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Oracle Enterprise Manager アドバンスト構成
10gリリース5(10.2.0.5.0)

B53907-01
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1 Enterprise Managerの詳細構成の概要

この章では、Enterprise Managerの詳細構成と、Enterprise Managerのインストールに関する基本的な情報について説明します。ディレクトリ構造およびすべてのユーザーのEnterprise Managerへのアクセスを可能にする方法などについて説明します。

この章を読み終えると、このマニュアル内に記載されている他の詳細構成タスクに進むことができます。

この章では特に、次のトピックについて説明します。

1.1 詳細構成タスクの種類

Enterprise Managerは、敏速に起動できるようにするため、一連の標準的な構成設定とともに簡単にインストールできるように設計されています。

ただし、ハードウェアおよびソフトウェアの管理要件は企業によって大きく変わることも事実です。このため、Enterprise Managerは、インストール後に再構成することによって次のことが可能です。

1.2 Enterprise Managerのディレクトリ構造の理解

メンテナンスと詳細構成タスクを実行する前に、Enterprise Managerをインストールするとディスクにコピーされるディレクトリおよびファイルについて理解しておく必要があります。各ファイルの場所を理解すると、インストールまたは構成上の問題の解決が必要な場合に役立ちます。

Enterprise Managerによってインストールされるディレクトリおよびファイルは、Enterprise Managerのインストール時に選択したインストール・オプションによって異なります。また、Enterprise ManagerがOracle Application ServerまたはOracle Database 10gの一部としてインストールされると、Enterprise Managerのファイルおよびディレクトリの場所は少し変わります。

Enterprise Managerをインストールするとディスクに作成されるディレクトリについて理解を深めるには、次の項を使用してください。

1.2.1 Oracle Enterprise Manager 10g Grid ControlとともにインストールされるEnterprise Managerのディレクトリの理解

Oracle Enterprise Manager 10g Grid Controlをインストールする際、4つのインストール・タイプから選択することができます。Oracle Management Agent以外のすべてのインストール・タイプで、Oracle Management Serviceがインストールされます。

Oracle Management Serviceをインストールすると、実際には3つのOracleホーム・ディレクトリがインストールされます。

1.2.1.1 Oracle Management Serviceホーム・ディレクトリについて

Oracle Management Serviceは、Oracle Application Server J2EE and Web Cacheインストール・タイプを使用してインストールおよびデプロイされるOC4Jインスタンス(OC4J_EM)形式のJ2EEアプリケーションです。

インストール時にはOracle Application Serverホーム内のEnterprise Managerコンポーネントがインストールされ、それにはOracle Management Serviceが含まれます。

Oracle Application Serverのインストールに固有のディレクトリの情報は、Oracle Application Serverのドキュメントに記載されています。たとえば、Oracle Application Serverの構成ファイルおよびログ・ファイルのほとんどの場所は、Oracle Application Serverのドキュメントに記載されています。

関連項目

『Oracle Application Server管理者ガイド』の構成ファイルおよびログ・ファイルに関する項 

1.2.1.2 Oracle Management Agentホーム・ディレクトリ(AGENT_HOME)について

インストール時には管理サービス・ホーム・ディレクトリ以外に、管理サービス・ホスト上のターゲットに対して管理データの収集および管理タスクの実行を行うために使用する、Oracle Management Agentがインストールされます。

デフォルトでは、Oracle Universal Installer(またはUniversal Installerの実行に使用されるアカウント)にインストール・ディレクトリへ書き込む権限がある場合、管理エージェントは、Oracle Application Serverホーム・ディレクトリと同じレベルで別々のOracleホーム・ディレクトリにインストールされます。

ただし、Oracle Universal Installerに必要な権限がない場合、管理エージェントは、Oracle Application Serverホーム・ディレクトリのサブディレクトリにインストールされます。

1.2.1.3 管理サービス・ホームの重要なディレクトリの要約

図1-1には、基本的なGrid Controlコンソールのインストールにおいて理解を深める必要がある、重要なディレクトリの一部が示されています。この情報は、Oracle Management Serviceのインストールの管理、トラブルシューティングおよび構成の開始に伴って使用できます。

図1-1    Oracle Management Serviceのインストールの重要なディレクトリ


画像の説明

表1-1では、図1-1に示されている管理サービス・ディレクトリについて、より詳しく説明します。表内でORACLE_HOMEとは、Oracle Management Serviceがインストールされデプロイされている管理サービス・ホーム・ディレクトリのことを表します。

表1-1    管理サービスのOracleホーム内の重要なディレクトリ 
ディレクトリ  説明 

ORACLE_HOME/bin 

Oracle Application Serverホームのbinディレクトリには、Oracle Application ServerのJ2EE and Web Cacheインストールのコンポーネントを制御するために使用されるコマンドが含まれています。この中には、Oracle Application Serverインスタンスの監視および構成に使用されるApplication Server Controlコンソールもあります。

Application Server Controlコンソールを起動および停止するには、このディレクトリ内のemctlコマンドを使用します。Application Server Controlコンソールの詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。 

ORACLE_HOME/sysman 

Oracle Application Serverホームのsysmanディレクトリには、このOracle Application Server 10g(9.0.4)のインストールに関連付けられているシステム管理ファイルが含まれています。

ORACLE_HOME/sysman/logディレクトリには、Oracle Management Serviceのログ・ファイル(emoms.log)およびトレース・ファイル(emoms.trc)が含まれるので注意してください。 

ORACLE_HOME/opmn 

このディレクトリには、Oracle Process Manager and Notification Server(OPMN)ユーティリティを制御するために使用されるファイルが含まれています。OPMNは、Oracle Application Serverの対応インスタンスに関連付けられているOracle Application Server Containers for J2EE(OC4J)のインスタンスを起動および停止するために使用できます。Oracle Management Serviceは、これらのOC4Jインスタンスの1つでアプリケーションとして稼働します。 

ORACLE_HOME/j2ee 

このディレクトリには、Oracle Application Serverの対応インスタンスで実行中のOC4Jインスタンスに関連付けられているファイルが含まれています。たとえば、OC4J_EMインスタンス用のディレクトリがありますが、このインスタンスは管理サービスのJ2EEのWebアプリケーションをデプロイするために使用されるOC4Jインスタンスです。 

ORACLE_HOME/hostname 

Real Application Clustersエージェントのインストールの場合、このディレクトリにはシステム・ファイルが含まれています。 

1.2.2 管理エージェントとともにインストールされるEnterprise Managerのディレクトリの理解

管理エージェントは、Grid Controlコンソールをインストールすると、自動的にインストールされます。この管理エージェントのローカル・インスタンスは、管理サービス・ホスト上のターゲットに関する管理情報を収集します。これによって、これらのターゲット(ホスト自身など)をGrid Controlコンソールから管理できます。

管理エージェントは、単独のインストール・タイプとしても使用できます。このため、エンタープライズ全体のホスト上に管理エージェントをインストールすることが可能です。管理エージェントが各ホスト上のターゲットについて管理データを収集すると、これらのターゲットをGrid Controlコンソールから管理できるようになります。

追加的な管理エージェントのインストール・タイプを選択した場合は、管理エージェントの実行に必要なファイルのみがインストールされます。

具体的には、管理エージェント・ファイルは、Oracle Management Serviceをインストールした際のagentディレクトリに示されている構造と、同じディレクトリ構造にインストールされます(図1-1)。

管理エージェントの実行に必要なファイルが含まれているディレクトリは、AGENT_HOMEディレクトリと呼ばれます。たとえば、Oracle Management Agentを起動および停止するには、AGENT_HOMEのbinディレクトリにあるemctlコマンドを使用します。同様に、管理エージェントのログ・ファイルを構成するには、AGENT_HOMEのsysman/configディレクトリにある構成ファイルを変更します。

1.2.2.1 管理エージェント・ホームの重要なディレクトリの要約

表1-2には、AGENT_HOMEディレクトリ内の重要なサブディレクトリの一部が示されています。

表1-2    AGENT_HOMEディレクトリ内の重要なディレクトリ 
ディレクトリ  説明 

AGENT_HOME 

agentディレクトリには、このホスト上のOracle Management Agentの構成および実行に必要なファイルがすべて含まれています。

このディレクトリは管理エージェントに対するOracleホームとして機能します。このマニュアル内では後に、このディレクトリがAGENT_HOMEと呼ばれます。

管理対象ホストに管理エージェントのみをインストールする場合は、このディレクトリ内のファイルのみがインストールされます。詳細は、「管理エージェントとともにインストールされるEnterprise Managerのディレクトリの理解」を参照してください。 

AGENT_HOME/bin 

Oracle Application Serverホームのagent/binディレクトリには、このホストに対する管理エージェントを制御するemctlコマンドが含まれています。

このホスト上のOracle Management Agentを起動および停止するには、このディレクトリ内のemctlコマンドを使用します。 

AGENT_HOME/sysman/admin  

このディレクトリには、ターゲット・タイプ(データベース、ホストなど)の定義、構成スクリプトの実行および他の管理タスクを行う際に、管理エージェントによって使用されるファイルが含まれています。 

AGENT_HOME/sysman/config 

このディレクトリには管理エージェントの構成ファイルが含まれます。たとえばここには、Enterprise Managerによってemd.propertiesファイルが格納されます。emd.propertiesファイルでは、このエージェント用の管理サービスのアップロードURLなどの設定が定義されます。 

AGENT_HOME/sysman/log 

このディレクトリには管理エージェントのログ・ファイルが含まれています。 

AGENT_HOME/hostname 

Real Application Clustersの場合、このディレクトリにはすべての設定、ログ・ファイルおよびシステム・ファイルが含まれています。 

1.2.2.2 Windows上の管理エージェントのディレクトリ構造の理解

Windowsシステムに管理エージェントをインストールすると、AGENT_HOMEディレクトリのディレクトリ構造は、UNIXシステム上のインストールのディレクトリ構造と同様になります。

たとえば、WindowsシステムのE:¥oracle¥em10gAgentディレクトリに管理エージェントをインストールした場合、次のディレクトリに移動すると、Windowsシステム上の管理エージェントに対するemctlコマンドを見つけることができます。

$PROMPT> E:¥oracle¥em10gAgent¥bin

1.2.3 Oracle Application ServerとともにインストールされるEnterprise Managerのディレクトリの理解

Oracle Application Serverをインストールすると、Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Controlコンソールもインストールされます。Application Server Controlコンソールでは、Oracle Application Serverのインストールを管理するために必要なEnterprise Managerの機能を使用できます。このためOracle Application Serverのインストール時には、各Oracle Application Serverホーム・ディレクトリにEnterprise Managerの一連のディレクトリおよびファイルがインストールされます。

特に、Application Server Controlコンソールの制御に必要なemctlコマンドは、
ORACLE_HOME/binディレクトリ内にインストールされます。Application Server Controlコンソールに対する構成ファイルおよびログ・ファイルは、ORACLE_HOME/sysmanディレクトリ内にインストールされます。

関連項目

「Oracle Enterprise Manager 10g Grid Controlの起動および停止」

第8章「Enterprise Managerログ・ファイルの位置確認および構成」 

1.2.4 Oracle Database 10gとともにインストールされるEnterprise Managerのディレクトリの理解

Oracle Database 10gをインストールすると、Oracle Enterprise Manager 10g Database Controlもインストールされます。Database Controlには、データベースのインストール後すぐにOracle Database 10gの管理に必要なツールが用意されています。このためOracle Database 10gのインストール時には、各Oracle Database 10gホーム・ディレクトリにEnterprise Managerの一連のディレクトリおよびファイルがインストールされます。

特に、データベース・コンソールの制御に必要なemctlコマンドは、
ORACLE_HOME/binディレクトリ内にインストールされます。

管理エージェントおよび管理サービスのサポート・ファイルは、Oracle Database 10gのインストール内の2つの場所にインストールされます。

また、データベース・コンソールをJ2EEアプリケーションとしてデプロイするために必要なファイルは、ORACLE_HOME/oc4j/j2eeディレクトリ構造内にインストールされます。データベース・コンソールは、スタンドアロン・バージョンのOracle Application Server Containers for J2EE(OC4J)を使用してデプロイされるJ2EEアプリケーションです。
OC4J_DBConsoleディレクトリにはテンプレート・ファイルが含まれており、このファイルは、Oracleホームでデプロイされている各データベース・コンソールインスタンスに対するデータベース固有のデプロイ・ディレクトリを作成するために使用されます。

インストールおよび構成ファイルは、次のサブディレクトリ内のORACLE_HOMEディレクトリに格納されます。

図1-2には、標準的なOracle Database 10gホーム・ディレクトリにおける、重要なEnterprise Managerディレクトリの場所が示されています。hostname_sidへの参照は単一インスタンス・データベース用であるのに対し、クラスタ・データベースはnodename_sid形式のパスを持つことに注意してください。

図1-2    Oracle Database 10gインストール内の重要なEnterprise Managerのディレクトリ


画像の説明

1.2.5 emctlコマンドを使用する場合のOracleホームを識別するヒント

Grid Control、Oracle Application ServerまたはOracle Database 10gをインストールする場合、結果として作成されるディレクトリ構造に、同じ名前を持つ複数のサブディレクトリが含まれる場合があります。たとえば、AGENT_HOMEディレクトリ内にbinディレクトリが作成されます。管理エージェントを制御するには、AGENT_HOME/binディレクトリ内のemctlコマンドを使用します。

さらに、管理サービスのOracleホーム内にbinが作成されます。管理サービスを制御するには、このディレクトリ内のemctlコマンドを使用します。

特定のbinディレクトリ内のファイルによって制御されるOracleホームを即座に識別するには、次のコマンドを使用します。

$PROMPT> emctl getemhome

このコマンドを使用すると、emctlコマンドのこのインスタンスによって実行されるコマンドの影響を受ける現行のOracleホームへのパスが表示されます。たとえば、次の例は、現行のemctlコマンドを使用して/dev1/private/em_ms_home1/ Oracleホームにインストールされた管理サービスを制御する方法を示しています。

$PROMPT> emctl getemhome
Copyright (c) 1996, 2004 Oracle Corporation. All rights reserved.
EMHOME=/dev1/private/em_ms_home1

1.2.6 Oracle Database 10gのインストール中またはインストール後におけるデータベース・コンソールの構成

次の項では、Oracle Database 10gのインストール中にOracle Enterprise Manager 10g Database Controlがどのように構成されるかを説明します。この項では、インストール後にデータベース・コンソールを構成する方法についても説明します。

1.2.6.1 インストール中のデータベース・コンソールの構成

Oracle Database 10gのインストール時にデータベースを作成する場合、Oracle Enterprise Manager 10g Grid ControlコンソールまたはOracle Enterprise Managerデータベース・コンソールによって管理できるようにデータベースを構成するオプションがあります。

図1-3には、Oracle Database 10gのインストール時にデータベース管理オプションを選択できる、管理オプションのページが示されています。

図1-3    Oracle Database 10gのインストール時の管理オプションの選択


画像の説明

Grid Controlコンソールを管理オプションとして選択するには、Oracle Management Serviceをネットワーク・ホスト上にインストールする必要があります。また、データベースをインストールする対象のホスト上にOracle Management Agentをインストールする必要があります。これに従わない場合、Grid Controlコンソール・オプションは使用できなくなるため、Database Controlによるデータベース管理をかわりに選択する必要があります。

Oracle Database 10gのほとんどのインストール・タイプにおいて、インストール時にデータベースを作成する際は管理オプションとしてDatabase ControlまたはGrid Controlのいずれかを選択する必要があります。

ただし、次のいずれかの方法を使用してデータベースを作成する場合は、データベース・コンソールを構成しないことを選択できます。

Oracle Database 10gのインストール時にデータベース・コンソールを構成しない場合、生成されるOracleホーム・ディレクトリ内にhostname_sidディレクトリは作成されません(図1-2)。

1.2.6.2 DBCAによるデータベース・コンソールの構成

データベース・コンソールによって管理できるように既存のOracle Database 10gデータベースを構成する主な方法は、DBCAを使用する方法です。DBCAを使用すると、新規データベースの作成や、既存のデータベースの再構成ができます。

関連項目

DBCAを使用した新規データベース・インスタンスの作成の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』のOracleソフトウェアのインストールおよびデータベースの構築に関する項 

DBCAを使用して、データベース・コンソールによって管理できるようにデータベースを再構成するには、次のようにします。

  1. Oracleソフトウェアのインストール権限を持つ管理グループのメンバーとしてデータベース・ホストにログインし、データベースを作成して実行します。

  2. 次の手順でDBCAを起動します。

    • Windowsでは、「スタート」「プログラム」「Oracle - home_name「Configuration and Migration Tools」「Database Configuration Assistant」を選択します。

    • UNIXでは、ディレクトリをORACLE_HOME/binディレクトリに変更し、次のコマンドを入力します。

      $PROMPT> ./dbca
      
      

    DBCAの「ようこそ」ページが表示されます。

  3. 「操作」ページに進み、「データベース・オプションの構成」を選択します。

  4. 「データベース」ページに進み、構成するデータベースを選択します。

  5. 「管理オプション」ページ(図1-4)に進み、次のオプションを選択します。

    • Enterprise Managerによるデータベースの構成

    • データベース管理にDatabase Controlを使用

  6. オプションで、電子メール通知や日次バックアップを選択できます。

    Enterprise Managerの通知および日次バックアップの詳細は、「管理オプション」ページで「ヘルプ」をクリックします。

  7. 「終了」ボタンが表示されるまで進みます。

  8. 「終了」をクリックして、データベース・コンソールを使用するようにデータベースを再構成します。

    DBCAによってデータベースが再構成されると、新規のサブディレクトリがOracleホームに表示されます。このディレクトリは、次の書式を使用して名前が付けられており、構成したデータベースに固有のデータベース・コンソールの構成ファイルおよび状態ファイルが含まれます。

    hostname_sid
    
    

    次に例を示します。

    mgmthost1.example.com_myNewDB
    
    

    クラスタ・データベースの場合、ディレクトリはnodename_sidという名前が付けられます。

    図1-4    DBCAの「管理オプション」ページ


    画像の説明

1.2.6.3 EMCAによるデータベース・コンソールの構成

DBCAを使用してOracle Database 10gを構成すると、DBCAではGraphical User Interfaceを使用してデータベース・コンソールオプションの選択や、データベースのその他の環境を構成できます。

ただし、オペレーティング・システムのコマンドラインを使用してデータベース・コンソールを構成する場合は、Enterprise Manager Configuration Assistant(EMCA)を使用できます。


警告

EMCAで-reposオプションを使用したデータベースの構成時、データベースは利用できなくなります。そのためユーザーは、リポジトリの削除中または再作成中は、データベースへの接続も、データベース上での操作の実行もできなくなります。データベースの可用性に対して考えられる影響を完全に認識し、その事態に備えていない場合は、本番データベースでは実行しないようにしてください。  


EMCAによってデータベース・コンソールを構成するには、次のようにします。

  1. 管理対象データベースのOracleホームおよびシステム識別子(SID)を指定するように、次の環境変数を設定します。

    • ORACLE_HOME

    • ORACLE_SID

  2. ディレクトリをORACLE_HOME/binディレクトリに変更します。

  3. 表1-3にあるオプションのコマンドライン引数とともに次のコマンドを入力して、EMCAを起動します。

    $PROMPT> ./emca 
    
    

    EMCAコマンドラインに追加した引数に応じて、データベース・コンソールの構成に必要な情報が求められます。

    たとえば、次のコマンドを入力してデータベース・コンソールを構成すると、データベースの自動日次バックアップが実行されます。

    $PROMPT> ./emca -config dbcontrol db -backup
    
    

EMCAコマンドは次の形式をとります。

emca [operation] [mode] [flags] [parameters]


注意:

ASMを使用して単一のインスタンス・データベース用にデータベース・コンソールを構成する場合は、EMCAコマンドとともに追加のパラメータを渡す必要はありません。次のコマンドを実行して、ASMインスタンスを自動的に検出するデータベース・コンソールを構成します。

emca -config dbcontrol db -repos create
 

表1-3には、有効な実行操作およびモード、ならびにカッコ内にオプションのパラメータを示します。表1-4には、フラグおよびその機能、表1-5には、オプションのパラメータの詳細を示します。EMCAパラメータは、[ -parameterName parameterValue ]の形式をとります。コマンドラインで、複数のパラメータを組み合せて使用できます。

表1-3    EMCAコマンドライン操作 
コマンド  説明 

emca -h | --h | -help | --help  

EMCAユーティリティのヘルプ・メッセージを表示するには、このオプションを使用します。表1-3表1-4および表1-5で説明している各オプション、ならびに含めることができる有効なパラメータのリストが示されます。 

emca -version 

EMCAに関連付けられているバージョン情報を印刷します。 

emca -config dbcontrol db [-repos (create | recreate)] [-cluster] [-silent] [-backup] [parameters] 

データベースに対してDatabase Controlを構成します。オプションには、Database Controlリポジトリの作成(または再作成)、自動バックアップの構成、およびクラスタ・データベースにおけるこれらのオプションの実行などがあります。 

emca -config centralAgent
(db | asm) [-cluster] [-silent] [parameters] 

データベースに対して集中エージェント管理または自動ストレージ管理(ASM)インスタンスを構成します。オプションには、クラスタ環境におけるこの操作の実行などがあります。この操作では、Oracle Enterprise Manager 10g Grid Controlコンソールによって集中的に管理できるようにデータベースを構成します。このオプションを使用するには、Enterprise ManagerのOracle Management Serviceコンポーネントをネットワーク・ホスト上に事前にインストールしておく必要があります。さらに、Oracle Management Agentを、データベースを実行するホスト上にインストールしておく必要があります。 

emca -config all db [-repos (create | recreate)] [-cluster] [-silent] [-backup] [parameters] 

データベースに対してDatabase Controlと集中エージェント管理の両方を構成します。可能な構成オプションは、前述したものと同様です。 

emca -deconfig dbcontrol db [-repos drop] [-cluster] [-silent] [parameters] 

データベースに対してDatabase Controlの構成を解除します。オプションには、Database Controlリポジトリの削除、およびクラスタ・データベースにおけるこれらの操作の実行などがあります。たとえば、削除対象のデータベースからDatabase Control構成を削除する場合は、このコマンドを使用します。このようなケースでは、データベースを物理的に削除する前にDatabase Control構成を削除します。この操作では、実際のデータベースまたはデータファイルは削除されません。 

emca -deconfig centralAgent (db | asm) [-cluster] [ -silent] [parameters] 

データベースに対する集中エージェント管理またはASMインスタンスの構成を解除します。オプションには、クラスタ環境におけるこの操作の実行などがあります。たとえば、削除対象のデータベースから集中エージェント管理構成を削除する場合は、このコマンドを使用します。このようなケースでは、データベースを物理的に削除する前に集中エージェント管理構成を削除します。この操作では、実際のデータベースまたはデータファイルは削除されません。 

emca -deconfig all db [-repos drop] [-cluster] [-silent] [parameters] 

データベースに対するDatabase Controlと集中エージェント管理の両方の構成を解除します。可能な構成解除オプションは、前述したものと同様です。 

emca -addInst (db | asm) [-silent] [parameters] 

データベースまたはASMストレージの新しいクラスタ・インスタンスに対してEnterprise Managerを構成します。詳細は、1.2.6.5項を参照してください。 

emca -deleteInst (db | asm) [-silent] [parameters] 

クラスタ・データベースまたはASMストレージの特定のインスタンスに対するEnterprise Managerの構成を解除します。これについては、1.2.6.5項で説明します。 

emca -reconfig ports [-cluster] [parameters] 

明示的にDatabase Controlポートを再割当てします。オプションには、クラスタ環境におけるこの操作の実行などがあります。詳細は、1.2.6.6項を参照してください。 

emca -reconfig dbcontrol -cluster [-silent] [parameters] 

クラスタ・データベースに対してDatabase Controlのデプロイを再構成します。このコマンドは、-clusterオプションとともに使用する必要があります。詳細は、1.2.6.5項を参照してください。 

emca -displayConfig dbcontrol -cluster [-silent] [parameters] 

クラスタ環境におけるDatabase Controlの現在のデプロイ構成に関する情報を表示します。このコマンドは、-clusterオプションとともに使用する必要があります。詳細は、1.2.6.5項を参照してください。 

emca -upgrade (db | asm |
db_asm) [-cluster] [-silent] [parameters] 

Enterprise Managerの以前のバージョンの構成を現在のバージョンにアップグレードします。この操作は、データベースまたはASMに対して、あるいはデータベースおよびASMインスタンスの両方に対して同時に実行できます。この操作では、実際のデータベースまたはASMインスタンス、あるいはEnterprise Managerソフトウェアはアップグレードされません。かわりに、Enterprise Managerソフトウェアの現在のバージョンと互換性を持つように、指定したインスタンスの構成ファイルをアップグレードします。EMCAは、すべてのOracleホームにおけるホスト上の指定したデータベースまたはASMターゲット(あるいはその両方)のすべてのインスタンスのアップグレードを試行します(リスナー・ポートまたはOracleホームなど、特定のターゲット・プロパティなどは変更している可能性があるため)。 

emca -restore (db | asm |
db_asm) [-cluster] [-silent] [parameters] 

Enterprise Manager構成の現在のバージョンを以前のバージョンにリストアします。これは、-upgradeオプションの逆で(-upgrade操作の結果発生した変更を逆に戻します)、オプションは同様です。 

表1-4    EMCAコマンドライン・フラグ 
フラグ  説明 

db 

データベース(クラスタ・データベースを含む)に対して操作を実行します。データファイルを格納するために自動ストレージ管理(ASM)を使用するデータベースに対してこのオプションを使用します。データベースがASMを使用している場合、前述したすべての構成操作およびモード(-upgradeおよび-restore以外)で、これが自動的に検出され、データベースおよびASMインスタンスの両方に変更が適用されます。 

asm 

ASMのみのインスタンス(クラスタASMインスタンスを含む)に対して操作を実行します。 

db_asm 

このフラグは、-upgradeおよび-restoreモードでのみ使用できます。データベースとASMインスタンスの両方に対してアップグレードまたはリストア操作を実行します。データベースおよびASMインスタンスは、別々にアップグレードまたはリストアされる場合があります(つまり、ASMインスタンスのアップグレードには、サービスを提供するデータベース・インスタンスのアップグレードは必要ありません)。したがって、Enterprise Manager構成を、データベースとその各ASMインスタンスに対して別々にアップグレードまたはリストアできます。 

-repos create 

新しいDatabase Control管理リポジトリを作成します。 

-repos drop 

現在のDatabase Control管理リポジトリを削除します。 

-repos recreate 

現在のDatabase Control管理リポジトリを削除し、新しいDatabase Control管理リポジトリを再作成します。 

-cluster 

クラスタ・データベースまたはASMインスタンスに対して操作を実行します。 

-silent 

その他の情報が求められることなく操作が実行されます。このモードが指定された場合、すべての必要なパラメータをコマンドラインに入力するか、または-respFile引数を使用して入力ファイルに指定する必要があります。コマンドラインでemca -hを入力すると、使用可能なパラメータのリストを表示できます。 

-backup 

データベースに対して自動バックアップを構成します。EMCAでは、日次自動バックアップ・オプションが求められます。データベース・ファイルのバックアップには、デフォルトのEnterprise Manager設定が使用されます。

注意:このオプションを使用すると、EMCAでは自動バックアップ用のフラッシュバック・リカバリ領域の指定に、
db_recovery_file_dest初期化パラメータの値が使用されます。このパラメータが設定されていないと、EMCAではエラーが発生します。これらの設定は、Database Controlの「メンテナンス」ページを使用して後で変更できます。詳細は、Database Controlのオンライン・ヘルプを参照してください。 

表1-5    EMCAコマンドライン・パラメータ 
パラメータ  説明 

-respFile 

構成操作の実行中に使用されるEMCAのパラメータのリストが含まれた入力ファイルのパスを指定します。詳細は、1.2.6.4項を参照してください。 

-SID 

データベース・システム識別子。 

-PORT 

データベースをサービスするリスナーのポート番号。 

-ORACLE_HOME 

データベースのOracleホーム(絶対パス)。 

-LISTENER_OH 

リスナーの実行元であるOracleホーム。リスナーが、データベースが稼働しているもの以外のOracleホームから実行されている場合、LISTENER_OHパラメータを指定する必要があります。 

-HOST_USER 

ホスト・マシンのユーザー名(自動バックアップ用)。 

-HOST_USER_PWD 

ホスト・マシンのパスワード(自動バックアップ用)。 

-BACKUP_SCHEDULE 

HH:MM形式のスケジュール(日次自動バックアップ用)。 

-EMAIL_ADDRESS 

通知用の電子メール・アドレス。 

-MAIL_SERVER_NAME 

通知用送信メール(SMTP)サーバー。 

-ASM_OH 

自動ストレージ管理のOracleホーム。 

-ASM_SID 

ASMインスタンス用システム識別子。 

-ASM_PORT 

ASMインスタンスをサービスするリスナーのポート番号。 

-ASM_USER_ROLE 

ASMインスタンスへの接続用ユーザー・ロール。 

-ASM_USER_NAME 

ASMインスタンスへの接続用ユーザー名。 

-ASM_USER_PWD 

ASMインスタンスへの接続用パスワード。 

-DBSNMP_PWD 

DBSNMPユーザー用パスワード。 

-SYSMAN_PWD 

SYSMANユーザー用パスワード。 

-SYS_PWD 

SYSユーザー用パスワード。 

-SRC_OH 

アップグレードまたはリストア対象のEnterprise Manager構成のあるデータベースのOracleホーム。 

-DBCONTROL_HTTP_PORT 

Database ControlコンソールをWebブラウザに表示する場合に使用するポートを指定するには、このパラメータを使用します。詳細は、1.2.6.6項を参照してください。 

-AGENT_PORT 

Database Controlに対して管理エージェント・ポートを指定するには、このパラメータを使用します。詳細は、1.2.6.6項を参照してください。 

-RMI_PORT 

Database Controlに対してRMIポートを指定するには、このパラメータを使用します。詳細は、1.2.6.6項を参照してください。 

-JMS_PORT 

Database Controlに対してJMSポートを指定するには、このパラメータを使用します。詳細は、1.2.6.6項を参照してください。 

-CLUSTER_NAME 

クラスタ名(クラスタ・データベース用)。 

-DB_UNIQUE_NAME 

データベースの一意の名前(クラスタ・データベース用)。 

-SERVICE_NAME 

データベースのサービス名(クラスタ・データベース用)。 

-EM_NODE 

Database Controlコンソールが実行されるノード(クラスタ・データベース用)。詳細は、1.2.6.5項を参照してください。 

-EM_SID_LIST 

エージェントのみの構成用SIDのカンマ区切りリスト。データを-EM_NODEにアップロードします。詳細は、1.2.6.5項を参照してください。 

1.2.6.4 EMCAパラメータ用の入力ファイルの使用方法

EMCAの実行時に一連のプロンプトに応答するかわりに、-respFile引数を使用して入力ファイルを指定できます。作成する入力ファイルは次の例と同様の書式にしてください。

PORT=1521
SID=DB
DBSNMP_PWD=xpE234D
SYSMAN_PWD=KDOdk432

EMCA入力ファイルを作成した後、そのファイルをコマンドラインで次のように使用します。

$PROMPT> ./emca -config dbcontrol db -respFile input_file_path

たとえば、日次バックアップを実行するためにデータベース・コンソールを構成し、Database Control管理リポジトリを作成する場合は、例1-1で示されているものと同様の入力ファイルを作成し、オペレーティング・システムのプロンプトで次のコマンドを入力します。

$PROMPT> ./emca -config dbcontrol db -repos create -backup -respFile 
input_file_path

例1-1    自動バックアップ用にDatabase Controlを構成し、Database Controlを作成するEMCA入力ファイル 管理リポジトリ

PORT=1521 SID=DB DBSNMP_PWD=dow3l224 SYSMAN_PWD=squN3243 HOST_USER=johnson HOST_USER_PWD=diTf32of SYS_PWD=qlKj4352 BACKUP_SCHEDULE=06:30

1.2.6.5 Oracle Real Application ClustersによるEMCAの使用方法

Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)では、複数のホストにわたる可用性の高いデータベース環境を使用できます。各クラスタは複数のクラスタ・データベースで構成され、そのデータベースはそれぞれ複数のクラスタ・データベース・インスタンスから構成される可能性があります。所属するインスタンスの1つが使用可能なかぎり、そのクラスタ・データベースも使用できます。

各EMCAコマンドはReal Application Clusters環境で使用できますが、特定のコマンドはクラスタの設定にのみ適用可能です。クラスタ・データベースが存在することを示すには、ほぼすべてのEMCA操作モードで使用可能な-clusterフラグを使用します。

EMCAを使用してReal Application Clustersに対してデータベース・コンソールを構成するときは、クラスタ内の各インスタンスに対してデータベース・コンソールを構成します。ただし、デフォルトでは、Database Controlコンソールはローカル・ノードでのみ起動します。クラスタのその他のノードでは、Enterprise Managerエージェントのみが起動します。これは、Database Controlコンソールで多数のデータベースへの接続が開かれるためです。1つのコンソールのインスタンスがクラスタ内のすべてのホスト上で稼働している場合、32ノードまたは64ノード環境で許可されているオープン接続の最大数を簡単に超える可能性があります。

この問題を解決するため、Database Controlコンソールはローカル・ノードでのみ起動します。その他のノードでは、emctl start dbconsoleおよびemctl stop dbconsoleコマンドは、エージェントのみを起動および停止します。各リモート・エージェントは、クラスタ内のすべてのターゲットを監視および管理可能な場所から、ローカル・ノードで稼働しているコンソールにそのデータをアップロードします。Oracle RACデータベースの各インスタンスに、次のサブディレクトリが作成されます。

$ORACLE_HOME/nodename1_SID1
$ORACLE_HOME/nodename2_SID2
.
.
$ORACLE_HOME/nodenamen_SIDn

SID1...IDnは、データベース・システム識別子です。

ただし、10gリリース1のクラスタ・データベース(Database Controlを使用して構成)を10gリリース2にアップグレードする場合は、10gリリース1のDatabase Control構成は保存されます。10gリリース1のDatabase Controlでは、Real Application Clustersの各ノードでデータベース・コンソールが稼働します。コンソールは、依然として各ノードで起動します。構成を変更する場合は、次のコマンドを使用します。

emca -reconfig dbcontrol -cluster -EM_NODE nodename -EM_SID_LIST SID list

nodenameはノードのパブリック名で、SID listはデータベース・システム識別子のカンマ区切りリストです。このコマンドは、現在のDatabase Control設定を再構成します。

  1. Database Controlコンソールが起動していない場合は、nodenameで起動します。

  2. SID listのデータベース・インスタンスを監視するエージェントが、nodenameで稼働するコンソールにデータをアップロードするようにリダイレクトします。また、nodenameでデータベース・インスタンスを監視するエージェントもローカル・コンソールにデータをアップロードします。-EM_NODEまたは-EM_SID_LISTをコマンドラインで渡していない場合は、渡すように求められます。

-EM_NODEを指定しなかった場合には、デフォルトとしてローカル・ノードを使用します。-EM_SID_LISTが指定されていない場合、デフォルトとしてすべてのデータベース・インスタンスを使用します。

このコマンドを使用して、1つ以上のノードでコンソールを起動できます。たとえば、
node1, node2, node3, node4, node5, node6, node7, node8のある8ノードのクラスタ上、およびoradb1, oradb2, oradb3, oradb4, oradb5, oradb6, oradb7, oradb8のデータベース・インスタンスでは、次のコマンドを連続して実行できます。

$PROMPT> emca -reconfig dbcontrol -cluster -EM_NODE node1 -EM_SID_LIST 
oradb2,oradb3,oradb4
$PROMPT> emca -reconfig dbcontrol -cluster -EM_NODE node5 -EM_SID_LIST 
oradb6,oradb7,oradb8

このケースでは、2つのDatabase Controlコンソールが1つはnode1上で、もう1つはnode5上で稼働します。これらのコンソールのうちいずれかから、クラスタ内のすべてのターゲットを管理および監視できます。

現在のクラスタ構成に関する情報を表示するには、次を実行します。

emca -displayConfig dbcontrol -cluster

前述のコマンドで、クラスタ・データベースの一意のデータベース名が求められます。これにより、コンソールが稼働しているノードおよび各エージェントがアップロードされるコンソールを示す、現在の構成が画面に出力されます。

データベースまたはASMストレージの新しいクラスタ・インスタンスに対してEnterprise Managerを構成するには、次のコマンドを使用します。

emca -addInst db

クラスタ・データベースにおける他の共通の操作には、データベース・インスタンスの作成および削除があります。新しいインスタンスを作成した後、EMCAを実行し、emca -addInst dbコマンドを使用して、そのインスタンスに対しDatabase Controlまたは集中エージェント管理を構成できます。EMCAの実行では実際のデータベース・インスタンスは作成されません。その他のクラスタ・データベース・インスタンスとの一貫性のある方法でインスタンスを管理できるように、Enterprise Managerを構成するのみです。新しいインスタンスに対してEnterprise Managerを構成する場合は、インスタンスの作成後にEMCAコマンドのみを実行します。また、これらの構成設定は新しいインスタンスに伝播されるため、関連データベース・インスタンスに対してEnterprise Managerがすでに構成されているクラスタ内のノードから、コマンドを実行します。新しいインスタンスが作成されたノード上からこのコマンドを実行しないでください。このオプションはReal Application Clusters環境でのみ使用できるため、コマンドラインで-clusterオプションを使用する必要がないことに注意してください。コマンドemca -addInst dbを実行した後、ノードおよびデータベースに関する次の情報を入力します。

Node name: node2
Database Unique Name: EM102
Database SID: EM1022

Enterprise Managerを特定のデータベース・インスタンスに対して構成解除するには(通常、データベース・インスタンスを削除する前)、逆コマンドであるemca -deleteInst dbを使用します。EMCAの実行ではデータベース・インスタンスは削除されません。Enterprise Managerを使用してインスタンスを管理できなくなるように、Enterprise Managerが削除されるのみです。実際のクラスタ・データベース・インスタンスを削除する前に、EMCAコマンドを確実に実行します。また、データベース・インスタンスが削除されるノードからではなく、異なるノードからコマンドを確実に実行します。このオプションはReal Application Clusters環境でのみ使用できるため、コマンドラインで-clusterオプションを使用する必要がないことに注意してください。

詳細は、EMCAコマンドライン操作について記載されている表1-3を参照してください。


注意:

emca -cを使用してReal Application Clusters用にDatabase Controlを構成する場合は、すべてのクラスタ・ノードのTNS_ADMINを確認します。ノードごとに異なるTNS_ADMINが設定されている場合は、そのターゲットのリスナーを正しく構成できません。その場合は、emca -cコマンドを実行する前に、すべてのクラスタ・ノードで同じTNS_ADMINを設定してください。 


1.2.6.6 データベース・コンソールによって使用されるポートの指定

Oracle Database 10gを初めてインストールする場合、またはEMCAを使用してデータベース・コンソールを初めて構成する場合、データベース・コンソールは一連のデフォルト・システム・ポートを使用します。たとえば、デフォルトでは、10gリリース2のポート1158を使用して、次にあるデータベース・コンソールにアクセスします。

http://host.domain:1158/em

これは、Internet Assigned Numbers Authority(IANA)によってDatabase Controlに割り当てられているデフォルトのポートです。同様に、IANAにより割り当てられているデフォルトのDatabase Controlエージェント・ポートは3938です。

EMCAを使用してデータベース・コンソールを初めて構成する場合にデフォルト・ポート以外のポートを使用するには、次のEMCAコマンドライン引数を使用します。もう1つの方法として、次のコマンドを使用して、Database Controlを構成した後で明示的にポートを割り当てることもできます。

emca -reconfig ports [-cluster]


注意:

次のEMCAコマンドライン引数は、Oracle Database 10gをインストールして構成した後、Database Controlを構成する場合にも使用できます。  


次のリストには、標準的なDatabase Controlのポート割当てを制御するEMCAコマンドライン引数が要約されています。

1.2.6.7 EMCAのトラブルシューティングのヒント

次の項では、EMCAを使用してDatabase Controlを構成する場合のトラブルシューティングのヒントをいくつか説明します。

1.2.6.7.1 データベースのリスナー・ポートを変更した後のEMCAの使用方法

Database Controlの構成後にデータベースのリスナー・ポートを変更した場合、データベースのステータスは停止中と表示されます。新規のリスナー・ポートを使用するようにDatabase Controlを構成するには、-config dbcontrol db [-cluster]コマンドライン引数を使用してEMCAコマンドを実行します。

1.2.6.7.2 10gリリース2のGrid Controlエージェントを使用したデータベースまたはASMインスタンスのアップグレード

Oracle Enterprise Manager(Database ControlまたはGrid Control集中エージェントのいずれか)に対して構成されている10gリリース1のデータベース・インスタンスまたはASMインスタンス(あるいはその両方)を10gリリース2にアップグレードするとき、アップグレードされたインスタンスを参照している関連ホスト上のすべてのEnterprise Managerターゲットが自動的に更新されます。これは、アップグレードには、インスタンスのOracleホーム、ポートまたはその他のターゲット関連プロパティの変更が含まれているためです。ただし、10gリリース2のGrid Controlエージェントによって管理されている場合、ホスト上のこれらのターゲットには、アップグレード中に更新されないものもあります。これらのターゲットを更新するには、アップグレードされたデータベース(ASM)ターゲットのホームページで、「監視構成」リンクをクリックします。このページでは、Oracleホーム、リスナー・ポートなどの必須プロパティを正しい値に更新できます。

1.2.6.7.3 データベース・ホスト名またはIPアドレス変更時のEMCAの使用方法

データベース・ホスト名(ドメイン名を含む)またはIPアドレスが変更された場合は、構成を解除した後、リポジトリ作成のコマンドを使用してデータベース・コンソールを再構成します。次のコマンドを実行します。

emca -deconfig dbcontrol db -repos drop
emca -config dbcontrol db -repos create

または

emca -deconfig dbcontrol db
emca -config dbcontrol db -repos recreate

1.2.6.7.4 TNS構成変更時のEMCAの使用方法

TNS構成が変更された場合は、環境変数を設定して次のコマンドを実行します。

emca -config dbcontrol db

1.2.7 Database Controlの構成解除

オペレーティング・システムのコマンドラインであるEMCAを使用すると、Database Controlの構成を解除することができます。データベース・コンソールの構成を解除するには、次のコマンドを使用します。

emca -deconfig dbcontrol db [-repos drop] [-cluster] [-silent] [parameters]

前述のコマンドは、データベースに対してDatabase Controlの構成を解除します。オプションには、Database Controlリポジトリの削除、およびクラスタ・データベースにおけるこれらの操作の実行などがあります。たとえば、このコマンドを使用して、Database Controlの構成を削除することもできます。このようなケースでは、データベースを物理的に削除する前にDatabase Control構成を削除します。この操作では、実際のデータベースまたはデータファイルは削除されません。

単一インスタンス・データベースに対してDatabase Controlの構成を解除するには、次のコマンドを実行します。

emca -deconfig dbcontrol db -repos drop -SID database sid -PORT listener port 
-SYS_PWD password for sys user -SYSMAN_PWD password for SYSMAN user
 

Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)データベースに対してDatabase Controlの構成を解除するには、次のコマンドを実行します。

emca -deconfig dbcontrol db -repos drop -cluster -DB_UNIQUE_NAME database unique 
name -PORT listener port -SYS_PWD password for sys user -SYSMAN_PWD password for 
SYSMAN user -CLUSTER_NAME cluster name

Database Controlを使用して構成済のデータベースを使用するためにGrid Controlを構成する場合は、Database Controlの構成を解除する必要があります。Grid Controlは、Database Control SYSMANスキーマを検出し、Database Control SYSMANスキーマを破棄してGrid Control用のものを1つ作成するようユーザーに指示します。SYSMANスキーマを上書きする前に、Database Controlを停止し、構成を解除してください。

Grid Controlリポジトリとして使用する新しいデータベースを構成する場合、このデータベースのインストール時にDatabase Controlを構成してはいけません。

1.3 Enterprise Managerのアクセシビリティ機能の有効化

オラクル社の製品、サービスおよびサポート・マニュアルを、障害のある方々が利用しやすいようにするための活動の一環として、Enterprise Managerには補助テクノロジを使用するユーザーの管理データへのアクセスを可能にするいくつかの機能が用意されています。

完全なアクセシビリティのためにこれらの機能を有効にするには、次の項で説明するように
2つの構成設定を変更する必要があります。

1.3.1 Enterprise Managerのアクセシビリティ・モードの有効化

Enterprise Managerでは、ユーザー操作の反応性を向上させるユーザー・インタフェース開発テクノロジが利用されています。たとえば、表内のある新規レコード・セットにナビゲートする場合、HTMLページの全体は再表示されません。

ただし、このパフォーマンス向上テクノロジは通常、スクリーン・リーダーではサポートされません。この機能を無効にして、障害を持つユーザーに対してEnterprise ManagerのHTMLページへのアクセスをより容易にするには、次の手順を使用します。


注意:

次の手順はGrid Controlコンソールおよびデータベース・コンソールのインストールの双方に有効です。構成ファイルの場所が異なる場合があるので注意してください。

Application Server Controlコンソールについてのアクセシビリティの有効化の詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』のApplication Server Controlの管理および構成に関する項を参照してください。 


  1. uix-config.xml構成ファイルを探します。

    Grid Controlコンソール・インストールでuix-config.xmlファイルを探すには、ディレクトリを管理サービス・ホームの次の場所に変更します。

    ORACLE_HOME/j2ee/OC4J_EM/applications/em/em/WEB-INF (Grid Control)
    
    

    Oracle Database 10gインストールでuix-config.xmlファイルを探すには、ディレクトリをデータベース・ホームの次の場所に変更します。

    ORACLE_HOME/oc4j/j2ee/oc4j_applications/applications/em/em/
    WEB-INF (Database Control)
  2. テキスト・エディタを使用してuix-config.xmlファイルを開き、次のエントリを探します。

    <!-- An alternate configuration that disables accessibility features  -->
    <default-configuration>
      <accessibility-mode>inaccessible</accessibility-mode>
    </default-configuration>
    
    
  3. accessibility-modeプロパティの値をinaccessibleからaccessibleに変更します。

  4. ファイルを保存して閉じます。

  5. Oracle Management Service(Grid Controlコンソール・インストールを変更している場合)またはデータベース・コンソール(Oracle Database 10gインストールを変更している場合)を再起動します。

1.3.2 Enterprise Managerチャートの説明テキストの表示

Enterprise Managerではパフォーマンス・データの表示にチャートが使用されます。ほとんどのユーザーにとって、このチャートはデータの重要なグラフィカル・ビューであり、傾向の分析やパフォーマンス・メトリックの最小値および最大値の認識に役立ちます。

ただし、チャートにはスクリーン・リーダーで読むことができる情報が付加されていません。この問題を解決するため、各パフォーマンス・チャートに完全な説明テキストが表示されるようにEnterprise Managerを構成します。デフォルトでは、チャートの説明テキストのサポートは無効になっています。チャートの説明テキストが有効になっている場合、Enterprise Managerでは各チャートに小さなアイコンが表示され、説明テキストへのドリルダウン・リンクとして使用できます。

図1-5は、チャートの説明テキストを有効にしている場合にEnterprise Managerチャートの下に表示されるアイコンの例です。

図1-5    チャートの説明テキストを示すアイコン


画像の説明

チャートの説明テキスト用のドリルダウン・アイコンを有効にするには、次のようにします。

  1. web.xml構成ファイルを探します。

    Grid Controlコンソール・インストールでweb.xmlファイルを探すには、ディレクトリを管理サービス・ホームの次の場所に変更します。

    ORACLE_HOME/j2ee/OC4J_EM/applications/em/em/WEB-INF
    
    

    Oracle Database 10gインストールでweb.xmlファイルを探すには、ディレクトリをデータベース・ホームの次の場所に変更します。

    ORACLE_HOME/oc4j/j2ee/oc4j_applications/applications/em/em/WEB-INF
    
    
  2. テキスト・エディタを使用してweb.xmlファイルを開き、ファイル内で次の6行を探します。

    <!-- Uncomment this to enable textual chart descriptions
    <context-param>
    <param-name>enableChartDescription</param-name>
    <param-value>true</param-value>
    </context-param>
    -->
    
    
  3. このセクションの最初の行および最後の行を削除して4行のみを残し、このセクションからコメントを削除します。

    <context-param>
    <param-name>enableChartDescription</param-name>
    <param-value>true</param-value>
    </context-param>
    
    
  4. ファイルを保存して閉じます。

  5. 管理サービス(Grid Controlコンソール・インストールを変更している場合)またはデータベース・コンソール(Oracle Database 10gインストールを変更している場合)を再起動します。


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