この章では、OC4Jに装備された管理機能の概要を説明します。この章の内容は次のとおりです。
Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Controlは、JMXに準拠するWebベースのユーザー・インタフェースで、OC4J内のアプリケーションのデプロイ、構成および監視の他、スタンドアロンOC4Jサーバー、Oracle Application Serverクラスタ内のOC4Jインスタンスのグループ、およびアプリケーションで使用されるWebサービスの管理を目的とします。この項の内容は次のとおりです。
このインタフェースの使用方法は、Application Server Controlに付属するオンライン・ヘルプを参照してください。
注意: Application Server Controlの現行リリースでは、OPMNの構成やOracle HTTP Serverの起動と停止はサポートされていますが、Oracle HTTP Serverの構成はサポートされていません。OPMNおよびOracle HTTP Serverの構成方法は、『Oracle Process Manager and Notification Server管理者ガイド』を参照してください。 |
Application Server Controlは、OC4Jソフトウェアのインストール時に自動的にインストールおよび構成されます。OC4Jを起動するとデフォルトで起動されます。
コンソールには、HTTPリクエストをポート8888
でリスニングするように構成されたデフォルトWebサイトを介してアクセスします。コンソールにアクセスするには、次のURLをWebブラウザに入力するだけです。
http://hostname:8888/em
Application Server Controlは、OC4Jの埋込みコンポーネントとしてインストールおよび構成されます。コンソールは、OPMNコマンドライン・ツールopmnctl
を使用して、その他のすべてのインストール済Oracle Application Serverコンポーネントとともに起動されます。このツールは、各サーバー・ノードのORACLE_HOME
/opmn/bin
ディレクトリにインストールされています。
次のコマンドを発行して、すべてのインストール済コンポーネントを起動します。
cd ORACLE_HOME/opmn/bin
opmnctl startall
複数のOC4Jインスタンスを含むクラスタ・トポロジでは、クラスタのOPMN構成ファイルopmn.xml
にsequential
オプションが含まれない場合には、コマンドで-sequential
フラグを使用する必要があります。
cd ORACLE_HOME/opmn/bin
opmnctl startall -sequential
sequential
オプションを使用すると、OC4Jインスタンスが順番に起動されます。コンポーネントを同時に起動すると、リソース競合の問題が発生する可能性があります。opmn.xml
ファイルでsequential
オプションを指定する方法は、「管理OC4J構成でのランタイム・オプションの設定」を参照してください。
通常のOracle Application Serverインストールでは、Application Server Controlを含むすべてのWebアプリケーションには、Oracle HTTP Serverを介してアクセスします。次のURLを使用してコンソールにアクセスします。
http://ohs_host_address:port/em
ohs_host_address
: Oracle HTTP Serverホスト・マシンのアドレス。たとえばserver07.company.com
です。
port
: OPMNによってOracle HTTP Serverに割り当てられたHTTPリスナー・ポート。割り当てられたリスナー・ポートのリストをOPMNから取得するには、次のopmnctl
コマンドをOracle HTTP Serverホスト・マシンで実行します。
opmnctl status -l
OPMNステータス出力でhttp1
に指定されたポートを、port
の値として指定します。
HTTP_Server | HTTP_Server | 6412 | Alive | 1970872013 | 1
6396 | 0:48:01 | https1:4443,http2:722,http1:7779
Application Server Controlは、次に説明するいくつかの機能領域で構成されています。
アプリケーション
OC4JインスタンスまたはOracle Application Serverクラスタ内のインスタンスのグループにデプロイされたアプリケーション、モジュールまたはスタンドアロン・リソース・アダプタの起動と停止
アプリケーションまたはモジュールのデプロイ、アンデプロイまたは再デプロイ
アプリケーションのデプロイの一環としてのデプロイ・プランの作成または編集
HTTPリクエストおよびアクティブなEJBメソッド・コールに関する統計の表示
管理
J2EEサービス(JMSやJTAなど)の管理
JNDI名の表示および検索
JDBCデータソースおよびデータベース・アクセスを提供する接続プールの作成
JSPコンテナのプロパティの設定
セキュリティ・プロバイダの構成およびユーザーとロールの管理
JMX MBeanブラウザを介したMBeanへのアクセス
イベント・ドリブンのJMX通知のサブスクライブ
パフォーマンス
OC4Jと他のアクティブなアプリケーションによるCPUおよびメモリー・リソースの使用状況と、OC4Jヒープ使用状況を示すグラフの表示
データベース接続とトランザクション・アクティビティ、JVM使用状況、JSPとサーブレットのリクエストおよびEJBメソッドに関する統計の表示
最もリクエストが多かったJSP、サーブレットおよびEJBモジュールに関するシステムへの問合せ
Webサービス
Webサービスの有効化または無効化
インスタンス内で稼働しているWebサービスのメトリックおよび統計の表示
WebサービスのWSDLの表示
Webサービスのテスト
Webサービスの監査、ロギング、信頼性およびセキュリティの構成
ログ
OC4Jインスタンスにデプロイされた特定のアプリケーションのログ・ファイルの表示
デフォルト・アプリケーション(グローバルWebアプリケーションを含む)およびApplication Server Controlのログの表示
特定のメッセージ・タイプおよび文字列についてのログの検索
Oracle Diagnostic Logging(ODL)フレームワークを使用した、コンポーネントのXML形式のログ・ファイルの表示
Webサービスのログの取得
OC4Jによって提供されるロギング機能の詳細は、第11章「OC4Jでのロギング」を参照してください。
OC4Jにはadmin_client.jar
というコマンドライン・ユーティリティが用意されています。このユーティリティを使用すると、Oracle Application Serverのクラスタ化された環境およびスタンドアロンOC4JサーバーのアクティブなOC4Jインスタンスで操作を実行できます。
このユーティリティを使用して実行できるタスクは次のとおりです。
特定のOC4JインスタンスまたはOracle Application Serverクラスタ内のインスタンス・グループに対するアプリケーション(EAR)、スタンドアロンWebモジュール(WAR)、スタンドアロンEJBモジュール(EJB JAR)、スタンドアロン・リソース・アダプタ(RAR)のデプロイ
アプリケーション、Webモジュール、EJBモジュールまたはリソース・アダプタのアンデプロイ
変更されたクラスを保持するデプロイ済EJBモジュールの増分的な更新
共有ライブラリの新規作成
JDBCおよびJMSリソースの作成
OC4Jインスタンスの停止、起動または再起動
特定のOC4Jインスタンスまたはクラスタ全体のインスタンス・グループでの特定のアプリケーションの停止、起動または再起動
このツールの使用方法は、第6章「admin_client.jarユーティリティの使用方法」を参照してください。
OC4Jにはadmin.jar
というコマンドライン・ユーティリティが用意されています。このユーティリティを使用すると、アクティブなスタンドアロンOC4Jインスタンスで操作を実行できます。
注意: admin.jar ユーティリティは、スタンドアロンOC4Jインストールの単一のOC4Jインスタンスを管理するためのみに使用できます。
より高度な機能を装備しているため、 |
特に、このユーティリティを使用してできるタスクは次のとおりです。
スタンドアロンOC4Jインスタンスの停止および再起動
特定のアプリケーションの再起動
スタンドアロンOC4Jインスタンスに対するアプリケーションのデプロイまたはアンデプロイ
グローバル・データソースまたはアプリケーション固有のデータソースの追加、削除またはテスト
このユーティリティは、ORACLE_HOME
/j2ee/
instance/
にデフォルトでインストールされます。データソースをアップグレードする場合を除き、このユーティリティを使用するには、OC4Jを起動する必要があります。また、このユーティリティを使用してOC4Jを起動することはできません。このツールの使用方法は、第7章「admin.jarユーティリティの使用方法」を参照してください。
OC4Jディストリビューションには、実行可能スクリプトが含まれています。これらのスクリプトをスタンドアロンOC4J構成で使用すると、ローカルのOC4Jインスタンスの起動および停止、OC4Jバージョンの取得、OC4Jインストール・プロセスの完了が可能です。これらのスクリプトには、LinuxとUNIX環境用のシェル・スクリプト、およびWindows環境用のバッチ・ファイルが含まれています。
oc4j
実行可能スクリプトは、ORACLE_HOME
/bin
ディレクトリにあります。スクリプトは、次のように環境固有です。
これらのスクリプトを使用するには、「環境変数の設定」で説明されているように、ORACLE_HOME
およびJAVA_HOME
環境変数が設定されている必要があります。
どちらの実行可能ファイルも、次のような同じ構文を使用します。
oc4j [options]
実行可能ファイルに渡すことができる一連のオプションは、表3-1にまとめられているようにどちらについても同じです。
管理OC4J環境では、すべてのインストール済Oracle Application Serverコンポーネント(すべてのOC4Jインスタンスを含む)の管理と起動および停止に、OPMNが使用されます。また、OPMNはOC4Jおよび関連するコンポーネント(Oracle HTTP Serverなど)も監視します。そのため、インストール済Oracle Application Serverコンポーネントを監視するには、OPMNを各ORACLE_HOME
ディレクトリにインストールする必要があります。
OPMNを構成および使用する方法は、『Oracle Process Manager and Notification Server管理者ガイド』を参照してください。
OPMNデーモンの制御には、コマンドライン・ユーティリティopmnctl
が使用されます。このユーティリティは、Oracle Application Serverのホスト・コンポーネントのホストとなるマシンのORACLE_HOME
/opmn/bin
ディレクトリにデフォルトでインストールされます。
注意: Application Server Controlの現行リリースでは、OPMNの構成やOracle HTTP Serverの起動と停止はサポートされていますが、Oracle HTTP Serverの構成はサポートされていません。OPMNおよびOracle HTTP Serverの構成方法は、『Oracle Process Manager and Notification Server管理者ガイド』を参照してください。 |
OPMNは、opmn.xml
構成ファイルを使用して構成されます。このファイルは、ORACLE_HOME
/opmn/conf
ディレクトリにあります。現行リリースのApplication Server Controlにはファイル編集機能が装備されていないため、ほとんどの場合、このファイルの編集は手動で行う必要があります。
次の例に、構成ファイルopmn.xml
でのOC4J構成データの構造を示します。
各コンポーネントの構成データは、<ias-component>
要素内に設定されます。この要素のid
属性はコンポーネント名(この場合はdefault_group
)です。
ホスト・マシン上に作成された各OC4Jインスタンスは、<process-type>
要素内で個別に構成されます。id
属性は、インスタンスを一意に識別します。
<process-set>
要素は、起動時に作成されるOC4Jプロセスのグループを定義します。
id
属性の値はグループを識別し、管理しやすくするためにグループ内のプロセスに対して生成されたログ・ファイルの最後に追加されます。
次の要素は、opmn.xml
におけるOC4J構成データの構造の簡略化された例です。
<opmn> . . . <ias-component id="default_group"> <process-type id="home" module-id="OC4J" status="enabled"> <module-data> <category id="start-parameters"> <data id="java-options" value=" -Djava.awt.headless=true"/> <data id="java-bin" value="/jdk/bin"/> <data id="oc4j-options" value="-validateXML -verbosity 10"/> </category> <category id="stop-parameters"> <data id="java-options" value="-Djava.awt.headless=true"/> </category> </module-data> <start timeout="600" retry="2"/> <stop timeout="120"/> <restart timeout="720" retry="2"/> <port id="default-web-site" protocol="ajp" range="12501-12600"/> <port id="rmi" range="12401-12500"/> <port id="jms" range="12601-12700"/> <port id="rmis" range="12701-12800"/> <process-set id="default_group" numprocs="1"/> </process-type> </ias-component> </opmn>
OC4J管理者アカウントは、デフォルトでユーザー名oc4jadmin
を使用して作成されます。このアカウントは、OC4Jに付属する各種ツール(admin_client.jar
コマンドライン・ユーティリティなど)を使用してコマンドを起動する際に必要です。また、Application Server Controlにログインする際にも使用できます。
oc4jadmin
アカウントにはoc4j-administrators
ロールが割り当てられます。このロールは、アカウントでユーザーおよびロールを管理するために必要です。また、MBeanServerサーバーに接続するためにもこのロールが必要です。
このアカウントの初期パスワードは、OC4Jのインストール時に設定できます。設定しない場合は、OC4Jの初回起動時に設定するように要求されます。Oracle Application Serverクラスタ内のグループの全OC4Jインスタンスでは、Application Server Controlを使用してすべてのインスタンスにアクセスしグループ操作を実行できるよう、oc4jadmin
アカウントのパスワードが同一である必要があります。また、Oracle Application ServerクラスタのすべてのOC4Jインスタンスでも、OPMN関連の問題を防ぐために、oc4jadmin
アカウントのパスワードが同一である必要があります。
『Oracle Application Server管理者ガイド』の付録Aで説明されているように、パスワードは後から変更できます。oc4jadmin
パスワードの変更には次のガイドラインが適用されます。
ベスト・プラクティスとして、oc4jadmin
アカウントは、Application Server Controlへの最初のログインにのみ使用することをお薦めします。その後、日常業務用で使用するための新規アカウント(およびその他の管理者のアカウント)を作成する必要があります。oc4jadmin
アカウントおよびそのパスワードは、ascontrol
アプリケーションでの内部的な使用に制限してください。このアプリケーションでは、そのアカウントを使用して、Oracle Application Serverクラスタ内のその他のOC4Jインスタンスを管理します。
oc4jadmin
パスワードを変更する場合には、クラスタ内のすべてのOC4Jインスタンスでパスワードを変更する必要があります。このパスワードの変更では、『Oracle Application Server管理者ガイド』の付録Aで説明されている様々な手順を実行します。特に、アクティブなascontrol
アプリケーションを実行する管理OC4Jインスタンスのoc4jadmin
パスワードを変更する手順は、リモートで管理されているOC4Jインスタンスのoc4jadmin
パスワードの変更手順とは異なります。