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Oracle® Smart Update パッチおよびメンテナンス パックのインストール
リリース 3.1
B55509-01
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9 メンテナンス更新の配布に関するベスト プラクティス

この節では、以下のトピックについて説明します。

9.1 プロダクション環境へのメンテナンス パッチの配布

この節では、プロダクション環境にパッチを配布する次のモデルについて説明します。

これらのモデルでは、プロダクション環境のシステムに対するソフトウェア メンテナンスの提供について次のような状況が想定されています。

9.1.1 Smart Update スクリプトを使用した標準メンテナンス レベルからプロダクション環境へのプロモート

この節では、前述の条件のいくつかまたはすべてに該当するプロダクション システムにメンテナンス更新を配布する作業の例を示すことで、Smart Update の機能がどのように役立つかを説明します。

  1. My Oracle Support は、Avitek 社に対して、同社が WebLogic Server 9.1 上で実行している社内アプリケーションについて報告した問題を解決するためのプライベート パッチを提供しました。

  2. Avitek 社の MIS 部門の社員である Bob Jones は、提供されたパッチを自分のシステムのパッチ ダウンロード ディレクトリにダウンロードしました。このディレクトリは、MIS で使用されるネットワーク ディスクに設定されており、そこに Avitek 社にソフトウェア ベンダすべてから提供されるメンテナンス更新が格納されています。

  3. Rachel Burns は Avitek 社の品質保証 (QA) 部門の社員であり、自分のシステムでパッチをテストすることを担当しています。彼女のマシンには、プロダクション環境で使用されているのと同一の WebLogic Server 環境があります。Rachel のシステムにあるドメイン コンフィグレーションは、Avitek 社のプロダクション環境で動作中の WebLogic ドメインと類似しています。Rachel は、プロダクション環境で使用し、自分のシステムでも実行する WebLogic Server 起動スクリプトを作成しました。

    Rachel はオフライン モードで Smart Update を実行しました。パッチ ダウンロード ディレクトリを Bob が使用したディレクトリに設定していることを確認してから、そのパッチを自分の WebLogic Server インストール環境に適用しました。

  4. Rachel は、プロダクション システムがカスタマイズした WebLogic Server 起動スクリプトを使用しており、パッチに存在するクラスが自分のシステムの WebLogic システム クラスパスにロードされるようにスクリプトを変更する必要があることに気づきました。

    Rachel は、起動スクリプトでデフォルト パッチ プロファイルを参照するように PATCH_CLASSPATH 変数の定義を起動スクリプトに追加し、この変数を SET WEBLOGIC_CLASSPATH ステートメントの先頭に追加しました。

  5. Rachel はパッチのテストに成功し、Avitek 社のプロダクション環境で動作している 20 個の製品インストールすべてに対してこのパッチをレプリケートする準備を整えました。各プロダクション システムはほとんど同じであるため、どのシステム上でも動作するパッチ適用スクリプトを 1 つ作成すればよいことを Rachel は理解していました。

    そこで起動スクリプトを作成しました。その機能は非常に単純で、対象インストールのデフォルト パッチ プロファイルにパッチを適用し、更新した起動スクリプトを各システムの適切な場所にコピーするというものです。

  6. Rachel はこのパッチをパッチ ダウンロード ディレクトリにアップロードしました。このディレクトリは、Avitek 社の DMZ にあるプロダクション用システムで使用される、セキュリティで保護されたディスク上にあります。また、Smart Update スクリプトと新しい WebLogic Server 起動スクリプトも、この保護されたディスクにアップロードしました。

  7. Dagmar Kohl は、Avitek 社のプロダクション環境にあるシステムの管理者です。Dagmar は、Smart Update スクリプトを各プロダクション システムにダウンロードして実行しました。

  8. パッチの内容から考えて、Dagmar は、パッチを有効にするために各サーバを再起動する必要があることを理解しました。サーバを再起動し、メンテナンス作業は完了しました。

9.1.2 製品インストール環境のアーカイブの作成と配布

9.1.1 Smart Update スクリプトを使用した標準メンテナンス レベルからプロダクション環境へのプロモート」で説明している手順の代替手段として、完全にパッチを適用した製品イメージのアーカイブを作成し、そのイメージをプロダクション環境全体のすべてのシステムにレプリケートする方法があります。このアプローチを実行する場合は、次の点に注意してください。

  • この方法の採用については、お勧めしません。製品インストーラを使用して製品のインストールをシステム上に作成し、Smart Update を使用してパッチを配布する方法を常に使用することをお勧めします。

  • 製品インストール環境に Smart Update を使用して適用されているメンテナンス パッチが存在する場合には、アーカイブ イメージに次のディレクトリを含める必要があります。このディレクトリは BEA_HOME ディレクトリの最上位レベルに存在します。

    • patch_wls1001 およびすべてのサブディレクトリ

    • utils およびすべてのサブディレクトリ

9.2 My Oracle Support に接続できないシステムへのメンテナンス パッチの提供

1.6.2 My Oracle Support に直接接続できないマシンのメンテナンス」で説明しているように、Smart Update のオフライン モードによって BEA カスタマ サポートに接続できないシステム上にメンテナンス更新をインストールすることができます。この節では、これらのシステムにパッチおよびパッチ セットを提供する場合に使用できる以下の方法について説明します。

これらの節で方法を説明する目的のため、My Oracle Support に接続できないシステムのことをここではオフライン システムと呼びます。

9.2.1 共有パッチ ダウンロード ディレクトリ経由でオフライン マシンにパッチの適用

次のトピックでは、共有パッチ ダウンロード ディレクトリ経由でオフライン システムにパッチを適用する方法について説明します。

9.2.1.1 要件

共有パッチ ダウンロード ディレクトリ経由でオフライン システムにメンテナンス更新をインストールするには、主として次の 2 つを用意する必要があります。

  • My Oracle Support への接続を確立できる 1 台のシステムがあり、以下が用意されている。

    • オフライン システムにインストールされている製品とバージョンが同じ製品のローカル インストール

    • My Oracle Support ユーザ アカウント

  • My Oracle Support とオフライン システムの両方からアクセスできる、ネットワーク上のディスク。

9.2.1.2 手順

インターネットにアクセスできるシステムから、インターネットに接続できないシステムにリモートでパッチを適用するには、インターネットにアクセスできるシステムを使用して次の手順を実行します。

  1. My Oracle Support に接続できるシステムで、次の手順を実行します。

    1. Smart Update を起動し、My Oracle Support にログインします。

    2. [ファイル|環境設定] を選択し、オフライン システムからアクセスできるパッチ ダウンロード ディレクトリの場所を選択します。選択した場所に対して、作業するユーザが書き込みパーミッションを持っていることを確認してください。

    3. 公開パッチをダウンロードする場合、[対象インストール] パネルで、オフライン システムにインストールされているソフトウェアの製品およびバージョンと同じ製品インストールを選択します。

    4. 3 パッチのダウンロードおよび適用」に記述されているように、必要なパッチすべてをダウンロードします。

  2. オフライン システムで、次の手順を実行します。

    1. Smart Update を起動し、[ログイン] ダイアログ ボックスで [オフライン] をクリックします。

    2. [ファイル環境設定] を選択し、My Oracle Support に接続されたシステムでパッチをダウンロードした場所にパッチ ダウンロード ディレクトリを設定します。

    3. [対象インストール] パネルで、パッチを適用する対象インストールを選択します。

    4. [パッチの管理] タブを選択し、目的のパッチ プロファイルが選択されていることを確認します。

    5. [ダウンロードされたパッチ] パネルで、適用するパッチの横にある [適用] をクリックします。

    6. 3.5 パッチの適用および管理」に従い、パッチを適用する手順をすべて完了します。

9.2.2 リムーバブル メディア経由でオフライン システムにパッチの適用

次のトピックでは、リムーバブル メディア経由でオフライン システムにパッチを適用する方法について説明します。

9.2.2.1 要件

リムーバブル メディア経由でオフライン システムにメンテナンス更新をインストールするには、主として次の 2 つを用意する必要があります。

  • My Oracle Support への接続を確立できる 1 台のシステムがあり、以下が用意されている。

    • オフライン システムにインストールされている製品とバージョンが同じ製品のローカル インストール

    • Oracle サポート ユーザ アカウント

  • Oracle サポートに接続できるシステムとオフライン システムの両方で使用できる種類のリムーバブル メディアにパッチを格納できる。たとえば、書き込み可能な CD-ROM、メモリ キー、フロッピー ディスクなど。

9.2.2.2 手順

リムーバブル メディア経由でオフライン システムにパッチを適用するには、次の手順を実行します。

  1. My Oracle Support に接続できるシステムで、次の手順を実行します。

    1. Smart Update を起動し、My Oracle Support にログインします。

    2. 公開パッチをダウンロードする場合、[対象インストール] パネルで、オフライン システムにインストールされている Oracle ソフトウェアの製品およびバージョンと同じ製品インストールを選択します。

    3. 3 パッチのダウンロードおよび適用」に記述されているように、必要なパッチすべてをダウンロードします。

    4. ダウンロードしたパッチをリムーバブル メディアにコピーします。

  2. オフライン システムで、次の手順を実行します。

    1. リムーバブル メディアをオフライン システムにマウントします。

    2. Smart Update を起動し、[ログイン] ダイアログ ボックスの [オフライン] をクリックします。

    3. [ファイル環境設定] を選択し、パッチ ダウンロード ディレクトリを、パッチが格納されているリムーバブル メディアのディレクトリに設定します。

    4. [対象インストール] パネルで、パッチを適用する対象インストールを選択します。

    5. [パッチの管理] タブを選択し、目的のパッチ プロファイルを選択します。

    6. [ダウンロードされたパッチ] パネルで、適用する各パッチの横にある [適用] をクリックします。

    7. 3.5 パッチの適用および管理」に従い、パッチを適用する手順をすべて完了します。

9.2.3 オフライン システムにパッチを適用するためのその他の手段

My Oracle Support にオンライン接続する手段がない場合、My Oracle Support では、必要に応じて代替手段によってパッチを提供することがあります。