドfor Fujitsu BS2000/OSD』のOracle Net Servicesに関する章を参照してください。
多くの場合、Oracle Database for BS2000/OSDプログラムでは、C-BS2000ランタイム・システムの関数を使用して、その入出力ファイルにアクセスします。Oracle Databaseプログラムは、SAM
、ISAM
およびPAM
ファイルを読み書きできます。
テキスト・データは、SAM
またはISAM
ファイルに通常格納され、各レコードは1つのテキスト行になります。SQL*Plusおよびスプール出力ファイルによって使用されるSQLスクリプト・ファイルがその例です。
SQL*Loaderの入力データは、SAM
またはISAM
ファイルとして提供されます。これらのファイルには、パック10進数またはバイナリ正数値などの出力不能なデータも含む場合があります。ISAM
ファイルについては、レコードの先頭のキーは通常無視されます。
汎用のOracle Databaseドキュメントで使用されている規則では、LOGIN.SQL
などのようにファイル名をピリオドで2つの部分に区切って表現しています。BS2000にも、この構文が適しています。ただし、BS2000には「現在のディレクトリ」という概念がないため、完全なBS2000ファイル名にするには、汎用の名前の例に接頭辞を追加する必要があります。
BS2000/OSD上のOracle Databaseユーティリティでは、次の表に示すとおり、指定したファイル名の最後のコンポーネントが3文字を超える場合のみ、またはコンポーネントが1つ指定されている場合のみ、デフォルトの拡張子をファイル名に追加します。
元のファイル名 | 拡張されたファイル名 | |
---|---|---|
1. | TEST.TEST |
TEST.TEST.EXT |
2. | TST |
TST.EXT |
3. | T.T |
T.T |
4. | TEST.TST |
TEST.TST |
これは、UNIXシステム上のOracle Databaseに使用されるファイルの命名規則と類似しています。
ファイル名を指定するかわりに、特別な場合に、ファイル名が要求された場所に構文link=
linkname
を使用して以前発行したBS2000 /SET-FILE-LINK
コマンドのリンク名を参照することもできます。このようにして、デフォルトのファイル属性をオーバーライドしたり、ファイルの領域などを事前に割り当てることができます。link=
linkname
注釈を使用できない例外がいくつかあります。
注意: link= linkname 注釈を使用する際、デフォルトのファイル名の拡張子は機能しません。その結果、そのような注釈から得たデフォルトのファイル名は無効となり、この場合には明示的な名前を提供する必要があります。たとえば、SQL*Loaderを使用する際にSQL*Loaderの制御ファイルにlink= linkname を指定した場合、BAD 、LOG およびDISCARD のファイル名には名前を明示的に付ける必要があります。
コマンド(オプション)ラインで |
Oracle Database 11gリリース2 (11.2) for Fujitsu BS2000/OSDでは、特定のファイルに、固定のリンク名を使用します。
これらのうち、最も重要なのは次のとおりです。
タイプ | 意味/用途 |
---|---|
ORAENV | Oracle Databaseの環境定義ファイルのリンク名。 |
ORALOAD | このリンク名は必須で、処理時Oracle Databaseモジュールがロードされるロード・ライブラリを指定するために使用します。 |
ORAMESG | このリンク名は必須で、実行時Oracleメッセージ・モジュールがロードされるメッセージ・ライブラリを指定するために使用します。 |
通常、これらのリンク名は、ORAENV
プロシージャを実行して設定します。